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夏休み04・・・牟岐線 田井ノ浜海岸 撮影記 [鉄道旅行記]

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2010.07.30~08.02
夏休み旅行記04
牟岐線 田井ノ浜海岸 撮影記
  

前回からの続きです。夏の休暇を利用しての鉄道旅で四国の徳島に来ています。
初回にも書きましたが、今夏の旅いちばんの目的は「夏らしい鉄道写真が撮りたい」というものでした。夏と言えば、海。単純な発想ですが、海沿いを走る列車で夏を表現してみたい。そしてその目的地に私が選んだのが徳島でした。でも海と列車が撮れる所なら他にもたくさんあるのに、なぜ徳島なのか・・・? 実は我が家に「四季を行く鉄道の旅」(日車夢工房・刊)というカレンダーが掲げてありまして、その5月か6月頃の写真がJR四国・牟岐線の田井ノ浜付近を行くキハ185系だったのです。美しい海と列車を一枚に写し込める田井ノ浜海岸は、牟岐線屈指の撮影ポイント。今までにもここで撮影された鉄道写真は数多く見てきましたが、そのほとんどが海岸の砂浜や岩場から撮影されたもの。しかしカレンダーの写真は、これまで見たことが無かった俯瞰からの撮影で、海の透明度が際立つとても美しい写真でした。「田井ノ浜にこんな俯瞰写真が撮れるポイントがあるんだ・・・自分もここへ行ってみたい!」そんな衝動に駆られ、今回の目的地を徳島の田井ノ浜に決めたのでした。さあ念願の田井ノ浜、果たして「夏らしい」写真は撮れたのでしょうか・・・?

8月1日(日)
普段はクルマを持たないため徒歩鉄の私ですが、今回は徳島でレンタカーを借りました。乗車ではなく撮影目的となると、さすがに本数の少ない牟岐線での列車移動では効率が悪い。さらに目的の俯瞰ポイントがどんな場所か解らず、ひょっとしたら駅からハンパ無く遠いのかも知れない。そう考えると徒歩鉄ではキツイと判断したのです。それに滅多に運転しない私、たまには運転しないとペーパードライバーになっちゃう。ちなみにクルマで鉄道写真を撮りに行くのは、昨年末の播但線以来で約半年ぶりとなります。

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由岐付近にあった「カニに注意」の道路標識。

今回は撮影対象となる牟岐線ですが、乗車経験は二度ほど。一度目は牟岐線自体の完乗が目的で、単純に徳島~海部を往復。二度目はその後に海部から延伸される形で開業した阿佐海岸鉄道(海部~甲浦)を完乗するため、再び海部まで牟岐線に乗っています。このときは甲浦からバスで室戸岬を経由して高知へ出ているので、牟岐線には片道だけの乗車でした。時刻表巻頭の地図を見ると、ずっと海沿いを走っていそうなイメージの牟岐線ですが、実際に海が見えるのはほんのわずかで、意外と車窓風景は退屈だったりします。そんな牟岐線の車窓でハイライトとなるのが、これから訪れる田井ノ浜。

徳島0530頃-(クルマ移動)-田井ノ浜700頃

田井ノ浜には徳島から一時間半ほどで到着。途中コンビニに立ち寄ったものの、ほぼ牟岐線の普通列車と同じ所要時間。そう考えると牟岐線のディーゼルカーも案外早いものです(私の運転が遅いのか?)。とりあえず牟岐線の田井ノ浜駅に寄ってみましょう。この田井ノ浜駅は夏の海水浴シーズンにのみ開設される臨時駅で、開設日には特急を含め上下3本ずつの列車が停車します。8月最初の日曜日であるこの日はもちろん開設日。でもまだ誰もおらず、聞こえるのは波の音だけ。

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駅前が砂浜!牟岐線の臨時駅・田井ノ浜。
10.8.1 牟岐線 (臨)田井ノ浜

天気は快晴。青い空、青い海が気持ちいい! とくに日本でも屈指の透明度を誇ると言われている田井ノ浜の海水、そのきれいさには本当に感動します。さっそくその美しい海と列車の撮影を始めましょう。でも、件の俯瞰ポイントはどこだろう・・・? 何となくそれらしきところかなと、目に留まったのは海岸の奥の方にあった高台の祠。この祠付近の岩場は砂浜よりも若干高い位置にあり、海も線路も見渡せます。目指す俯瞰ポイントはここなのか!? まもなく普通列車が通過するので、一発狙ってみることにしました。

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まだ誰もいない田井ノ浜を行く、キハ47(532D)。
10.8.1 牟岐線 木岐-(臨)田井ノ浜

確かに俯瞰気味だし、海も列車もきれいに入る。けれど・・・カレンダーで見た場所はもっと高かった記憶。あいまいな記憶などで無く、カレンダーの写真を持参して見比べればよいのですが、何せ5月頃のカレンダーなもので、しかもその頃は本当に田井ノ浜へ撮影に行くとは思っておらず、翌月には普通に捨ててしまったんですよね・・・。その後ネットで田井ノ浜の俯瞰を検索するも、その場所で撮った写真は見つけられなかったのです。つまり頼りは自分の記憶だけ。でも、ここでは無い気がするんだよなぁ・・・。しかし近くの山を見上げるも、断崖絶壁で簡単には登れそうにない。さらにクルマを使って周辺を探してみますが、俯瞰ポイントへの手がかりはナシ。今は夏なので、撮影ポイントが草や木に埋もれてしまっているのかも知れません。ウロウロしているうちに次の列車の通過時刻が迫ってきました。今度の列車はキハ185系の特急「剣山」。これを逃すわけにはいきません。仕方なく俯瞰ポイントは諦めて、海岸の岩場から撮影することにします。今度は先程の祠付近ではなく、水の透明感を表現したいと、海に近づいて撮影してみたのですが・・・。

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キハ185系「剣山」。海の透明感・・・解ります??

うーん(-"-;)・・・。背景の家が入るのを嫌い、さらに海の面積を多くしたいとタテ位置で構えたのですが、なんとも中途半端な構図。水も思ったほどクリアに見えないし。はて、どうしたものか・・・。しかし悩んでいる暇は無く、今の「剣山」と隣駅の由岐で交換する普通列車が、すぐにやってきます。同じ場所から今度はヨコ位置でトライ。

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今度の普通列車は1000形と1500形の二連(529D)。

広角で海を大きく入れれば、透明感が出るかも・・・と思ったのですが、列車自体が小さくなってしまいました。透明感もさほど変わらず、これもイマイチ。

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近くで見ると、こーんなにもクリアな水なのに・・・。


しかも撮影してから気付いたのですが、上の「剣山」の写真も含め、これでは海なのか川なのか、はたまた池なのか解らないのではないでしょうか。写真で海を表現するには水平線か波打ち際を入れるべき。そう考えると、はじめに撮った祠付近の方がまだ良かったんじゃないの・・・? はー、難しい。
こんなに素晴らしいロケーションが目の前に広がっているのに、うまく表現できない自分が情けない・・・。ローカル線でのんびりと撮影を楽しむはずが、ずいぶんと苦しむ羽目になったものです。次の列車は一時間後。それを祠付近で撮ったら、もう撤収することにしました
それにしても悔しいのは、カレンダーの俯瞰ポイントが見つけられなかったこと。次の列車まで少し時間があるので、もう一度今度はクルマではなく、歩いて周辺を探してみることに。やはり私の基本は徒歩鉄です。すると、海岸の裏手にあたる山の麓に怪しげな細い石段を見つけました。線路からはだいぶ離れていますが、ひょっとしてこれは・・・一縷の望みを託し、石段から続く急な斜面を上がってゆくと、山のてっぺん付近でパッと視界が開けました。

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頂上付近から見た田井ノ浜海岸。

そこには素晴らしい眺望が広がっていて、さらに下を見ると、海が、砂浜が、そして・・・線路が見渡せる━━━━\(TT)/━━━━!!! 間違いありません、ここが目指していた俯瞰ポイントです。ついにたどり着けた~! 思わず小躍りしてしまうほどの嬉しさ(笑)。さっそくカメラをセッティングして、列車を待ちます

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念願の俯瞰ポイントから、単行1500形の4540D。

撮影位置の高さが増したことで海の色がクリアになり、ようやく目指していた画が撮れました。う~ん来てよかった! 4540Dを撮ったら撤収するという予定はすっかり流れ、一時間半後のキハ185系特急「むろと」が次の狙い。しばし美しい風景を眺めながらのんびりと待つことにします砂浜を見下ろしていると、時間が進むにつれてぱらぱらと海水浴客の姿が目立つようになってきました。もちろんここで人がフレームに入るのを嫌がったりはしません。むしろこの撮影地での海水浴客は重要なエキストラ。賑やかな方が夏らしくて楽しい画になります。そんな整った舞台に主役のキハ185系が現れました。

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これぞ夏の情景! 海水浴客を横目に特急「むろと」が走り抜けます。

参考にしたカレンダーの写真はシーズンオフに撮影したのか、海水浴客の姿はありませんでした。どちらが良いのかは見る人の好みだと思いますが、これでお手本とは少し変化をつけた自分なりの写真が撮れたかな。それにしても、夏休みの日曜日で絶好の海水浴日和、しかもこんなにきれいな海なのに人が少ないですね~(写真的には適度だけど)。この時期の湘南海岸なんて芋洗い状態なのに・・・。いや~徳島の人が羨ましい!

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ラストにもう一枚、「むろと」と交換でやってきた4544D
タテ位置で。こちらのアングルもなかなか捨てがたい!

4544Dを撮って、今度こそ撤収。惜しむらくは国鉄型のキハ47をこの俯瞰ポイントで撮れなかったことですが、贅沢は言えません。この素晴らしいポイントで「夏らしい」写真が撮れたことにじゅうぶん満足して、田井ノ浜を後にするのでした。


・・・続きます



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