SSブログ

上信電鉄・・・復活!凸デキ 撮影記 後編 [鉄道写真撮影記]

0033.jpg

2011.04.29 上信電鉄
復活!凸デキ 撮影記 後編

前回からの続きです。
GW初日の4月29日。復活した凸形電気機関車「デキ」を撮影するために群馬のローカル私鉄・上信電鉄を訪れています。撮影アングルに迷いながらもデキが牽引する臨時列車の往路を無事撮影。上州福島から再び下り電車に乗り、今度は復路の撮影地を探しつつ、デキを追いかけて終点の下仁田を目指します。

0019.jpg

上州福島に入ってきた下り電車は、元・西武新101系の500形。
前回の「999号」と違い、こちらはノーマル塗装。
駅員さんが外へ出て、丁寧に電車をお出迎えします。
上信電鉄 上州福島

0020.jpg

珍駅名「南蛇井(なんじゃい)」では、同じ500形の「999号」と交換。
上信電鉄 南蛇井(車内から)

富岡製糸場で有名な上州富岡を過ぎ、神農原あたりまでは平坦な田園風景が広がっていましたが、南蛇井を出ると列車は勾配を上って山の中へ。鏑川の不通渓谷に沿ったこの辺り、今の時期は新緑が美しい。できれば復路のデキはこのあたりの自然豊かなポイントで撮影したいところです。山を越えて再び町並みが見えてくると、下仁田。お目当てのデキは隣のホームに停車していました。

上州福島1100-(上信19)-下仁田1131

0021.jpg

下仁田に停車中のデキ。マークは外されています。
上信電鉄 下仁田

しばらくホームでデキを眺めていると、まもなく入れ換え作業に入るとの事。ホームよりも外の駅舎脇あたりのほうが見やすそうだったので、そちらへ移動して入れ換えをするデキの撮影をすることに。

0027.jpg

上信電鉄の終点・下仁田の駅舎。
関東の駅百選に認定されています。
上信電鉄 下仁田

0022.jpg

デキ+200形の入れ換え作業が始まりました。
上信電鉄 下仁田

0023.jpg

後ろを確認しながら推進・・・というよりも、
今度はデキが電車に引っ張られているって感じでしょうか?
機関士さんもハンドルを握っていませんね。

0024.jpg

200形を切り離し、身軽になったデキの重単。

0026.jpg

上り方に連結されて、ヘッドマークを装着。
デキ1を先頭に復路の運転へ備えます。

入れ換え後は駅へ戻って、構内の電車ウォッチング。前回の高崎に続き、ここにも個性的な車両がいました。

0028.jpg

乗ってきた500形と並んだ6000系(左)。
窓下には「日野自動車(HINO)」のエンブレムが輝きます。
上信電鉄 下仁田

上信オリジナルの6000系、トラックやバスで有名な日野自動車のエンブレムが装着されていますが、ひょっとして日野製!? ・・・ではなく、これは群馬日野自動車の広告ラッピング。でも、装着されているエンブレムは本物で、電車をトラックに見立てているのだとか。なかなか面白い発想ですね。そう言われてみると、6000系はライト周りのバンパーやピラーの無い一枚窓がトラックっぽいかも。ちなみに日野自動車で電車は製造していません(笑)。

0029.jpg

こちらはデキのお供を努める200形と朝に乗った「マンナンライフ」の150形。

0030.jpg

東武3000系の部品を使用して両運転台化された200形。
今では貴重な東武顔を増設側に残しています。
こちらの顔の方もちゃんと撮りたかったところ・・・。

0031.jpg

200形の車内。
顔は東武ですが、製造は西武所沢工場なので
車内は西武旧101系っぽいですね。
でもシートの色は昔の東武がこんな色だったような・・・。
つり革にはデキの写真が展示されていました。

入れ換え作業や留置されている電車を眺めていたら、すぐに折り返し電車の発車時刻となりました。来たときと同じ500形に乗って、復路の撮影地へ向かいます。乗車はわずか一駅で下仁田の次駅・千平で下車。

下仁田1153-(上信28)-千平1200

0032.jpg

小さな無人駅、千平を発車してゆく500形。
上信電鉄 千平

千平駅近くには鏑川を跨ぐ大きな橋があり、そこでは何人かの同業者が待っていました。どうやらここは上信の有名な撮影ポイントらしい。橋の上から線路方向を望むと、新緑の山を背景に線路が築堤上を緩やかにカーブしています。編成重視の往路に対して、今度は少し周りの情景を入れた引きの画が撮りたいと思っていたので、ここはなかなかいい感じ。私もこの場所から撮影することにしました。しかしちょっと心配なのは空模様。先ほどまでは青空だったのに、ここへ来て次第に雲が広がり始めました。

0034.jpg

自然豊かな千平付近を行く150形。
インパクトのある「シマウマ電車」は、「群馬サファリパーク」の広告車。
上信電鉄 下仁田-千平

せっかく撮りたかった「シマウマ電車」が来てくれたのに、カゲられてしまった。やはり新緑は晴れてくれないと美しくない。デキはこの電車の続行で、約10分後。きれいな新緑を背景に走るデキは撮れないのか・・・と、諦めかけた通過5分前、風に流されて大きな雲が抜けてきました! そして見えてきた黒い機体・・・。

0035.jpg

美しい新緑の山間をデキ牽引の臨時列車がゆっくりと通過してゆきます。
これぞ上信電鉄の醍醐味!

日が当たってくれました~ヾ(≧∇≦*)〃ヾ(*≧∇≦)〃 同ポイントの二枚をあらためて見比べると、本当に日が当たるのと当たらないのでは、新緑の発色がまるで違います。架線柱のスパンが短いので重連のデキ二機を抜くことはできませんでしたが、ここではそれも気にならないほど、嬉しい一枚になりました。これでデキの撮影は終了です。

0036.jpg

帰路の上り電車を待つ間に撮影した下りの「999号」。
駅のホームへ続く階段からのアングルですが、なかなかいい感じ。
上信電鉄 千平

0037.jpg

乗車する上り電車は上信オリジナルの1000系。
なんと、鉄道友の会・ローレル賞受賞(77年)車両です。
これも乗ってみたかった電車のひとつ。
上信電鉄 千平

実は私の乗った電車は、途中の吉井で先行していたデキを追い越しました。なので、頑張ればもう一発撮影できたのですが、この後向かう予定の実家へ6時までには行く旨を伝えてあったし、デキは往復ともじゅうぶんに満足した結果が得られたので、無理をせずそのまま帰路へ着くことにしました。

千平1326-(上信32)-高崎1417

0038.jpg

遅めのランチは高崎駅に売っていた、有名駅弁「峠の釜飯」。
久しぶりに食べましたが、外れのない安定した味です。
☆☆☆・・

高崎1432-(高崎934M)-大宮1550~1555-(京浜東北1509B)-南浦和1607~1615-(武蔵野1531E)-新松戸1642~1645-(常磐緩行1537S)-南柏1650

デキがまだ現役で貨物を牽いていた頃、私はよく高崎へ撮影に訪れていました。しかし狙いは上・信越線や両毛線のイベント列車や団体列車ばかりで、上信のデキなどまったく眼中にありませんでした。その後高崎駅で行われた上信のイベントで展示されていたデキの姿を初めて見て、カッコイイ!と思ったものの、既に貨物は廃止。さらに4年前にはデキ自体も運転休止となってしまい、動くデキを撮ることはもう叶わない・・・と諦めていました。ところが今回の見事な復活劇。前回も書きましたが本当に関係者の方々には大感謝です。復活したデキは元気な走りで、今後もファンを魅了し続けてくれることでしょう。

0003.jpg

今回使用した上信のフリーきっぷ。2160円。
ちょっと高いようにも感じますが、高崎~下仁田の往復運賃と同額。
一箇所でも途中下車するならば、このきっぷがお得です。

ところで・・・復路を撮影した千平のポイントには最終的に30人くらいの方が集まりました。しかし撮影後に千平駅で電車を待っていたのは10人弱。つまり三分の二がクルマ移動ってことになります。別にクルマでの撮り鉄がいけないとか、認めないとは言いません。朝早いブルトレや駅からとても歩けないような遠い撮影地などは、クルマの方が効率よくて便利でしょう。私だってたまにレンタカーを使って周ることもありますし、ぶっちゃけJRや大手私鉄の撮影ならクルマでも全然構わないと思います。でも、地方私鉄の撮影となるとちょっと考えてみてください。決して経営に余裕があるわけではない地方私鉄がこのようなイベント列車をファンのために運転してくれる・・・少しでも感謝の気持ちがあるのなら、乗車という形で貢献して欲しいと思うのです。鉄道利用でも往復で合計三回も走行写真の撮影チャンスがあるのなら、それでじゅうぶんじゃないですか。
今回の上信だけでなく、近くの上毛、そして今話題のいすみ、津軽鉄道などでも、経営が苦しいなかファンのためにいろんなイベントを計画してくれます。また、今は全力で復旧作業中のひたちなか海浜鉄道。この鉄道会社もファン思いですから、きっと復旧したあかつきには旧型キハでイベント列車などを走らせてくれるかもしれません。そこへクルマで来て撮影だけして帰る・・・それはちょっと冷たいんじゃないかなって個人的に思います。
こんなのクルマを持っていない者の僻みにしか聞こえないかもしれません。でも、ガラガラの上信に揺られながら追っかけ組の車列を見ていると、何とも寂しい気持ちになったのでした。



共通テーマ:趣味・カルチャー