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北海道03・・・函館本線 「山線」乗車記 [鉄道旅行記]

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2011.06.03~06 北海道03
函館本線 「山線」乗車

前回からの続きです。
初夏の北海道へ寝台列車の撮影に訪れています。初日は一日中雨に見舞われてしまいましたが、二日目の朝は一転。青空の下で気持ちのよい撮影ができました。今回はその二日目の後半です。

6月5日(日)
白老の撮影地で「北斗星」まで撮影した後、レンタカーを返却するために新千歳空港へとやってきました。借りたのは伊達紋別ですが、同じ札幌・千歳エリアならばどこで返却しても料金は加算されません(ワンウェイ・乗り捨てシステム)。もちろん撮影地近くの苫小牧で返してもよかったのですが、このあとの行程を考えると千歳か札幌まで行っておきたかったのです。札幌市内は運転が面倒そう・・・と言うことで、返却に選んだのが新千歳空港店。空港まで戻ってきましたが、決してこれで旅を終えて飛行機に乗るわけではありません。せっかく久しぶりに来た北海道ですから、ここからは少し「乗り鉄」を楽しむことにしたのです。レンタカー屋の送迎バスで空港ターミナルへ送ってもらい、ターミナルの地下にある千歳線の新千歳空港駅からスタート。

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まずはエアポートアクセスの快速「エアポート」へ乗車。
日中は15分ヘッドで運転されているので、とても便利です。
千歳線 新千歳空港

新千歳空港から出る快速「エアポート」には、旭川行きと小樽行きの二種類があります(一部、札幌止まりもアリ)。どちらに乗っても札幌方面へ向かうのですが、実は使われている車種が異なるのです。旭川行きの列車は札幌まで快速運転の後、札幌から旭川までは特急「スーパーカムイ」となるので、特急用の785・789系が使われています。

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特急用の789系で運転される、旭川行きの快速「エアポート」。
座席はリクライニングシートで乗り心地も上々。
11.06.06 千歳線 南千歳

一方の小樽行きは終点まで快速列車のままなので、使われているのは普通の近郊型車両721系。乗るならやっぱり旭川行きの特急用を選びたい・・・。しかし今回の目的地は小樽方面なので、残念ながら721系の方へ乗ることに。

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同じ「エアポート」でも、小樽行きは721系。
こちらは転換クロスシートが並ぶ、フツー電車。
函館本線 札幌

新千歳空港を発車した「エアポート」は千歳線を北上し、約40分で札幌へ。北海道の中心・札幌、時間があれば札幌ラーメンくらい食べたいところですが、今回は素通り。わずか4分停車で札幌を後にします。

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札幌の次駅、桑園から分岐する札沼線(学園都市線)は
来春の電化開業を控え、既に真新しい架線柱が並んでいます。
函館本線 桑園付近(車窓から)

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手稲~稲穂の車窓で右側に見える札幌運転所は鉄的に楽しいポイント。
ちょうど午前中に撮った「北斗星」の牽引機が入換作業中でした。
函館本線 稲穂付近(車窓から)

札幌から小樽へ向かう函館本線では進行方向右側へ座るのがおススメ。それは手稲の札幌運転所が見えるから・・・ではなく、銭函を過ぎると右手に石狩湾が広がり、列車はしばらく海岸沿いの景色がいい所を走ります。

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函館線の車窓に広がる海景色
見えてきたのは石狩湾のシンボル・恵比寿岩です。
函館本線 銭函-朝里(車窓から)

石狩湾沿いを走る函館線の列車と奇岩・恵比寿岩を組み合わせて撮ることができるこの辺りは、昔からの有名な鉄道撮影ポイント。私はまだ訪れたことは無いのですが、一度撮影してみたいと思っている撮影地のひとつです(有名な俯瞰ポイントって、今でも撮影可能なのかな・・・?)。
しばらく続いた石狩湾が車窓から離れて、小樽築港から市街地へ入ると、まもなく小樽。

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新千歳から1時間10分(札幌から30分)
やってきたのは港町・小樽。
函館本線 小樽

新千歳空港1204-(快速エアポート121号)-小樽1316

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小樽に留置されていた731系。
新型車両なのに、なかなかゴツイ顔をしていますね。
そういえばこの車両と併結できる、キハ201って見たこと無いなぁ・・・。
函館本線 小樽

小樽では次に乗る列車まで一時間以上の待ち時間があります。ならば途中下車をして、少し街を歩いてみることにしましょう。

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小樽駅は改修工事中で、すっぽりと白い帽子が被せられていました。
来年春には開業当時の姿に復元されるのだそうです。
函館本線 小樽

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とりあえず小樽観光の定番スポット、小樽運河へ来てみました。
小樽駅から徒歩で10分ほどの場所にあります。
ここには日が暮れてから訪れるほうがキレイですね。

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運河よりも鉄的にはこちらの「旧・手宮線跡」の方が気になります。
手宮線(南小樽~手宮・2.8キロ)は、1880年に石炭輸送を目的に敷設された
北海道初、日本でも三番目に開通した鉄道です(1985年廃止)。
現在はその路線跡が遊歩道として整備されていますが、
街づくりの一環でLRTとしての活用なども検討されているらしい。

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小樽といえば、やっぱり海鮮丼!!
5000円もする「特選」には手が出ないけど、
こちらのボタンエビ・イクラ丼(1680円)でも
じゅうぶんにボリュームがあります。
新鮮なボタンエビの甘さとイクラの醤油漬けがベストマッチ。
セットのカニ汁もいいお味でした~(^▽^)
☆☆☆☆・

運河や手宮線跡を眺め、さらに美味しい海鮮丼も満喫。短時間ながらも存分に小樽散策を堪能し、再び駅へと戻ってきました。そろそろ次に乗る列車がホームへ入線してくる頃です。

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小樽駅に入ってきたのは、単行のキハ40。
ローカル色の濃いこの列車で旅ができると思うと、ワクワクします。
函館本線 小樽

小樽から乗るのは函館本線2944D・長万部行き「山線」の普通列車。小樽~長万部の函館本線は、内浦湾回りの海沿いを走る室蘭本線に対し、山深い場所を走るところから通称・山線と呼ばれています。山線はかつて、急行「ニセコ」や特急「北海」などが運転される重要路線でしたが、メインルートとしての役割を線形のよい室蘭線にすべて持っていかれてしまい、現在では日に数本の普通列車が走るのみのローカル線と化しています。私も函館~札幌の移動などは室蘭線経由がほとんどで、山線には数回乗り通したことがある程度。記憶を辿ってみるといちばん近々に乗ったのは、もう15年位前になります。今回はそんな山線へ久しぶりに乗ってみたくなったのでした。

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長閑な景色が広がる「山線」の車窓。
とくにどうってことない風景なのですが、
ボーっと眺めているとなんだか癒されます。
函館本線 塩谷-蘭島(車窓から)

同じ函館本線の列車でも、先ほど乗った721系6両編成の「エアポート」とは打って変わって、キハ40単行で運転される2944D。小樽を発車するときには座席がほぼ埋まるくらいの客があり、案外利用者が多いのだな・・・と思ったのですが、小樽から三つ目の余市で半数ほどが降りてしまい、車内は早くも空席の方が多くなりました。

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然別(しかりべつ)のホームには丁寧に作られた花壇があり、
きれいな芝桜が咲いていました。
然別は無人駅ですが、地元の方が育てているのでしょうか。
函館本線 然別(車窓から)

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稲穂峠にある銀山駅からの眺め。
山線らしい雄大な景色が車窓に広がります。
函館本線 銀山(車窓から)

かつて岩内線(1985年廃止)が分岐していた小沢を過ぎ、車窓に蝦夷富士と呼ばれる美しい形の羊蹄山が見えてくると、山線区間一の主要駅・倶知安(くっちゃん)に到着。倶知安では増結作業と列車交換のため、26分の停車時間があります。途中駅で30分近くも停車する列車に乗ったのは久しぶりだなぁ・・・。当然車内でジッと待っていてもツマラナイので、ちょっと外へ出てみます。

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羊蹄山の麓にある町、倶知安。
駅からもその美しい山容を眺めることができます。
山頂部が雲に覆われていますが。。。
函館本線 倶知安

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乗ってきた2944Dはここで一両増結されて、キハ40の二両編成に。

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倶知安駅の外観。
かつてこの駅には函館本線のほかに、岩内線や胆振線(1986年廃止)
が乗り入れ、特急や急行なども停車していた鉄道の要所でした。
今は山線の普通列車が発着するのみですが、
倶知安は北海道新幹線(仮称)のルート上に選ばれ、
開業すれば倶知安にも新幹線駅ができる計画。
何十年後になるのか解りませんが、
新幹線に乗って倶知安を訪れてみたいものですね。
函館本線 倶知安

長いと思われた26分の停車時間は駅構内やその周辺をふらふらしていると、案外あっという間に過ぎて発車時刻となりました。一両でも空いていた2944Dは、二両になって車内はさらにガラガラ。私が乗っている一両目は2~3人の客しか乗っていません。なのになぜ増結したのか・・・? 考えるに倶知安16時42分発のこの列車、この日は日曜だったので列車は空気輸送状態ですが、おそらく平日のこの時間帯は学生の帰宅時間に重なり、ある程度混雑するのではないでしょうか。今や地方路線を走る普通列車の乗客は、学生かお年寄りがメインと言っても、過言ではない状態にあります。

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閑散とした2944Dの車内・・・。
乗車したキハ40 825は、青いモケットのボックスシートが並び、
国鉄時代と変わらない雰囲気を醸し出していました。

車内は少々寂しい状況ですが、倶知安を出た列車は車窓に山線のハイライトを迎えます。倶知安から次駅の比羅夫(ひらふ)にかけては、左に羊蹄山、右にはニセコアンヌプリと、北海道を代表する名山の雄大な山容が車窓に広がります。

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左の車窓に見える羊蹄山(1898m)。
倶知安~比羅夫のちょうど中間点くらいからは、
広がりのある裾野までしっかりと見られます。
函館本線 倶知安-比羅夫(車窓から)

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右の車窓にはニセコアンヌプリ(1308m)。
スキーで有名なこの山は、険しい形をしています。
函館本線 倶知安-比羅夫(車窓から)

こんな素晴らしい景色を国鉄形キハのボックスシートに揺られて眺められるなんて、鉄として本当に贅沢な時間だと感じます。今回の遠征はあくまでも寝台列車の撮影をメインにしていましたが、ちょっとでも「乗り鉄」の時間を作って良かった・・・。やはり私にはレンタカーの運転よりも、列車に揺られている方が性に合っているようです。

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ペンションが併設されていることで有名な比羅夫。
手前に見えるログハウスはお風呂でしょうか?
こんなお宿に泊まったら楽しそうですね~。
函館本線 比羅夫(車窓から)

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ニセコではキハ183系の集約臨と交換。
ちょっとしたサプライズでした。
朝(前回)に白老で見かけた列車かな・・・?
函館本線 ニセコ(車窓から)

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車掌車(ヨ6000)を改造した蕨岱の駅待合室。
函館本線 蕨岱(車窓から)

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次駅の二股は有蓋貨車(ワム80000)を改造。
種車が違う貨車駅が連続しているのは面白いですね。
函館本線 二股(車窓から)

日が傾き、夕陽が車内に差し込んできました。列車はまもなく終点の長万部に到着です。小樽から4時間、のんびりと楽しむことができた山線の列車旅。車窓風景ももちろん良かったのですが、やっぱりこういうローカル旅には素朴なキハ40って車両が最高のパートナーだと、あらためて感じたのでした。

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夕陽に照らされた長万部構内に停車中の
キハ183系「北斗」とDF200貨物。
函館本線 長万部(車窓から)

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終点・長万部に到着~!
キハ40、長旅お疲れ様でした (`・ω・´)ゞ
函館本線 長万部

小樽1450-(2944D)-長万部1837

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三角屋根が特徴の長万部駅舎。
函館本線 長万部

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今回使用したのは「一日散歩きっぷ(道央圏用)」
2200円で普通・快速の自由席に一日乗り降り自由、
土休日にのみ使える「青春18」タイプのフリーきっぷです。
新千歳から小樽経由の長万部まで普通乗車券ですと
4310円かかりますから、だいぶオトクになりました。
このきっぷ、日高本線や富良野線(一部)まで範囲内ですので、
かなりの使い手があります。
右は旅のお供に小樽のキヲスクで買った、
「Kitaca」のバターキャラメル


それにしても・・・思えば前日の同時刻は長和の丘で曇り空の下「カシオペア」を待っていたんだなぁ。未練がましいけど、この夕陽が前日にも照らして欲しかった・・・。ちなみに日曜のこの日は夕方発の上り「カシオペア」の運転日では無いので、どんなにいい天気でも長和俯瞰のリベンジはできません。隔日(土・月・水)運転、ここに「カシオペア」撮影の難しさがあります・・・(^□^;)。

 


・・・続きます。



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