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九州03・・・豊肥本線 乗車記 [鉄道旅行記]

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2012.04.28~30
九州03
豊肥本線 乗車& 阿蘇山バック 撮影記
  

GWに訪れた九州の鉄道旅、前回からの続きです。
初日は一日じゅう日豊本線での「撮り鉄」に専念し、念願だった485系「にちりん」を撮影。ちょっとしたハプニングには見舞われたものの(^^;)、概ね天気は良好で、じゅうぶんに満足する結果を得ることができました。そして迎えた翌二日目。今回の九州遠征、第一の目的はもちろん先述の「にちりん」を撮ることでしたが、せっかく一年ぶりに九州まで来たのにそれだけではもったいない。そこでこの日は少し「乗り鉄」の方を楽しむことにしました。

4月29日(日)

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旅行二日目の大分駅。この日、朝はいいお天気でした。
これで大分を離れることになりますが、
今度来るときはもうこの駅舎は無くなっているのかな・・・。
12.4.29 日豊本線 大分

今私がいる大分は、日豊本線の小倉方面、宮崎方面のほか、由布院・日田を経由して福岡の久留米までを結ぶ久大本線と、阿蘇を通って熊本までを結ぶ豊肥本線の三路線、四方向に鉄路が分かれています。そのなかで今回、私が乗り鉄に選んだのは豊肥本線。今回の旅では南九州の宮崎まで足を伸ばすつもりはなかったし、かといって小倉方面へ北上してもあまり面白みがないことから、日豊線は早々と離脱。選択肢はともに九州を横断する九大、豊肥の二路線に絞られました。どちらも甲乙付けがたい、美しい車窓風景が期待できる路線なのですが、実は九大線は過去に何度か特急「ゆふいんの森」などで全線を乗り通したことがあって、近々だと今から6年前の06年(それでも、もう6年も前か・・・)。しかし豊肥線の方はといえば、南阿蘇鉄道へ乗るために立野を訪れたり、SL「あそBOY」乗車で熊本から宮地へは往復したものの、熊本~大分の全線を通して乗ったのは乗りつぶし目的だった一度だけで、もう20年以上も前のこと。当時は「九州横断特急」など走っておらず、キハ52の普通列車でひたすら乗り続けたものでした・・・。と、いうことで、豊肥線に乗るのはかなり久しぶりになります。できれば当時を思い出しながら、普通列車にのんびりと揺られたいところでしたが、まず乗る列車はコレ。

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大分駅に入ってきたのは、別府始発の特急「九州横断特急」。
主に非電化路線を走る「九州横断特急」には
ディーゼルのキハ185系が使用されています。
12.4.29 日豊本線 大分

キハ185系の特急「九州横断特急」。なんのかんの言いながら、やっぱり速くて、ゆったりとしたリクライニングシートが備わった特急の方がいいんじゃないか・・・と、思われてしまいそうですが、実は豊肥線の上り(熊本方面行き)を時刻表で調べてみると、途中の豊後竹田を境に普通列車の接続がものすごく悪く、途中で一箇所でも下車しようなどと計画を立てると、どうしてもこの「九州横断特急」に乗らざるを得なかったのです。とは言え、この特急に乗れることはやぶさかでなく、仕方ないなぁ・・・といいながらも、内心はちょっとウキウキしながら進行方向左の窓側席を確保 (´∇`*)。列車は定時に大分を発車すると、すぐに右へとカーブを切って日豊線と分かれ、一路熊本を目指して豊肥線をひた走ります。

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大分発車後、豊肥線はすぐに日豊線と分岐。
日豊線上にはちょうど883系「青ソニ」が・・・。
12.4.29 豊肥本線 大分-滝尾(車窓から)

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早くも大分の次駅、滝尾では普通列車との交換待ち。
途中の中判田までは大分への通勤圏となるので、
このあたりは普通列車の本数も多いです。
てっきりキハ125かキハ200あたりのJR形かと思っていたら、
やってきたのは国鉄形のキハ47二連でした。
12.4.29 豊肥本線 滝尾(車窓から)

通常、二両編成で運転される「九州横断特急」には自由席が一両しかなく、連休中ともなればかなり混むかな・・・と思っていたのですが、この日は自由席が一両増結された三両編成での運転で、大分発車時点でも空席が所々に見られる程度の乗車率でした。ちなみに車内放送によると「本日の指定は満席です」とのこと。多客期に指定席ではなく自由席が増結されるというのは意外と珍しい例かもしれません。列車は大分通勤圏の中判田を過ぎると、車窓に緑豊かでのどかな風景が広がります。

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車窓左手に沿って流れているのは、水量豊富な大野川。
12.4.29 豊肥本線 竹中-犬飼(車窓から)

大分から一時間、瀧廉太郎の「荒城の月」で知られる岡城で有名な豊後竹田で三分の一くらいの乗客が下車し、さらに空席が目立つようになった「九州横断特急」。ここ豊後竹田を出るとエンジンを唸らせながら急勾配を上がり、県境の峠越えに挑みます。豊後荻を出て大分県から熊本県へ入ると、豊肥線で・・・いや、九州でもっとも高いところにある駅、標高754メートルの波野を通過。実はこのあたりは私の座っていた左側の車窓よりも右側の方が景色はよく、はるか下に阿蘇谷を一望することができるのはずなのですが、気がついて席を移動したときには、すでに眺望の良い区間は終わっていました・・・(´・ε・`) チェッ。

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キハ185は運転台の背後がオープンデッキとなっているので、
前方や後方の風景も眺めやすい。
力強く峠道を駆け上がります。
12.4.29 豊肥本線 豊後竹田-玉来(車窓から)

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県境の峠を越える列車の車窓から。
本当は阿蘇谷を見渡せる反対側の車窓を
お届けしたかったところですが・・・(^^;)。
12.4.29 豊肥本線 豊後荻-波野(車窓から)

サミットを越え、今度は逆に下りとなった勾配を軽やかに走った列車は、やがて阿蘇カルデラ内の平地にある駅、宮地へ。ここからしばらく車窓左手には豊肥本線最大のハイライトともいえる、阿蘇山・阿蘇五岳の雄大な姿を眺めることができます。これが見たかったので、私は進行方向左手の座席を選んだのでした。

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車窓に広がる阿蘇五岳。
上からノコギリのような山頂の根子岳(1,433m)、
阿蘇の最高峰、高岳(1,592m)と中岳(1,506m)
そして形の良い烏帽子岳(1,337m)と杵島岳(1,321m)
12.4.29 豊肥本線 宮地-いこいの村(車窓から)

この車窓風景、車販で缶ビールでも買ってのんびりと楽しみたいところ・・・ですが、残念ながらそんな余裕はありません。久しぶりに訪れた豊肥線、できれば一枚くらいこの阿蘇の山々を背景にした豊肥線らしい鉄道写真が撮りたいと思い、実は事前に撮影地をリサーチしてきたのです。大分からずっと乗ってきた「九州横断特急」を降りたのは、赤水。

大分0808-(九州横断特急1号)-赤水1008

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阿蘇の山々に囲まれた赤水駅に到着した「九州横断特急」。
12.4.29 豊肥本線 赤水

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味のある木造駅舎の赤水駅。
無人駅(簡易委託駅)ですが、近くに阿蘇山の西登山口や
牧場などの観光地があるため、特急も停車します。
駅名の由来は、
この辺の地下から湧き出た水が酸化鉄を含んだ赤褐色で、
川を赤く染めたことから「赤水」の地名となったのだそうです。
12.4.29 豊肥本線 赤水

豊肥線と阿蘇山を組み合わせられる撮影地は、宮地から阿蘇の間にもいくつか点在していますが、私がこの赤水を選んだのは、なんといってもその手軽さ。ここは駅前に広大な田畑が広がっていて、そこから引きで阿蘇山の麓をゆく豊肥線の列車を撮ることができるのです。駅から徒歩10分圏内のお手軽撮影地、これは徒歩鉄にはとても助かります。ただ、こんなところを列車利用でやってきて、畑の周囲をウロウロしている人は珍しいらしく、農作業をしている地元の方には挨拶を交わすと同時に、不思議そうな目で何をしに来たのかと尋ねられます (不審者・・・ (¬、¬)?) 。そこで、「このあたりは阿蘇山がきれいに撮れるので、写真を撮りにきたんです。」 と答えると、納得してもらえた様子。農作業の邪魔にならぬように農道の端っこの方でカメラを構え、列車が来るのを待ちます。しばらくしてやってきたのは、キハ47+40の普通列車。前日の「にちりん」を撮ったときのようなスカッとした青空でないのは残念ですが、そもそもこの時間帯は晴れると逆光だし(ここは午後順光)、形の良い阿蘇山の烏帽子岳と杵島岳がしっかり見えているので、まあヨシとしますか。

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阿蘇の裾野に抱かれて、のんびりと走る豊肥線の普通列車。
12.4.29 豊肥本線 赤水-立野

決して本数の多くない豊肥線の列車。しかしこの時間帯はウマい具合に二時間ほどの滞在中で普通列車が上下一本ずつと、下り特急列車が一本の計三本を撮影することができます。今撮ったのは上りの普通列車(430D)で、次は下りの普通列車(429D)。同じ普通列車を同じアングルで撮ってもツマラナイ・・・。そこで目に留まったのは、赤水の駅前で見事なピンクの花を咲かせていた八重桜。今度はこれを列車と絡めてみることにします。

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満開の八重桜が咲く赤水駅に下りの普通列車が到着。
お天気が良ければもっとキレイだったのにね...。
12.4.29 豊肥本線 赤水

本当は八重桜と列車、さらに阿蘇山まで入れようと、あれこれ構図を試してみたのですが、どうもウマくいかない。こういう場合はあまり多くの要素を入れすぎ無いほうがいいみたいです。最終的には阿蘇山をスパっと切り捨てて、花と列車だけを入れて撮影。あんまり豊肥線らしくはないけれど、なかなかいい画が撮れました。

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発車してゆくところを今度はタテ位置で。
寒々しい曇り空を八重桜のトンネル風にして隠してみました (^^)。
12.4.29 豊肥本線 赤水(後追い)

さて、ここ赤水の撮影地でラストを飾る三本目は特急列車。特急と言っても、先ほど私が乗ってきたキハ185系の「九州横断特急」ではなく、次に来る列車は昨年から運転を開始した観光特急のキハ183系「あそぼーい!」。八重桜との絡みも捨てがたいところですが、やはり列車名に「あそ(阿蘇)」が入っているこの列車は阿蘇山をバックに撮りたいと思い、再び最初の撮影ポイントへと戻ることにしました。やがて阿蘇山の裾野に現れたのは、白黒ツートンのパノラマ列車。

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阿蘇山を眺めながら走りゆく、特急「あそぼーい!」。
自慢のパノラマウィンドウからは
阿蘇の雄大な景色が広がっていることでしょう。
12.4.29 豊肥本線 赤水-立野

この場所での本命と位置付けていた「あそぼーい!」。しかしこうやってみると、この白黒ツートンの列車はなかなか画になりづらいですね。下部の黒い部分がほとんど目立たず、なんだかいびつな形の列車に見えます。四両という編成もこの場所では妙に長く感じるし・・・。むしろ、同じ場所で最初に撮った普通列車のほうが、豊肥線らしく飾らないのんびり感が出ていて、スキかも。とはいえ、予定通り特急を含めた三本の列車を撮ることができたので満足。赤水駅へと戻り、さらに豊肥線の旅を続けることにします。

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赤水に入ってきた普通列車は真っ赤なキハ200。
12.4.29 豊肥本線 赤水

赤水で次に乗る肥後大津行きの普通列車432Dを待っていると、やってきたのはキハ200。てっきり先ほど八重桜と一緒に撮ったキハ47の429Dが宮地から折り返してくる運用だとばかり思っていたので、意表をつかれた感じ。でも、このキハ200は転換クロスシート装備の乗り心地がいい車両なので、これはちょっと嬉しいサプライズ。ヽ(・∀・)ノ ワーイ  車内もガラガラで、のんびりと過ごせそうです。

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そんなキハ200の車内で食べるのは、
大分で買ってきた「かあちゃんのまくべんとう」。
朝の大分駅では、まだ寿司系か幕の内しか
置いていなかったのでこのお弁当を選んだのですが、
シンプルながらもこれがなかなか美味しい。
なによりもこの内容で480円というコスパの良さには大満足!
☆☆☆・・

赤水を出た列車はしばらくすると、豊肥線で乗り鉄的に最大の見どころとなるスイッチバックへとさしかかります。ここは阿蘇のカルデラ内にある標高465mの赤水から、熊本平野にある標高170mの瀬田まで、二回のスイッチバック(三段式)を経て下りてゆく鉄道の名所。そのスイッチバックの途中にある中間駅が標高277mの立野で、ここは通称「立野のスイッチバック」として知られています。そのスイッチバックをすすむ様子を、またいつものように運転室かぶりつきで楽しむことにしましょう。キハ47よりも前面窓が大きくて見やすいキハ200。そういう意味でもこの車両に当たったのはラッキーでした。

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まずはポイント左の赤水(大分)方面から来た列車は
スイッチバック内で停止。
12.4.29 豊肥本線 赤水-立野

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次に運転士が車内を通って後ろ側へと移動し、
進行方向を変えて右の立野方面へ進みます。
ここから見てもかなりの急勾配であることが解ります。

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赤水方面と別れて下り坂を進むと、
やがて右の方から瀬田(熊本)方面への線路が見えてきます。
ちょうどキハ185系の下り特急が立野へ向けて上がってくるところで、
タイミングが合えば同時進入も楽しめそうです。

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キハ185系の後を追うように立野駅へと進入。
立野を出発する際には右の線路へ転線して、瀬田方面に向かいます。

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立野に到着したキハ200の普通列車と、
ここで交換して大分方面へ向かうキハ185系の「九州横断特急4号」。
12.4.29 豊肥本線 立野

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立野駅にはスイッチバックを説明する看板がありました。
私の拙い文章では解りづらいと思いますので、
スイッチバックの構造はこの図を参考にしてください・・・(^^;)

スイッチバックで二度ほど向きを変え、結局もとの進行方向に戻って立野を発車した普通列車は、さらに下り勾配を進んで熊本平野へと入り、この列車の終点である肥後大津へと到着。豊肥線は肥後大津から熊本までの区間は電化されているので、ここからはディーゼルカーではなく電車が主力となります。私もディーゼルカーのキハ200から電車の815系へお乗り換え~ ε=ε=┏( ・ω・)┛。

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肥後大津で反対ホームに待機していたのは、
前日の日豊線で何度も乗った、ロングシートの815系(右)。
乗り心地の良かったキハ200とはここでお別れです・・・。
12.4.29 豊肥本線 肥後大津

電車が頻繁に走り、熊本への通勤圏となるこのあたりは、車内も今までのローカルな雰囲気とはがらりと変わって、都市圏近郊列車の様相。熊本が近づくに連れて乗客も増え、二両編成の815系は立ち客が出るほどの混雑ぶりで終点の熊本着。これで大分~熊本、豊肥線の旅は終了です。

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「0B」番線という変わったホームに到着した豊肥線。
改良工事で後から増設された熊本駅の豊肥本線ホームには、
「0A・0B」という番線が与えられています。
さらに臨時用の「0C」番線もあり、
三つの0番線があるのはこの熊本駅くらい。
12.4.29 鹿児島本線 熊本

赤水1205-(豊肥432D)-肥後大津1239~1248-(1456M)-熊本1321

久しぶりに全線を乗り通した豊肥本線。やはりこの線から眺める阿蘇の山々は雄大で素晴らしく、思う存分に車窓風景を堪能しました。今回は途中の赤水で降りただけでしたが、機会があれば今度はゆっくりと豊後竹田の街散策や阿蘇観光、さらには立野から分岐する南阿蘇鉄道などにもまた乗りに来たいものです。


・・・続きます



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