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PICK UP・・・惜別、203系。 [PICK UP ONE-shot]

PICK UP・・・惜別、203系。

長年、常磐緩行・千代田線の「顔」として活躍してきた203系。既報の通り9月26日をもって営業運転を終了。10月15日には最後の一本が海外譲渡のため川崎貨物へ輸送され、ついに203系は形式消滅となりました。関西出張編や新潟遠征編などが続いたために、ちょっと鮮度落ちとなってしまいましたが、ここでは私が残せた203系の勇姿を少し振り返ってみたいと思います。

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まずは定番、きれいな順光で撮ることができる金町駅先端から。まだ背景にマンションが建つ前で、今よりさらにスッキリと撮ることができました。この頃はE233系への置き換えが発表されたばかりで、同業者はほとんどおらず、のんびりとトップナンバー車のマト51を押さえられました。
07.12.20 常磐線 金町

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203系が走る区間は地下や高架が多く、なかなか季節の色が出しにくい。そんななか、サイクリングで訪れた北柏の大堀川土手に見事な川津桜を発見。私が残せた203系の中で、数少ない季節感のある一枚になりました。今年の春も狙おうと思っていたものの、同時期に行ったらすでに散り際。花の満開期を読むのは難しい・・・。
09.03.22 常磐線 北柏-柏

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203系に与えられた任務は、地下鉄・千代田線直通。一枚くらいは地下鉄区間での記録を残しておきたいと思い、壁が曲線を描く国会議事堂前駅へ。入線シーンは以前に紹介した16000系と画が被るので、ここでは出発してゆくシーンを後追いで・・・。
11.05.29 東京メトロ千代田線 国会議事堂前

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多彩な車種が走る常磐緩行・千代田線で、203系は様々な車両と顔を合わせてきました。そのなかでもいちばん面白いと思って私が選んだのは、ほんの一時期だけ千代田線で運転された東西線用・青帯07系との顔合わせ。07系の運転は平日のラッシュ時限定といことで、出勤前に無理して撮ってきました。
08.09.18 東京メトロ千代田線 代々木上原

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普段、常磐緩行・千代田線の運用に従事している203系。都心の地上へ顔を出す数少ない機会が、大崎にある東京総合車両センター(旧・大井工場)への入出場。しかし私が記録したのは、編成写真重視で新大久保や池袋先端などで撮ったものばかり。せっかくなら都心部の新宿大ガードや渋谷付近で撮ればよかったと今さらながら後悔しています。写真は山手貨物線から常磐線への短絡線(貨物線)で撮った203系。EF65との並びや、踏切を行く203系の姿に違和感を感じます。
08.03.19 常磐(貨物)線 田端操(上)/田端操-三河島(後追い・下)

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E233系が増備されて行くにつれ、続々と廃車や海外譲渡で疎開されていった203系。私もその配給輸送を記録しましたが、いざ、JRマークを剥がされ、方向幕を抜かれ、無動力で機関車に牽かれて行く姿を目の当たりにすると、切なくなってしまうもの。そんなわけで、撮影機会はあったのですが、203系の配給輸送は最初期のEF64とEF81牽引のそれぞれ一回ずつを記録したのみに留まってしまいました。写真は長野へ帰らぬ旅に出る、マト56編成・・・。
10.12.27 武蔵野線 新秋津

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惜別マークが掲げられた、ラスト一本のマト55編成。最後は好条件で撮影したいと思い、平日に半休を取って北小金の有名撮影ポイントへ。しかし平日にも関わらず、同業者は10人も・・・。ヘッドマークを掲げた期間は、生涯地下鉄直通という地味な運用に就き続けてきた203系が、最も注目を浴びたひと月でした。
11.09.08 常磐線 南柏-北小金

私は元々、常磐線沿線で育ち、実家は今でも同線の南柏にあります。現在の中央線沿線へ引っ越すまで、30年近く常磐線の各駅停車しか停まらない駅を利用していた私にとって、203系はもっとも身近にあった電車と言えるでしょう。でも私はこの電車が大嫌いでした。国鉄・JRを代表して都心部の地下鉄へ乗り入れる車両のわりにあか抜けず、どうも野暮ったい。そう見えるのは車両デザインのせいではありません。同車の特徴である難燃性や軽量化を追求したアルミ車体はいくら洗浄してもきれいにならないのか、いつも薄汚れている印象が強い。もはや銀色というよりも灰色の電車。しかも、軽いアルミの車体はよく揺れて乗り心地が悪いし、側扉や貫通扉までアルミにしたせいで走行中は各扉がバタバタと大きな音を立て、乗車中はとても耳障り。加えて言うならば、座席は狭くて、冷房の効きも悪い。ひどい言い様ですが、身近な電車だっただけについ辛口になってしまうのかな・・・。
これでも登場時は眩しかった。中央線の201系に続いて誕生した最先端のチョッパ制御車が、山手線や京浜東北線よりも先に、わが常磐緩行線へ投入されたのはとても誇らしく、営業初日の量産先行車(第一編成)を羨望のまなざしで出迎えた覚えがあります。私の記憶のなかで、初めて営業初日の「新車らしき新車」に乗ったのがこの203系でした。

実はもっと早く、203系への惜別記事を組むつもりでした。しかしいざ書き始めると、言いたいことはたくさんあるのに、どうもうまくまとまらない。そう、ちょうど小学生が自分の家族のことを書きなさいと言われたときのように、良く書けば腑に落ちないし、悪く書けば心が痛む・・・。嫌いと言いつつも、いつのまにか同車に愛着を感じていたのかも知れません。

あの汚くて、うるさい電車とも、もうお別れ。大嫌いだったはずなのに・・・なんだか寂しい。
おつかれさま、203系。いつの日か、譲渡された異国の地で再会を果たしてみたいものです。

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11.09.24 常磐線 北小金-南柏



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