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成田線・・・「アンパンマン・トロッコ」撮影記 [鉄道写真撮影記]

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2012.07.08
成田
「アンパンマントロッコ」撮影
  

「被災地の子供たちに笑顔を!」という趣旨で、東日本大震災の被災地を中心に運転されてきた「アンパンマントロッコ」は、JR四国が所有するトロッコ車両をJR東日本が運用し、車両の輸送をJR貨物が担うという、JR三社の共同プロジェクト。四国の車両が東日本管内を走るというだけでもファンにとっては堪らない貴重なシーンなのに、その運転理由が復興支援とは、また素晴らしい企画じゃないですか。3月の石巻線を皮切りに、東北本線・気仙沼線・大船渡線・釜石線・山田線・八戸線(運転順)と東北地区をまわり、先月には茨城の常磐線・水郡線でも運転された「アンパンマントロッコ」。できれば私も東北地区まで出向いて、トロッコ列車の撮影がてら被災地を応援したかったところなのですが、なかなか都合がつかずにずるずると、気がつけば運転日程も最終盤まできてしまいました。「アンパンマントロッコ」の復興支援行脚、最後の運転は千葉の総武本線・成田線。千葉が被災地という意識は薄い方も少なくないのではないかと思われますが、あの大地震で千葉の震度は6弱。800棟近い建物が全壊し、太平洋に面した旭市などでは津波が押し寄せ、県内で20人の方が犠牲となってしまいました。しかし、東北地区の被害があまりにも甚大すぎるために、なかなか千葉や茨城では声を上げて被災地とは言いにくい実情があるそうです。そんななかで今回、「アンパンマントロッコ」の運転計画に千葉や茨城が含まれたことは、個人的に嬉しく感じました。東京で生まれたものの幼少の頃からずっと千葉の柏で過ごし、千葉県出身と言っても過言ではない私。東北へは行けなかったけれど、私はこの千葉で「アンパンマントロッコ」を撮影するべきなのかもしれません。そこで運転最終日となる8日の日曜日、成田線へと出かけてみることにしました。


7月8日(日)
前日の大雨に見舞われた「やまばと」撮影での疲れが多少残っていますが、この日に成田線で運転される「アンパンマントロッコ」の時刻は銚子12時24分発~成田15時10分着なので、成田近辺で撮影ですれば家をゆっくりと出ることができます。しかし連日の撮り鉄でキビシいのは、体よりも懐具合。関東近郊とはいえ、前日の蒲須坂往復はかなりの出費(片道2000円強・・・)だったので、ここは少しでも運賃を押さえたいところ。そこで今回は時間に余裕があることから、JRよりも運賃の安い、京成を使って成田へ向かうことにしました。ちょっと乗り換えの手間はかかるけれど、乗り鉄的にも変化が付いて楽しいかも知れません。

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まずは新宿から都営新宿線で京成との乗換駅である本八幡へ。
新宿駅に入ってきたのは、京王線から直通してきた
京王9000系の急行・本八幡行き。
東京都交通局新宿線 新宿

京成へ乗るのならば、日暮里や船橋でJRから乗り換えるって手もあるのですが、スマホでウチの最寄り駅から成田までの最安ルートを検索してみたところ、意外にも新宿から都営新宿線経由で本八幡と出てきたので、素直にそれに従ってみることにします。個人的に乗る機会が少ない都営新宿線。新宿から本八幡までの端から端を乗り通したら、かなり時間がかかるのでは無かろうかと思っていたのですが、急行は思ったよりも停車駅が少なくて(今さらながら九段下を通過したのにはビックリ。例の「壁」が撤去されたら停車するようになるのかな・・・?)、わずか30分ほどで本八幡まで行くことができました。う~ん意外と使えるな、都営新宿線。

(新線)新宿0922-(都営新宿線急行)-本八幡0951

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新宿線の本八幡駅と京成八幡駅は目と鼻の先。
工事中のビルには来年度に京成の本社が移転予定。
京成本線 京成八幡

本八幡から京成八幡へと出て、今度は京成のホームで成田方面の下り列車を待ちます。京成で成田と言えば、先月の海外出張帰りに空港特急の「スカイライナー」へ乗ったばかりですが、あれはスカイアクセス線経由で、この京成本線に乗るのはかなり久しぶり。たしかここ八幡は、特急の成田空港行きが停まったハズ・・・と、時刻表を見ると、ちょうど特急は出たばかりで、次の優等列車は快速の佐倉行き。この佐倉行きでは成田まで行けませんが、入ってきた列車を見たら車内がガラガラだったので、とりあえず乗って先へと進むことにします。12分後に来る次の特急まで八幡で待っていてもツマラナイですし。

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京成八幡付近のカーブを行く3700形の快速・佐倉行き。
京成本線 京成八幡

次の特急へ乗り継ぐために快速を降りたのは、京成津田沼。ここは京成本線の他、京成千葉線や新京成電鉄が発着しています。ウマい具合に待ち時間で千葉線で運用されているリバイバル塗装の3300形でも来ないかと期待してみるも、停まっていたのは3500形でした。

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千葉線・ちはら台行きの3500形は未更新編成。
貫通扉に掲げられた手差しの種別板が
いかにも京成らしくていい感じです。(^^)
京成本線 京成津田沼

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反対の上りホームには
「花火ナイター号」のマークを付けた3000形が。
花火って、ドコの花火だろう・・・江戸川河川敷かな?

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津田沼から成田まで乗る特急が入ってきました。
車両は先ほど乗った快速と同じ3700形。

津田沼から乗った成田空港行きの特急は思ったよりも混んでいて、座席は空いていませんでした。佐倉行きの快速がガラガラだったことを考えると、やはり成田空港への利用者が多いのでしょうか。ところで、その先行していた快速は津田沼から各駅停車となるので、八千代台あたりでこの特急に抜かれるのかと思っていたのですが、結局佐倉まで追い越すことはありませんでした。こんなことなら佐倉までずっと快速に座っていた方がよかったかな・・・。そしてこの特急も佐倉からは各駅停車となり、成田へ。

京成八幡1000-(京成快速)-京成津田沼1012~1023-(京成特急)-京成成田1055

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京成成田とJRの成田はロータリーを挟んで徒歩数分の距離。
この日はちょうど「成田祇園祭」の開催日で、
JRの駅前には山車の姿が見られました。
成田線 成田

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成田に待機中の209系。
国鉄形王国と言われた千葉地区も、
いまではすっかり209系の天下に・・・。
成田線 成田

都営新宿線と京成を乗り継いで、ようやく成田に着きました。さらにここからJR成田線へ乗り換えて、トロッコ列車の撮影地へと向かいます。成田線(総武本線)の撮影地と言えば、物井~佐倉の通称・モノサクが有名なところですが、今回のトロッコの営業運転区間は銚子から成田まで。回送でモノサクも通るけれど、できれば成田より東側(銚子寄り)で撮りたいところ。でも私はこのあたりで撮影したことがあまり無く、唯一といていい知っている撮影地は、下総神崎(しもうさこうざき)駅周辺の田園地帯くらい。ここもモノサクに劣らないほどのメジャーポイントで混み合うことが予想されますが、キャパが広いので何とかなるでしょう。同ポイントへ向かうと思われる何人かの同業者とともに、下総神崎で下車。新宿、八幡、成田と三回も改札外乗り換えの手間はあったものの、ここまでの合計運賃は1260円(都営360円・京成580円・JR320円)で、JRだけの新宿~下総神崎の運賃1620円よりも360円ほど節約となりました。往復ならば720円。これは決して小さい額ではありません。

成田1141-(成田2533M)-下総神崎1200

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いろいろな路線を乗り継ぐショートトリップを経て、
目的地の下総神崎に到着。
成田線 下総神崎

成田では小雨がぱらつくような曇り空だったのに、下総神崎へ着く頃には天気が好転して青空が覗くようになってきました。日差しはキビシいけれど、やはり前日のことも頭にあって、晴れてくれた方が嬉しい。でも熱中症には注意せねば・・・と、撮影地へ入る前に線路沿いのコンビニに立ち寄って水分を購入していると、そこへ轟音と共にロクヨンの下り貨物列車が通過・・・Σ(゚д゚;)エエェッ。ああ、また貴重な貨物列車を撮り逃してしまったよ・・・(´・ω・`)。まあ、今日の本命は貨物ではなくトロッコなので、気を取り直して定番のお立ち台ポイントへ。

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まずは4連の209系普通列車で試し撮り。
これでだいたい100ミリ程度の画角です。
成田線 大戸-下総神崎(後追い)

本番の「アンパンマントロッコ」は、機関車のDE10、伴走車のキハ185、そしてトロッコのキクハ32の3両編成で、試し撮りした209系よりもさらに一両分短い。とりあえずオーソドックスな望遠系の編成写真で撮ってみたものの、編成が短いと何とも絵にしづらい・・・。そこで、ちょっとレンズを交換。

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次にやってきた普通列車は211系の5連。
今度は少し広角気味で、35ミリ程度。
成田線 大戸-下総神崎

中望遠で撮った209系と広角気味に撮った211系。共通しているのは緑に染まった田んぼを少し多めに入れてみたというところですが、ほぼ同じ立ち位置でもレンズの違いでずいぶん雰囲気が変わるものです。個人的には後に撮った211系の方が絵に広がりがあってスキかも。でもこの画角だと、トロッコよりも牽引機のデーテン(DE10)だけが大きく目立っちゃいそうだなぁ・・・。それにせっかくのトロッコをフツーの編成写真で撮っちゃうのは、ちょっともったいない気もしてきました。ならばいっそのこと、思いっきりサイドから空や田んぼを大きく入れた情景っぽい画にしてみるか。幸い、青空も安定してきたことだし。

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編成写真の撮れるお立ち台から離れ、
サイドから風景を広く入れて撮ってみた209系。
成田線 大戸-下総神崎

列車自体は小さくなっちゃうけれど、青空と田んぼの色合いがきれいで、これは案外悪くないかもしれません。ここまできたら中途半端なサイドではなく、完全な真横アングルでトロッコを迎えることとしました。ちょうど架線柱を真ん中に配したシンメトリーとなる構図にカメラを構えて、いざ本番。

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緑の絨毯と化した田園風景の中を
軽やかに駆け抜けてゆく、
復興支援の「アンパンマントロッコ」。
被災地で募集された子供たちが、
忌まわしいあの地震を一時でも忘れて、
心地よい風を感じてくれたら嬉しいですね。(^^)

踏切が鳴って列車が来る直前の最後の最後まで、青空と田んぼのどちらを大きく入れるべきか悩みましたが、画的に安定感を感じられた田んぼの方を選択。きれいに晴れ渡ってくれたおかげで光線状態も申し分無く、満足のいく撮影ができました~・・・って、あれ? 撮影後に確認のプレビュー画面をよく見てみると、なんだかデーテンの前に大きな黒いゴミが写り込んでいる!? Σ(゚д゚;)ナヌ!? ひょっとしてコレはセンサーに付いたホコリか? 焦って拡大してみると・・・

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上写真の拡大。
デーテンの前にあるのはホコリ? それとも・・・?

なんと写っていたのは、トンボでした (^▽^;)。まあこればっかりは写り込んでも、しゃーないわね。コレも夏の風物詩の一つとして考えることにしましょう(笑)。今回のトロッコは前日に総武本線経由で往路となる成東~銚子で運転されていて、この日の成田線は復路のようなもの。なので撮影はこの一本だけで終了です。

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撮影の順番は異なりますが、
トロッコを待っている間には原色(青プレ)の
ロクヨン(1012)が通過。
前日のカマスに続いての原色降臨ですが、
残念ながら単機でした・・・。
成田線 大戸-下総神崎

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帰りは211系に乗車。
房総の211系も置き換えやら転属やらの噂が絶えませんが、
果たして真相はどうなのでしょうね。
成田線 下総神崎

下総神崎から乗った帰りの電車は、総武線に直通する千葉行き。このまま千葉まで乗り通して総武快速線に乗り継げば、帰りは楽だなぁ・・・と、思うも、やはり今回は節約ルートを堅持。往路と同じように京成へ乗り換えるために成田で千葉行きを下車します。すると反対側のホームには、さきほどの「アンパンマントロッコ」がまだ停車していました。乗客はすでに下車した後でしたが、これは思いがけず、じっくりと車両を眺められるチャンスです。

下総神崎1521-(450M)-成田1542

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DE10 1202に牽かれた「アンパンマントロッコ」編成と、
ちょうどその横を通過してゆくE259系「NEX」のコラボカット。
千葉で運転されたという、いい記録になりました。
成田線 成田

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伴走車として四国から同行してきたキハ185-26。
今回の運転では、このキハ185が付いてきたというところも、
鉄的に興味深かったところではないでしょうか。

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そしてトロッコ車両のキクハ32-502。
被災地の子供たちに大きな夢と勇気を与えてくれた
「アンパンマントロッコ」はその使命を終え、
この運転を最後に四国へと帰ってゆきます。
♪ ああアンパンマーン、やーさしい君は、
行け!みんなのゆーめ、まーもるため~・・・♬

約四ヶ月にわたり、被災地をまわり続けた「アンパンマントロッコ」。できることなら子供たちの笑顔が解るような写真を撮りたかったところでしたが、そんな状況はなかなか難しく、最後の運転を爽やかな青空の下で撮れただけでもヨシとすべきでしょう。発車してゆく「アンパンマントロッコ」を見送って、私も成田を後にしました。(*゚▽゚)ノ~~~アリガトー、アーソパーソマーソ!!

京成成田1608-(京成特急)-京成八幡1652...本八幡1708-(都営新宿線)-新宿1748

 

3090.jpg

今回のJR区間で使ったオレカは
「アンパンマントロッコ」と四国繋がりってことで、
「2000年記念④ 2000系特急「しまんと」 」。
00年02月発行 予讃線高松駅にて購入。
JR四国では現在でも新規にオレカの発行をしています。



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