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九州03・・・「つばめ327号」乗車記 乗車編 [鉄道旅行記]

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2011.03.11~13 九州03
九州新幹線開業
下り一番列車「つばめ327号」乗車記
乗車編

前回からの続きで、九州新幹線下り一番列車「つばめ327号」に乗っています。列車は定刻通りに博多を発車。

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6時10分。まだ明けやらぬ博多の街が車窓に流れます。
11.03.12 九州新幹線 博多付近(車窓から)

結局、博多発車後も席は埋まらず、私が乗っている2号車自由席は4~5割程度の乗車率で車内はとても静か。やはり地震の影響で行動を控えている人が多いのか、車内を見渡した限りでは一番列車の乗客は私のような単独の鉄道ファンばかりで、東北新幹線新青森延伸時のような地元の方や家族連れの姿はあまり見られません。震源地から遠く離れ、ほとんど直接被害を受けなかったと思われる九州でも、このような形で少なからず地震の影響は出ているのです。そんな静かな車内に、まずは自動の音声案内で停車駅・車内設備などが流れます。停車駅案内でさっそく「筑後船小屋」や「新大牟田」などの新駅名を聞きたかったのですが、この「つばめ」は各駅停車なので 「停車駅は鹿児島中央までの各駅です」で、片付けられてしまいました・・・。まあ新駅名を聞くのは、各駅に到着までのお預けって事ですね。まずは新駅の一つめ、新鳥栖が次駅停車に告げられて自動放送は終了。続いて車掌の肉声案内が入ったのですが、そこでなんと 「本日は九州新幹線一番列車の「つばめ327号」にご乗車いただき・・・」とサラッと、でも確実に「一番列車の」という言葉を聞き取ることができたのです。さりげない一言ですが、ようやくこれで一番列車に乗っていると実感することができました。
車窓の方は博多発車後しばらくすると、左手に山陽新幹線の博多総合車両所が見えてきます。一応撮影を試みたのですが、まだ薄暗い車両所を走行中の車内から撮るのはムリがありました。車両所を過ぎると列車は幾つかの短いトンネルを経て、今回の開業区間で・・・というよりも、既存区間も含めた九州新幹線のなかでもっとも長い11935メートルの「筑紫トンネル」に入ります。この長さを聞くと、やはり最近開業する新線はトンネルばかりだなぁ・・・と感じてしまうのですが、実際は今回開業した博多~新八代121.1キロのうち、トンネル区間は全部で37キロ。比率だと31パーセントに過ぎません(データ類はDJ誌3月号参考)。それでも3割がトンネルかとお思いでしょうが、その1割がこの筑紫トンネルなので、コレさえ抜けてしまえばあとは新大牟田~玉名の福岡・熊本県境に中規模のトンネルが続く程度。単純に比べるのはおかしいけれど、最近開業した東北新幹線の八戸~新青森がトンネル率6割強ですから、それよりはずっと視界が開けているのです。長かった筑紫トンネルを抜けるとそこは佐賀県で、まもなく新鳥栖(6:24着)。

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開業区間に新設された新鳥栖。長崎本線との接続駅です。
11.03.12 九州新幹線 新鳥栖

佐賀県初の新幹線駅・新鳥栖。佐賀県といっても県の東端をかする程度なのですが、県民にとっては一大事らしい。というのも、なぜかウチの会社は九州出身者の中で佐賀県人率が高く、「佐賀にもやっと新幹線の駅ができた」と喜び合っていたのです。東京出身の私など、失礼ながら「ああ、鳥栖って福岡じゃなく佐賀だっけ」って感じですが、やはり地元の方にとっては悲願の新幹線開業なのです。今回は鳥栖市のみですが、いつの日か九州新幹線・長崎(西九州)ルート(新鳥栖~長崎)が開業し、新幹線が堂々と佐賀県の中央を横断する日が来ることでしょう。そのときが佐賀県民にとって本当の悲願達成になるのかもしれません。既に新鳥栖の構内は、将来の長崎ルート開業を見越して二面四線になっています。新鳥栖を出た列車は筑後川を渡り、再び福岡県へ。

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車窓から見た佐賀・福岡の県境を流れる筑後川。
右上の黒い点は、新幹線を追っているのだと思われる報道のヘリ。
ほとんど報道されなかったみたいだけど・・・。
11.03.12 九州新幹線 新鳥栖-久留米

筑後川を渡り終えるとすぐに久留米へ停車(6:29着)。前駅の新鳥栖から7.1キロしか駅間が無く、所要時間はわずか5分。首都圏以外でこの新幹線駅間の短さはちょっと異例ですが、新鳥栖が長崎本線、ここ久留米は日田・由布院方面への久大本線が分岐する主要駅なので、どちらも外せなかったのでしょう。さらに久留米を出て8分、続いて筑後船小屋(6:37着)。この駅間も15キロしかありません。

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新設駅・筑後船小屋。
開業にあわせて在来線の船小屋駅は同地に移設され、
駅名も筑後船小屋に改称されています。
11.03.12 九州新幹線 筑後船小屋

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車窓から見た筑後船小屋の駅前ロータリー。
まだ何もありませんね・・・。

無人駅だった在来線の船小屋から一気に新幹線駅へと昇格した筑後船小屋。設置には地元の要望が高かったとのことですが、久留米から程近い(普通列車でも15分ほど)この地に、果たして本当に新幹線駅が必要だったのかと正直思わずにはいられません。地元民ではない外部の人間が言うことではありませんが、新幹線停車駅として今後の発展に期待したいと思います。そんな筑後船小屋ですが、由緒ある「船小屋」の名 (江戸時代、矢部川一帯に土木用の船を格納する小屋がたくさん設けられた事が地名の由来)がしっかりと採用されたのは嬉しく、個人的に全通した九州新幹線ではいちばん好きな駅名です。筑後市にあるので「新筑後」なんて駅名になって「船小屋」が消えていたらガッカリしたところでした。
筑後船小屋を出た列車は7分で次の新大牟田(6:44着)、さらに8分で新玉名(6:52着)と、こまめに停車。この辺りはとにかく駅がやたら多くて、新幹線があまりスピードにのっていない印象。まあニーズに合わせて速達タイプの「さくら」や「みずほ」をうまく使えばあまり気にならないのでしょうが。ちなみに当初乗る予定だった「さくら401号」だと、筑後船小屋・新大牟田・新玉名は通過していました。

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新設された新幹線単独の二駅。
新大牟田は在来線の大牟田から約6キロ、
新玉名は玉名から約3キロの地点にあります。
どちらも駅前は筑後船小屋同様、まだ発展途上の感じ。
11.03.12 九州新幹線 新大牟田/新玉名

この「つばめ327号」は、停車する各駅にとっても一番列車になります。しかし、やはり歓迎イベントなどが行われている様子は無く、ホームへ見学に来ている地元の方らしき人がちらほらと見られるものの、途中駅から乗車してくる人はほとんどいませんでした。そして列車はまもなく、今回の開業区間でいちばんの主要駅・熊本に到着。ここでもホーム上は特に何もありませんでした。

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在来線の上熊本駅付近で見えた熊本市交の市電。
11.03.12 九州新幹線 新玉名-熊本(トリミング済み)

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定刻7時01分、熊本着。ここで一分ほど停車。
高い天井に趣向を凝らした間接照明が目を引きます。
でも、ちょっと暗い?
11.03.12 九州新幹線 熊本

博多~熊本間、在来線の特急だと約80分かかっていたものが、新幹線各駅タイプの「つばめ」で約50分。速達タイプの「さくら」が約40分。ノンストップの「みずほ」だと33分。熊本の方にとっては博多まで一時間を切ったというのは大きいでしょう。でも、たまに利用する程度の私など在来線特急の80分はそんなに長いと感じず、むしろ博多の駅弁を食べながらのんびりと787系の特急に揺られる適度な時間は、キライじゃなかったのですが・・・。

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熊本発車後、左に見える新幹線・熊本車両基地。
九州新幹線用のN700系や800系の姿があります。
11.03.12 九州新幹線 熊本-新八代

熊本の次は新八代。今回の新規開業区間は博多から新八代で、ここから先の鹿児島中央までは2004年に先行開業した既存区間になります。私はその新八代~鹿児島中央開業のときも新八代発下り一番列車に乗車しています。あれから7年、今回の全線開業で再び一番列車に乗って新八代へ来られたことを考えると、感慨もひとしおです。

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「リレーつばめ」が暫定的に使用していた、在来線からの連絡線。
この連絡線はどうなるのでしょうか・・・やはり撤去されるのかな?
11.03.12 九州新幹線 熊本-新八代

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新八代には前日まで「リレーつばめ」で活躍していた
787系が停車していました。どうやら地震の影響でダイヤが乱れ、
翌日まで取り残されてしまったらしい・・・。
11.03.12 九州新幹線 新八代

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新規開業と既存区間の境界駅・新八代。

これで新線区間を踏破し、晴れて九州新幹線は完乗。新線区間のみの乗りつぶしという方が多かったのか新八代では半数近くの乗客が降りてしまい、「つばめ327号」はさらに空席が目立つようになりました。私は乗り続けて鹿児島中央へ向かいますが、ここから先の車窓は東シナ海(八代海・天草灘)が見える進行右手の方がいいので、座席を右側の二列席に移します。どうせ空いている事だし。

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新八代から先の既存区間はさらにトンネルが多くなりますが、
視界が開けると東シナ海がよく見えます。
11.03.12 九州新幹線 新水俣-出水

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出水を出ると平行在来線を引き継いだ「肥薩おれんじ鉄道」
の車両をちょこっとだけ見ることが出来ました。
11.03.12 九州新幹線 出水-川内

博多から乗り続けること1時間50分。下り一番列車「つばめ327号」は定刻どおり鹿児島中央に到着。不測の事態ではありますが、空いていたおかげで存分に九州新幹線の全線乗車を堪能することができました。

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鹿児島中央に到着した「つばめ327号」。
先頭車付近では記念撮影される方も多く見られます。
11.03.12 九州新幹線 鹿児島中央

博多0610-(つばめ327号)-鹿児島中央0801

先述したように地震の影響で九州新幹線開業関係のイベントはすべて自粛と伝えられていたので、おそらく鹿児島中央でも何も行われないのだろう・・・と思いながらコンコースへ降りてゆくと、なんとそこには乗客をお出迎えする地元の方々の姿が見えます。

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コンコースで乗客たちを出迎えてくれた、鹿児島観光協会の方々。
親善大使のお姉さんから地元産のお土産などが入った袋を頂きました。

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しかし駅前広場のメインイベントなどは中止に・・・。

誰もが心を痛めている地震の被害。それは九州の人たちだって同じで、歓迎する方も複雑な心境だったと思います。それでも地元の人にしてみれば待ちに待った九州新幹線の全線開業・山陽新幹線との直結。せっかく訪れてくれた乗客に何かしてあげたい・・・という気持ちがおありなのでしょう。「お祝い」ではなく「歓迎」が主旨なのであれば、このくらいのセレモニーはあってもいいと個人的には感じました。鹿児島観光協会のみなさん、お出迎えありがとうございます!!

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新幹線の最南端終着駅・鹿児島中央。
ホームの先端からは新幹線越しに桜島を眺めることができました。
11.03.12 九州新幹線 鹿児島中央

  

  

・・・続きます。



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