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肥薩線・大畑駅・・・MONOCHROME-SNAP [MONOCHROME-SNAP]

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肥薩線・大畑駅
MONOCHROME-SNAP

スイッチバックを行く列車の写真が撮りたくて、途中下車した大畑(おこば)駅
狙っていた写真は撮れたものの、次に乗る列車までは約三時間待ち。この何にも無い山間の無人駅でどう過ごすのか・・・でも心配は無用。ここには開業当時から変わらずに佇む立派な木造駅舎があり、その待合室は周りの環境と相まってとても静かな落ち着く雰囲気。ここで読書でもしていれば時間などすぐに流れてゆく。前回訪れたときもそうやって時間をつぶした。私がこの静かな駅で読むために選んできた本は、自分にとって背伸びしたような、ちょっと難しい内容。でもここならば集中して読めそうな気がしていた。
ところが、どういうわけか無人駅のはずの大畑には人影があり、大きな笑い声が響いている。駅舎脇を覗いてみると、そこにいたのは休日を中心に駅で野菜などを販売する地元の方々だった。目が合ったので挨拶を交わすも、予期せぬ出会いに面を食らったのは事実で、これでは本に集中できないなとも思った。しかし、私が初めて訪れたときには既に無人化されていた大畑駅。それは静かだけれども、どこか寂しげだった。ところが今の大畑はどうだろう。いるのは乗客ではないが、人の温もりを感じられる駅本来の姿がそこに見えた気がする。
私は鞄の中から本ではなく、カメラを取り出した。

 

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駅舎の脇に設けられた直売所。
大きな声の主は店頭に集う地元のおばさんたち・・・。

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おばさんに「お茶でも飲んできな」と言われて通されたのは駅事務室。
駅が無人化されてからは倉庫として使われてきたこの部屋を、
最近JRの許可を得て、直売所の控室使わせてもらっているのだそうだ。
私は図々しくもお茶のみならず、お菓子や漬け物
ゆで卵までいただいてしまった。

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事務室内の窓口業務を行っていた場所には、
古めかしい事務用の回転椅子が残されている。
床に置いてある駅名の入った筒は吸殻入れだろうか?

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椅子などを珍しがっていると、奥の部屋へも案内してくれた。
今は物置となっているが、この畳敷きの小部屋は宿直室。
かつて鹿児島本線の峠越え拠点として重要な役割を担っていた大畑。
当時は常に鉄道員が泊り込んでいたのかもしれない。

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春先の九州とはいえ、高原のこの辺りはまだ冷える。
事務室の暖を取るのに活用されていたのは、薪のストーブ。
このストーブもここにそのままあったものだという。
薪をくべているのは大畑の名誉駅長で、地元の先生。

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軒下の煙突から立ち昇る薪ストーブの煙は
今の大畑が無人でないことの証。
やはり人の匂いを感じることができる駅の姿はいいものだ。

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駅舎内の旅客待合室には
壁一面に訪れた人達の名詞類が貼り付けられている。
貼ると出世すると言われているのだが、私に限っては効力が無いらしい。
今年はもう貼るのをやめた・・・。

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昔ながらの木造ラッチ。
その向こうに人影があると、駅の温かみが増すような気がする。

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大畑の歴史を物語る石造りの給水塔跡。
蒸気機関車時代の大畑は、
峠越えに備えた給水所としての役割が大きかった。

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蒸気機関車の名残りはこんなところにも。
機関士が手や顔についた煤などを洗い落とすため
ホーム上に設けられた湧水盆からは
今でも滾々と水が湧き出ている。

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駅の周りにたくさん植えられている桜の木
ここも地元の方々が世話をしているのだそうだ。
満開の時期に訪れてみたいものだが、手軽に来られる距離でないのが残念。

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周囲に人家などが無い大畑駅前。
唯一目に付くものといえば駅の向かいにある神社の鳥居くらい。
その鳥居越しに駅舎を眺めてみた。

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山道に近い参道を登りきると、やがて木造の社が見えてくる。
こんな辺鄙なところに神社を建立したのには、
運行の安全などを願う大畑駅とのつながりがあるのだろうか?

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神社の裏手からは白髭岳が一望でき、手前には満開の梅林。
予想していなかった絶景がそこに広がっていた。

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駅へ戻ると、次に乗る列車が山の上のループ線に顔を覗かせている。
もうすぐこの駅ともお別れ。

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地元の特産品と共に売られていた木製の鉄道手形。
お世話になったお礼を兼ねて、記念に一枚買っていこう。

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「先生、最後に一枚写真を撮らせてよ」と言うと、照れて横を向く。
でもこの飾らぬ笑顔に惹かれた。

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大畑駅を愛する友の会の皆さんお世話になりました。
また必ず寄らせていただきます。

 

写真はすべて、11.03.13 肥薩線 大畑にて撮影。
(RAW現像時モノクロ設定)



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九州05・・・肥薩線 「ふつう列車」乗車記 [鉄道旅行記]

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2011.03.11~13 九州05
肥薩線 「ふつう列車」乗車

前回からの続きです
九州新幹線初乗車をかねての九州鉄道旅は二日目。最近の記事はどうも前置きが長すぎるので、今回はさっそく旅の様子へ移りましょう。

3月13日(日)
前日の津波警報による運転規制も解除され、ようやく旅の続きができるようになりました。とは言うものの、残された時間はこの日一日となってしまい、いっときも無駄にすることはできません。早朝6時半から日豊線の上り普通列車で行動開始。

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二日目のファーストランナーは415系。
元・常磐線ユーザーの私にはちょっと懐かしい車両です。
11.03.13 鹿児島本線 鹿児島中央

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竜ヶ水付近で車窓に広がる錦江湾と桜島。
一度この辺りの景色で列車と絡めた写真を撮ってみたいところ。
11.03.13 日豊本線 竜ヶ水-重富(車窓から)

鹿児島中央0627-(日豊6922M)-隼人0705

この日の行程に私が選んだのは肥薩線。やはり南九州へ来たのなら、スイッチバックあり、ループあり、そして日本三大車窓に挙げられる絶景ありと、鉄的に楽しい要素が盛りだくさんのこの路線は外せません。前回書いたように当初から行程に含まれていた肥薩線乗車ですが予定とは異なり、宮崎側からの吉都線経由ではなく鹿児島側の隼人から肥薩線へ入ることになりました。

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隼人からの肥薩線は二連のキハ47。
わずか一分の接続時間だったので、とりあえず面撮りで記録。
11.03.13 日豊本線 隼人

隼人を出た肥薩線は日豊線と分かれて山の方へ向かいます。勾配を上がるにつれて景色もいいはず・・・が、朝靄で車窓は真っ白け。ほとんど何も見えないまま進み、ようやく視界が戻ったときには乗換駅の吉松でした。

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隼人~吉松の途中には、古い木造駅舎で有名な嘉例川があります。
観光特急「はやとの風」などは停車時間が長いそうですが、
普通列車では停車時間が短いので、車内から駅名板だけパチリ。
11.03.13 肥薩線 嘉例川(車窓から)

隼人0706-(肥薩4222D)-吉松0809

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肥薩線の隼人方面・人吉方面と都城からの吉都線が集まる
「えびの高原線(愛称)」の中心駅・吉松。
二面四線のホームには、各方面への列車が顔をそろえます。
肥薩線の列車はここで運転系統を分けられ、
現在は隼人方面から人吉方面(またはその逆)への
直通列車はありません。
11.03.13 肥薩線 吉松

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次に乗る肥薩線・人吉行きが
キハ40の単行で入ってきました。

吉松から乗るのはキハ40が使われる、ふつうの普通列車3252D。「ふつうの普通列車」とはおかしな書き方ですが、肥薩線の吉松~人吉には観光用にアレンジされた「いさぶろう(下)・しんぺい(上)号」が運転されており、この列車も種別上は普通列車扱いなのです。ただし観光列車の方は大半が指定席で、車窓風景や観光を案内をしてくれるアテンダントも乗車しています。観光客には人気の列車なのですが、私はあまりこの観光列車が好きくない。特急「ゆふいんの森」くらいならばいいけれど、やはり肥薩線のローカルな旅情を味わうには余計な装飾や案内放送などが無い、それこそ「ふつうの普通列車=ふつう列車」が一番だと思っています。もちろん、絶景ローカル線に観光列車を走らせるJR九州の試みを否定したりはしません。これはあくまでも私的な考え方。そんな「ふつう列車」に乗って、いよいよ肥薩線のクライマックス「矢岳越え」へと挑みます。

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肥薩線「ふつう列車」の横サボ。

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真幸駅には鳴らすと幸せになれるという「幸せの鐘」があります。
普段の私なら私利私欲のために鳴らすところですが(苦笑)、
今回ばかりは地震の被災者がひとりでも多く助かるようにと
願わずにはいられませんでした・・・。
11.03.13 肥薩線 真幸

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列車は真幸を発車する際に、いったんスイッチバックします。
これは引き込み線(右奥)へ進んでいる途中で、
左が吉松からの線路、右手前がこれから進む人吉方面。

列車は吉松からスイッチバック駅の真幸を経てゆっくりと山を登り続けます。その勾配が落ち着き、いくつかのトンネルを抜けるとパッと開ける車窓風景・・・。そこが霧島連山を望む絶景ポイントで、日本三大車窓のひとつにも挙げられています (残り二つは篠ノ井線姨捨駅からの善光寺平と根室本線の狩勝峠。ただし根室本線の該当区間は1966年に廃線となってしまい、現在では二大車窓に・・・)。

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これが日本三大車窓のひとつに挙げられる絶景。
ちょっと解りづらいのですが、右の山すそからちょろっと出ている
雲のような煙は、方角的に新燃岳の噴煙だと思われます。
11.03.13 肥薩線 真幸-矢岳

写真では逆光なのでイマイチですが、実際は本当に雄大な景色。山の展望台とあまり変わらない・・・なんて言ってはいけません。この景色が列車の窓から見えるということが大事なのです。観光列車に乗ればこのポイントで一時停車してアテンダントが丁寧な説明をしてくれることでしょう。でも私が乗っているのは「ふつう列車」。本来、停車はもとより減速もしないはずなのですが、心なしかこの区間はゆっくりと走ってくれたような気がしました。

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肥薩線で最も高い標高536.9mの地点に位置する駅、矢岳。
ここは三分停車だったので、外へ出て駅舎を眺めてみました。
前駅の真幸、この矢岳、さらに次の大畑には
開業当時の貴重な木造駅舎がそのまま残されています。
11.03.13 肥薩線 矢岳

三大車窓ポイントから下り勾配を進むようになった列車は、もうひとつの見所である大畑(おこば)のループ線にさしかかります。ループをまわる途中には、これから停車する大畑駅が眼下にチラッと見えるので写真を撮ろうと思ったら、そのポイントを見失ってしまいました。車窓ポイントをひとつ見逃しただけでもちょっと損した気分・・・。列車はループ線で山を下り、さらにスイッチバックで大畑駅の構内へ進入。ループ線とスイッチバックを併せ持つのは全国でもここだけで、大畑駅近くにはそのスイッチバックが一望できる有名な撮影地があります。私がそこへ行ったのは94年で、もう17年も前のこと。

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94年に撮影した大畑のスイッチバック俯瞰ポイント。
当時は熊本から宮崎への急行「えびの」が
キハ58で走っていました。
94.08.02 肥薩線 大畑

その後も何度か大畑を通ったものの、天気に恵まれなかったり、時間が無かったりして撮影地まで足を運ぶことはありませんでした。しかし今回は久しぶりにその雄大な景色が撮りたくて、大畑で下車してみることに。一日5往復と本数の少ないこの辺りの列車ですが、私が乗ってきた上り列車と次駅の人吉で交換する下り列車が30分後に大畑へやってくるので、それを狙います。

吉松0906-(1252D)-大畑0952

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大畑を発車してゆく単行のキハ40。
飾り気は無いけど、やはりローカル線を楽しむには最適の車両でした。
11.03.13 肥薩線 大畑

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立派な木造駅舎の大畑。本来は無人駅のはずですが・・・。

山間の秘境駅・大畑。ところが無人駅のはずの駅舎からはおじさんやおばさんがが一人、二人と出てきて、私を出迎えます。この方たちは休日を中心に大畑駅で地元の野菜や果物などを販売している、その名も「大畑駅を愛する友の会」。こんな秘境駅での物販に需要があるのかとお思いでしょうが、前述の観光列車などは大畑で長時間停車するので、その停車中に買い求める人が多いらしい。しかし今の普通列車から降りてきたのは私ひとり・・・。野菜など買うつもりはないし、正直、目を合わせにくい状況です。冷たいけれど、さっと挨拶程度で切り抜けて撮影地へ向かおう・・・と思っていると、「山の上へ汽車を撮りに行くんですか?よかったら撮影場所までクルマで送りますよ」という何とも意外な言葉を、おじさんからかけられました。どうやらカメラバックと三脚で鉄と判断されたらしい(というより、こんな駅で降りるのは鉄くらいのものか)。ご厚意はありがたいのですが、やはり申し訳ないので「いえ、大丈夫です」と遠慮するも、「重い機材を持って歩くのは大変だから・・・」とおっしゃられ、結局送っていただくことになりました。遠慮していましたが、本当はとても助かります。クルマの中で伺うと、このおじさんは大畑駅の名誉駅長に選ばれた有名な方で、地元の先生。「こんな何も無いところへわざわざ足を運んでくれる方にはできるだけ親切にしたい。とくに自分の故郷のいいところを写真に撮ってくれるのなら、なおさら・・・」と話され、今までに何人も撮影地まで案内したとの事。本当に頭の下がる思いと、自分の心の狭さを痛感させられました。帰りがけに売店で何か買ってゆこう・・・。徒歩で20分ほどと見込んでいた場所にクルマはわずか5分で到着。お礼と帰りは駅まで自力で戻る事を告げて、先生と別れました。クルマを降りた場所から小高い丘を上がると、そこが撮影地。

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いつ来ても気持ちのよい大畑の大俯瞰。
スイッチバックが一望でき、先には人吉の街まで見渡せます。
11.03.13 肥薩線 大畑

夏に訪れた以前の写真と比べると今の時期は緑が少なくてちょっと寂しいのですが、スイッチバックの線形を撮るにはスッキリしていて撮りやすいかも。しかし気になるのは空模様。晴れていて青空が広がっているも、風が強くて時折大きな雲が日差しを遮ります。列車の通過時にカゲんなきゃいいけど・・・。そんな不安を感じながら迎えた通過時刻。山間に勾配を上るディーゼルの唸り音が聞こえてきました。

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まずは手前の線路から列車が上ってきて、画面左方向にある
大畑駅へ向かいます。この赤い列車が観光列車「いさぶろう号」。
11.03.13 肥薩線 大畑(後追い)

なんとかカゲられずに、ホッと一息。列車は大畑で5分停車の後、スイッチバックのため再び現れます。実は次の水平移動が列車写真として一番まとまりのある画になるので、できればコレをビシッと決めたいところ。しかし列車停車中に頭上を大きな雲が現れます。そして5分後・・・。

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引込み線へ向けて左へ水平移動。
あ~、カゲられてマンダーラ(斑)に・・・orz。
11.03.13 肥薩線 大畑

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そして矢岳越えのためにループ線への勾配を上って行きます。
こちらも雲が抜け切れずにマンダーラ・・・。
11.03.13 肥薩線 大畑(後追い)

残念ながらすべてがバッチリというわけにはいきませんでしたが、それでもこの大パノラマで撮影できたことに満足。まあ、最初の一枚がカゲられなかっただけでも良しとしましょう。もう当分列車は来ないので、これで撤収して駅まで歩いて戻ります。駅前には先ほど送ってくださった先生が掃除をしていたので、もう一度丁重にお礼を言ってから「友の会」の売店で買い物。さすがに野菜などは買って帰れないので、岩海苔とキクラゲの瓶詰や大畑駅来訪記念のストラップなどを購入し、次の乗車列車までの三時間近くを駅でのんびりと過ごさせていただきました。

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次に乗る人吉行きの列車が山の上のループ線に見えてきました。
先ほど撮影した観光列車「いさぶろう号」の折返しで、
上りは「しんぺい号」という列車名になります。
11.03.13 肥薩線 矢岳-大畑

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ループ線とスイッチバックを経て大畑駅へ進入する「しんぺい号」。
11.03.13 肥薩線 大畑

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観光列車が到着すると、静かだった大畑駅も大賑わいに。
私が着いた時の写真と見比べると、大違いですね。

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「しんぺい号」にはアテンダントが乗務します。記念に一枚撮らせていただきました。

今度は観光列車「しんぺい号」に乗車して大畑を後にします。前述したように観光列車はほとんどが指定席で、自由席は車端部のロングシートが数席のみ。その席も埋まっていたので、ドア脇に立って車窓を眺めます。大畑の次は終点の人吉ですから、コレくらいはへっちゃら。

大畑1252-(しんぺい2号)-人吉1303

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人吉に入線してきたキハ185系の特急「くまがわ」。
右の倉には「SL人吉」に使われる58654の姿が見えます。
11.03.13 肥薩線 人吉

人吉からは特急「くまがわ」に乗車し、肥薩線のもうひとつの魅力である球磨川の車窓を楽しみます。球磨川は日本三大急流のひとつ。三大車窓の次は三大急流・・・この肥薩線は吉松~人吉の山岳風景と人吉~八代の川景色、異なった二つの車窓を味わうことができるのです。

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人吉からの車窓に見えるのは、美しい球磨川の流れ。
11.03.13 肥薩線 一勝地付近(車窓から)

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この車窓を眺めながら食べる駅弁は、人吉名物の「鮎ずし」。
球磨川で採れた鮎が一匹丸々使われた、贅沢な駅弁です。
酢でしめた鮎はやわらかく、頭から尻尾まで抵抗無く食べられます。
☆☆☆・・

左岸から右岸へ移動しつつ、ずっと球磨川に沿って走り続けること一時間。肥薩線の起点・八代に到着。これで肥薩線の旅は終わりですが、列車はそのまま鹿児島本線に入って熊本まで行くので、私もそのまま乗り続けます。

人吉1320-(くまがわ4号)-熊本1446

熊本で前日に開業したばかりの九州新幹線へ乗り換え。時刻はまだ15時前ですが、これで九州を後にして神戸へ向かいます。実は翌日の月曜日に神戸での出張仕事を入れており、せっかくなので前日の夜に関西の知人達と神戸で会おうということになったのです。熊本~新神戸ならば山陽新幹線直通の「みずほ」や「さくら」が便利なのですが、ちょうどいい時間帯の「さくら」指定席は満席。仕方なく「つばめ」で博多まで出て、「のぞみ」に乗り継ぐことにしました。でもそのおかげで九州新幹線専用の800系に乗れたのはちょっと嬉しかったかも。

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日本の「和」を基本コンセプトとする800系のインテリア。
テーブルやブラインドは木製になっています。

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博多に到着した800系の「つばめ348号」。外観も独創的な新幹線です。
11.03.13 山陽新幹線 博多

熊本1504-(つばめ348号)-博多15551600-(のぞみ50号)-新神戸1822

これで今回の九州鉄道旅は終了です。予期せぬ震災の影響で予定が大きく変わってしまっただけでなく、やはり心の底から楽しめた旅では無かったように思います。そんななか、出発式は行われなかったものの無事に全通した九州新幹線。確実に九州の鉄道の新たな幕開けになったことは間違いなく、その一番列車に乗れたことは鉄道趣味人冥利に尽きると感じました。今度は直通の速達列車「みずほ」にも乗ってみたいですね。



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九州04・・・鹿児島市電乗車&485系撮影記 [鉄道旅行記]

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2011.03.11~13 九州04
鹿児島市電乗車&「動かない」485系撮影記

前回からの続きです。博多から九州新幹線下り一番列車に乗って鹿児島中央へとやってきました。
私にとって久しぶりの南九州。今旅の目的は九州新幹線の初乗車でしたが、それを乗り終えてからどうするかも楽しみのひとつでした。魅力的な路線が多い鹿児島界隈。指宿枕崎線や隼人からの肥薩線で「乗り鉄」か、それとも竜ヶ水の桜島や錦江湾を眺められる場所で「撮り鉄」に専念をするか・・・などと、ひと月前の九州新幹線指定券が手に入ったときから頭の中でいろいろな計画を巡らせます。そんなとき、発売された鉄道誌(DJ)にとある情報が掲載されていました。それは485系の特急列車が日豊本線で運転されるというもの。九州の485系は今回の新幹線開業に伴うダイヤ改正(3月12日)を前に引退することが決定していました。当然その最終運行は改正日前日の11日になるはず。11日の夜に福岡へ入ることしかできない私には485系を撮ることはできないと諦めていました。ところが、その情報によると改正日当日にあたる12日にも、運用の都合で数本の特急が485系で運転されるらしい。しかもそのうちの午後に走る二本ならば、宮崎付近で撮影ができそうです。それを踏まえて練った計画は・・・12日に新幹線で鹿児島到着後、日豊線の特急「きりしま」で宮崎へ。宮崎付近で485系の特急「にちりん11号」と「きりしま15号」を撮影し、その日は都城泊。翌13日は都城から吉都線経由で肥薩線に入り、ループ線やスイッチバックを楽しみながら熊本へ。そして上りの新幹線で九州を後にする・・・というもの。これならば「撮り」「乗り」どちらも楽しめる完璧な行程だと自負し、意気揚々と切符や宿の手配をしました。しかし、実際にはこの計画通りに進めることはできなくなってしまったのです。まさにあの大地震の余波で・・・。

3月12日(土)
当日、鹿児島中央駅。前述の計画に沿って行動すべく、まずは新幹線から日豊線へ乗り換えるために連絡改札へ行ってみると・・・

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鹿児島中央駅の在来線発車案内・・・。
日豊本線と指宿枕崎線は運転見合わせになっています。
11.03.12 鹿児島本線 鹿児島中央

なんと「津波警報が発令されている影響で、日豊本線・指宿枕崎線は運転を見合わせております」とのこと。どうやら列車が動いていないらしい。新幹線の車内放送でも「地震の影響で在来線のダイヤが乱れています」とは言っていたものの、ちょっと遅れが出ている程度だろうと甘く見ていたのですが、まさか前日の、しかも東北地方の大地震が翌日の鹿児島にまで影響を及ぼしているとは思いもよらず・・・。本当にどれだけ大きな地震だったのかを、あらためて知らしめられることになりました。
とりあえずこの時点で鹿児島中央から動いているのは、川内方面の鹿児島本線とそれに直通する肥薩おれんじ鉄道。そして今乗ってきたばかりの九州新幹線で、日豊線・指宿枕崎線については初発から動いておらず運転再開は不明。これでは宮崎へ行くことができない・・・というより、そもそもこんな乱れたダイヤで485系の特急が正確に走って来るとは思えません。485系が撮れないのなら宮崎まで行く理由は無いので、窓口で「きりしま」の指定券と鹿児島中央~宮崎の乗車券(差額分)を払い戻してもらい、予約していた都城の宿もキャンセルしてしまいました。残念ですが、津波警報が発令されているのでは運休も仕方の無いところです。

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払い戻すことになってしまった、「きりしま8号」の指定券・・・。

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正常に動いていたのは鹿児島線くらい。
これは肥薩おれんじ鉄道から直通してきた
快速「オーシャンライナーさつま」。
11.03.12 鹿児島本線 鹿児島中央

これで今旅の計画は白紙。さて、どうするか・・・。午後になれば運転が再開して指宿枕崎線くらいは乗り鉄できるかもしれないので、しばらく中央駅周辺をぶらぶらして時間を潰すことにしました。
そこでまず向かってみたのは、駅の西側にある鹿児島総合車両所。先ほど中央駅のホームからチラッと見えていた留置中の赤い485系が気になっていたのです。もちろん車両所の中には入れないけれど、敷地外から見られるところがあるかもしれない。

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車両所に平行する一般道があったので、
そちらから眺めてみた、留置中の485系と415系。
手前の線路は、鹿児島本線と指宿枕崎線。
11.03.12 鹿児島総合車両所付近

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車両所に沿った道をさらに奥の方へ進むと・・・
こっちにも787系と並んだ485系の姿が見えます。
柵が低くて、これはきれいに撮影できそう。

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車両所に並ぶ787系と二本の赤い485系。
元「リレーつばめ」用の787系は、この日から「きりしま」や
「ひゅうが」に使われるはずでしたが・・・運転できるのでしょうか?
11.03.12 鹿児島総合車両所(敷地外から撮影)

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運用を離脱した鹿児島の485系、DK12とDK11編成。
スリット形のタイフォンカバーが九州らしいですね。
「きりしま」幕のままなのはちょっと嬉しい。

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中間電動車からの改造車、クモハ485の特徴である
運転室背後の機器室が解るようなカットを。
この車両、変形車好きの私には堪りません!
できれば走行写真が撮りたかった・・・。

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反対側からも撮影できます。
こちらはシャッター形タイフォンカバー装備、
小型の愛称器が特徴の元貫通車・200番台。

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車両所の構内には、この日から運転開始予定だった
指宿枕崎線の観光特急「指宿のたまて箱」の姿も・・・。

ふらりと訪れた鹿児島総合車両所ですが、敷地外の一般道から案外きれいに撮影ができました。とくに485系の並びなど、パンタは上がっていないもののまるで撮影会気分でいろんな角度からバシバシ撮影。でも、やっぱり動いていない485系をいくら撮っても虚しい・・・。本来なら宮崎で最後の勇姿を撮影できたはずなんだがなぁ・・・。
車両所付近で撮影した後、再び中央駅へ。しかし未だ運転再開の見込みは立たず・・・。ならば今度は、鹿児島の繁華街・天文館で昼食をとることにしました。中央駅から天文館までの足はもちろん鹿児島市電(鹿児島市交通局)。市電は元気に走っています。

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鹿児島市民の足、鹿児島市電。
中央駅前付近の軌道敷は芝が植えられ、沿線にはきれいな花壇が並びます。
11.03.12 鹿児島市交通局 鹿児島中央駅前

鹿児島市電に乗るのは二年ぶり。前回は仕事で鹿児島に訪れた際、やはり中央駅から天文館まで往復しています。しかしそれ以外の区間となると、もう10年以上も乗っていません。そこでこの機会にもう一度、全線を乗ってみることにしました。どうせ時間はあることだし・・・。
まずは降りる予定だった天文館を通り過ぎて、東方の終点(鹿児島市電の基点)・鹿児島駅前へ。

鹿児島中央駅前-(鹿児島市電2系統)-鹿児島駅前

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市電の鹿児島駅前電停。
車庫っぽい造りの電停に市電がずらりと並ぶ光景はなかなか見応えあります。
右から9500形、2120形、そして低床形の1000形「ユートラム」。
11.03.12 鹿児島市交通局 鹿児島駅前

鹿児島駅前電停はその名の通りJR鹿児島駅に隣接しています。もちろん日豊線が運転見合わせ中なので列車は走ってきませんが、少し駅の周りを歩いてみると・・・ここにも留置されている485系の姿がありました。

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鹿児島駅構内に留置されている485系DK11編成。
11.03.12 鹿児島本線 鹿児島

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アップで正面気味から走行写真っぽく・・・って、
よくみるとこの場所は架線が張られていませんね・・・(汗)。

電停に戻って市電に乗り、今度は西へ向かいます。それにしても、鹿児島市電も1000形や7000形(タイトル写真)の低床形が増えてきた印象。もう旧型の500形とか600形は引退してしまったのだろうか・・・などと思いながら乗っていると、鹿児島駅前を出て二つ目くらいの電停でその旧型車とすれ違いました。これはぜひとも撮っておきたいところ。途中の天文館通で下車して、鹿児島駅前から折り返してくるのを待ちます。

鹿児島駅前-(鹿児島市電)-天文館通

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旧型車健在!元気な姿を見せてくれた600形613号。
味のあるいい電車です。
11.03.12 鹿児島市交通局 天文館通

天文館で降りたついでに少し繁華街をぶらつき、遅めの昼食をとってから市電の乗り鉄を再開。現在の鹿児島市電は鹿児島駅前から交通局前を経由して谷山までの1系統と、高見馬場で1系統と分岐して中央駅前経由で郡元までの2系統、二つの路線があります。途中下車した天文館通にはどちらの電車もやってきますが、乗ったのは1系統。これで一気に終点・谷山まで乗り通します。

天文館通-(鹿児島市電1系統)-谷山

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しばらくは市街地を併用軌道で走る1系統ですが、
涙橋から谷山までは専用軌道になります。
谷山付近の専用軌道を走る1000形「ユートラム」。
11.03.12 鹿児島市交通局 上塩屋-谷山

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1系統の終点・谷山電停。
顔をモチーフにしたような面白い形をしています。
11.03.12 鹿児島市交通局 谷山

谷山は指宿枕崎線にも同駅名があるのですが、鹿児島駅のように隣接はしていません。JR谷山駅と谷山電停は約500メートルほど離れていて、電停の脇には指宿枕崎線の線路だけが伸びています。そんな指宿枕崎線も今は運転見合わせ中・・・と思いきや、突然踏切が鳴りだしました。

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猛スピードで駆け抜けていったのは、キハ200の快速「なのはな」。
11.03.12 指宿枕崎線 谷山-宇宿(後追い)

どうやら、ようやく指宿枕崎線の運転が再開された様子。しかし既に時刻は17時。もう乗り鉄する気力はありません。再び谷山電停から市電に乗って郡元へ。この駅で2系統に乗り換えて鹿児島中央駅に戻ってきました。これで鹿児島市電は全線完乗です。

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1系統の電車で2系統(またはその逆)の各駅へ向かうには、
初めに乗った1系統の電車で料金を払い、運転手に乗り換えを告げると
2系統への乗り換え乗車券がもらえます。
これで片道料金はどこでも一律160円(大人)。

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鹿児島市電を乗り尽くして、中央駅へ帰ってきました。
11.03.12 鹿児島市交通局 鹿児島中央駅前

谷山-(1系統)-郡元-(2系統)-鹿児島中央駅前

鹿児島中央駅で列車の運行状況を見てみると、運転を見合わせていた日豊線・指宿枕崎線はともに17時前に再開。しかしすぐに移動計画を立てることはできず、結局この日は鹿児島で一泊することにしたのでした。なんだか収穫があったような、無いような一日だったなぁ・・・。非常事態だから仕方ないのですけどね。

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運転を再開した日豊本線の「きりしま」。
787系が使用されていました。さっき運転所にいたヤツかな?
11.03.12 鹿児島本線 鹿児島中央

   

・・・続きま



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九州03・・・「つばめ327号」乗車記 乗車編 [鉄道旅行記]

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2011.03.11~13 九州03
九州新幹線開業
下り一番列車「つばめ327号」乗車記
乗車編

前回からの続きで、九州新幹線下り一番列車「つばめ327号」に乗っています。列車は定刻通りに博多を発車。

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6時10分。まだ明けやらぬ博多の街が車窓に流れます。
11.03.12 九州新幹線 博多付近(車窓から)

結局、博多発車後も席は埋まらず、私が乗っている2号車自由席は4~5割程度の乗車率で車内はとても静か。やはり地震の影響で行動を控えている人が多いのか、車内を見渡した限りでは一番列車の乗客は私のような単独の鉄道ファンばかりで、東北新幹線新青森延伸時のような地元の方や家族連れの姿はあまり見られません。震源地から遠く離れ、ほとんど直接被害を受けなかったと思われる九州でも、このような形で少なからず地震の影響は出ているのです。そんな静かな車内に、まずは自動の音声案内で停車駅・車内設備などが流れます。停車駅案内でさっそく「筑後船小屋」や「新大牟田」などの新駅名を聞きたかったのですが、この「つばめ」は各駅停車なので 「停車駅は鹿児島中央までの各駅です」で、片付けられてしまいました・・・。まあ新駅名を聞くのは、各駅に到着までのお預けって事ですね。まずは新駅の一つめ、新鳥栖が次駅停車に告げられて自動放送は終了。続いて車掌の肉声案内が入ったのですが、そこでなんと 「本日は九州新幹線一番列車の「つばめ327号」にご乗車いただき・・・」とサラッと、でも確実に「一番列車の」という言葉を聞き取ることができたのです。さりげない一言ですが、ようやくこれで一番列車に乗っていると実感することができました。
車窓の方は博多発車後しばらくすると、左手に山陽新幹線の博多総合車両所が見えてきます。一応撮影を試みたのですが、まだ薄暗い車両所を走行中の車内から撮るのはムリがありました。車両所を過ぎると列車は幾つかの短いトンネルを経て、今回の開業区間で・・・というよりも、既存区間も含めた九州新幹線のなかでもっとも長い11935メートルの「筑紫トンネル」に入ります。この長さを聞くと、やはり最近開業する新線はトンネルばかりだなぁ・・・と感じてしまうのですが、実際は今回開業した博多~新八代121.1キロのうち、トンネル区間は全部で37キロ。比率だと31パーセントに過ぎません(データ類はDJ誌3月号参考)。それでも3割がトンネルかとお思いでしょうが、その1割がこの筑紫トンネルなので、コレさえ抜けてしまえばあとは新大牟田~玉名の福岡・熊本県境に中規模のトンネルが続く程度。単純に比べるのはおかしいけれど、最近開業した東北新幹線の八戸~新青森がトンネル率6割強ですから、それよりはずっと視界が開けているのです。長かった筑紫トンネルを抜けるとそこは佐賀県で、まもなく新鳥栖(6:24着)。

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開業区間に新設された新鳥栖。長崎本線との接続駅です。
11.03.12 九州新幹線 新鳥栖

佐賀県初の新幹線駅・新鳥栖。佐賀県といっても県の東端をかする程度なのですが、県民にとっては一大事らしい。というのも、なぜかウチの会社は九州出身者の中で佐賀県人率が高く、「佐賀にもやっと新幹線の駅ができた」と喜び合っていたのです。東京出身の私など、失礼ながら「ああ、鳥栖って福岡じゃなく佐賀だっけ」って感じですが、やはり地元の方にとっては悲願の新幹線開業なのです。今回は鳥栖市のみですが、いつの日か九州新幹線・長崎(西九州)ルート(新鳥栖~長崎)が開業し、新幹線が堂々と佐賀県の中央を横断する日が来ることでしょう。そのときが佐賀県民にとって本当の悲願達成になるのかもしれません。既に新鳥栖の構内は、将来の長崎ルート開業を見越して二面四線になっています。新鳥栖を出た列車は筑後川を渡り、再び福岡県へ。

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車窓から見た佐賀・福岡の県境を流れる筑後川。
右上の黒い点は、新幹線を追っているのだと思われる報道のヘリ。
ほとんど報道されなかったみたいだけど・・・。
11.03.12 九州新幹線 新鳥栖-久留米

筑後川を渡り終えるとすぐに久留米へ停車(6:29着)。前駅の新鳥栖から7.1キロしか駅間が無く、所要時間はわずか5分。首都圏以外でこの新幹線駅間の短さはちょっと異例ですが、新鳥栖が長崎本線、ここ久留米は日田・由布院方面への久大本線が分岐する主要駅なので、どちらも外せなかったのでしょう。さらに久留米を出て8分、続いて筑後船小屋(6:37着)。この駅間も15キロしかありません。

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新設駅・筑後船小屋。
開業にあわせて在来線の船小屋駅は同地に移設され、
駅名も筑後船小屋に改称されています。
11.03.12 九州新幹線 筑後船小屋

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車窓から見た筑後船小屋の駅前ロータリー。
まだ何もありませんね・・・。

無人駅だった在来線の船小屋から一気に新幹線駅へと昇格した筑後船小屋。設置には地元の要望が高かったとのことですが、久留米から程近い(普通列車でも15分ほど)この地に、果たして本当に新幹線駅が必要だったのかと正直思わずにはいられません。地元民ではない外部の人間が言うことではありませんが、新幹線停車駅として今後の発展に期待したいと思います。そんな筑後船小屋ですが、由緒ある「船小屋」の名 (江戸時代、矢部川一帯に土木用の船を格納する小屋がたくさん設けられた事が地名の由来)がしっかりと採用されたのは嬉しく、個人的に全通した九州新幹線ではいちばん好きな駅名です。筑後市にあるので「新筑後」なんて駅名になって「船小屋」が消えていたらガッカリしたところでした。
筑後船小屋を出た列車は7分で次の新大牟田(6:44着)、さらに8分で新玉名(6:52着)と、こまめに停車。この辺りはとにかく駅がやたら多くて、新幹線があまりスピードにのっていない印象。まあニーズに合わせて速達タイプの「さくら」や「みずほ」をうまく使えばあまり気にならないのでしょうが。ちなみに当初乗る予定だった「さくら401号」だと、筑後船小屋・新大牟田・新玉名は通過していました。

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新設された新幹線単独の二駅。
新大牟田は在来線の大牟田から約6キロ、
新玉名は玉名から約3キロの地点にあります。
どちらも駅前は筑後船小屋同様、まだ発展途上の感じ。
11.03.12 九州新幹線 新大牟田/新玉名

この「つばめ327号」は、停車する各駅にとっても一番列車になります。しかし、やはり歓迎イベントなどが行われている様子は無く、ホームへ見学に来ている地元の方らしき人がちらほらと見られるものの、途中駅から乗車してくる人はほとんどいませんでした。そして列車はまもなく、今回の開業区間でいちばんの主要駅・熊本に到着。ここでもホーム上は特に何もありませんでした。

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在来線の上熊本駅付近で見えた熊本市交の市電。
11.03.12 九州新幹線 新玉名-熊本(トリミング済み)

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定刻7時01分、熊本着。ここで一分ほど停車。
高い天井に趣向を凝らした間接照明が目を引きます。
でも、ちょっと暗い?
11.03.12 九州新幹線 熊本

博多~熊本間、在来線の特急だと約80分かかっていたものが、新幹線各駅タイプの「つばめ」で約50分。速達タイプの「さくら」が約40分。ノンストップの「みずほ」だと33分。熊本の方にとっては博多まで一時間を切ったというのは大きいでしょう。でも、たまに利用する程度の私など在来線特急の80分はそんなに長いと感じず、むしろ博多の駅弁を食べながらのんびりと787系の特急に揺られる適度な時間は、キライじゃなかったのですが・・・。

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熊本発車後、左に見える新幹線・熊本車両基地。
九州新幹線用のN700系や800系の姿があります。
11.03.12 九州新幹線 熊本-新八代

熊本の次は新八代。今回の新規開業区間は博多から新八代で、ここから先の鹿児島中央までは2004年に先行開業した既存区間になります。私はその新八代~鹿児島中央開業のときも新八代発下り一番列車に乗車しています。あれから7年、今回の全線開業で再び一番列車に乗って新八代へ来られたことを考えると、感慨もひとしおです。

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「リレーつばめ」が暫定的に使用していた、在来線からの連絡線。
この連絡線はどうなるのでしょうか・・・やはり撤去されるのかな?
11.03.12 九州新幹線 熊本-新八代

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新八代には前日まで「リレーつばめ」で活躍していた
787系が停車していました。どうやら地震の影響でダイヤが乱れ、
翌日まで取り残されてしまったらしい・・・。
11.03.12 九州新幹線 新八代

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新規開業と既存区間の境界駅・新八代。

これで新線区間を踏破し、晴れて九州新幹線は完乗。新線区間のみの乗りつぶしという方が多かったのか新八代では半数近くの乗客が降りてしまい、「つばめ327号」はさらに空席が目立つようになりました。私は乗り続けて鹿児島中央へ向かいますが、ここから先の車窓は東シナ海(八代海・天草灘)が見える進行右手の方がいいので、座席を右側の二列席に移します。どうせ空いている事だし。

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新八代から先の既存区間はさらにトンネルが多くなりますが、
視界が開けると東シナ海がよく見えます。
11.03.12 九州新幹線 新水俣-出水

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出水を出ると平行在来線を引き継いだ「肥薩おれんじ鉄道」
の車両をちょこっとだけ見ることが出来ました。
11.03.12 九州新幹線 出水-川内

博多から乗り続けること1時間50分。下り一番列車「つばめ327号」は定刻どおり鹿児島中央に到着。不測の事態ではありますが、空いていたおかげで存分に九州新幹線の全線乗車を堪能することができました。

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鹿児島中央に到着した「つばめ327号」。
先頭車付近では記念撮影される方も多く見られます。
11.03.12 九州新幹線 鹿児島中央

博多0610-(つばめ327号)-鹿児島中央0801

先述したように地震の影響で九州新幹線開業関係のイベントはすべて自粛と伝えられていたので、おそらく鹿児島中央でも何も行われないのだろう・・・と思いながらコンコースへ降りてゆくと、なんとそこには乗客をお出迎えする地元の方々の姿が見えます。

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コンコースで乗客たちを出迎えてくれた、鹿児島観光協会の方々。
親善大使のお姉さんから地元産のお土産などが入った袋を頂きました。

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しかし駅前広場のメインイベントなどは中止に・・・。

誰もが心を痛めている地震の被害。それは九州の人たちだって同じで、歓迎する方も複雑な心境だったと思います。それでも地元の人にしてみれば待ちに待った九州新幹線の全線開業・山陽新幹線との直結。せっかく訪れてくれた乗客に何かしてあげたい・・・という気持ちがおありなのでしょう。「お祝い」ではなく「歓迎」が主旨なのであれば、このくらいのセレモニーはあってもいいと個人的には感じました。鹿児島観光協会のみなさん、お出迎えありがとうございます!!

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新幹線の最南端終着駅・鹿児島中央。
ホームの先端からは新幹線越しに桜島を眺めることができました。
11.03.12 九州新幹線 鹿児島中央

  

  

・・・続きます。



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九州02・・・「つばめ327号」乗車記 博多編 [鉄道旅行記]

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2011.03.11~13 九州02
九州新幹線開業
下り一番列車「つばめ327号」乗車記
博多

前回からの続きです。
3月12日の九州新幹線開業初日、もちろん乗り鉄としては一番列車となる博多6時10分発「つばめ327号」に乗りたいところ。しかし私は「つばめ327号」の指定券を持っていません。実は開業ひと月前の指定券発売日、「つばめ327号」の指定券入手にチャレンジしたのですが発売開始25秒で完売し、あえなく撃沈 (ちなみに一番人気は新大阪発の直通一番列車「みずほ601号」で、わずか15秒で完売だったとか)。なんとか私が取れたのは、博多発二番列車「さくら401号」の指定券でした。それでもこの「401号」は、新規に設定された「さくら」という愛称の新幹線では最初の列車で、これもある意味「一番列車」(「さくら」の・・・)。幸い窓側の席だし、むしろ「つばめ327号」の通路側が取れていたよりもいいか・・・と、半ば負け惜しみ的に自分を納得させたのでした。

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開業二番列車となる「さくら401号」の指定券。

「つばめ327号」には8両編成中5両の自由席車(1~5号車)があるので、それを狙う手もありますが、おそらく私と同じように指定券が入手できなかったファンで満員になってしまう事が予想されます。JR九州のHPでも事前にその混雑を見越して、「開業一番列車「つばめ327号」の自由席については先着500名様とさせていただきますので、事前に指定場所へお並び下さい」と書かれていました。指定席が30秒足らずで完売してしまう列車ですから、500人などあっという間に埋まってしまうでしょう。ネットの掲示板にも既に前日から徹夜組が出ているとのこと。やはり「つばめ327号」は諦めて、指定券通りの「さくら401号」に乗ろう・・・。

3月12日(土)
震災関連の報道番組を見続けて一睡もせず、そのまま5時過ぎにホテルを出て博多駅へ向かいます。乗車予定の「さくら401号」は6時45分発。まだ一時間以上もありますが、せっかくなので歴史的な一番列車をお見送りしたいと思ったのです。なお、予定されていた一番列車の出発式が震災の影響で中止になったことは、駅へ向かう途中のコンビニで買った地元紙の朝刊で知りました。
駅に着くと新幹線改札はまだシャッターが開いておらず、その前に報道陣やファンが集まっています。しかし思っていたほど多くありません。件の自由席500人は別の入り口から入るのかな・・・?

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午前5時半、新幹線中央改札口のシャッターが開きました。
なだれ込むようなこともなく、ゆっくりと進んでゆきます。
11.03.12 山陽新幹線 博多

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「つばめ」と「さくら」の列車名が並ぶ博多駅の案内板。
ようやく博多から鹿児島中央まで新幹線が繋がりました!

改札を抜けて「つばめ327号」が発車する12番線のホームを目指します。このエスカレータでゆっくりと上がっていくときのドキドキ感は堪りません。やがてホーム上に見えてきたのは、ピカピカで淡いブルーの車体・・・この開業を機に投入された新しい新幹線、N700系8000番台です。

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記念すべき一番列車「つばめ327号」はN700系8000番台 R8編成。
淡いブルーは写真に出にくいですね・・・。
11.03.12 山陽新幹線 博多

東京でも見られる東海道新幹線のN700系とは同じ形の色違いなだけのはずなのに、やはり新鮮で眩しく見えます。既報の通り出発式は行われませんが、取材をする報道陣がいるおかげで、少しばかり一番列車発車ホームの雰囲気を感じることができました。しかしファンの数は少なめ。
まずは先頭から後方までじっくりと車体を外から眺め、まだ発車まで時間があるので車内の方も覗いてみると・・・なんと自由席はガラガラ。ふつうに窓側席が確保できます。そこで急遽予定を変更して、この「つばめ327号」の自由席に乗っちゃう事にしました。本来は指定された列車に乗るべきなのですが、ここまで空いているのならば問題は無いでしょう(指定券で別列車の自由席に乗るのは規約的にも大丈夫)。やはり私だって乗れるのであれば一番列車の方に乗りたい。
どうやら事前に予想していた500人には満たなかった様子。でもこれは間違いなく震災の影響が及ぼしているものだと思われ、素直に喜ぶべきではないのかも知れません。

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博多発車前の自由席車内(2号車)。
比較的埋まっているのは、二列席の窓側くらい。

さて、乗車する事になった一番列車、「つばめ327号」の発車時刻が近づいてきました。窓側席を確保して出入口からホームの様子を見てみると、先頭車付近に制服を着たJR九州の社員さんが整列しています。

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出発前の一コマ・・・
時計を見る方、帽子を直す方、緊張で固まっている方・・・。
皆さんそれぞれ、どんな思いで一番列車を見つめているのでしょうか。

これは正式な出発式ではありません。でも鉄道マンとして、この九州新幹線開業へ懸ける特別な思いと大きな期待が感じられる一幕でした。できることなら出発時の全員ビシッと整ったところも撮りたかったのですが、乗客となった私には撮ることができませんでした。
定刻6時10分。整列した社員の皆さんに見守られた九州新幹線下り一番列車「つばめ327号」は、警笛も鳴らさず(聞こえなかった)静かに動き出しました。


・・・続きます



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九州01・・・「3・11大地震」そのとき・・・。 [鉄道旅行記]

2011.03.11~13 九州01
「3・11大地震」そのとき・・・

先週土曜の3月12日。九州新幹線の博多~新八代が開業し、山陽新幹線との直通運転も始まりました。九州人の悲願だった九州新幹線・鹿児島ルート(博多~鹿児島中央)の全通。しかし前日に東日本を襲った大震災で、そのニュースはほとんど流されることはありませんでした。もちろん被災地の被害状況を考えると新幹線どころではないのは百も承知。でも、一大事業である九州新幹線開業の様子を知りたい方も多いと思います。実は私はこの開業初日に乗車するため、九州へ行ってきました。そこで今回から何回かに分けて、九州新幹線の話題を中心に撮影記を綴ってゆきたいと思います。こんな大変なときに鉄道の話題をするなんて・・・というお考えの方も多いでしょうが、地震以外の情報が入りにくいこんな時だからこそ、伝えられるものは伝えていきたい。それが開業初日に立ち会った者の使命であると感じています。地震当日の状況なども書かせていただきますが、この先を読んでいただける方にはそのことを予めご了承願います。

3月11日(金)
翌日の九州新幹線開業へ向けて、福岡へ飛ぶ予定のこの日は会社を半休。午前中のみ、ちょこっと仕事をして昼過ぎに退勤。そのままモノレールで羽田空港へと向かいました。今回の飛行機はJAL。第一ターミナルで15時半の便を少し余裕を持って14時半にチェックイン。スムーズに保安検査場を抜けてゲートラウンジ(保安区域内ロビー)で搭乗予定の飛行機などを撮影しながら時間を潰します。

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搭乗予定の福岡行きJA333便。
11.03.11 羽田空港

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飛行機に疎い私は使用機情報の出ていたインフォメーションを
ブログの資料用に撮影していました

右上の現在時刻は14:39・・・。

そんなとき、はじめはカタカタと小さく・・・やがてガタガタと激しい横揺れが襲ってきました。14時46分、地震の発生です。館内放送の指示に従い、ガラス張りの窓際や天井からぶら下がるサインボードの下を避けて、床に低い姿勢を取ります。私自身、今までに味わったことが無いほどの大きな揺れ。でもこれは浮島の羽田空港だからこんなに揺れているのだと思っていました。実際にはどのくらいの時間揺れていたのか定かではありませんが、とても長く感じた地震。ようやく治まってまわりを見渡すと、ゲートラウンジ内に大きな被害は無さそうでした。しかしチェックインは一時中断、保安検査場も閉鎖されました。

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揺れが治まった直後のゲートラウンジ。
左側の職員が集まっているのが閉鎖された保安検査場です。

それでも私はまだ楽観視していて、これはちょっと離陸が遅れるかな程度に思いながら、ソファに腰掛けてテレビを見ていると、そこに映し出された地震速報・・・。

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ロビーのテレビに映し出された速報。

なんと宮城で震度7・M8(速報時)、関東でも震度6強との報道が流れました。予想を遥かに上回る大地震です。近くにいた乗客たちも皆、呆然とテレビを見入っています。そんななか空港館内では現在滑走路、機材のチェックを行っているとの放送が入りました。

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離着陸は一時見合わせ・・・。
カウンターにはその旨を伝える表示が出ています。

やがて空港の窓から見えるお台場方面から、黒煙が上がっているのが確認されるようになります。生々しい写真なので掲載は控えますが、その凄まじい黒煙を見たときに初めてこれは大変な地震だったのだと実感したのです。慌てて家族や知人に電話をかけるも、繋がらず・・・。
空港の方はと言うと、三本ある滑走路のうち一本は安全が確認されたのですが、まずは着陸を優先させるために当面離陸は見合わせると説明。そして定刻の一時間半後になる17時過ぎ、乗る予定だったJA333便の欠航が決定してしまいました。すぐに後続便への振替ができないかとカウンターに尋ねるも、後続便についても離陸の予定が立たず欠航の可能性が高いとのこと。結局この日のJAL福岡便は全線欠航となってしまいました。

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JALのHPより。
いちばん上が乗る予定だった333便です・・・。

これはもう旅行はムリだな・・・と諦め、自宅へ帰ることを決めて到着ロビーへ出てみると、そこにはものすごい人の数。それもそのはずで、飛行機が飛ばないのに加えて空港からのアクセスとなるモノレール、京急、リムジンバスはすべて運転見合わせ。タクシー乗り場には長い列ができていますが、タクシーの姿は無し。

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運転見合わせで、真っ暗な京急・羽田空港駅。

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モノレールの駅は明かりこそ点いていますが、
こちらも全線で運転見合わせ。

つまり福岡へ飛べないだけでなく、自宅にも帰ることができなくなってしまいました・・・。もう成す術がありません。携帯電話も通話できないし、どうせネットもムリだろう・・・と思いながら操作すると、なんと意外にもネットは繋がりました。そこで一応ANAの運航状況も確認すると(同じ羽田空港内なのに、第一ターミナルでは第二を使用するANAの状況はほとんど解らないのです)、チェックイン中断、運航一時見合わせとはあるものの、欠航とは出ていません。さらに福岡便にもまだ空席が残っている・・・とりあえずダメ元でその福岡便を当日予約し、歩いて第二ターミナルへ移動することにしました。

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第一と第二のターミナルを結ぶ連絡橋。
各地で大変な状況になっている頃、無情にも羽田の空は青かった・・・。

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第二ターミナルも当然混雑していましたが
第一ほどでは無いように感じました。

予約できたのは定刻19時発のNH267便。この時点ではまだ運航できるかどうかは決まっていませんでした。しかし余震が治まりつつあった19時半頃から九州・四国方面への便が次々に運航決定。そして267便も二時間遅れで飛ぶことが決まりました。すぐにチェックインを済ませ、この日二度目の保安検査場を抜けてゲートラウンジへ。ようやく落ち着いて三時間ぶりにテレビへ目を移すと、そこには波に飲まれた仙台空港や火に包まれたコンビナートの様子が映し出されています。正直ここまで酷い状況だとは思ってもいませんでした。こんなとき呑気に九州へ飛んでいいものだろうかと深く考えましたが、飛ばずに私がこの羽田へ残っていたってどうすることもできない。心苦しいけれど、気持ちを割り切るしかありませんでした。

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二時間遅れ・・・それでも運航が決定したNH267便

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その飛行機は「ポケモン・ジェット」でした・・・。

羽田2100-(NH267)-福岡2300(地震のため二時間遅れ)

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福岡空港からは地下鉄で博多へ向かいます。
11.03.11 福岡市営空港線 福岡空港

福岡空港2330-(福岡市営空港線)-博多2335

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九州新幹線開業に合わせてリニューアルした博多駅。
巨大な駅ビル「JR博多シティ」のオープンも大きな話題となりました。

予約していた博多駅前のホテルには日付が変わろうとする午前0時近くに到着。すぐにテレビの地震状況番組へ釘付けになり、結局一睡もできずに新幹線開業当日の朝を迎えることになったのでした。


・・・続きます。

 


この記事への「nice!」の受付は控えさせていただきます。

ソネットポイント「東北地方太平洋沖地震義援金」受付サイト
http://www.so-net.ne.jp/point/use/fund/



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ONE-shot 54 静かな発進 [PICK UP ONE-shot]

PICK UP ONE-shot 54 静かな発進
  
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未曾有の大地震が東日本を襲った翌日は
九州新幹線の全線開業日でした。
本来ならば盛大に行われるはずだった出発式やイベントは
すべて自粛。
もちろん、この判断は正しかったと思いますが、
長年新幹線を待ち望んでいた沿線の方々や
全線開業に尽力されてきた関係者のことを考えると、
なんともやるせない気持ちでいっぱいです。
  
歴史的な九州新幹線全通の一番列車「つばめ327号」は
鹿児島中央へ向けて、静かに博多を発車しました。
   
  
 
 これで事実上は青森から鹿児島まで繋がった新幹線。
しかし東北新幹線の一部区間は現在も不通。
それどころか日に日に明らかになる被災地の悲しい現実・・・。
でも、暗くなってばかりいられない。
こんなときだからこそ、繋がったレールのように一丸となって
青森から九州・・・いや北海道、沖縄も含めたみんなで
日本を盛り立てていかなくてはならないと思います。

11.03.12 山陽新幹線 博多


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ONE-shot 53 サヨナラ キタキンキ [PICK UP ONE-shot]

PICK UP ONE-shot 53 サヨナラ キタキンキ
  
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福知山線の特急「北近畿」。
大阪から福知山・城崎方面へのアクセス特急として
今ではすっかり定着したこの列車名ですが、
誕生当時は近畿地方の北部へ向かうから「北近畿」とは
なんとも安直でパッとしない名前だなぁ・・・と、思ったものです。
そんな「北近畿」の名前も今日限り。
明日のダイヤ改正から新型287系の運転が開始され、
新たに特急「こうのとり」を名乗ることになりました。
こちらは真っ白なボディの287系に相応しい、いい列車名だと思います。
まだちょっと呼びにくいけれど、じきに慣れることでしょう。

ネーミングはイマイチでしたが、
国鉄最後の新設特急という肩書きを持つ「北近畿」。
気がつけば誕生から四半世紀という、意外にも息の長い特急でした。

08.11.05 東海道本線 塚本
   
  
       
PS.昨日の大地震で
被害に遭われた方には、謹んでお悔やみとお見舞いを申し上げます。
私も多少の影響はありましたが、無事でいられることが何よりだと感じています。
昨日投稿したこの記事は、訳あって予約投稿を使用いたしました。
大地震で大変な最中、気楽な鉄道記事などを投稿してしまったことを
深くお詫びいたします。
ひとりでも多くの方の無事が確認されますよう、心から願っています。
   
11.03.12 あおたけ


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ONE-shot 52 ミニエコー [PICK UP ONE-shot]

PICK UP ONE-shot 52 ミニエコー

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今日は仕事で塩尻(長野)へ。
鉄的に塩尻で忘れてはならないのが、クモハ123-1 「ミニエコー」の存在。
「ミニエコー」は中央線の旧線、辰野~塩尻の短区間で活躍している単行電車です。
単行とはいえ、前パンを高々とあげて(1Mだから前パンなのは当たり前か・・・)
旧線の難所・善知鳥(うとう)峠の勾配を力強く走る姿はなかなか魅力的。
塩尻を訪れる度にいつも、帰りがけに走行写真を撮っていこう、
もしくは「ミニエコー」に乗って旧線を回ろうと考えるのですが、
どうしても運転本数の少なさがネックで断念してしまいます。
(日中は二時間に一往復程度)
今回も帰りに塩尻の入線を撮ったのみでした。

荷物電車からの改造車クモハ123-1。
今のところ置き換えの予定などは耳にしていませんが、
何せたった一両しかない電車ですから
置き換えが決まったらあっという間に消えてしまうでしょう。
  そろそろ本腰入れて撮影に行かなきゃなぁ・・・。

11.03.09 中央本線 塩尻


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武蔵野線・・・24系団臨「あおもり」 撮影記 [鉄道写真撮影記]

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2011.03.04 武蔵野線
ヨルノニシコクdeブルトレ!
24系団臨「あおもり」
撮影

鮮度落ちとなってしまいましたが、先週金曜日に東北新幹線「はやぶさ」のデビューを記念して大船~青森で運転された24系の団体臨時列車「あおもり」。事前の情報(というか、駅貼りポスター)では、ブルートレイン編成に専用のヘッドマークまで用意された豪華な列車のようです。これはきっちりと撮影したい・・・のは山々ですが、大船発20時27分の夜行列車では撮影できる場所が限られてしまい、当然停車駅での撮影にファンは集中することでしょう。いくら魅力的な列車とはいえ、混雑するホームでもみくちゃになりながら撮るのはイヤだなぁ・・・。そこで、一か八か通過駅での走行写真を狙ってみることにしました。厳しい条件ですが、ホームの明るさがあれば何とかなるかも知れません。この列車の走行ルートは東海道~武蔵野~東北なので、とりあえず手軽な武蔵野線の西国分寺へ会社帰りに直行。ニシコクでブルトレ撮影とは何とも不思議な気分です。こんなところで撮るヤツなんか他にいないだろうと思いながら武蔵野線ホームへ上がってみると、何とすでにおひとりの先客がいらっしゃいました。挨拶をし、考えることは同じですねとお互い苦笑い。この方によると、通過はだいたい21時50分頃ではないかとのことで、約一時間待ち・・・。この日の寒さは身にしみます。{{(>_<)}}
ところで今回の撮影ですが、実はレンズが標準ズーム (28~105ミリ F4) しかありません。この日の朝は外回りの仕事先へ直行せねばならず、望遠レンズを忍ばせていくことができなかったのです。ただでさえシャッタースピードが稼げない夜間撮影。本来なら望遠レンズの圧縮効果で少しでも画角内の被写体移動距離を狭めたいところなのですが、それができないのは正直ツライ・・・。果たして標準ズームで通過列車を写し止めることなどできるのか?当然三脚なども無く手持ち撮影。

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まずは武蔵野線の電車で試し撮り。
オレンジ帯の209系も、だいぶ見慣れてきました。
武蔵野線 西国分寺

シャッタースピードは1/15sec (ISO800 f4)。ふつうなら被写体ブレしてしまうスピードですが、列車の動きに合わせてズームリングをまわしてゆく、いわゆる「ズーム流し」で先頭部を写し止めます。上の209系はうまく撮れているように見えますが、これは停車直前の超低速。これでは通過列車の参考にはなりません。次に案内放送されたのは貨物列車。これは通過列車ですから、いい試し撮りになるはず。

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相変わらず貨物には疎くて列番は解りませんが、
牽引機は原色(赤プレ)のPF(1078)でした! ラッキー (^▽^)

うん、これくらいなら上出来。でも前が詰まっていたのか、これもかなりの低速で通過。本命の「あおもり」も、このくらいで通過してくれたら助かるのだけれど・・・。ちなみに209系の写真は100ミリくらいで、PFの方は50ミリくらい。やはり標準・広角系の方がスピード感が出ます。

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次の貨物はEF210-157が牽引。
桃太郎も夜間撮影で捕らえると、ちょっとカッコよく見えます。

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さらに10分後の貨物はPF更新色(1084)。
寒い中ホームで待つ人には、通過する貨物が恨めしい存在かも。

次々に貨物列車がやってくるこの時間帯の武蔵野線。どの列車も低速で通過してゆきます。詳しくは解りませんが、ひょっとしたらこの先にカーブがあるので、ここは減速ポイントなのかな? ズーム流しにもだいぶ慣れてきたので、コレはイケるかも・・・と、ここまではブレブレになるような大きな失敗が無かったこともあり、ちょっとした自信・・・というか、慢心してしまったところがありました。そして迎えた本番。単なる団体の通過列車なのに、上下ホームにお見送り(?)の駅員が立ち、案内放送も自動ではなく肉声で「まもなく団体列車が通過します」と告げられました。すると、途端に体中へ沸き上がる緊張感。ライトが見えた瞬間には手まで震えだしました。ズーム流しはいかにズームリングを滑らかに回すかが命。このままでは・・・イ、イカン!

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夜の西国分寺を通過するEF8195牽引「あおもり」
「白鳥」をかたどったマークが、なかなかカッコイイ!

く~っっ o(>_<)o... ヘッドマークをピタリと写し止められなかった・・・orz。タイトル写真にある望遠側ではなんとか文字まで読み取れるものの、やはり広角気味に迫力ある画で止めたかったなぁ・・・。それにしても緊張もさることながら、実際にこの「あおもり」の通過速度は貨物よりずっと速かった(ように感じた)のです。そう考えると、マーク付きの虹ガマブルトレってことが解るだけでも良しとすべきなのでしょうか。

寒い中一緒に待ち続けた同業者さん、お疲れさまでした。この夜の「あおもり」撮影の代償は大きく、帰ってからちょっと熱っぽくなった私は、翌日の「はやぶさ」一番列車の見送りをパスせざる終えなくなったのでした・・・(´・ω・`)



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