常磐線・・・ED75撮影記 [鉄道写真撮影記]
ひと昔前まで東北交流電化区間のいたるところで見ることができた、交流電機の雄・ED75。しかしEH500の台頭によって定期運用は激減。ED75自体もその数を減らし、もはや風前の灯といっても過言ではない状況になってしまいました。そんななか、一日に4往復もの運用が残され、いつしか「ナナゴ最後の聖地」と呼ばれるようになったのが、常磐線・北部。しかしそんな「聖地」にも、EH500の影が・・・。春先に訓練運転用として初めて常磐線に姿を現したEH500、ついに今月初めには夜の一往復が置き換えられてしまったもよう(90レ~91レ)。一往復のみながら、EH500での運転が開始された今、残された3往復が置き換えられるのも時間の問題・・・そう考えると、いてもたってもいられなくなりました。
そこで先週金曜日(11日)、退勤後に上野駅から常磐線の特急「スーパーひたち」へ飛び乗り、福島・いわきへと向かうことに。
6月11日(金)
上野1900-(スーパーひたち53号)-いわき2112
さっそくですが、この日の夕食は上野駅で購入した
映画「RAILWAYS」公開記念・「島根牛弁当」。
すき焼き風味の牛肉に切干大根のキムチがよく合います。
企画モノですが、なかなか美味しい。☆☆☆☆・
東日本版って書いてあったけど、西日本版もあるのかな?
東京~いわきの距離は215キロで、これは東北本線の郡山よりも短い距離(東京~郡山は226キロ)。しかし到達には倍の時間がかかるので、いわきの方がずっと遠い印象です。そう考えるとやはり新幹線は偉大ですね・・・。上野から「スーパーひたち」で二時間強、いわき着。
久しぶりに乗りました、初代JR東日本型特急651系。
常磐線 いわき
夜のうちにいわき入りしたのは、翌日に狙うED75の貨物列車が早朝だということもあるのですが、実はもうひとつ、夜のいわきにはお楽しみがあるのです。いわき駅の改札を抜けてそのまま向かったのは、予約していたホテルではなく、駅の東側にある「大工町踏切」。ここでしばらく待っていると、さっそくやってきたのは・・・ナナゴ!
ED75牽引の貨物列車がいわきに到着。
常磐線 いわき
これは97列車という小牛田を目指す高速貨物で、毎日このいわきで夜を明かします。停車時間は21時48分から翌日の6時42分と、実に9時間もの長時間停車。しかも停止位置が絶妙で、この大工町踏切からキレイに編成を抜くことが出来るのです。まさに撮影会状態。ただし長時間停車なので、到着後すぐにパンタグラフを下ろしてしまうのは残念なところなのですが・・・。ちなみに97レは踏切手前で停車しますが、安全のため列車が完全に停止するまで踏切は開きません。安全確認が取れ、踏切が開いたら撮影開始。
いわき構内でお休み中の97レ。この日は原色機の1034でした!
パンタが上がっていないのが惜しい・・・。
山側からも撮影できます。車体に反射した赤信号がいい雰囲気。
この踏切、クルマの交通量はそこそこあるのですが、歩道が区分されているので安心して撮影できます。もちろん歩行者が通るときは三脚をどかして通すくらいの配慮は常識。慌てなくても撮影時間はた~っぷりとあるわけですから。
こうして、W杯南ア大会の開会式が行われていた夜に、私はひとりナナゴ撮影に勤しんでいたのでした。
6月12日(土)
ホテルでW杯の開幕戦・南アフリカ-メキシコを見た後、1時半に就寝。4時半起きでウルグアイ-フランスの後半を見てから、5時半にチェックアウト。再び大工町踏切へ行ってみます。W杯観戦とテツ、二つの趣味の掛け持ちでわずか3時間睡眠。9時間も熟睡していたナナゴのほうがよっぽど健康的です(笑)。
朝の大工町踏切。97レの停車位置はこんな感じ。
常磐線 いわき
朝日に照らされたナナゴ。今の時期は午前5時半でも明るさじゅうぶん。
真正面からも一枚。くどいようですが、開いた踏切からの撮影です。
同じ場所からでも、夜と朝ではまったく雰囲気が異なりますね。この場所、朝はきれいな順光。つくづくパンタが上がっていないのが惜しまれます。もちろん発車間際になればパンタは上がるのですが、それを待っている余裕は無く、この97レの走行写真を撮るために早々と移動します。
いわき0611-(常磐661M)-草野0616
いわきから一駅の草野で下車。駅近くの田園地帯で先ほどの97レを待ちます。天気予報では早朝に濃霧が発生するとのことでしたが、その心配は無さそう。気持ちいい快晴の下、真っ赤な原色ナナゴが見えてきました。
1034号機牽引97レ。満コン状態のコキも嬉しい!
常磐線 草野-四ツ倉
オーソドックスな撮り方ながら、まずは無事にナナゴが撮れたことに満足。これを撮るために、いわきまで来たわけですから・・・。続いての狙いは一時間後の93レ。こちらもED75の運用です。貴重なナナゴ貨物が一時間に二本も撮れるとは、さすが「聖地・常磐線」。二本とも同じ構図じゃつまらないので、今度は長玉で狙ってみます。
93レは143号機。更新色でも今やナナゴは貴重です。
上下がカツカツですが、ナナゴはこのくらい迫力あるほうがいいように思います。若番の143、内バメテールと通風口を装備したこの顔は、いかにも貨物のナナゴっぽくっていいなぁ・・・。むしろ原色の1034よりもこちらのほうが好きかも。短時間で二種のナナゴ、効率のいい撮影ができました。
駅へ向かう道すがらに撮った415系1500番台。
草野駅周辺は田園地帯が広がっていて、手軽に撮影ができます。
常磐線 草野-四ツ倉
草野0822-(常磐220M)-いわき0828
220Mは701系(右)でした。ちょっと東北気分。
常磐線 いわき
目的のナナゴ撮影は達成できましたが、まだ9時前。このまま東京へ帰るのはもったいない。そこでもう一本、この付近で狙ってみたいものがありました。ナナゴではありませんがこちらも貨物列車。以前にも紹介したEF81牽引の東邦亜鉛専用貨物、通称「安中貨物」です。安中貨物なら首都圏でも撮影できる被写体ですが、一度その特殊な編成がしっかり解るような引き絵を撮ってみたいと思っていたのです。そんな写真を撮るのに絶好の撮影地が磯原にあるので、ちょっと寄ってみることにしました。
ところで今回、東京都区内~草野の往復に使用したきっぷは普通乗車券。単純ないわき往復なら「ひたち往復きっぷ」がオトクだと窓口氏には薦められたのですが、これは企画きっぷで途中下車ができません。今回は帰りにどこかで安中貨物を撮り、さらに常磐線沿いの柏にある実家へも顔を出そうと思っていたので、途中下車が出来る普通乗車券にしました(ちなみに、いわきまでの乗車券だと東京近郊区間に含まれていて途中下車ができませんが、草野までの往復乗車券ならば途中下車が可能になります)。それに「ひたち往復きっぷ」が得になるのは、その名のとおり往復に特急「ひたち」を利用したときで、私のように「帰りはのんびり鈍行でいいや」なんて考えている人には、普通乗車券の方が安くて都合がいい。
いわき0909-(常磐544M)-磯原0951
磯原の撮影地は、お立ち台とも称される有名なポイント。お立ち台と言えば聞こえがいいけど、実際は産業廃棄物と思われる、盛り土で形成された人工の小高い山。ここから俯瞰気味に列車を狙います
見晴らしはいいけど、顔にケーブルがかかります・・・。
常磐線 磯原-南中郷
斜面を少し下った、この辺りがベストかな?
トップライトの光線ですが、このアングルなら特徴的な安中貨物の編成が解りやすいと思います。牽引機は先週の「北斗星」撮影に続き、またもヒサシ付きの133号機。このカマとは相性がいいのかな?
これで撮影終了。磯原から普通列車を乗り継いで、実家のある柏へ向かいました。
磯原1252-(常磐558M)-水戸1357~1401-(560M)-土浦1444~1500-(3398M)-柏1533
東北本線や奥羽本線では何度か撮影したことがあったED75ですが、常磐線は今回が初撮影。置き換え間際の駆け込み撮影でしたが、なんとか最低限の記録はできたと思います。でももう少し余裕があれば、末続あたりの海バックや原ノ町の有名撮影地などにも行ってみたかったですね。