SSブログ

東北本線・・・初夏のヒガハス 「北斗星」撮影記 [鉄道写真撮影記]

2000.jpg
2012.05.19
東北本線
初夏のヒガハス 「北斗星」撮影
  

先々週の土曜日(19日)は、全国的に青空が広がる五月晴れ。このところ週末とお天気の相性がよくなってきましたね~(^▽^)。こんな日はどこかで、気持ちよく「撮り鉄」したいところ。とくに日の出が早くなるこの時期は夜行列車撮影のトップシーズンです。ああ、青森あたりに行って「はまなす」や「あけぼの」などを撮りたいなぁ・・・(´・∀・`*)。しかし、連休での出費が嵩み、超ボンビーな今の私に、青森はとてつもなく遠い。ブルトレ撮影はしばらくお預けか・・・などと思いながら、いつもお世話になっているtwingo583さんのブログ「青空鉄道日記」のお写真を拝見していると、東北本線の有名撮影地・ヒガハス(東大宮~蓮田)では今、田植えが真っ盛りのようで、水田に小さな苗が整然と並ぶ、初夏らしい爽やかな景色が広がっているではありませんか。もちろんヒガハスならばブルトレ「北斗星」だって通過します。そう、なにも遠くへ行けばいいってものではなく、近場でだってじゅうぶん「初夏のブルトレ」は撮れるのです。そこでこの日は「北斗星」を狙いに、ヒガハスへと行ってみることにしました。

ところで、話はちょっとさかのぼり、連休中の天気が悪い日に部屋を整理していると、こんなモノに目が留まりました。

0520.jpg

ファイルに収納されているのは、
JRの切符が買えるプリペイドカード「オレンジカード」。

実はコレ、私が過去に収集した「オレンジカード」(略して「オレカ」)の数々。国鉄末期から記念切符に変わって、新線開業や廃線、新車投入などのたびに発売されていた記念のオレカ。一時は私もその収集にハマり、集まった数はざっとファイル5冊分。ファイルに入らない台紙付きなどもかなりの数があります。しかしオレカは近年、非接触型ICカード、いわゆる「Suica」や「PASUMO」、「ICOCA」などの普及によって都市圏では影が薄くなり、ついに今年4月には首都圏での発売が終了。当然需要がなければ新作が発売されることもなく、オレカ・コレクションは今後ますます衰退が予想されます。買った当時は使用して穴が開くと価値が下がるといって、大半が未使用のまま保管してきましたが、コレクターが減れば、その価値もたかが知れています。だったら、このまま眠らせておくよりも有効活用、つまり使ってしまった方がいいのではないかと考え、ためしに今回、コレクションの中からテキトーに選んだ「いちばん価値の無さそうなヤツ」を使って、ヒガハスの最寄り駅である蓮田までの乗車券を買ってみることにしました。オレカできっぷを買うなんていつ以来だろう。ちゃんと使えるんだろうな・・・。

0519.jpg

いちばん価値の無さそうな・・・で、選ばれた悲しいカード(^^;)。
図柄の「888」とは何を意味するのかというと、
平成8年8月8日の「8並び記念」です。
96年7月発行(オレカは裏面の数字で発行年月がわかります)。
右下に「上野地区」の文字が入っているので、
おそらく上野駅で買ったものかと思われます。

券売機にカードを挿入してみると・・・お、使えた!(゚∀゚) しかも首都圏最新式の「黒い券売機」で。オレカは金券のようなものなので、もちろん使えて当然なのですが、10年以上も前のカードが普通に使えるのを見ると、ちょっと感動すら覚えます。私の定期券内の駅から蓮田までは片道650円。1000円分のオレカ一枚で往復は賄えませんが、それでも今の私にはじゅうぶんに助かります。今後少しずつではありますが、首都圏近郊、もしくは短距離利用では、価値の無さそうなオレカから使ってゆき、随時ご紹介できたらと思っています (価値の無さそうなモノからってところがセコいですね・・・(^_^;) )。

5月19日(土)
新宿0724-(東北1600E)-蓮田0803

蓮田の駅から撮影地となる田園地帯までは、徒歩で20分ほどの距離。ここは学生の頃から何度も何度も訪れている通いなれた道で、私の「徒歩鉄基準」は、この蓮田からヒガハスまでの距離が目安になっていると言っても過言ではありません。例えば、初めて行く撮影地でも地図を見ながら 「この距離はヒガハスより遠いから、20分以上はかかるな・・・」 とか、実際に歩いてみたところで 「ここはヒガハスよりも近かった・・・」 などと、つい思ってしまいます。首都圏近郊では宅地開発などで、ひらけた撮影地が少なくなりつつありますが、ここヒガハスはホントに昔から変わらない聖地的なポイントで、この日も何人かの同業者が見られました。広いヒガハスの中でも午前中の一番人気は、やはり「北斗星」の編成がきれいに撮れる上り方のお立ち台。しかし今回、私は編成写真よりも田んぼに張られた水での水鏡を狙ってみたかったので、お立ち台ではなく線路をほぼ真横から見る位置に立ちました。でも、同じように水鏡狙いの方がまわりに4~5人いらっしゃったので、ここも期間限定の「お立ち台」と呼べるのかもしれません。

2001.jpg

まずやってきたのは、253系の特急「日光」。
日光東照宮の「陽明門」をモチーフにしたこの色ですが、
twingo583さんはコレを「紅鮭くん」と呼んでいまして、
わたしもすっかり「紅鮭」のアダ名で定着してしまいました(^^)
東北本線 東大宮-蓮田

田園地帯が広がるヒガハス。しかし線路際までしっかり水が張られた田んぼは意外と少なく、上の「紅鮭くん」を見ても解るように、左半分は休耕田のようです。「北斗星」ではカマ(機関車)一両分を水鏡に映したいところですが、果たして入りきってくれるかな・・・? E231系の普通列車で何度か感覚をつかんで、いざ本番。

2002.jpg

水が張られた田んぼに姿を映し、
初夏のヒガハスを快走する「北斗星」のEF510。
このカマ、初めて流し撮りをしましたが、
なかなかシャープでカッコいいサイドビューですね!
東北本線 蓮田-東大宮

カマが水鏡に納まった~!\(゚∀゚)/バンザーイ  ・・・けど、水鏡側のパンタがカッツカツ・・・ \(゚A゚)\バンザイ、ナシヨ...。いつもより下を空け気味にして構えた流し撮りは、意外とバランス的に難しく、カメラを振っている最中に 「あ~、水鏡のパンタが切れる・・・」 とは解ったのですが、途中で軌道修正したらタテぶれしてしまうので、仕方なくそのままシャッターを切りました。カマがいい止め位置だっただけに惜しかったなぁ・・・。でも、水鏡クッキリで、初夏らしい写真にはなったかな?
本命の「北斗星」は通過しましたが、これで終わらないところにヒガハスの面白さがあります。貨物や臨時列車などの情報には疎い私ですが、同業者の行動を見ていると、何かが来る気配を感じさせます。「何か来るのですか?」と尋ねるテもあるけれど、何が来るのか解らないまま待つのもまた一興。同業者の皆さんは下り方に集結したので、楽しみに待っていると・・・。

2003.jpg

真っ青な空の下を、長~い貨物列車が駆け抜けて行きました。
1000番台から2000番台への改番が注目されているPFですが、
この国鉄色の1077も改番されてしまうのでしょうか・・・?
東北本線 東大宮-蓮田

やってきたのは貴重な原色(赤プレ)のEF65PF(1077)に牽引された貨物列車でした。なるほど、これは貨物好きには堪らないネタでしょうね~。ところで、このPF貨物を隣で撮っていた方から、「今日は武蔵野線でEF64 37(茶)のロンチキ工臨(レール輸送列車)がありますよ」 との情報をいただきました。今から急げば間に合うとのことでしたが、それはあくまでもクルマの場合。徒歩鉄の私が蓮田駅に戻って、宇都宮線、京浜東北線、武蔵野線を乗り継いで行ってはおそらく間に合わないでしょう。その工臨があるせいか、このPF貨物の後は半数くらいの方がヒガハスから撤収してゆきました。私はもう少し残って撮影を続けます。次に狙うのは、東武直通特急の「スペーシア」と、183系で運転される二本の団体列車。

2004.jpg

東武100系「スペーシア」で運転される、特急「スペーシアきぬがわ」。
この日は空と同じスカイブルーの「粋」編成でした。(^^)
東北本線 東大宮-蓮田(後追い)

2005.jpg

続いて、国鉄色183系で運転された団体列車。
まずは6連の大宮車が上り線を通過してゆきます。

2006.jpg

その20分後、今度は下り線に10連の田町車がやってきました。
シンボルマークのない田町の183系ですが、
やはりこの10連という長さは
往年の特急列車を髣髴とさせる迫力があります。
東北本線 東大宮-蓮田

この183系団体列車の運転情報は鉄道雑誌に掲載されていたので来ることがわかっており、とくに10連の田町車は、この広いヒガハスでぜひ撮りたいと思っていた列車でした。茶ガマの「ロンチキ工臨」に比べたら小ネタですが、短時間に二本の国鉄色183系が撮れたので、ヒガハスに居座った甲斐はあったかな?(^^)  もうこれで満足し、私は撤収しようと考えていたのですが、「ロンチキ」へ移動せずに残っていた方々は、まだ誰も帰ろうとはしません。まだ何かあるのか・・・? もうちょっとだけ待ってみると、下り線に見えてみたのはEF81に牽かれたブルトレ!? ∑(゚∇゚*)ナニコレ!

2008.jpg

私にとってはまったくのノーマークだった、
EF81の星ガマに牽引された24系7連の「ブルトレ編成」。
「北斗星」で撮ったEF510もいいですが、
やはりブルトレには赤いEF81が似合います。(^^)

これは東北本線で頻繁に運転されている乗務員のための訓練運転で、その実態は知っていましたが、撮影したのは今回が初めてでした。訓練運転とは言え、「北斗星」の牽引から引退したEF81がブルトレを牽く姿が見られるのは嬉しいかぎり。思わぬ収穫となった、この日二本目の「ブルトレ」撮影に満足して、今度こそ他の同業者と共にヒガハスを後にしました。

蓮田1131-(584M)-上野1210


この日は三脚を持たず、レンズも標準系ズーム一本を装着という軽装備で訪れたヒガハス。ネタモノが走るときは同業者でごった返す超有名撮影地ですが、逆にネタが少ない(・・・といってもコレだけの収穫)この日は、のんびりと初夏の風に吹かれながら、編成撮りや流し撮りといった鉄道写真の原点を素直に楽しめたように感じました。