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土佐電鉄・・・高知の「とでん」撮影記 [鉄道旅行記]

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2013.12.14
土佐電気鐵道
魅力満載!楽しさいっぱい!!
南国高知の「とでん」 撮影
  

 

先月、有効期限が近づいている飛行機のマイレージがけっこうある事に気がつきました。月末に失効してしまうぶんだけでも、国内の都市を往復できるほどのマイル数です。溜めたマイルは物品や商品券などとの交換も可能ですが、やはり旅好きとしては飛行機のチケットと交換したいところ。では、そのマイルを使ってどこへ行こうか・・・(゚ペ)ウーン… 。もうご存知の通り、私が旅をする目的の大部分は鉄道の撮影に費やされます。ならばいつものように、国鉄形の特急列車や寝台特急の撮影に向かうか? しかし今は冬枯れの季節で、遠征してもあまりいい絵になりそうもありません。そこで今回はあまり季節に関係なく、かねてから一度は撮影してみたいと思っていた、とある地方私鉄を訪ねてみる事にしました。それは路面電車の「とでん」です。え?都電? 東京人がヒコーキに乗って、都電を撮りにいくのかって?( ̄△ ̄;)エ…? いえいえ「とでん」と言っても、東京の路面電車である「都電 荒川線」ではなく、今回の「とでん」とは「土佐電気鉄道」。通称「土電=とでん」です(ただ、やはり都電と混同しやすいので、私は「土佐電」と呼んでいますが・・・^^;)。土佐電気鉄道はその名からも解るように、土佐の国・高知県の高知市を中心に走る路面電車。私が路面電車目的で遠征するのは珍しい事ですが、この土佐電は乗るにも撮るにも、なかなか面白い路線なのです。それに四国へ渡るのは私的にかなり久しぶりなので、土佐電撮影だけでなく、新鮮で美味しい地のモノに巡り会えるのも楽しみです(^^)。

*今回はいつもに増して、長めの記事となってしまいました。とくに速報性を重視したようなネタではありませんので、連休や年末年始休みなどのお時間がとれるときに、のんびりとお読みいただけたらと思っています。。。m(_ _)m


12月14日(土)

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今回の旅は四国の玄関口・高松からスタート。
最近では正式名称の高松駅に加えて、
「さぬき高松うどん駅」の愛称が付けられました。
13.12.14 予讃線 高松

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早朝の高松で発車を待つ、
土讃線の高知行き特急「しまんと1号」(右)。
ちなみに左の列車は、瀬戸大橋を渡って岡山へ向かう
快速「マリンライナー」。
13.12.14 予讃線 高松

朝6時の高松駅。ここから土讃線の特急「しまんと」に乗って、高知を目指します。飛行機のマイレージを使ったのに、なぜ羽田から目的地の高知空港へ直接飛ばず、前日の午後にわざわざ高松へやってきたのかと言うと、やはり私は鉄だし、飛行機だけで東京と高知を往復してしまうのは味気ないと思ったから。その点、高松と高知を結ぶ土讃線(多度津~窪川)は幹線ながらも、四国山地の山あいを吉野川沿いに走る風光明媚な路線で、これならば「乗り鉄」的にも旅を満喫する事ができます。ただ、朝早い時間帯の列車だったので、高松駅でも、車内でも、駅弁が手に入らなかったのは残念 (・ε・`。)チッ。

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高松から高知へ向かう土讃線の車窓で、
いちばんのハイライトと言えば、
景勝地 大歩危・小歩危(大歩危峡)の渓谷美。
雄大な景色が広がります (´▽`*)イイネ 。
13.12.14 土讃線 小歩危-大歩危(車窓から)

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高松から約二時間で高知着。
振り子形特急気動車の2000系はカーブでも速度を落とさず、
なかなか豪快な走りを見せてくれました。
ただし、かなり揺れるので、
乗り物酔いしやすい方は要注意かも・・・(^^;)
13.12.14 土讃線 高知

高松0604-(土讃線 しまんと1号)-高知0817

振り子形車両を使った特急「しまんと」は、軽快に山間部や渓谷沿いを走り抜け、定時に高知へ到着。高架駅から階段を下りてJRの改札を出ると、すぐ右手(南口)に今回のお目当てである、土佐電の高知駅前電停が見えてきました。(゚∀゚)オッ!!

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2008年に高架化され、モダンなスタイルとなったJR高知駅。
ちなみに列車接近時にはホームで「アンパンマンのマーチ」が流れます(^^)。
そのJR駅の南側に隣接しているのが、土佐電・桟橋線の高知駅前電停。
13.12.14 土讃線 高知

ちょうど電車が入ってきたところだし、さっそく乗車を・・・と、いきたいところですが、その前に土佐電の乗り降りが一日自由にできる「一日乗車券」を手に入れなくてはなりません。でも、あたりを見回しても、乗車券を売っていそうな販売所が見当たらない o(゚д゚o≡o゚д゚)oキョロキョロ 。停車している電車の乗務員さんに尋ねてみようかな・・・と思った矢先、ベルが鳴って電車は発車して行ってしまいました・・・ =3 ヽ(´Д`;)アア… 。ひとり残された電停のホームで案内掲示をよく見てみると、高知駅では電停と反対側の北口にバスの案内所があり、そこで一日乗車券が購入できるらしい。南口の方がずっとひらけているのに、案内所は北口にあるのね・・・(ちなみにあとから知ったのですが、一日乗車券は電車内の乗務員さんからも購入できるとの事)。

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高知駅北口のバス案内所で無事に買う事ができた
土佐電の「電車一日乗車券」。
これは全線用のもので、お値段は1000円。
この他に短距離の市内均一区間用のもあり、
そちらは500円です。
ちなみに市内均一区間の通常大人運賃は190円。
均一区間外は整理券方式で、距離によって運賃が変わります。

一日乗車券を手にして南口へ戻り、あらためて土佐電巡りのスタートです (/*´∀`)o レッツラゴー♪ 。土佐電は高知市の繁華街である、はりまや橋を中心に十字方向へ路線が伸び、東は南国市の後免町へ後免線が、西はいの町の伊野へ伊野線が、南北には高知市内の高知駅と桟橋通五丁目を結ぶ桟橋線が運行されています。ただし三路線はそれぞれ時間帯やニーズに合わせて直通運転が行なわれており、利用する際には東西方向(後免町~伊野=後免・伊野線)と南北方向(高知駅前~桟橋通五丁目=桟橋線)に分けた方が解りやすいかもしれません。三路線の総延長は25.3キロにも達し、路面電車としては広島電鉄に次ぐ長い距離となっています。

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土佐電の簡易路線図。
路線ははりまや橋を中心に
東西南北、十字方向に延びています。
いちばん北が現在の私がいる高知駅前。

そして上の乗車券写真を見ると解りますが、一日乗車券の背面には「とでんの電車たち」と題した車両の種類が写真で掲載されていて、その数はなんと11車種 w( ̄o ̄)w オオー!。 バラエティに富んだ車両たちこそが、土佐電の魅力のひとつです。しかも、近年の路面電車は全国的にバリアフリーへ対応した低床車の導入が推進される中、土佐電の低床車は今のところ2002年に導入された100形「ハートラム」が、わずか一編成のみ在籍。現在運転されている大半の車両は1950~60年代に製造、もしくは同時期に製造されて他の鉄道から転用された、釣りかけ駆動方式の旧型車なのです。これは一般の利用者からしてみたら、あまりありがたくない事だと思いますが、鉄にとっては昭和の香りを味わえる楽しい路線と言えるでしょう (*゚∀゚)=3ハァハァ! 。そんな豊富な種類の中で、この日の私がはじめに乗る事になったのは、これまたマニアックなこの電車。

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南口へ戻ってくると、待っていたのは
土佐電らしからぬ、真っ赤な電車。
あれ?コレって・・・名鉄!? (゚∇゚;)エッ!?
13.12.14 土佐電鉄桟橋線 高知駅前

高知駅前の電停に待機していたのは、元・名鉄モ590形の現・土佐電590形592号。名鉄時代は岐阜の市内線や美濃町線で活躍していた車両で、2005年の岐阜市内線廃止を機に、591号と592号の二両が土佐電へ譲渡されてきました。廃止になった名鉄市内線のお古と言うと、今年の5月に訪れた福井鉄道でも何台か見かけましたが、こちらはそれよりもずっと古くて味のある電車。私も岐阜市内線が健在な頃には何度か乗りにいった事があるので、この赤い路面電車には思わず懐かしさを感じます。譲渡後も塗装は替えられずに、名鉄時代のままってところもファンにとっては嬉しいですね。そこで、まずはこの「名鉄電車」の走行シーンから撮影してみる事にしました。表示してある行き先は桟橋通五丁目ですから、これは比較的距離が短い南北の桟橋線を往復する電車で、折り返しを狙うにも好都合です。

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元・名鉄電車592号の車内はこんな感じ。
記憶が曖昧だけれど、
おそらく名鉄時代とは大きく変わっていないと思われます。

高知駅前0828-(土佐電桟橋線)-桟橋車庫前0840
*掲載時刻は時刻表基準ではなく実際の目安です。

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桟橋線の終点、桟橋通五丁目のひとつ手前にある、
桟橋車庫前で下車し、
折り返して高知駅へ向かう名鉄電車を狙います。
北から南を見ているので、当然逆光・・・(´Д`;)アウ…。
交換した左隣の電車は、
クジラの絵が描かれた高知の観光PR電車でした。
13.12.14 土佐電鉄桟橋線 桟橋車庫前

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逆光を同位置で180度振り返れば、もちろん順光。
この写真だけ見ると、ここはまるで岐阜市内!? (゚∀゚)アヒャ☆
でも考えてみたら、わざわざ高知まで土佐電を撮りにきたのに、
名鉄電車が撮れて喜ぶって、どうなんだろうね・・・(´∀`;)ハハ
13.12.14 土佐電鉄桟橋線 桟橋車庫前(後追い)

折り返してくる名鉄電車を撮影するために降りたのは、桟橋車庫前。この電停はその名の通り、土佐電の車両基地である桟橋車庫の最寄りで、すぐ脇には車庫に待機するさまざまな車両たちの姿を眺める事ができます(もちろん無許可で立ち入る事はできませんが、公道からも車庫内の様子は見られます)。実は名鉄電車に巡り会うのとは関係なしに、土佐電撮影で私の最初の目的地はこの桟橋車庫でした。

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公道に面した入り口から見た、桟橋車庫に集う車両たち。
左手前の車両は自動車メーカーの広告ラッピングですが、
右側に見える、クリーム地に屋根が深緑、窓下に青帯、
裾部が赤といったカラーリングが土佐電の標準カラーです。
これはどこか昔ながらの路面電車っぽくて
いいカラーリングですね(^^)
13.12.14 土佐電鉄 桟橋車庫(公道から撮影)

撮り鉄だから、まずは車庫訪問が基本・・・というわけではないのですが、土佐電では毎週末(土・日・祝)に、ちょっと面白いイベント電車を走らせているのです。それはなんと、海外の都市から譲渡されてきた「外国電車」。土佐電には現在、ノルウェー・オスロ市電(198形)、オーストリア・グラーツ市電(320形)、ポルトガル・リスボン市電(910形)、そしてドイツ・シュトゥットガルト市電(735形)で活躍していた四種類の外国電車が在籍していて、残念ながらシュツットガルト市電の735形は運用を離脱しているようですが、残りの三種のうち一台が週末にイベント電車として運転されています。私が訪れた土曜日も、もちろん運転日。当初の計画では、その外国電車の出庫時刻(9:40)に合わせて、桟橋車庫へ向かおうと思っていたのです。さて、この日運転されるのはどの国の電車かと言うと、車庫の出発線に現れたのは・・・このカワイイ電車でした。

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高知駅の行き先を掲げた外国電車。
このクリームと緑色のツートンカラーは
オーストリア・グラーツの市電です。
13.12.14 土佐電鉄 桟橋車庫(公道から撮影)

いかにも国内の路面電車とは一線を画したデザインのレトロな電車は、元・オーストリア・グラーツ市電の320形。運用に入れる外国電車三種のうち、リスボン市電の910形は白一色の比較的地味なスタイルなので、できればそれ以外(オスロかグラーツ)がいいな・・・と思っていたこともあり、このグラーツ市電は私個人的にアタリと言っていいでしょうヽ(´▽`)ノワーイ♪ 。ちなみに私はオーストリアの都市というと、首都のウィーンとスイスに隣接する小都市(ブレゲンツ)にしかいったことがなく、グラーツと言われてもあまりピンと来ないのですが、そういえばソネブロ仲間のやまびこさんが今年の夏にご夫婦でオーストリア旅行をされていて、たしかグラーツの市電にも乗っていましたっけ・・・。

桟橋車庫から出庫したグラーツ市電はこのあと、高知駅前と枡形の短距離を往復する運用に就きます(両駅の位置関係は上記の簡易路線図を参照)。そこで私はすぐに続行の電車に乗って追いかけ、市内中心部のはりまや橋付近で何カットか撮ってみる事にしました。

桟橋車庫前0950-(桟橋線)-はりまや橋1000

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高知で繁華街の代名詞とも言える、はりまや橋(播磨屋橋)。
江戸時代に高知の豪商である播磨屋が
堀川に私設で橋を架けたことが名の由来で、
元来は味のある木造の太鼓橋であったそうですが、
道路拡張と街路整備、さらに堀川自体の埋め立てにより、
現在ではコンクリート製の欄干のみがモニュメントで残るという、
「日本三大ガッカリ名所」のひとつにも挙げられるスポットです(^皿^;)。

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はりまや橋の交差点を右折して枡形へ向かうグラーツ市電。
背景には高知の銘酒「土佐鶴」の看板が入り込みました。
なんともミスマッチな組み合わせですね(^^;)。
13.12.14 土佐電鉄桟橋線 はりまや橋付近

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今度は国道の真ん中をゆくシーンを歩道橋上から狙ってみました。
繁華街を走る路面電車の撮影は、ビル影などに悩まされます。。。
13.12.14 土佐電鉄伊野線 堀詰-はりまや橋

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はりまや橋電停で信号待ち。
グラーツ市電の前を横切るママチャリ・・・(笑)
13.12.14 土佐電鉄伊野線 はりまや橋

まあ、珍しいイベント電車とはいえ、二~三回も撮ればじゅうぶん。そろそろ次の目的地へ行こうか・・・と、思っていたところ、はりまや橋交差点で撮ったグラーツ市電の続行でやってきたのは、こちらも土佐電名物のこの電車 Σ(゚O゚*)アッ! 。

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車体に「アンパンマン」のキャラクターが描かれた、
「アンパンマン・ミュージアム号」。
子供たちに大人気の電車です(^^)
「アンパンマン」好きだと言う
たじまーるさんの娘ちゃんも喜んでくれるかな?
13.12.14 土佐電鉄桟橋線 はりまや橋

高知県は「アンパンマン」の生みの親、故・やなせたかし先生の出身地で、地元の香美市にはアンパンマン・ミュージアムがあるそうです。そのPRを兼ねて土佐電が走らせているのが、この「アンパンマン・ミュージアム号」。アンパンマンが車体に描かれた列車と言うと、JR四国の特急「南風」用の2000系やトロッコ列車などが有名ですが、地元出身作家の愛すべきキャラクターは路面電車にも描かれていたのですね(^^)。そのアンパンマン号は、先ほどのグラーツ市電を追うように高知駅前方面へと走ってゆきました。ということは、終端で三面二線構造の高知駅前電停では、グラーツ市電とアンパンマン号が同時に並ぶという事になります。コレはなかなか面白いシーンかも・・・。私は急いで高知駅へ向かってみました。 バビューン!!-=≡Σ(((⊃゚∀゚)つ アンパンマーソ

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高知駅前に並んだグラーツ市電とアンパンマン号。
しかし残念ながらグラーツ市電の方には
架線柱の影がかかっていました。(・∀・`)ザンネン
グラーツ市電が先に出れば、
影を外したタイミングで撮影できますが、
先発はアンパンマン号の方。
13.12.14 土佐電鉄桟橋線 高知駅前

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高知駅前を発車したアンパンマン号。
飛びまわるアンパンマンをイメージして、
大きく空を入れた構図にしてみました。
今年10月にやなせたかし先生は亡くなられてしまいましたが、
「アンパンマン」はいつまでも子どもたちに愛と勇気を伝える
ヒーローでありつづけることでしょう()'〇'()。
13.12.14 土佐電鉄桟橋線 高知駅前

並び写真は架線柱の影がかかってしまって思ったよりもイマイチだったけれど、アンパンマン号がきれいに撮れたのは嬉しい収穫でした。でも気がつけば、名鉄電車や外国電車のグラーツ市電、さらにアンパンマン号といった「ネタ電車」ばかりを追いかけて、結局、ふりだしの高知駅前電停に戻ってきてしまったではないか・・・Σ(´□`;)ハゥッ。時刻はすでにお昼近く。まだまだ行きたいところがある・・・というよりも、そろそろ私が今回の遠征先に土佐電を選んだ、本当の目的を果たすべき場所へ行かなくてはなりません。それはどこかというと・・・高知駅前から再び桟橋線の電車に乗り、いったんはりまや橋へ。

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グラーツ市電のラストカットは、
移動ついでにはりまや橋の平面交差を
横切るところを狙ってみました。
13.12.14 土佐電鉄桟橋線 高知駅前

はりまや橋で伊野線の伊野ゆきへ乗り換えて、地図でいう十字方向の左側、つまり西へと向かいます。前述したように、南北を結んでいて比較的距離短い桟橋線が高知駅へのアクセスや桟橋車庫への出入庫線を兼ねているのに対し、東西に長く伸びている後免・伊野線は、まさに地域住民の足代わりとなる土佐電のメイン路線。東端の後免町から西端の伊野までは22.1キロもあり(後免線10.9キロ、伊野線11.2キロ)、端から端まで乗り潰すと所要時間は約一時間半。路面電車としてはかなり乗りごたえあります(ただし、現在は後免町~伊野の全線を通して走る電車は無し)。

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鈍く光るマスコンハンドル。
運転士がノッチを入れると、床下からは
釣りかけモーターの独特な駆動音が響きます。

私が土佐電を訪れるのは今回で三度目。15年くらい前に訪れた一度目は、とにかく全線を完乗することだけが目的で、JR後免駅に隣接する後免町から一気に伊野までを乗り通し(その当時は全線の直通があったのか、それともどこかで乗り換えたのかは記憶が定かでない)、終点の伊野では、やはり隣接するJR伊野駅から土讃線に乗って高知へ戻り、桟橋線を往復すると言った、路面電車ファンから怒られそうな横着な潰し方です(ちなみに、伊野~はりまや橋が土佐電だと34駅・45分なのに対して、伊野~高知を土讃線だと普通列車で7駅・20分)。そのときは途中下車をする事も無く、ただ車窓をぼーっと眺めている程度で過ごし、とくに土佐電が魅力的な路線だとは思いませんでした。ところが二度目に訪れた5年前の事。このときは土讃線を走っていた国鉄形気動車キハ58の引退が直前に迫っていた頃で、もちろんそれを撮影するのがいちばんの目的。たしか朝の通勤・通学時間帯に一本だけキハ58の運用が残っていて、その行き先が伊野でした。そこで私は伊野の二つ手前(高知寄り)にある朝倉駅付近でお目当てのキハ58を撮影。そのあと高知市内へ戻るのに少し余裕があり、せっかくだから撮影地に近い朝倉の電停から土佐電に乗ってみることにしました。するとそこには道幅の狭い路地を単線の路面電車が所々で交換しながら走るという、どこか懐かしさが漂う情景が広がっていたのです (*゚0゚)ハッ! 。前回(一度目)は、車窓から眺めていただけだったので、路面電車ならどこにでもありそうな一般的な併用軌道だと思って、まったく気に留めなかったのでしょう。伊野線・鴨部から朝倉駅前までの単線併用軌道区間、いずれここはじっくりと撮影してみたい・・・そう思い続けて早5年。実は今回の土佐電撮影は、その時の思いを実行したものだったのです。あの日以来の訪問となる朝倉電停で下車。

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伊野線の末端、鏡川橋と伊野の間は単線となり、
運転本数も半減してしまいます。
13.12.14 土佐電鉄伊野線 曙町-朝倉(車窓から)

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単線区間の電車同士は
交換設備のある途中駅や信号場で交換するシステム。
13.12.14 土佐電鉄伊野線 朝倉(後ろの車窓から)

高知駅前1110-(桟橋線)-はりまや橋1115~1135-(伊野線)-朝倉1201

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朝倉に到着した土佐電。
ここ朝倉は交換ができる配線となっており、
手前にも線路が敷かれているのが見えます。
13.12.14 土佐電鉄伊野線 朝倉

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朝倉電停の待合室。
電車は車道上にある緑色の部分で乗降します。
これは「ノーガード電停」と呼ばれるもので、
見た目の通りこのスタイルはかなり危険度が高く、
全国的に減少しつつある停留所です。
しかし、土佐電では現在も31箇所がノーガード電停。
13.12.14 土佐電鉄伊野線 朝倉

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ちなみに朝倉のひとつ手前にある曙町電停は、
待合室のような設備も無く、
駅名や時刻表は一般の電柱に貼付けられています(^^;)
もちろんここもノーガード電停。
13.12.14 土佐電鉄伊野線 曙町

さっそく道路脇に立って撮影開始。ここは南側に住宅や商店が建ち並んでいるので、陽の低い今の時期は晴れてもスッキリと日が当たるところは少なく、場所やシャッタータイミングを慎重に見極めながらの撮影となります。多少のマンダーラは目をつぶるべきか・・・(-_-;*)ウゥム… 。夏場など、もっと陽が高く上がる時期ならば、路面全体に日が当たってスッキリと撮れるかもしれません。

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住宅の影がまだらに落ちた、併用軌道を進む600形。
そういや、やっと本来の土佐電らしい電車を撮ったな・・・(´∀`;)。
13.12.14 土佐電鉄伊野線 朝倉

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狭い路地でクルマを引き連れながら交換する土佐電。
左の赤い電車は先ほどの名鉄電車ではなく、
中古車屋の広告ラッピング電車。
ここを名鉄電車の590形が走ってきたら、
まさにかつての名鉄美濃町線のような情景ですね。
13.12.14 土佐電鉄伊野線 朝倉

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途中駅間での区間運転が多い、伊野・後免線。
東西の終端駅まで行く電車に限り、
運転室窓下に平仮名で書かれた行き先板が掲げられます。
これも土佐電名物。
13.12.14 土佐電鉄伊野線 朝倉-朝倉駅前

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高知大学のキャンバス内にある
木々の緑を背景に走る正面二枚窓の600形。
在籍車両の中ではこの600形がいちばん多く、
約半数(30/66)を占める勢力です。
おや? 左側の窓に見える輪っかは・・・(゚∀゚)オッ!!
13.12.14 土佐電鉄伊野線 朝倉駅前-朝倉

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そう、伊野線の末端部にあたる朝倉~伊野は
通票閉塞方式で運行されており、列車が行き違う際には、
今や貴重になったタブレット(通行票)の交換が見られます。
これも土佐電撮影では見逃せないシーン。
タブレットー( ・∀・)ノ8ヽ(・∀・ )コウカーン
13.12.14 土佐電鉄伊野線 朝倉

意外とクルマの交通量が多いこの道路。電車がクルマにカブられないように撮影すると言う事以前に、撮影者自身もクルマの往来にはじゅうぶんに注意を払う必要があります。住宅の影落ちやクルマの通行など撮影の制限が多いなかで、なんとか思い描いていたような狭い路地をゆく土佐電の姿やタブレットの交換シーンなどを撮ることができました。ラッキーだったのは、本数の少ないこの区間(日中は20分に一本程度)にありながら、そのほとんどが土佐電オリジナルカラーの旧型車(600形ばかりだけど)が来てくれたこと。もうだいぶ満喫する事ができたので、最後にもう一本だけ撮影して移動する事にしました。するとラストに現れたのは・・・

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もう一本だけ撮ろうと待っていたら、
やってきたのは美少女のアニメキャラ(?)が描かれた、
この「痛電」。Σ(゚Д゚;ノ)ノヌヲッ
これは地元サウナ店(スパリゾート)の
広告ラッピングなのだそうですが、
ノーガード電停に立つおじさんとの対比が、
なんだかシュールだなぁ・・・(´∀`;)

13.12.14 土佐電鉄伊野線 曙東町

なんとも萌え~な「痛電」でした (”ロ”;)ウワァ… 。ちなみに、先ほど撮った正面二枚窓の600形とは異なる顔のこの電車は700形で、元は1971年に廃止となった下関の路面電車、山陽電気軌道で活躍していた車両です。そんな経緯のある電車はできればノーマルなスタイルで撮りたかったなあ・・・(^^;)。この「痛電」を撮影したのち、再び電車に乗って移動します。

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ノーガード電停の朝倉から、600形に乗車。
昔ながらの古い電車を路面から直接乗ると、
かなりステップ(乗降階段)が高く感じます。
13.12.14 土佐電鉄伊野線 朝倉

今回の土佐電訪問でいちばんの目的だった伊野線の併用軌道区間。このままさらに伊野線の終点である伊野まで向かおうかとも考えましたが、午前中の桟橋線、そして今の伊野線ときたら、やはりもう一線、はりまや橋から東へ伸びる後免線の方も気になります。5年前の前回に乗ったのは、朝倉からはりまや橋までの伊野線区間だけで、後免線には最初の完乗時以来、一度も訪れていません。ひょっとしたら前回の伊野線で感じたように、初回では気づけなかった魅力的なところが後免線にもあるかもしれない・・・。そこで残りの時間は後免線の方に行ってみる事にしました。はりまや橋を経て伊野線から後免線へと入り、車窓から撮影できそうなところを探しながら進みます。しばらく行くと後免線は舟入川の土手に沿って走るようになり、その築堤上から少し高い目線で電車が狙えそうです。停留所名を確認せずに降車ボタンを押しましたが、下車したのは舟戸という名の電停。ここも片側はノーガードスタイルでした。

朝倉1347-(伊野線)-はりまや橋1412~1459-(後免線)-舟戸1521

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強烈な西日を浴びて、
道路脇をコトコト走る、後免線の電車。
正面三昧窓のこの車両は土佐電生え抜きで、
1950年代に製造された200形。
13.12.14 土佐電鉄後免線 鹿児-舟戸

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今度はお馴染み、正面二枚窓の600形。
この区間は線路と道路がキッチリと区分けされていますが、
法規上は専用軌道ではなく、
併用軌道(いわゆる路面電車)になるのだとか。
また、後免線は伊野線と異なり、
全線にわたって複線が敷かれています(後免町の終端部分を除く)。

築堤上に立ってみると、西日に照らされてキラリと光る線路がいい感じ・・・ですが、言い換えればモロに逆光なワケで、車窓から見て感じたのと写真に撮るのとでは、イメージが大きく異なります。ここは思ったよりも難しくて、絵にしづらいなぁ・・・(-"-;*)ウーン… 。しかし冬の日が沈むのは早く、モタモタしてアングルを決めあぐねていると、すぐに暗くなってしまいます。とにかく日没までの残された時間は、沿線を歩きながら背景や光線状態を見つつ、撮影を進める事に。

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釣りかけモーター独特の甲高い音を響かせて、
西へと向かう200形。
もっと目線を低くして撮れば、車体全体が光ったかな・・・。
13.12.14 土佐電鉄後免線 鹿児-舟戸(後追い)

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線路脇になかなかいい雰囲気の神社がありました。
日陰ではだいぶ露出が苦しくなってきたけれど、
鳥居と狛犬を入れて一枚。
横切ったのは、高速バスの広告ラッピング電車です。
13.12.14 土佐電鉄後免線 田辺島通-鹿児

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実はコレ、狙いは向こうから来る電車だったのに、
手前をカブられてしまったと言うミスショット。
でもAFがウマい具合に作動してくれて、
手前にピントが合ってくれました。
特徴的な旧型車のバス窓に西日が当たって、
意外と結果オーライだったかも~(^^;)
13.12.14 土佐電鉄後免線 田辺島通-鹿児

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「ごめん」と表示された600形。<(_ _)>ゴメン
これは別に電車が遅れたから謝っているわけではなく、
後免線の終点、後免町行きの電車は
「後免町」ではなく「ごめん」と表示されます。
日暮れが迫り、そろそろ帰宅時間ですね~(^^)
13.12.14 土佐電鉄後免線 田辺島通

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日没ギリギリにやってきた電車は、
車体をギラリと黄金色に輝かせてくれました。
広告ラッピングが施された電車だったのですが、
それがまったく解らないくらい・・・+.(つ∀≦)マブシイッッ+.゚。
浮かび上がった外板のデコボコが、
半世紀以上にわたる長い活躍を物語っています。
13.12.14 土佐電鉄後免線 田辺島通-鹿児

アングルを固定せず、とにかく来た電車を状況に合わせて、ひたすらに撮り続けた夕方の後免線。途中で神社の鳥居脇を走るような面白い箇所はあったものの、前回に伊野線の併用軌道を見て受けたようなインパクトは後免線では感じませんでした。ひょっとすると、もっと先(東)へ進めば景色に変化があったのかもしれませんが、もうタイムオーバーです。それでも西日に照らされて輝く旧型車のカットなどが撮れた事に満足し、日没を迎えたところで撮影終了。端から端までの全線・・・というわけにはいきませんでしたが、一日を通して存分に土佐電の魅力を味わう事ができました。(´▽`*)

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日暮れを迎えた田辺島通電停から、高知の中心街へ戻ります。
最後の乗車はパチンコ屋のラッピングが施された600形。
13.12.14 土佐電鉄後免線 田辺島通

それにしても、やはり私は路面電車の撮影があまり得意ではなく、撮影中にウマく絵をまとめる事できずに、あとから写真を見返して反省や後悔する事しきり。とくに今回の土佐電のような昔の色を残しながら地域に根付いている路面電車などは、車両そのものをメインに置くよりも沿線の情景や人々の動きなどにもっとスポットを当てるべきなんですよね・・・。いつの日かまた撮影に訪れたい "とでん(土電)" 。でもその前に少し、近場の"とでん(都電)" で修行するべきかな? (^^;)

田辺島通1655-(後免線)-はりまや橋1715

 

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今宵は高知に一泊。
高知と言えば、なんといっても「カツオのたたき」ですが、
私には他に一度食べてみたいと思っていた冬の名物・・・
というか、珍味がありました。
それは活きのいい穴子の稚魚を三杯酢で食べる「のれそれ」
(手前の白いの)。
個人的にはすっごく美味しい!ってほどのものではなかったけれど、
土佐のお酒にはよく合いました。

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高知まで行ったのに、桂浜などの名所には足を向けない私。
せめて市内の中心部にある高知城くらいは撮影しておきました。
(コレって、やなぼーさんへのご機嫌とり!? ^^;)

 

12月15日(日)

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翌朝、出発までに少しだけ土佐電を撮影。
前日の日中はビル影で明暗が強かった
はりまや橋の交差点を、日が当たる前に訪れてみました。
狙いは平面交差で互いの電車行き交うシーン。
でも意外とこのタイミングが合わずに難しく、
持ち時間内で唯一の成功例が・・・
ぬはっ「痛電」! Σ( ̄□ ̄;)ゲゲッ
13.12.15 土佐電鉄伊野線 はりまや橋

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さらに、手前方向の路線とはタイミングが合いませんでしたが、
交差点を横切る「アンパンマン号」も撮ることができました。
前日に撮ったものとは違うデザインですね(^^)

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高知からの帰路も、また土讃線の列車旅を楽しみます。
乗るのは岡山行きの特急「南風8号」。
残念ながら「アンパンマン列車」ではありませんでした。
これに丸亀まで乗り、そこから普通列車で高松へ。
高松から空路で東京へ戻ります。
13.12.15 土讃線 高知

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もちろん「南風」の車内では「飲み鉄」を満喫~♪
高知駅で購入したのは「龍馬弁(¥1000)」。
高知名物のカツオの角煮や焼き鯖寿司の他、なんといっても、
ミョウガやシイタケ、タケノコ、さらにはコンニャクまでもを
寿司仕立てにした田舎寿司が面白い。
おかずも充実していて、思わず酒がすすむ駅弁です。(゚д゚)ウマー
☆☆☆☆・

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途中の阿波池田で交換した下りの「南風」は
「アンパンマン列車」でした。
13.12.15 土讃線 阿波池田(車窓から)

高知0913-(土讃線 南風8号)-丸亀1101~1105-(予讃128M)-高松1132


期限が近づいた飛行機のマイレージを有効利用した今回の旅。その行き先にはいろいろと候補があったなかで、どちらかというと「撮り鉄」的にはネタに乏しいとされる、四国をあえて選んでみました。でもこのような機会だったからこそ、かねてから訪れてみたいと思いつつも、アタマの片隅に追いやられていた土佐電が目的地に浮上したのだと思っています(なかなか実費を払って高知まで行こうと思わないのがホンネ ^^;)。師走の慌ただしい中、駆け足でまわったような土佐電訪問でしたが、昔ながらの風貌を残す魅力的な電車たちに心が癒された旅となりました。



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