成田スカイアクセス・・・開業初日・一番列車乗車記 [鉄道乗車記]
昨日(17日)に開業した、成田空港への新ルート・京成「成田スカイアクセス」。首都圏では久しぶりとなるこの新規開業路線、せっかくなら開業日のしかも一番列車に乗りたいというのが「乗り鉄魂」。でも、スカイアクセス線の初発電車なんて、ウチからでは間に合わないんじゃなかろうかと、京成のHPで時刻を調べてみると、スカイアクセス線の初発電車となる「アクセス特急」は、押上6時05分発。あら、意外と遅いのね・・・これならウチの最寄り駅を5時くらいに出ればじゅうぶん間に合います。というわけで、一番列車でスカイアクセス線の新規開業部・印旛日本医大~空港第2ビル間19.1キロの完乗を目指します。
7月17日(土)
この初発列車は都営からの直通列車なので、都営浅草線の浅草橋で「アクセス特急」を待ちます。てっきり「スカイライナー」のように京成本線の上野始発だと思っていた私はちょっと拍子抜け。やはりスカイアクセス線開業に合わせてリニューアルした日暮里から気分新たに乗車したかったところですが、都営の浅草橋ではいつもと変わらず、開業ムードはまったくありません。それでも乗車案内や運賃表に新たな「スカイアクセス線」の文字があると気分が高まります。
浅草橋からの運賃表。「スカイアクセス線」経由だと180円ほど高い。
従来からの京成本線経由と新規のスカイアクセス線経由では異なる運賃。でも、到着するのはどちらを経由しても同じ京成の成田空港(空港第2ビル)ホームに着くはず。着駅ではいったいどうやって経由を見極めて運賃の違いを判断しているのでしょうか・・・このときはそれがとても不思議でした。
乗車列車は5時58分発「アクセス特急・成田空港行き」。
反対のホームには、アクセス線開業と同時に運転を開始した京成3050形の姿が。
都営浅草線 浅草橋
浅草橋のホームに下りて辺りを見渡すも、やはりこんな中途半端な途中駅から一番列車に乗るファンなどいないのか、同業と思われる方の姿をほとんど見かけないまま、列車の到着を知らせるアナウンスが鳴りました。京成・京急・都営・北総・・・いろいろな会社の車両が乗り入れているこの路線、さあ一番列車はどこの何形だ?
スカイアクセスの「下り・営業一番列車」となる直通列車は、京急の新1000形。
都営浅草線 浅草橋
一番列車は京急車。まあ、西側からの直通初発列車なのだから当然といえば当然か。車内はさすがにファンでいっぱい。でも、先頭付近以外は案外空いていて、すんなり着席することが出来ました。三連休初日、さらに夏休みに入った学生も多いらしく、スーツケースを持った「純粋な」空港への利用客も目立ちます。列車は京成押上線を通り、高砂から北総鉄道へ。全線高架・高規格の北総線に入ると、速度がぐんぐん上がり、ここからがスカイアクセスの本領発揮。停車駅の少ないアクセス特急は本当に速く、あっというまに既存開業区間の終点だった印旛日本医大に到着。
長らく終着駅だった印旛日本医大。今でも普通列車はここで折り返します。
北総鉄道 印旛日本医大
ここまで来たのは、2000年の印西牧の原~印旛日本医大間の延伸開業以来なので10年ぶり。1979年の北総開発鉄道第一期開業からちょくちょく延伸を重ねてきたこの路線も、ようやく悲願の全線開業となったわけですね・・・。ちなみに私が初めて乗った北総線は小室行きの新京成200形でした(・・・歳がばれるかな)。さて、いよいよ新線区間へ入ります。ここからは座席を立って景色を眺めることに。
印旛日本医大を出てしばらくすると、左手に印旛沼が見えてきます。
高架から眺める印旛沼は、スカイアクセス随一の車窓風景かな。
スカイアクセス線 印旛日本医大-成田湯川
今回開業区間唯一の新駅、成田湯川。この駅には後ほど訪れるつもり。
成田湯川を出ると単線区間に入ります。
スカイアクセス線 成田湯川-空港第2ビル
右手におなじみの成田山新勝寺が見えてきました。
ちょっと解りづらいですが、手前の架線柱はJR成田線。
左からJR成田線の成田空港支線が寄ってきます。
ここからしばらくはJRとの単線並走区間。
狭軌のJRと標準軌のスカイアクセス。
こうやって見比べると差がはっきり解りますね。
成田空港トンネルへ突入。京成の既存線とはこのトンネル内で合流します。
空港第2ビルに到着。
空港第2ビルに到着した時点で新規開業区間の完乗は達成しましたが、このまま終点の成田空港まで乗り通します。
終点の成田空港に到着した「アクセス特急」。
ただの京急1000形ですが、「一番列車」の記録で先頭車付近は大混雑。
スカイアクセス線 成田空港
浅草橋0558-(都営浅草線・京成・スカイアクセス 553H)-成田空港0654
浅草橋から成田空港まで約一時間。一時間という所要時間はJRの特急「成田エクスプレス」の東京~成田空港間とほぼ同じ。しかしこちらは特別料金不要ですから、早さと安さでJRはちょっと太刀打ちできませんね。JRには路線網の広さからくるターミナル駅の多さという強みがあり、私も仕事で使うなら従来どおり新宿から手軽に乗れるNE`Xを選びますが、プライベートとなると、スカイアクセスの方を選ぶかもしれません。
さて、スカイアクセスの成田空港駅。先述の経由別料金の謎を解くために改札口へ向かうと、いとも簡単に謎は解けました。というよりも、システムはいたって単純で、スカイアクセスと京成では改札口が別なのです。
左のオレンジがスカイアクセス乗り場、正面のブルーが京成乗り場。
では、共用となるホームの構造はどうなっているのかというと・・・こんな感じでホーム中央に仕切りがあります。
手前がスカイアクセス、奥が京成のホームで本線用の3700形が停車しています。
仕切り付近では駅員が厳しくチェック。右の路線はJR成田線。
スカイアクセス線 空港第2ビル
写真は後に訪れた空港第2ビル駅のものですが、基本的な構造は成田空港駅も一緒。長いホームを前後で仕切って、うまく両線を使い分けています。そんな成田空港駅の構造などを感心しながら眺めていると、まもなく上野からの「スカイライナー」が到着するとのアナウンスがありました。発売開始直後に指定券が即完売した「新・スカイライナー」の一番列車です。
報道陣や工事関係者が見守る中、成田空港に到着した新AE形「スカイライナー」
スカイアクセス線 成田空港
山本寛斎氏がデザインした、ウワサの新AE形。私は初めて実車を見ました。こちらの列車は特別料金がかかるものの、日暮里~成田空港がわずか36分。驚異的な到達時間です。在来線最速の160キロで運転される新AE形の「スカイライナー」、その速さはこの後に訪れた成田湯川でまざまざと見せ付けられることになります。
成田空港0755-(スカイアクセス線)-成田湯川0809
新駅・成田湯川。三階建て高架の立派な駅舎。
スカイアクセス線 成田湯川
駅のすぐ下をJR成田線が通っていますが、成田線に駅はありません。
でも徒歩鉄的には、成田線の撮影へ行くのにこの成田湯川は便利かも・・・。
スカイアクセス線 成田湯川 (成田線 下総松崎-成田)
成田湯川駅の構造は二面四線で、「スカイライナー」は中央の通過線を速度を落とすことなく走り抜けます。通過線の信号機に制限160キロの青二灯が点灯すると、遠くからキーンというまるで新幹線のような風切り音が聞こえてきました。
高速で成田湯川を通過する新AE形の「スカイライナー」。
スカイアクセス線 成田湯川
望遠系でなんとか写し止めましたが、やはりものすごいスピードです。体感速度は新幹線並み。今回は撮影したのみでしたが、いずれはこの超特急にも乗ってみたいですね。
開業初日の成田スカイアクセス乗車はこれで終了です。それにしても、京成グループにとっては世紀の大事業が完成したといっても過言ではない今回の開業。それにしては記念ヘッドマークなどの掲出も無くて、鉄道ファン的にはちょっと物足りなさが残った開業初日でした。
成田湯川0854-(スカイアクセス線)-空港第2ビル0901