SSブログ

2012.3.17ダイヤ改正・・・残せたモノ、残せなかったモノ。 [鉄道写真撮影記]

8101.jpg

2012.3.17ダイヤ改正
残せたモノ、残せなかったモノ

今週末の17日(土)に迎えるJRのダイヤ改正。ひと昔前のダイヤ改正と言えば、新線の開業や新列車・新形式のデビューなど楽しい方に話題が集まったものでしたが、近年ではダイヤ改正を機に廃止や引退となる列車が注目されているように感じます。いったい、いつからダイヤ改正というキーワードは「別れ」を表す寂しいものになってしまったのでしょうね・・・。今改正でも数多くの列車たちが姿を消す事となりました。撮り鉄としてはそのすべてを記録したいところですが、限られた時間の中ではなかなか簡単にはいかないもの。やはり廃止発表後に焦って撮るのではなく、常日頃からの記録が大切なのだと、この時期になるといつも痛感させられます。消える前に記録できた列車、できなかった列車・・・今回はダイヤ改正で消える列車たちを少し取り上げてみたいと思います。


まずは寝台特急「日本海」(大阪~青森)と急行「きたぐに」(大阪~新潟)の定期廃止、臨時列車化。完全廃止を免れただけマシととるべきなのかもしれませんが、繁盛期のみ年数回程度の運転では乗車機会、撮影機会ともにグッと減ってしまう事でしょう。そんな「日本海」と「きたぐに」、ともに大阪発着の北陸本線を経由する夜行列車とあって、関東に住む私からするとそれほど馴染み深い列車ではなく、「きたぐに」は一昨年夏に乗った大阪から富山までの一回だけ、「日本海」にいたっては一度も乗車した事がありませんでした。

1228.jpg

ローズピンクのEF81 45が牽引する寝台特急「日本海」。
07.12.28 北陸本線 南今庄-敦賀

では撮影の方はと言うと、「日本海」は近年削減傾向にあるブルートレインの生き残りという事で機会があればなるべく撮影しておこうという意識があり、485系「雷鳥」などを撮影するために訪れた北陸線などでちょくちょく撮る事ができました。できればもう少し東北の羽越・奥羽線での記録を残したかったところですが、昨年秋に訪れた陣場のお立ち台が定期「日本海」最後の撮影となってしまいました。臨時化によって短編成化されてしまう「日本海」。牽引機などにも変化はあるのでしょうか?

1070.jpg

新緑の北陸路を行く「日本海」。
09.4.29 北陸本線 南条-湯尾

一方の「きたぐに」は、北陸本線の通過時刻が早朝・深夜という事もあってなかなか撮れず、走行シーンを撮ったのは一昨年のGWに訪れた信越線・鯨波くらい。あとは関西の有名撮影地である東海道本線・山崎の「サントリーカーブ」で、たまたま向日町(京キト)への回送列車がかろうじて撮れていました。色は国鉄色ではないものの、名車・583系最後の定期列車だった事を考えると、もう少し撮影に出向くべきだったかな・・・と、今さらながら思います。

0653.jpg

大阪までの営業運転後、所属区のある向日町へ回送される「きたぐに」。
06.5.3 東海道本線 高槻(当時)-山崎

5831.jpg

ちょっと懐かしい、国鉄色583系時代の「きたぐに」。
後述する119系の写真を探していたら、偶然発掘できました。
89.8.6 東海道本線 大阪

ここ数年ダイヤ改正のたびに削減されてきた夜行列車。定期で残るのは「あけぼの」「北斗星」「はまなす」の三列車と、半定期運行の「カシオペア」「トワイライト」のみとなってしまいました。願わくばこの「日本海」「きたぐに」の二列車には、臨時列車としてでも末長く運転を続けて欲しいものです。


続いては、一般的にも大きく取り上げられた東海道・山陽新幹線を走るこの二形式の引退。どちらも仕事に、プライベートにと、幾度となくお世話になった車両です。

8104.jpg

元祖「のぞみ」としてデビュー。東海道・山陽新幹線を走り続けてきた300系。
08.10.4 東海道新幹線 掛川-静岡

8111.jpg

全盛期には二階建て車両などを組み込んでいた100系。
晩年は短編成化され、山陽新幹線の「こだま」で活躍。
08.10.11 山陽新幹線 岡山-相生(後追い)

300系を初めて見たのは試運転を繰り返していた試作車編成で、たしか早朝に行われていたものだと記憶しています。朝イチの「ひかり」に乗るために東京駅のホームへ上がると、そこへ入って来たのはデビューを控えた300系。0系や100系とは一線を画した滑らかなスタイルは、寝ぼけ眼をパッと開かせるほど鮮烈な印象を与えました。そして100系の方は、一言で言うと「憧れの新幹線」。というのも、100系がデビューした頃の私はまだ学生で、東海道の移動手段と言えば青春18きっぷを握りしめて乗った大垣夜行が定番。とても新幹線なぞに乗れる身分ではなく、高速で通過してゆく新型の100系を指をくわえて眺めていたものです。のちに社会人になってからは何度も乗る機会に恵まれましたが、100系最大の特徴である個室や食堂車を一度も利用しなかった事が悔やまれます・・・。

0723.jpg

日の出直後、富士山の麓を横切る300系。
07.2.3 東海道新幹線 三島-新富士

在来線に比べると、イベント列車などが走るわけでなく、ひと昔前は車両形式のバリエーションも乏しかった新幹線。個人的にはあまり撮影対象としていませんでした。新幹線の撮影を意識しだしたのは、500系が東海道区間から撤退するという情報が流れた07年頃。そのときすでに100系は東海道から姿を消していましたが300系はまだまだ多く走っており、500系撮影のついでにいくつかのポイントで300系も記録する事ができました。この富士山バックの写真も当時500系で運転されていた「のぞみ1号」狙いで訪れたものでしたが、本命の「のぞみ1号」にはまだ日が当たらずに、この300系「こだま」がいちばんいい条件だったのです。撮影時は300系がベストなんて・・・と思ったものでしたが、今では貴重な一枚です。そして100系の方はと言えば、こんな写真が残っていました。

3321.jpg

東京駅を発車してゆく100系。
01.3.21 東海道新幹線 東京

実はコレ、キヤノンのデジタル一眼レフ初の一般ユーザー向けミドルクラス機、EOS D30で撮影したもの(30Dではありません)。わずか300万画素クラスのデジイチですが、当時としては30万円近くするシロモノ。もちろん私個人が買えるものではなく、会社がキヤノンから借りたものを一度だけ使わせてもらったのです。初めて使うデジイチ、当時はイメージセンサーがAPSサイズなどという考えはなく、300ミリを装着すると500ミリ相当になると単純に喜んで近場の東京駅へと向かい、はじめに撮ったのがこの100系でした。つまりこの写真は、私がデジイチで撮った最初の鉄道写真という事になります。このときはなぜ在来線ではなく新幹線だったのかと言えば、単にせっかく入場券で東京駅に入ったのなら新幹線ホームまでいかなきゃソン・・・なんてセコい理由だった覚えがあります(^^;)。結局その後の100系ははじめに紹介した山陽新幹線でリニューアル後を撮ったのがせいぜい。結局、近年に戻された青・白のリバイバルカラーは一度も撮れませんでした。

100系と300系が一気にいなくなる東海道・山陽新幹線。500系や九州直通列車などがある山陽新幹線はまだしも、東海道新幹線は700系・N700系のみとなり、またツマラナイ時代へと逆戻りしてしまった感があります・・・。
 

0741.jpg

桜満開の小田急線を行く、371系特急「あさぎり」。
07.4.1 小田急小田原線 相武台前-座間

東海道新幹線と同じカラーリングを纏った、この特急「あさぎり」(新宿~沼津)用の371系も今改正で引退。371系の撮影は先月、まさに滑り込みで定番の富士山バックが撮れましたが、もうひとつ「あさぎり」とのコラボで有名なのが春の桜。御殿場線の名所・山北の桜で撮ることは叶わなかったものの、小田急線の相武台前~座間にある桜並木では371系を撮影していました。例年、ダイヤ改正の概要が発表されるのはだいたい前年末。それより早く秋頃に廃止などの情報がちらほらと伝わり始めますが、どんなに早くても半年前。となると、廃止と聞いて撮りはじめても春や夏のシーンを撮ることはできません。この371系に限らず、廃止列車と桜や新緑のコラボを残せずに悔やんでいる方は多いと思います。せめて一年の猶予があれば・・・と思ってしまいますが、難しいところなのでしょうね。

0742.jpg

こちらは同日に撮った小田急ロマンスカー10000形「HiSE」。
07.4.1 小田急小田原線 相武台前-座間

JRに合わせてダイヤ改正を行う私鉄も少なくないのですが、今改正ではJRのみならず小田急でもいくつかの引退車両がありました。上写真の10000形「HiSE」もそのひとつ。二階に位置する運転台から展望席まで一直線に切り取ったような鋭角なデザインは美しく、数ある小田急ロマンスカーの中でも、私がいちばん好きな車両でした。そのわりに撮影したのは数えるほどしかなく、今回の写真も371系と同日に桜を撮りに行って、たまたま来てくれたもの。でも「HiSE」の特徴を出すのならこんな正面気味ではなくて、もっとサイドからのシャープさが解るカットを残すべきでした。幸い「HiSE」は長野電鉄で第二の人生を歩んでいる仲間がいるので、一度じっくりと撮影に行ってみたいと思っています。

6923.jpg

オデコのライトが特徴だった「小田急顔」の5000形。
06.9.23 小田急小田原線 新松田-渋沢

5062.jpg

新宿に到着した最後の5000形5063F。
12.2.21 小田急小田原線 新宿 (i-Phoneで撮影)

同じく小田急からは通勤形の5000形も引退。写りの悪い新宿での一枚は、先日に仕事で小田急線を利用した際、何も考えずに待っていたら偶然やってきたのがこの5000形・5063Fでした。すでに残り一編成しかなく、もう乗る事は無いだろうと思っていただけに、突如現れたこの小田急顔には驚きと嬉しさ、そして最後のお別れを言いに来たようないじらしさを感じてしまいました。カメラを持っていなかったので咄嗟にi-Phoneで撮った一枚。おそらくこれが私の撮る最後の5000形となるでしょう。

さらに小田急はもう一形式、371系と同じ「あさぎり」に使用されていた20000形「RSE」も姿を消します。ところがこの「RSE」とは相性が悪いのか、ほとんど写真が残っていない。上に紹介した座間の桜並木や渋沢カーブでの撮影も、371系や「HiSE」、5000形はあるのに、「RSE」は見当たりませんでした。デビュー前の甲種輸送まで撮りに行っておきながら、次に残せたのが引退直前の先月とは・・・。しかも乗車の方も前々回の石橋からの帰りに、乗れる機会がありながら選んだのは「VSE」で結局乗らずじまい・・・。なんだか「RSE」には申し訳ないような気がしています(^^;)。 そんなわけで「RSE」の写真のみ、先月行った御殿場線撮影記の再掲載です。

7005.jpg

富士山を背景に御殿場線で最後の走りを見せる20000形「RSE」。
12.2.4 御殿場線 御殿場-足柄(後追い)


再びJRの話に戻ります。今回の写真探しでいちばん苦労したのが、実は飯田線の119系。この電車も今改正を機に引退してしまう電車なのですが、私は飯田線にかれこれ10年以上もご無沙汰。デジカメを使うようになってからは飯田線の写真を撮った事がありませんでした。それでも、ずいぶん前に飯田線でEF58のイベント列車を南アルプスバックで有名な七久保~伊那本郷で撮った事があり(曇り空で背景が霞み、撃沈でしたが)、そのときに一枚くらい普通列車の119系も撮れているものだと思っていました。しかし当時のスリーブを見返してみると、写っていた普通列車は119系ではなく115系。今となっては飯田線を走る湘南色115系も貴重な記録だけれど、ひょっとして119系は一枚も撮っていなかった・・・!? さらに過去の写真を探ってみると、ようやくこんな色の119系が出てきました。

1192.jpg

飯田線の119系。
この派手な色は東海道線で使われた頃の「するがシャトル(SS)」塗装。
90.8 東海道本線 豊橋

1191.jpg

現在の119系標準色である東海色とSS色の併結編成。
90.8 東海道本線 豊橋

飯田線用に製造された119系ですが、一時期は東海道線の静岡近郊で等間隔ダイヤの短距離列車「するがシャトル」に使われていました。しかし、もともと飯田線用だった119系は東海道線での高速運転には向かず、塗装を変更されたまま飯田線へと戻されたのです。この写真はその飯田線へ出戻りしてきた編成。何となく物珍しくてシャッターを切ったのでしょうが、それが今となっては私が残せた数少ない119系の写真となりました。でも、飯田線の119系という観点では、やはり南アルプスバックや天竜峡など美しい自然の中を行く姿を残せてナンボのもの。そう考えると、飯田線の119系は記録を残せなかったと言えるかもしれません。先週に走った「さよなら運転」に行くべきだったかな・・・。それにしても、改めて見てみると今改正で引退するのはJR東海の車両が多いのですね。

以上、今改正で引退する主だった車両たちをいくつか挙げてきました。この他にも東海道本線で特急用車両373系が使われてきた静岡行き普通列車321Mの区間短縮・形式変更(結果、373系の東京乗り入れ撤退)や、福知山線の113系運用消滅。また、貨物に疎い私には詳しく解りませんが、先日の石橋で撮影したワム80000貨物と、そのワムを使用してきた岳南鉄道の貨物輸送も廃止となります。古豪電気が活躍する岳南貨物は撮影してみたいと思っていたものの平日中心の運用で、結局一度も撮影できずじまいでした。この岳南貨物を撮り損ねた事が、今改正前いちばんの心残りかな・・・。貨物ではEF64やEF65、ED75などの国鉄形機関車にも大きな変動があるようですね(中央東線89レのEH200化など・・・)。車両以外のところでは、久留里線のタブレット廃止自動信号化や東海道新幹線「こだま」の車内販売中止なども話題になりました。


時が経てば必ず迎える引退劇。引退決定後に慌てて全部記録するのは難しいですが、案外、日頃から撮影に行っているとたまたま撮れていたりするものなんですよね。今回載せた写真も再掲の「RSE」以外はどれも廃止発表前に撮ったモノたちで、「線路端に立った以上は来たものすべて撮る!」の姿勢が後々になって功を奏するのかもしれません。一喜一憂したダイヤ改正を迎え、撮り鉄的には一段落と言ったところでしょうか。



共通テーマ:趣味・カルチャー