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夏休み2011 その1・・・「四日市の動く橋」 撮影記 [鉄道旅行記]

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2011.07.30~08.01
夏休み2011 その1
「四日市の動く橋」 撮影記
  

仕事の都合上、お盆の時期には休みが取れない私。スイス出張での仕事が一段落したこともあり、先週ちょっと早めの夏休みをとりました。休暇とあらば、しっかりと計画を練って「撮り鉄」「乗り鉄」の遠征に出たいところ。しかし、出張の後処理などで7月は連日バタバタ。航空券や指定券の手配はおろか、どこへ行くかも決まっていないまま、気がつけば夏休み直前に・・・。そんなとき、たまたま東京駅で目にとまったのが、「ぷらっとこだま」の駅張りポスター。これは「こだま」限定ながら、通常よりも格安な値段で東海道新幹線を利用することができる、フリープラン型の旅行商品。名古屋まで7900円、新大阪まで10000円(普通車利用)で、これは確かに安い。「こだま」利用となると、中京か関西方面が主な旅先候補となりますが、実はその辺りで個人的にずっと気になっていた鉄道路線があったのです・・・。急遽、旅の目的地を決めた私は、そのまま東京駅のJR東海ツアーズへ入って、夏休み初日の「ぷらっとこだま」を申し込んでしまいました(「ぷらっとこだま」は通常の乗車券ではなく、JR東海ツアーズの旅行商品なので、みどりの窓口等では販売されていません。また、利用当日の購入も不可)。
ということで、今夏は東京から「こだま」に乗って西へと向かい、私的に気になる「鉄道スポット(路線・車両・撮影地)」を何箇所か巡る旅としました。

7月30日(土)
旅のスタートは、東京6時33分発の「こだま631号」。指定できる列車や座席数が限られている「ぷらっとこだま」のプラン、本当はもう少し遅い7時56分(637号)や8時26分(639号)の列車を取ろうとしたのですが、あいにく普通車・グリーン車ともに売り切れ。いい時間帯の列車はやはり人気があるのですね・・・。でも「こだま」だと名古屋まで3時間、新大阪までは4時間もかかりますから、この後の行動を考えると、早めの列車を選んでおいた方がいいのかもしれません。

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「こだま」=300系のイメージがありましたが、
「こだま631号」は700系でした。
11.7.30 東海道新幹線 東京

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700系のグリーン座席。
深めで座り心地が良く、快適に過ごせます♪

指定された車両は9号車、なんと贅沢にもグリーン車です。「ぷらっとこだま」には普通車とグリーン車のプランがあり、その差額は東京~名古屋で1000円、東京~新大阪で1500円。これはグリーン車へ乗った方が断然オトクだと思います。のんびり走る「こだま」の、ゆったりとしたグリーン座席。急ぐ必要が無いのなら、こんな優雅な新幹線旅もたまにはいいものです。掛川とか三河安城に停車する新幹線なんて、久しぶりに乗った気がするなぁ・・・。途中で数え切れないくらいの「のぞみ」「ひかり」に抜かれ、定刻の9時16分に「こだま631号」は終点の名古屋へ到着。

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「こだま乗車票」と「ワンドリンク引換券」。
「ぷらっとこだま」は「きっぷ」ではなく「旅行商品」なので、制約が多く、
手続きも多少面倒ですが、最大で通常料金の37%引きにもなります。
今回使用した東京~名古屋はG車で8900円でした(所定料金は14070円)。
ワンドリンク引換券はビールでも可なのですが、
さすがに朝イチだったので、お茶にしてしまいました。

東京0633-(こだま631号)-名古屋0916

「ぷらっとこだま」の乗車票は名古屋で回収され、この先は「乗り鉄」伝家の宝刀「青春18きっぷ」を使用します。名古屋から乗るのは、関西本線の快速「みえ」。観光地の伊勢・鳥羽へと向かう「みえ」は、土曜の午前中ということもあって大混雑。立ち客も多数見られます。まあ私はすぐに降りるので、立っていても構わないのですが、もしも伊勢までの一時間半を立ちっぱなしだったら、けっこうツライですね・・・。名古屋から快速で二駅目の四日市で、私は下車。

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四日市を発車してゆくキハ75の快速「みえ」。
サイドには「参宮線100周年」のステッカーが貼られていました。
11.7.30 関西本線 四日市

名古屋0935-(みえ3号)-四日市1006

今旅最初の目的地は、ここ四日市。中京工業地帯のド真ん中にいったいどんな鉄ネタがあるのかというと、狙いはまさにその工業地帯に出入りする貨物列車。四日市から四日市港や塩浜へと伸びる貨物線、そこにはDD51が牽引する貨物列車が頻繁に運転されています。

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更新色のDD51 890に牽引されて四日市へ入ってきた、
四日市港貨物線のタキ貨物。
11.7.30 関西本線 四日市

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四日市駅構内には単機のDD51 875も待機中。
この色のDD51は初めて撮りました。
11.7.30 関西本線 四日市

DD51の貨物列車、それだけでもじゅうぶん魅力的なネタなのですが、注目すべきはその走る線路。ここには全国的にも貴重な、とある「仕掛け」が存在するのです。それは貨物に疎い私をも引き寄せる、すんごい仕掛け・・・。さっそくその場所を目指して、四日市駅から貨物線沿いに散策を始めたいところ。
でもその前に、まずは「足」の確保から。懸命なる皆様なら、このブログでの足といえばもうお解かりでしょう。四日市では市を挙げて「レンタサイクル」の貸し出しに力を入れており、JR・近鉄の両駅で自転車を借りることができるのです。しかもレンタル料はなんと一日120円 (*゚▽゚*)! ジュース一本分で自転車が一日(7時~20時)借りられるとは、なんとも嬉しいじゃありませんか。

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JR四日市駅。
レンタサイクルは駅舎の右側スペースで受け付けています。
11.7.30 関西本線 四日市

自転車が借りられたことで、移動が楽になるだけでなく行動範囲も広がります。そこで、本命の貨物線へ行く前にちょっと寄り道をしてみることにしました。じらすようで申し訳ないのですが、実はその貨物線の仕掛けが稼動する時刻は決まっていて、まだ時間的には早いのです。
四日市駅から自転車を走らせて向かったのは、JR駅と2キロほど離れている近鉄四日市駅。JR駅と近鉄駅がある四日市。近鉄の方が本数が多くて活気があり、繁華街も近鉄駅側に形成されています。そんな近鉄四日市から分岐する近鉄の支線、内部・八王子線が寄り道の狙い。この路線は軌間762mmの特殊狭軌線、いわゆるナローゲージの珍しい路線です。ナローというと、沿線のロケーションに恵まれている三岐鉄道・北勢線(桑名~阿下喜 元・近鉄北勢線)の方が有名で、どちらかというと内部・八王子線は地味な存在。でも、大手私鉄に籍を置きながらナローのまま存在するこの路線、意外と面白いのではないでしょうか。
近鉄本線(名古屋線)の立派な高架下からひっそりと分岐する内部・八王子線。その線路沿いに自転車を走らせると、さっそくマッチ箱のような小さな電車が現れました。

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四日市付近の住宅街を走る、内部線・内部行き260系。
11.7.30 近鉄内部線 赤堀-近鉄四日市(後追い)

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カラフルな色だけど、どこか垢抜けない感じの260系。
これは八王子線の西日野から来た列車。
11.7.30 近鉄内部線 赤堀-近鉄四日市

内部・八王子線を走るのは、特殊狭軌線用の260系。この電車、よく見ると先頭車と後部二両の車高が異なっていますね。付随車は先頭の電動車よりも年期が入っているらしく、側窓がなんとも懐かしい「バス窓」タイプでした。これはもっとサイドからしっかり見せたいところ。しかし、なかなか順光側からスッキリと撮れる場所がみつかりません。四日市から二駅目、内部線と八王子線が分岐する日永まで行ったところで、撮影地探しは断念。これ以上ハマると、本来の目的である貨物線の時間に間に合わなくなります。時間的に最後の一本を日永付近の築堤で無理矢理サイド気味に撮って、内部・八王子線から引き上げることにしました。

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夏空の下を行く、ミニ近鉄電車。
懐かしい吊り掛けモーター音が響き渡ります。
11.7.30 近鉄内部線 日永-赤堀

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結局ウマく撮ることができなかったバス窓の中間車。
上写真をトリミングしてクローズアップしてみました。

思った以上に内容の濃かった、内部・八王子線への寄り道。コッチをメインにして一日中沿線を自転車で走り回っても、面白そうに感じました。今度は久しぶりに乗る方も楽しんでみたいですね。ちなみに内部・八王子線を訪れたのは、乗りつぶしで乗車して以来二度目、実に12年ぶりのことでした。

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ナローの内部・八王子線。踏切に立つと軌間の短さを実感できます。
11.7.30 近鉄内部線 赤堀

さて、お待たせしました。そろそろ頃合も良さそうなので、四日市港貨物線の方へと向かいます。実は内部・八王子線の赤堀駅からお目当ての場所へは、臨港通りをまっすぐ進むだけで迷うことはありません。約4キロほどの道のりですが、自転車なら余裕です。

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途中で関西線をオーバークロス。
ちょうど踏切が鳴ったのでカメラを構えたら、
上りの快速「みえ」が通過してゆきました。
11.7.30 関西本線 四日市-南四日市(後追い)

近鉄名古屋線、JR関西線を続けて越え、しばらく臨港通りを走っていると、やがて前方にちょっと不思議な道路橋が見えてきました。

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踏切のような警報機と遮断機が設置された臨港橋。
廃線跡?それともモニュメント?

警報機と遮断機が付いた臨港橋。これはこの橋が大型の船が通る際に中央で開く「跳上橋(跳開式可動橋)」構造になっていて、橋が開くときには道路側をこの遮断機で封鎖することになるのです。そしてこの臨港橋のすぐ脇には、平行して件の貨物線が走っています。そう、もうお解かりですね。貨物線の鉄道橋もこの臨港橋同様に跳上橋となっているのです。その鉄橋が私の目指していた場所でした。

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四日市港の千歳運河に架かる、
四日市港貨物線の跳上橋こと「末広橋梁」。
11.7.30 関西本線 四日市-四日市港(構外側線扱い)

中央で折れ曲がった橋、ビシッと天へ伸びた線路・・・芸術的ともいえる鋼索型跳上橋。しかも交通量の多い道路橋と違い、本数の少ない貨物線では、常時開いた状態で静止しています。これこそ私が四日市でいちばん見たかった「貨物線の仕掛け」。

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橋のたもとまで近づいてみます。手前の小屋が橋の操作室。

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近くの踏切で、開いた橋を真正面からも撮ってみました。
しっかりと線路が立ってますね~!

う~ん迫力あるなぁ・・・。しかし、私は橋の構造や建築に興味があるわけではないし、橋マニアでもありません。鉄にとってこの末広橋梁最大の魅力は、「現役の鉄道橋」だということ。開いていた跳上橋が閉じて貨物列車が通過する、一日に数回行われるその光景をじっくりと眺めてみたい。そこでわざわざ時間を見計らって来たのです。次の列車通過時刻まであと30分・・・まもなく一連の作業が開始されるものと思われます。ただ、普段は貨物列車を撮り慣れない私、調べた時刻通りにちゃんと列車が来てくれるのかどうかが心配でした。貨物って土日運休も多いし・・・。そんな不安をあざ笑うかのように列車通過予定時刻の20分前、橋の作業員が自転車に乗ってやってきました。さあ、ショータイムの始まりです!

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12:25 橋のたもとに係員が到着。

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12:35 まだ直立状態の跳上橋。可動を知らせるサイレンが鳴り響きます。

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お、橋が・・・

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ゆっくりと・・・

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降りてゆく(゚∀゚)!!

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12:37 開始から二分、手前のプレートガーダー橋と一直線に繋がりました。

橋が動く・・・まるで「こち亀」で、勝鬨橋が動くのを眺めていた少年時代の両さんのような気分・・・(^^;)。そういう仕掛けなのは解っていても、やはり実際に見ると感激してしまいます! 本当にこれは一見の価値がある光景。四日市まで来てよかった・・・。おっと、鉄的な本番はこれからです。橋が閉じてからさらに20分後。対岸の踏切が鳴り、やがて汽笛が聞こえてきました。赤いDD51に牽かれた貨物列車のお出ましです。

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13:00 繋がった末広橋梁を渡るタキ貨物。
機能重視の無骨な装いをした跳上橋と貨物列車はベストマッチ!
11.7.30 関西本線 四日市-四日市港(構外側線扱い)

ゴン・ゴン・ゴン・・・と大きな音を立て、ゆっくりと進むDD51貨物。やはり鉄橋は列車の姿があってこそ絵になります。実は調べてきた時刻(12:49)よりも10分ほど遅い通過。橋が下ろされたので列車が来るのは確実だと思っていましたが、なかなか列車が現れずに、ちょっと焦りました。この通過時刻が定刻なのか遅れていたのかは解りませんが、とりあえず末広橋梁を渡るDD51が撮れて一安心。今度は対岸に移動して逆方向への列車を狙います。今、四日市港方面に渡ったDD51は、入換え作業をしてすぐに戻ってくるのです。その間、跳上橋は閉じたまま。

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13:12 12分後、入換え作業を終えたDD51が再び末広橋梁を渡ります。
11.7.30 関西本線 四日市港-四日市(構外側線扱い)

すばやい入換え作業により、短時間で対岸からの別アングルが撮れるのは嬉しい。牽引機のDD51 890が更新機だなんて野暮なこと言いっこナシに、ここでは大満足の撮影ができました。列車の通過後、しばらくすると跳上橋は再び開くことになるのですが、残念ながらその作業を見る時間はなく、すぐに四日市駅へと戻らねばなりません。

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今回借りた四日市の「こにゅうどうレンタサイクル」
四日市駅から末広橋梁までは自転車で15分ほど。
工場地帯なので大型車にはじゅうぶん注意が必要です。

自転車を返却して、四日市から関西線の下り列車へと乗り込みます。さて、次なる目的地は・・・?

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四日市に入ってきた関西線の快速。
右にいるのは、先ほど末広橋梁で撮った貨物です。
11.7.30 関西本線 四日市

  

続きます。



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