九州04・・・鹿児島市電乗車&485系撮影記 [鉄道旅行記]
前回からの続きです。博多から九州新幹線下り一番列車に乗って鹿児島中央へとやってきました。
私にとって久しぶりの南九州。今旅の目的は九州新幹線の初乗車でしたが、それを乗り終えてからどうするかも楽しみのひとつでした。魅力的な路線が多い鹿児島界隈。指宿枕崎線や隼人からの肥薩線で「乗り鉄」か、それとも竜ヶ水の桜島や錦江湾を眺められる場所で「撮り鉄」に専念をするか・・・などと、ひと月前の九州新幹線指定券が手に入ったときから頭の中でいろいろな計画を巡らせます。そんなとき、発売された鉄道誌(DJ)にとある情報が掲載されていました。それは485系の特急列車が日豊本線で運転されるというもの。九州の485系は今回の新幹線開業に伴うダイヤ改正(3月12日)を前に引退することが決定していました。当然その最終運行は改正日前日の11日になるはず。11日の夜に福岡へ入ることしかできない私には485系を撮ることはできないと諦めていました。ところが、その情報によると改正日当日にあたる12日にも、運用の都合で数本の特急が485系で運転されるらしい。しかもそのうちの午後に走る二本ならば、宮崎付近で撮影ができそうです。それを踏まえて練った計画は・・・12日に新幹線で鹿児島到着後、日豊線の特急「きりしま」で宮崎へ。宮崎付近で485系の特急「にちりん11号」と「きりしま15号」を撮影し、その日は都城泊。翌13日は都城から吉都線経由で肥薩線に入り、ループ線やスイッチバックを楽しみながら熊本へ。そして上りの新幹線で九州を後にする・・・というもの。これならば「撮り」「乗り」どちらも楽しめる完璧な行程だと自負し、意気揚々と切符や宿の手配をしました。しかし、実際にはこの計画通りに進めることはできなくなってしまったのです。まさにあの大地震の余波で・・・。
3月12日(土)
当日、鹿児島中央駅。前述の計画に沿って行動すべく、まずは新幹線から日豊線へ乗り換えるために連絡改札へ行ってみると・・・
鹿児島中央駅の在来線発車案内・・・。
日豊本線と指宿枕崎線は運転見合わせになっています。
11.03.12 鹿児島本線 鹿児島中央
なんと「津波警報が発令されている影響で、日豊本線・指宿枕崎線は運転を見合わせております」とのこと。どうやら列車が動いていないらしい。新幹線の車内放送でも「地震の影響で在来線のダイヤが乱れています」とは言っていたものの、ちょっと遅れが出ている程度だろうと甘く見ていたのですが、まさか前日の、しかも東北地方の大地震が翌日の鹿児島にまで影響を及ぼしているとは思いもよらず・・・。本当にどれだけ大きな地震だったのかを、あらためて知らしめられることになりました。
とりあえずこの時点で鹿児島中央から動いているのは、川内方面の鹿児島本線とそれに直通する肥薩おれんじ鉄道。そして今乗ってきたばかりの九州新幹線で、日豊線・指宿枕崎線については初発から動いておらず運転再開は不明。これでは宮崎へ行くことができない・・・というより、そもそもこんな乱れたダイヤで485系の特急が正確に走って来るとは思えません。485系が撮れないのなら宮崎まで行く理由は無いので、窓口で「きりしま」の指定券と鹿児島中央~宮崎の乗車券(差額分)を払い戻してもらい、予約していた都城の宿もキャンセルしてしまいました。残念ですが、津波警報が発令されているのでは運休も仕方の無いところです。
払い戻すことになってしまった、「きりしま8号」の指定券・・・。
正常に動いていたのは鹿児島線くらい。
これは肥薩おれんじ鉄道から直通してきた
快速「オーシャンライナーさつま」。
11.03.12 鹿児島本線 鹿児島中央
これで今旅の計画は白紙。さて、どうするか・・・。午後になれば運転が再開して指宿枕崎線くらいは乗り鉄できるかもしれないので、しばらく中央駅周辺をぶらぶらして時間を潰すことにしました。
そこでまず向かってみたのは、駅の西側にある鹿児島総合車両所。先ほど中央駅のホームからチラッと見えていた留置中の赤い485系が気になっていたのです。もちろん車両所の中には入れないけれど、敷地外から見られるところがあるかもしれない。
車両所に平行する一般道があったので、
そちらから眺めてみた、留置中の485系と415系。
手前の線路は、鹿児島本線と指宿枕崎線。
11.03.12 鹿児島総合車両所付近
車両所に沿った道をさらに奥の方へ進むと・・・
こっちにも787系と並んだ485系の姿が見えます。
柵が低くて、これはきれいに撮影できそう。
車両所に並ぶ787系と二本の赤い485系。
元「リレーつばめ」用の787系は、この日から「きりしま」や
「ひゅうが」に使われるはずでしたが・・・運転できるのでしょうか?
11.03.12 鹿児島総合車両所(敷地外から撮影)
運用を離脱した鹿児島の485系、DK12とDK11編成。
スリット形のタイフォンカバーが九州らしいですね。
「きりしま」幕のままなのはちょっと嬉しい。
中間電動車からの改造車、クモハ485の特徴である
運転室背後の機器室が解るようなカットを。
この車両、変形車好きの私には堪りません!
できれば走行写真が撮りたかった・・・。
反対側からも撮影できます。
こちらはシャッター形タイフォンカバー装備、
小型の愛称器が特徴の元貫通車・200番台。
車両所の構内には、この日から運転開始予定だった
指宿枕崎線の観光特急「指宿のたまて箱」の姿も・・・。
ふらりと訪れた鹿児島総合車両所ですが、敷地外の一般道から案外きれいに撮影ができました。とくに485系の並びなど、パンタは上がっていないもののまるで撮影会気分でいろんな角度からバシバシ撮影。でも、やっぱり動いていない485系をいくら撮っても虚しい・・・。本来なら宮崎で最後の勇姿を撮影できたはずなんだがなぁ・・・。
車両所付近で撮影した後、再び中央駅へ。しかし未だ運転再開の見込みは立たず・・・。ならば今度は、鹿児島の繁華街・天文館で昼食をとることにしました。中央駅から天文館までの足はもちろん鹿児島市電(鹿児島市交通局)。市電は元気に走っています。
鹿児島市民の足、鹿児島市電。
中央駅前付近の軌道敷は芝が植えられ、沿線にはきれいな花壇が並びます。
11.03.12 鹿児島市交通局 鹿児島中央駅前
鹿児島市電に乗るのは二年ぶり。前回は仕事で鹿児島に訪れた際、やはり中央駅から天文館まで往復しています。しかしそれ以外の区間となると、もう10年以上も乗っていません。そこでこの機会にもう一度、全線を乗ってみることにしました。どうせ時間はあることだし・・・。
まずは降りる予定だった天文館を通り過ぎて、東方の終点(鹿児島市電の基点)・鹿児島駅前へ。
鹿児島中央駅前-(鹿児島市電2系統)-鹿児島駅前
市電の鹿児島駅前電停。
車庫っぽい造りの電停に市電がずらりと並ぶ光景はなかなか見応えあります。
右から9500形、2120形、そして低床形の1000形「ユートラム」。
11.03.12 鹿児島市交通局 鹿児島駅前
鹿児島駅前電停はその名の通りJR鹿児島駅に隣接しています。もちろん日豊線が運転見合わせ中なので列車は走ってきませんが、少し駅の周りを歩いてみると・・・ここにも留置されている485系の姿がありました。
鹿児島駅構内に留置されている485系DK11編成。
11.03.12 鹿児島本線 鹿児島
アップで正面気味から走行写真っぽく・・・って、
よくみるとこの場所は架線が張られていませんね・・・(汗)。
電停に戻って市電に乗り、今度は西へ向かいます。それにしても、鹿児島市電も1000形や7000形(タイトル写真)の低床形が増えてきた印象。もう旧型の500形とか600形は引退してしまったのだろうか・・・などと思いながら乗っていると、鹿児島駅前を出て二つ目くらいの電停でその旧型車とすれ違いました。これはぜひとも撮っておきたいところ。途中の天文館通で下車して、鹿児島駅前から折り返してくるのを待ちます。
鹿児島駅前-(鹿児島市電)-天文館通
旧型車健在!元気な姿を見せてくれた600形613号。
味のあるいい電車です。
11.03.12 鹿児島市交通局 天文館通
天文館で降りたついでに少し繁華街をぶらつき、遅めの昼食をとってから市電の乗り鉄を再開。現在の鹿児島市電は鹿児島駅前から交通局前を経由して谷山までの1系統と、高見馬場で1系統と分岐して中央駅前経由で郡元までの2系統、二つの路線があります。途中下車した天文館通にはどちらの電車もやってきますが、乗ったのは1系統。これで一気に終点・谷山まで乗り通します。
天文館通-(鹿児島市電1系統)-谷山
しばらくは市街地を併用軌道で走る1系統ですが、
涙橋から谷山までは専用軌道になります。
谷山付近の専用軌道を走る1000形「ユートラム」。
11.03.12 鹿児島市交通局 上塩屋-谷山
1系統の終点・谷山電停。
顔をモチーフにしたような面白い形をしています。
11.03.12 鹿児島市交通局 谷山
谷山は指宿枕崎線にも同駅名があるのですが、鹿児島駅のように隣接はしていません。JR谷山駅と谷山電停は約500メートルほど離れていて、電停の脇には指宿枕崎線の線路だけが伸びています。そんな指宿枕崎線も今は運転見合わせ中・・・と思いきや、突然踏切が鳴りだしました。
猛スピードで駆け抜けていったのは、キハ200の快速「なのはな」。
11.03.12 指宿枕崎線 谷山-宇宿(後追い)
どうやら、ようやく指宿枕崎線の運転が再開された様子。しかし既に時刻は17時。もう乗り鉄する気力はありません。再び谷山電停から市電に乗って郡元へ。この駅で2系統に乗り換えて鹿児島中央駅に戻ってきました。これで鹿児島市電は全線完乗です。
1系統の電車で2系統(またはその逆)の各駅へ向かうには、
初めに乗った1系統の電車で料金を払い、運転手に乗り換えを告げると
2系統への乗り換え乗車券がもらえます。
これで片道料金はどこでも一律160円(大人)。
鹿児島市電を乗り尽くして、中央駅へ帰ってきました。
11.03.12 鹿児島市交通局 鹿児島中央駅前
谷山-(1系統)-郡元-(2系統)-鹿児島中央駅前
鹿児島中央駅で列車の運行状況を見てみると、運転を見合わせていた日豊線・指宿枕崎線はともに17時前に再開。しかしすぐに移動計画を立てることはできず、結局この日は鹿児島で一泊することにしたのでした。なんだか収穫があったような、無いような一日だったなぁ・・・。非常事態だから仕方ないのですけどね。
運転を再開した日豊本線の「きりしま」。
787系が使用されていました。さっき運転所にいたヤツかな?
11.03.12 鹿児島本線 鹿児島中央
・・・続きます。