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スイスⅤ02・・・ヌシャテル・古城からの鉄道撮影記 [あおたけ的 SWISS紀行]

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2012.09.16~09.23 スイス 02
ヌシャテ
古城からの鉄道撮影記

仕事で訪れているスイス。前回からの続きです。
前回のラストにも書きましたが今回の出張は一週間の行程で、前半の三日はジュネーヴに、そして後半の三日は「ヌシャテル(Neuchatel)」という街に滞在する事になりました。4日目の朝にジュネーヴからヌシャテルへと列車で移動します。

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ジュネーヴからヌシャテルへ
乗る列車はジュネーヴとチューリッヒの大都市間を結ぶ
スイスの主要特急「ICN(InterCity-Neigezug)」。
12.9.19 スイス国鉄 ジュネーヴ

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ジュネーヴを出てから約一時間、
車窓にはスイス最大の湖、ヌシャテル湖が広がります。
(ちなみに湖の面積は前回紹介したジュネーブのレマン湖の方が
広いのですが、レマン湖は半分がフランスにまたがるため、
スイス固有の湖ではヌシャテル湖が最大となります)
12.9.19 スイス国鉄 Gorgier-St-Aubin(車窓から)

ヌシャテル湖に面した街、ヌシャテル(ヌーシャテルとも呼ばれます)は、スイス北西部のフランス国境近くに位置するヌシャテル州の州都で、時計などの精密機械産業が盛んな中規模都市。「新しい城」を意味する地名そのままに、丘の上には10世紀末に建てられた古城がそびえ立ち、城のまわりに広がる旧市街では今でも随所に中世の面影を感じることができます。すり鉢状の街に黄土色の建物が多く並ぶ事から、こちらでは「バターをくりぬいた」ような美しい街だと形容されるそうですが・・・欧州人の感覚は、よーわかりません(くりぬいたバターが美しい?? ^^;)。

   
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ヌシャテルの街に列車が入ると、
本来は車窓右手にヌシャテルのシンボルであるヌシャテル城が
見えるはずなのですが・・・今回はタイミング悪く
貨物列車にカブられて、車窓からのお城が撮れませんでした。。。
(ここまで来て、このカブり運の悪さときたら・・・(>ω<、) )
なので、これは二年前に列車で通った時に撮ったものです。
このときお城や教会は修復工事中でしたが、今回は・・・?
10.9.27 スイス国鉄 ヌシャテル付近(車窓から)

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「バターをくりぬいた」ような(?)
美しいヌシャテルの街並みが、車窓からも見る事ができます。
10.9.27 スイス国鉄 ヌシャテル付近(車窓から)

そんなヌシャテル。私は過去に何度か仕事で訪れたり、他の街や都市へ行く際に列車やクルマで通過して、このブログの「スイス紀行」にもちょくちょくその名が出てきていたのですが、今まで宿泊して滞在した事は無く、じっくりと街中を見る余裕もありませんでした。しかし今回は初めて、しかも三泊もするという事で、少しは街の魅力にふれる事ができそうです。

ジュネーヴから乗ったICNは順調に走り、一時間強でヌシャテル着。

Geneve0814-(ICN519)-Neuchatel0922

 

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立派な石造りのSBBヌシャテル駅。
構内にはスーパーやカフェ・バーなどが併設されています。
12.9.20 スイス国鉄 ヌシャテル

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高台にあるヌシャテルの駅前からはヌシャテル湖が一望できます。
晴れて条件のいい日には、湖越しにアルプスの山々が見える事も。

鉄としてはまず街へ出る前に、ヌシャテル駅を発着する列車たちから紹介したいと思います(なお、ここからの写真は時系列順ではなく滞在中の三日間に撮った写真を流れに沿って紹介します。撮影した日や時間帯によって天気や明るさが異なりますが、気にしないでください・・・^^;)。

街の玄関口となるヌシャテル駅は、6月に紹介したイヴェルドン・レ・バン駅同様にジュネーヴとチューリッヒを結ぶSBB(スイス国鉄)のメイン路線上にある主要駅のひとつですが、ジュネーヴから東に約100キロ、チューリッヒから西に約150キロ、ベルンから北へ約50キロ(ともに直線距離)に位置するスイス北西部の交通の要所で、イヴェルドン以上に賑やかな列車の顔ぶれが並びます。ヌシャテル駅を発着するのはSBBのメイン路線の他に、フランス国境の街・ラ・ショードフォン(La Chaux-de-Fonds)方面へSBBの支線が。スイスの首都・ベルン(Bern)方面へ大手私鉄のBLSが。さらにこの地域を走る中小私鉄のヌシャテル地域交通(TRN)が二路線、ヌシャテルを起点に山側のフルリエ(Fleurier)と湖側のフリブール(Fribourg)方面へそれぞれ伸びています。とはいうものの、SBBのメイン路線以外はどれもそれほど本数が多いわけではなく、駅構内は列車の発着が集中する時間帯以外はまったりとした空気が流れています。

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ヌシャテル駅を象徴するような私鉄同士の並び。
左はフリブール行きのTRN、右はベルン行きのBLS。
BLSの客車列車、先頭に立つのはSBBから譲渡されたRe420。
BLSも最近は電車が増えてきたので、客車列車は貴重かも。
12.9.20 スイス国鉄 ヌシャテル

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んで、こちらが客車ではないBLSの新型電車。
なんだかドラゴンボールの「セル」っぽい・・・^^;
この電車、基本は連接構造の4両編成なのですが、
ベルンではこれを4編成も繋いだ16連などという
東京近郊区間真っ青な列車もはあるそうで、
なんと同時期にスイスを訪れていたソネブロ仲間の
undoさん16連の列車をゲットされています。
12.9.19 スイス国鉄 ヌシャテル

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こちらはフルリエへ向かうTRNの電車ですが、
今回の滞在中には時間帯があわずに巡り会えなかったので、
これも二年前に訪れたときに撮影したものです。
10.9.27 スイス国鉄 ヌシャテル

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私鉄に対してSBBの旅客列車は
ジュネーヴやイヴェルドンで見かけるものと大差なくて
あまり面白味が無い・・・と思っていたところ、
ホームに入ってきた客車列車(RE)を後押ししていたのは
なんと以前紹介した「スイスの虹ガマ」(私が勝手に命名)こと、
「スイスエクスプレス」塗装機のRe420・11108号機 (゚∀゚)!!
広いスイスでたった二機のこの「ネタガマ」、
まさかこんなところのローカル運用に就いていたとは・・・。
12.9.20 スイス国鉄 ヌシャテル

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今度はAe610が牽引する貨物列車がゆっくりと入ってきました。
ヌシャテルはイヴェルドンのように貨物駅が併設されてはおらず、
貨物列車は停車せずに通過してゆきます。
12.9.19 スイス国鉄 ヌシャテル

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発着するそのほとんどが国内列車のヌシャテルですが、
一日に一往復だけフランス・パリとベルンを結ぶ
TGV(Lyria)がヌシャテルに停車します。
ジュネーヴで見慣れたTGVもここで見かけるとなんだか新鮮です。
12.9.22 スイス国鉄 ヌシャテル

列車の本数は多くありませんが、SBBを走る特急や貨物列車の他、個性的な私鉄の車両も数多く見られるヌシャテル駅。限られたわずかな自由時間のなかでも充実した鉄道ウォッチングを楽むことができました。続いては駅を出て街の方へ・・・って、おっともう一本、この鉄道を紹介し忘れるところでした。

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ヌシャテル駅のコンコースにあるのは、駅と街を結ぶケーブルカー。
もちろんコレも立派な鉄道です。
12.9.19 スイス国鉄 ヌシャテル

このケーブルカーは高台にある駅と、湖沿いに広がる街の中心部(よりちょっと外れた位置)を結ぶ、ヌシャテル住民の重要な足です。鉄としてはこのケーブルカーに乗ってみたい衝動に駆られたのですが、辺りにキップ売り場などが見当たらず、イマイチ乗り方がよく解らない・・・。料金後払いか、もしくは無料なのかもしれないけれど、万が一降車時に「なんでキップを持っていないんだ!ヽ(`д´#)」って仏語で怒られても堪らないので、ここはケーブルカーに乗るのをやめて、歩いて街へと向かう事にしました。どうせ駅から街へは下り坂になるわけですし・・・。それに初めて散策する街ですから、のんびりと歩いてみるのもまた良しです。(^^)

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急な坂道が続くヌシャテルの街。
坂の途中には16‰の勾配票が掲げられています。
鉄ならば‰(パーミル)の意味、解りますよね?
(この標識の場合、水平方向に1,000m進むと
16m上がる、または下がる勾配(坂道)を表します。)

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坂道が多く、アップダウンの激しいヌシャテルの街には
路面電車は乗り入れられず、街中の公共交通機関はトロリーバスが主流。
坂道に立つ古いワイン蔵の前をゆくのは新型のトロバス。

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旧型のトロバスは黄色。
個人的にはコッチの方が味があって好きかも。
背景に写る立派な建物は郵便局です。

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繁華街の路地を行く新型。この色、ちょっと都バスっぽい・・・
いや、富山市バスっぽいですか? あるまーきさん、サットンさん (^^)
最近の電車同様に、VVVF音を奏でながら走り抜けてゆきます。

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駅と街を結ぶ以外にもう一本、
高台の住宅地と繁華街の間にもケーブルカーがありました。
コッチの方が駅で見たものより古そうですね。

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駅から坂道を下り続ける事15分ほどで、
ヌシャテル湖に出ました。
湖畔には公園や高級ホテルが建ち並びます。

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静かな湖畔の遊歩道から一本入ると、
そこは賑やかな旧市街地の繁華街。
アール広場のオープンテラスでは明るいうちから
みんなビールやワインをあおっています。

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もちろん私も一杯・・・D\(゚∇゚*)カンパーイ
大か小かと聞かれ、思わず大と言ったら、
とても大きなジョッキが来てしまいました。
比較対象物が見当たらなかったのが残念です・・・。

駅から街の中心となる旧市街地へと下りてきて、まずは軽く一周。街の規模としてはジュネーヴほど大きくはないけれど、イヴェルドンよりは大きく賑やかで、以前に訪れたドイツ国境の街・シャフハウゼンに雰囲気が似ています。大学や高校など学校が多くあり、若い人の姿が目につくのもヌシャテルの特徴かも。オープンテラスでそんな事を感じながら大ジョッキのビールを飲み干し、再び散策へ歩みを進めます。今度は駅とは逆の高台を目指す事にしました。ここにあるのがヌシャテルのシンボルであるヌシャテル城(のハズ)。

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時計塔の脇にある細い坂道を、
先ほどとは逆に今度は上がってゆきます。

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急な坂道の連続、やはり上りはかなりキツい。
斜面にケーブルカーが運行されているのも納得です。
やがて、階段の向こうにようやく城壁らしきモノが・・・。

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外壁に沿って歩いていると、
やがてなんだかスゴいところに出てきました。
うーん、これぞまさに歴史ロマン!?
*.。o゚:+(´∀`*)*.。o゚:+カンゲキ

1000年以上前の10世紀末に建てられたヌシャテル城。高々と石が積み上げられた城壁に思わず感動してしまいます。この城壁の上には城の本丸(っていうのか?)があるはずと、意気揚々と城壁を上がってみると、そこにあったのは・・・

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街を見下ろす城壁の上にあったのは
12世紀に建立されたコレジアル教会。
お城なのに教会?しかも思いっきり修復中じゃん・・・orz

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外は修復中でも中には入れました。
立派なパイプオルガンに、美しいステンドグラス・・・
やっぱりここは城ではなくて教会です。

あれ、教会? お城じゃないの?? 裏手の方に回ってみても、あるのは州庁舎の看板が掲げられている白壁の建物だけ・・・(・_・ ?)ハテ?。ここでフランス語の説明板が読めない私は、ヌシャテル城は現存しない城壁だけのいわゆる城趾で、その城趾に後からこの教会が建てられたのだ・・・と、勝手に思い込み、教会だけを見物するに留まってしまいました。ところが日本に帰ってから調べてみると、教会の裏手(本当はそっちが表)にあった白亜の建物こそがヌシャテル城そのもので、現在は城の一部を庁舎として使っているのだそうな・・・。おかげでヌシャテルのシンボルであるヌシャテル城の写真を取り損ねると言う大失態をしてしまいました・・・(´д`;)。

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これがwikiさんから拝借したヌシャテル城の全容です・・・。

でも、実はこの高台のお城へと上がってきたのには、城見物以外にもう一つの理由がありました。それはもちろん鉄道の撮影。冒頭でも紹介したように、列車の車窓からこのヌシャテル城がキレイに見えたという事は(カブられたケド)、逆にこの城からはSBBのメイン路線を走る列車がスッキリと見えるハズ。城壁の上から見渡してみると・・・お、線路と架線柱を発見!

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斜面に立ち並ぶヌシャテルの家々を横目に
ジュネーヴへ向けて走り抜けるRABDe500形のICN。
12.9.20 スイス国鉄 ヌシャテル付近

さっそく城壁の上からICNを撮影。・・・でも、思ったほど抜けがよくないし、何よりも絵的にあまり面白くありません。考えてみたら湖とは反対側の斜面に線路は引かれているので、湖を一緒に写し込めるワケではなく、さらにこの斜面に立っている住宅地は旧市街のような趣のある建物が少ない。これではあまりヌシャテルらしさが出ませんね・・・。そこで今度は少し移動して、今いるこの城壁を一緒に写し込んで撮影してみる事に。

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城壁の向こうを走るのは、TRNのRABe523形。
中世初期の城壁と21世紀生まれの新型電車、
時を越えたコラボです。(^^)
12.9.20 スイス国鉄 ヌシャテル付近

ちょ~っと列車が小さく、コラボというにはムリがあるけれど、なんとか列車と城壁を絡ませる事ができました。もっと列車を目立たせたいところですが、城壁をこれ以上カットしちゃうと単なる石壁にしか見えなくなっちゃうので、このくらいが適度・・・かな? ちなみにこの線路は先ほどのICNが走っていたSBBメイン路線と同じ線路なのですが、分岐点まではフルリエへ向かうTRNも共用で使用しています。

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試しに今度はタテ位置で構えていると、
Re420が牽引する貨物列車がやってきました。
赤いカマは風景に映えるかと思ったのですが、
それほど・・・というか、全然目立ちませんね (^^;)

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再びヨコ位置に戻して、ICN重連の連結面を。
やはり白い列車の方が、小さくても存在感があります。

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最後にもう一枚、城壁の上からSBBのローカルを。
このお城はヌシャテルを代表する観光地ですが、平日はとても静か。
ましてやここから鉄道を撮っている者など皆無です。

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城壁の上から湖方向を見ると、この素晴らしい眺め。
コッチ側に線路があると背景がキレイだったんですけどね・・・。
旧市街は建物が密集していて、トロバスの姿も見えませんでした。

列車でヌシャテルを通過するたびに、この城からはどんなふうに列車が撮れるのだろうかといつも気になっていました。念願のヌシャテル城は思っていたほどスッキリと撮れる場所ではありませんでしたが、城壁の向こうを走る列車という欧州らしいカットが撮れて大満足。仕事で来ているとどうしても時間に制約があって、鉄道写真はほとんどが駅撮りばかりになりがち。そんななかで、一枚でもこういう写真が残せるとホントに嬉しいものです(^^)。

  


・・・続きま
す。



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