SSブログ

九州06・・・門司港レトロ観光線 乗車記  [鉄道旅行記]

5000.jpg
2012.04.28~30
九州06
門司港レトロ観光線
トロッコ列車「潮風号」 乗車
  

GWに訪れた九州の鉄道旅、前回からの続きです。
熊本で迎えた三日目、九州遠征も最終日となりました。この日は早朝から普通列車と快速列車を乗り継いで、鹿児島本線を北上します。まずはその様子をご覧ください。

4月30日(月)

5001.jpg

鹿児島線普通列車の旅、
最初のランナーとなる大牟田行きは415系1500番台でした。
この列車で大牟田のひとつ手前の駅、荒尾まで移動します。
12.4.30 鹿児島本線 熊本

5002.jpg

前列車の終点・大牟田ではなく荒尾で乗り換えたのは、
次に乗り継ぐ快速・小倉行きが、この荒尾始発だったため。
待機していたのは・・・お、新車の817系3000番台!(゚∀゚)
12.4.30 鹿児島本線 荒尾

5003.jpg

817系の基本番台では
プライウッド製の転換クロスシートが特徴でしたが、
この3000番台では、なんとそれがロングシートに!
九州の電車は通勤形でも楽しませてくれます。

5005.jpg

さっそく新車の乗り心地を・・・と思ったら、
この列車、後ろの方は813系1100番台の異形式併結編成でした。
どちらの車両に乗るか、悩むところ。。。(´^`)ウーム

5006.jpg

ここは転換クロスシートの813系に軍配。
やはり車窓を楽しむのならば、こちらの方がいいです。
817系3000番台の方は、またの機会に・・・。

5007.jpg

熊本から約二時間で、九州最大の駅・博多に到着。
でも、今回は素通りします・・・。
12.4.30 鹿児島本線 博多(車窓から)

博多でも降りず、ひたすら乗り続ける鹿児島線。ひょっとして、このまま普通や快速を乗り継いで、一路東京を目指すのでは・・・って? いやいや、今は「青春18」シーズンでは無いですし、さすがにそんなキツいことはしません(学生時代は大垣夜行を使って、東京から博多まで乗り継いで行ったことが何度かあるケド)。最後に快速から再び普通列車へ乗り換えて、私がやってきたのは、北九州にある鹿児島本線の起点駅・門司港。

熊本0551-(鹿児島322M)-荒尾0648~0653-(4220M快速)-折尾0852~0924-(2390M)-門司港1006

5008.jpg

811系の普通列車で門司港に到着。
大きな屋根の長いホームも、
歴史ある門司港駅の特徴のひとつです。
12.4.30 鹿児島本線 門司港

5009.jpg

左右対称が特徴のネオ・ルネッサンス様式で
堂々とした佇まいの門司港駅舎。
全国の駅で唯一、国の重要文化財に指定されています。
12.4.30 鹿児島本線 門司港

かつては九州の玄関口として栄えた門司港。この風格ある駅舎をはじめ、周辺には大正時代の歴史的建造物を中心に整備された「門司港レトロ地区」が広がります。さらに門司港駅に隣接するように立てられているのが、赤レンガ造りの初代九州鉄道本社を転用した「九州鉄道記念館」。花より団子、歴史的建造物より鉄の私、目的地は当然ココ・・・と言いたいところですが、この博物館へは過去に二回訪れているので、今回はパス。

5023.jpg

門司港駅に隣接された「九州鉄道記念館」
九州で活躍した鉄道車両中心に展示されていて
楽しい鉄道スポットですが、今回は入館しませんでした。

では、門司港を訪れた私の目的はというと、その九州鉄道記念館の脇から出ている観光鉄道、「門司港レトロ観光線(北九州銀行レトロライン)」に乗ることでした。門司港レトロ観光線は、九州鉄道記念館駅から前述の門司港レトロ地区を横切り、和布刈(めかり)地区にある関門海峡めかり駅までの2.1キロを結ぶ、平成筑豊鉄道が運営する観光鉄道。この路線は元々、門司港駅から伸びていた貨物専用線 (鹿児島本線・田野浦公共臨港鉄道) の一部で、同線の貨物営業廃止により放置されていた線路を観光路線として復活させ、2010年より観光客向けのトロッコ列車が運転されています。実はこの路線に私はまだ一度も乗ったことが無く、ずっとキニナル存在でした。通常の輸送手段ではなく観光を主目的とした、いわゆる「特定目的鉄道事業」の門司港レトロ観光線の場合、鉄道全線完乗のカウントに入れるべきかどうかは意見が別れそうなところですが、観光目的とはいえ遊園地の施設などではなく、これはれっきとした街中を走る鉄道路線ですから、やはり完乗を目指す者としては乗っておくべきでしょう。ちなみに門司港レトロ観光線はネーミングライツにより、「北九州銀行レトロライン」を名乗っていますが、ここでは「レトロ観光線」で話を進めることにします。

それにしても、この日の天気はサイアク。時折、強い横殴りの風雨が打ち付け、傘をさして歩くのもままならないほど。レトロ観光線を走るのは開放感がウリのトロッコ列車ですが、果たして運転されているのでしょうか? ここが特定目的鉄道の不安なところで、必ず乗客を目的地へ送り届けなくてはならない一般の鉄道とは異なり、観光目的のこの路線は悪天候の場合、運転を中止する可能性もあるのです。吹き飛ばされそうになる折りたたみ傘を必至に持ちながら、始発駅となる九州鉄道記念館駅へ行ってみると、他の乗客らしき人は見当たりませんが、レインコートに身を包んだアテンダントさんは出迎えてくれました。どうやら、ちゃんと運転しているようです。C=(^◇^; ホッ!

5010.jpg

門司港駅と九州鉄道記念館の間に設けられた、
レトロ観光線の九州鉄道記念館駅。
ここできっぷを購入します。
12.4.30 門司港レトロ観光線 九州鉄道記念館

5011.jpg

私が購入したのは、500円の往復きっぷ。
この他に乗り降り自由の一日券(700円)などもあります。

きっぷを購入してもすぐにホームへ入ることができるわけではなく、しばらくホーム脇のテントで列を作って待機させられます。それこそまさに遊園地のアトラクション待ちみたいな感じ。はじめは私一人がぽつんとテント内に佇んでいましたが、発車時刻が近づくと徐々に親子連れなど集まってきて、最終的には10人ほどの列となりました。しばらくすると折り返しとなる列車がホームへ入線し、前客が全員降車してからホームへと誘導されます。ようやくレトロ観光線のトロッコ列車「潮風号」とご対面。

5012.jpg

レトロ観光線のトロッコ列車「潮風号」。
列車の前後に連結されているカワイイDB10形機関車は、
ホーム上で見ると私の身長よりもずっと低い。(^^)
12.4.30 門司港レトロ観光線 九州鉄道記念館

何と言ってもまず目に留まるのは、前後を挟むように連結されている小さなディーゼル機関車DB10(DB101・DB102)。この機関車は以前、南阿蘇鉄道で同じようにトロッコ列車の牽引に使用されていましたが、同鉄道が新たにトロッコ用の機関車(DB16)を新製した際にお役御免となり、廃車される運命にあったところ、ウマい具合にこのレトロ観光線の開業で命を拾われることになりました。さらに客車の方も島原鉄道のトロッコ列車で活躍していたもので、こちらも同鉄道の部分廃線によって仕事を失い、このレトロ観光線へとやってきたもの。熊本と長崎のそれぞれで一度は役目を終えた機関車と客車が、この北九州で手を組んで再び活躍の場が与えられるとは、ちょっといい話ですね。

5013.jpg

無蓋貨車トラ70000を改造したトロッコ客車の車内。
客車は二両で、めかり駅寄りの一号車は指定席。
でもこの日は指定席客がいなかったのか、
どちらでも自由に座って良いとのことでした。

九州鉄道記念館駅を10時から16時半までの毎時00分・30分の30分おきに出ている、トロッコ列車「潮風号」。この日二本目となる10時30分発の3列車は「いってらっしゃ~い!」と大きく手を振るアテンダントさんに見送られて、ゆ~っくりと出発。こういう場合オトナひとりだと、手を振り返すべきかどうか思わずためらっちゃいますね・・・(^^;)。

5014.jpg

九州鉄道記念館駅を出ると、
列車は門司港レトロ地区を横目に走ります。
ちょいとクルマやテントが邪魔ですが、
左が旧・門司税関で、右は国際友好記念図書館。
12.4.30 レトロ観光線 九州鉄道記念館-出光美術館(車窓から)

トロッコと言っても屋根や窓もあり、雨風はじゅうぶんにしのげるのですが、なんだかちょっと物足りない・・・。列車が二駅目の出光美術館駅を出る頃には雨が小振りになっていたので、思い切って窓を大きく開けてみました(もちろんアテンダントさんの許可を取って)。すると、まわりの方々もそれに続くように窓を開け始めます。やっぱりトロッコ列車は開放感を楽しみたいですよね。ちょうど車窓の左手には関門海峡の海景色が広がり、天気が悪いのは残念だけれど、海風が心地イイ。(・∀・)

5015.jpg

門司港レトロ地区を抜け、
ハーバー沿いをゆっくり進む「潮風号」。
前方に見えてきたのは本州と九州を結ぶ関門橋です。
12.4.30 レトロ観光線 出光美術館-ノーフォーク広場(車窓から)

5016.jpg

海峡越しに見えるのは本州の山口県下関市で、
中央にひょーっと立っているのは、「海峡ゆめタワー」。
12.4.30 レトロ観光線 出光美術館-ノーフォーク広場(車窓から)

5017.jpg

ノーフォーク広場駅を出ると、列車は唯一のトンネルへと入ります。
コンデジを窓から突き出して、ノーファインダーで撮ってみました。
12.4.30 レトロ観光線 ノーフォーク広場-関門海峡めかり

5018.jpg

そのトンネル内では、
トロッコの天井に関門海峡で見られるお魚たちが出現。
なかなか芸が細かく、子供が喜びそうです。

門司港レトロの景観地区を抜け、関門海峡が眺められるハーバー沿いを走り、唯一のトンネルである和布刈トンネルを通過すると、まもなく終点の関門海峡めかり駅に到着。乗車時間はわずか10分程度でしたが、変化に富んだ車窓風景は面白く、何より鉄的には元・貨物線の乗り心地を味わうことができる、楽しい観光列車でした。

九州鉄道記念館1030-(レトロ観光線3列車)-関門海峡めかり1040

5019.jpg

特定目的鉄道ながら、九州最北端の駅となる
門司港レトロ観光線の関門海峡めかり駅。
近くには関門海峡を一望できるめかり公園などがあります。
12.4.30 門司港レトロ観光線 関門海峡めかり

5020.jpg

駅に隣接しためかり公園の入り口には、
関門トンネルで活躍した「銀ガマ」こと
EF30 1がオハフ33 488と共に保存されています。
実はめかりへ行ったら、ぜひこのカマも見たいと思っていました。
保存状態は決して良くないけれど、
海沿いでも外板がきれいなのは、さすがステンレス機!

せっかくやってきた九州最北端の駅・関門海峡めかり駅。ところが、ここへきてまた雨が激しさを増してきてしまいました。本来、天気が良ければ、もう少しじっくりとEF30の姿を眺めたり、めかり公園から関門海峡の景色を楽しんだりしてから、30分後の列車で鉄道記念館駅へと戻る予定でしたが、さすがにこの天気では散策する気になれず、EF30をサッと見ただけで駅に引き返し、5分後の折り返し列車へと乗ることにしました。たかが数分外へ出ただけなのにずぶ濡れ状態。駅やEF30の写真を撮った際にもカメラのレンズに水滴が付いてしまいました・・・。帰りは窓を開けることもできずに(タイトル写真)、鉄道記念館駅へ帰着。

関門海峡めかり1045-(レトロ観光線4列車)-九州鉄道記念館1055

5021.jpg

鉄道記念館駅横の踏切から、狙った「潮風号」。
ものすごい雨風で、傘をさしながら撮るのが大変です・・・。
:il!:il|Y_(´д`;))!l|il:|; ザアアァァ…
この雨が数日後に東北での記録的な豪雨になった模様。
12.4.30 門司港レトロ観光線 九州鉄道記念館

5022.jpg

いちおう、後追いながら走行写真も。
見た感じ、この列車にほとんど乗客はいなかった・・・。
この天気じゃトロッコ列車へ乗る気にならないか。
12.4.30 レトロ観光線 出光美術館-九州鉄道記念館(後追い)

大雨には祟られてしまいましたが、何にせよこの門司港レトロ観光線の全線乗車により、九州の鉄道路線はすべて完乗(鋼索線を除く)。目の上のたんこぶがごとく、ずっと気になっていたレトロ観光線を乗り潰せたことで、天気は雨でも気分はスッキリ爽快です。これで今旅の目的もほぼ達成。あとは門司港から小倉へ出て、新幹線に乗るだけとなりました。

5025.jpg

九州で乗る最後の普通列車は、荒尾行きの813系でした。
転換クロスシート車で締めくくることができて満足。(^^)
12.4.30 鹿児島本線 門司港

門司港1119-(4239M)-小倉1132

5026.jpg

小倉に着くと、ホームに撮り鉄がいっぱいいたので、何かと思いきや・・・
二日前にも撮った485系「にちりん」が入ってきました。
そうか、ちょうど「にちりん83号」の入線時刻だったのね。
思いがけずラッキーなタイミングに出くわしました。(^▽^)
12.4.30 鹿児島本線 小倉

5027.jpg

485系「にちりん」と415系の、ちょっと嬉しい国鉄形並び。
これで415系の方が赤電リバイバルのFm5編成だったらな・・・
な~んて思うのは、贅沢すぎる願いか。
(ちなみに、先にお届けした「にちりん撮影記」のタイトルに使った
ヘッドマークやJNRマークの写真は、このときに撮っています。)
12.4.30 鹿児島本線 小倉

最後に再び485系「にちりん」に出会えるという、嬉しいサプライズがあった小倉。そこから乗る新幹線は当然、東京行きの「のぞみ」・・・ではなく、私が選んだのは新大阪行きの「さくら」です。別に途中、大阪に用事があるわけではないのですが、同じ一本の新幹線に小倉から東京までの5時間をずっと乗り続けているのは面白くない。しかも東海道へ直通する「のぞみ」の普通席は2+3列配置。それならば途中の新大阪まででも、2+2列配置で乗り心地の良い、九州新幹線直通の「さくら」の方がいいと思い、小倉から新大阪までを「さくら」で、そして新大阪で東京行きの「のぞみ」へと乗り継ぐことにしました。これで二時間半ずつ二つの新幹線が味わえるし、しかも「のぞみ」のみの新幹線指定席特急料金よりも、「さくら」と「のぞみ」を乗り継いだほうが300円ほど特急料金が安いのです。

5028.jpg

小倉~東京の「のぞみ」指定席特急料金は9080円(繁盛期)。
いっぽう、「さくら (ひかり・こだま)」と「のぞみ」を
新大阪などで途中下車せずに乗り継ぐと、8780円になります。
時間に余裕があるのなら、こういう買い方もアリですね。

5029.jpg

雨を突いて小倉へ入って来た、N700系8000番台の「さくら」。
九州新幹線直通タイプの車両に乗るのは、
昨年3月の九州新幹線開業日以来です。
12.4.30 山陽新幹線 小倉

5030.jpg

「さくら」の普通車指定席は2+2列配置で、
シートの大きさはグリーン車並み。
乗るなら「のぞみ」よりも、断然コッチの方がおトクです(^^)

5031.jpg

そんなゆったりシートで食べる、今旅最後の駅弁は、
北九州名物・折尾の「かしわめし」。
びっしり敷き詰められた、かしわ(鶏肉)、錦糸卵、海苔の
三色が食欲をそそります。うーんウマい!☆☆☆☆・
実はコレ、鹿児島線で門司港へと向かう際に
わざわざ折尾で途中下車して購入したものなのですが、
あとで見たら小倉駅の新幹線ホームでも
同じモノが売っていました・・・(^_^;)。


有名観光地へ寄るわけでなく、「撮り鉄」「乗り鉄」と鉄道ばっかりの偏った旅に、長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。これでGWに行った九州の旅行記は終了です。今回一番の目的だった485系「にちりん」は、お天気にも恵まれて満足のいく撮影ができましたし、それ以外にも豊肥本線から眺めた阿蘇の車窓風景や、「A列車で行こう」の車内で味わったハイボール、今もけなげに頑張る熊電「青ガエル」の姿、そして最終日に訪れたレトロ観光線の乗り心地など、多くの鉄道情景が心に刻まれた旅となりました。個人的には時間や経済的な余裕があまり無く、なかなか長距離・長時間の旅がしにくくなっているのが実情ですが、やっぱりのんびりとした鉄道の旅はいいものですね~(^^)。
 

5032.jpg

新大阪からはN700系の「のぞみ」。
この列車が東京へ着くと、楽しかった旅に幕がおろされます。
12.4.30 東海道新幹線 新大阪

小倉1222-(さくら552号)-新大阪1444~1510-(のぞみ234号)-東京1743



共通テーマ:趣味・カルチャー