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ONE-shot 29 253系「N`EX」の想ひ出。 [PICK UP ONE-shot]

PICK UP ONE-shot 29 253系「N`EX」の想ひ出。

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中央線201系、「北斗星」のEF81、さらに京急1000形など、最近引退する列車が相次いでいて、記録する方も一苦労。引退間近の車両を追い掛け回すのを「葬式鉄」などというらしいのですが、私もすっかり「葬式鉄」化しております・・・。
初代「成田エクスプレス」用特急型電車253系。この車両も6月30日をもって定期運用を離脱してしまいました。
   
253系「N`EX」、私はこの列車にいったい何回乗車したことでしょう。おそらくパスポートに押された「出国」・「帰国」スタンプの数だけ乗っているのではないかと思われます。今はこのご時勢で海外出張は激減してしまいましたが、一時は年間に4~5回の海外出張があり、そのたびに253系「N`EX」で成田空港へと向かっていました。
海外出張とは一見華やかで楽しそうですが、そのプレッシャーたるや尋常なものではありません。私はいつのときも、行きの「N`EX」乗車中は重たい気持ちで一杯でした。とくに忘れられないのが、中東の某国へ行かなくてはならなかったとき。不安定な治安状況、極端な気候条件、まったく解らないアラビア語という言葉の壁・・・もう不安で不安で逃げ出したい気持ちを必死に押さえながら253系に揺られていました。なまじ「テツ」なだけに車窓を流れる田園風景と床下のジョイント音が郷愁を誘うんですよね。この列車が永遠に成田へ着かなければいいのにとも思ってましたっけ・・・(実際過去に一度、地震の影響で抑止がかかったときには、チェックインタイムギリギリでとても焦りましたが)。そんな気持ちも飛行機に乗ってしまえば、もう諦めがついて落ち着くものなのですけれど。
逆に大仕事を終えた帰国後、駅弁とビールを買って乗り込む「N`EX」は、充実感と開放感で気分サイコー。これまた別の意味で、ずっと揺られていたい気分になったものです(笑)。
   
昨年秋、「N`EX」には253系の後継となるE259系がデビュー。しかし今の私の仕事で置かれた立場や状況からすると、253系以上の利用率とはならないような気がしています。私の海外経験は253系と共にあったのかもしれません。
  
国際空港直通特急という使命上、数々の人間ドラマを見てきたであろう253系「N`EX」。
それぞれの想い出と共に、253系はその大きな使命を終えました。
    
10.02.13 東北貨物線 赤羽-池袋 (東十条付近) 


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