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九州05・・・熊本電鉄 「青ガエル」撮影記 [鉄道旅行記]

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2012.04.28~30
九州05
熊本電鉄
上熊本線「青ガエル」 撮影
  

GWに訪れた九州の鉄道旅、前回からの続きです。
旅行二日目となるこの日は朝に大分を出発し、豊肥本線で九州を横断して熊本へ。さらに、観光特急の「A列車で行こう」で、「オトナの乗り鉄」なるものを楽しみながら三角線を往復して、再び熊本へと戻ってきました。この時点での時刻は午後4時過ぎ。街にはそろそろ赤提灯が灯りはじめる頃です。それじゃあ今日はこれで打ち止めにして、名物の馬刺しや辛子蓮根で一杯・・・? いや、東京よりも西にある九州は、この時間でもまだまだ明るい(曇っているけどね・・・)。それならばと、三角線からの列車を降りた熊本で、今度は鹿児島線の上り列車へと乗り継ぎ、やってきたのは熊本の隣駅・上熊本。

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鹿児島線の普通列車342M。
どうせ815系だろうな・・・と思っていたら、入ってきたのは415系でした。
東日本の常磐線や水戸線でも活躍する415系1500番台ですが、
九州車の方が青帯が淡い(東日本車の帯色は紺色)。
12.4.29 鹿児島本線 熊本

熊本1611-(鹿児島342M)-上熊本1615

このブログを読んでくださるような鉄道好きの方ならば、私が上熊本で下車した目的がすぐにお解かりでしょう。そう、上熊本といえばもちろん、熊本電鉄・上熊本線です。熊本電鉄(熊電)は、この上熊本と御代志の間を結ぶ菊池線と、その途中にある北熊本から分岐して藤崎宮前までを結ぶ藤崎線の二路線からなる中小私鉄。しかし実際には路線名と運転形態が異なり、藤崎線の藤崎宮前と菊池線の御代志の間を直通運転させて本線扱いとし、残った菊池線の上熊本~北熊本は支線扱いで、通称・上熊本線と呼ばれるようになっています。本線となる菊池線にも元・都営三田線の6000系や道路との併用軌道区間など見所の多い熊電ですが、なんと言っても今、鉄を惹き付ける熊電最大の魅力は、上熊本線に残る元・東急5000系「青ガエル」の存在。

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東京の渋谷駅前に鎮座している「青ガエル」こと東急5000系。

その独特なスタイルから「青ガエル」のアダ名が付けられた東急5000系(初代)。今では渋谷駅のハチ公前広場に置かれている緑の電車といえばお解かりになる方が多いかもしれません。「青ガエル」は50年代から70年代にかけて東横線を中心に活躍した、東急が誇る高性能電車でした。しかし私の記憶にある「青ガエル」は、すでに東横線から撤退し、大井町線や目蒲線で東急時代の晩年を過ごす地味な姿か、もしくは売却された地方私鉄で細々と活躍する印象が強い車両。とくに地方私鉄では記憶にあるだけでも、長野電鉄、松本電鉄、上田交通、岳南鉄道、そしてこの熊本電鉄で、「青ガエル」の仲間に会うことができました(このほかに福島交通でも使われていたようです)。もっとも、それらは各鉄道オリジナルの塗装に塗り替えられ、既に「青ガエル」ではなかったのですが・・・。しかし、地方に散った「青ガエル」たちも老朽化によって次々に離脱、廃車されてしまいました(以前に紹介しましたが、松本電鉄の新村駅構内には一編成二両の「青ガエル」が静態保存されています)。そんななか、今でも現役で動く「青ガエル」を見られる唯一の路線が、この熊電・上熊本線なのです。

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JR熊本駅のロータリー脇に隣接する、こじんまりとした熊電・上熊本駅。
12.4.29 熊本電鉄菊池線(上熊本線) 上熊本

そんな「青ガエル」に会うべく、さっそく熊電ホームへと急ぎます。実はここでの乗換時間はわずか5分。ふつう、同じ駅構内なら5分もあれば余裕で乗り換えられると思いますが、この上熊本の場合、新幹線工事の名残りなのか未だに改良工事が終わっていないJRのホームから、改札を出てロータリー端にある熊電のホームまではちょっとした距離で、あまり時間に余裕がありません。上熊本線は上熊本を毎時20分・50分で発車する30分ヘッド。一本くらい逃して次の列車でもいいのですが、いくら日が長い時期の九州とはいえ、すでに時は夕刻。明るいうちに走行写真を撮ろうとするのならば、少しの時間でも惜しい・・・ε=ε=ε=┏(;゚Д゚)┛。 なんとか乗り換えには間に合ったものの、JR上熊本駅舎の記録写真を撮り忘れてしまいました。まあ、帰りに撮ればいいか・・・。

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上熊本駅に停車中の熊電5000系。
この下膨れの愛嬌あるお顔は、まさに「青ガエル」。(^^)
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 上熊本

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でも反対側の増設運転台側はというと、切り妻形の平面顔・・・。
これって「平面ガエル」!? Σ(゚ロ゚;)ピョンキチ!?

81年に東急から譲渡されたときには他の私鉄同様、熊電オリジナルカラーの水色にオレンジ帯へと塗り替えられた5000系。しかし今となっては、全国でも最後に残された貴重な「青ガエル」となり、現在では熊電の粋な計らいで東急時代と同じ緑色に復元されています。熊電に在籍する5000系は両運転台構造に改造された単行電車が二両。同じ5000系でもこの二両はそれぞれに向きが異なり、この日運用に就いていたのはオリジナルの非貫通側が下り(北熊本)方を向いている5102Aの方でした。できれば逆向きの5101Aが良かったんだけどなぁ・・・(理由は後述)。料金後払い、ワンマン方式の上熊本線へは切符を買わずにそのまま乗車。程なくして列車は上熊本を発車しました。

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東急時代の記憶はあまりないのですが、
どこか懐かしく感じる5000系の車内。
乗客は4~5人程度か・・・。

線路が悪いのか、車両が悪いのか、その両方とも悪いのか、それほどスピードが出ているわけではないのに、ぐわんぐわん揺れる列車。5000系のような古い電車の特徴でもある長~い吊り手が左右に大きく振られ、思わず車窓風景よりもそっちへと目がいってしまいます。全線3.4キロ、起・終点を含めてわずか6駅の上熊本線で、私が降りたのは上熊本から二駅目の池田。料金は130円でした。

上熊本1620-(上熊本線37)-池田1624
      
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小さな無人駅、池田で下車。
緑豊か・・・というよりも、
うっそうとした雑草の中を去ってゆく「青ガエル」。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田

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閑静な住宅街にある池田駅。
駅舎どころか案内表示などもなく、
パッと見、駅の存在自体がわかりません。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田

今回の「青ガエル」撮影で、私が選んだのは池田駅。この駅の下り・北熊本方には熊電で唯一のトンネル(池田隧道)があり、そこから飛び出してくる列車をホーム上からお手軽に撮影することができるのです。しかし、ここで撮ることになるのは上り方の顔。前述したようにこの日運用に就いていた5102Aの上り方は、増設運転台側の「平面ガエル」・・・。

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ライトを輝かせてトンネルから出てきた5000系。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田

ためしに撮ってはみたものの、やっぱりこの顔はマヌケだなぁ・・・(´・ω・`)。 ならば、トンネルの反対側に回ればいいんじゃなイカ? と単純に考え、ネット上の撮影地ガイドなどには紹介されていなかった(見つからなかった)ので、撮れるのかどうかは解らないけれど、物は試しとばかりにトンネルの反対側へと歩いて行ってみることにしました。よく鉄道写真に興味のない「非鉄」の方からは、「電車なんて線路際に行けばどこでも撮れるじゃん」 などと言われるのですが、実際はそんな単純なモノではなく、この場合もトンネルの反対側が線路際まで住宅が密集していたり、高い柵や塀などがあると撮るのは難しいし、たとえスッキリと抜けていたとしても、そこが人様の家の庭など私有地だった場合には、勝手に立ち入ることなどできません。まあ無理ならば他のところを探そうくらいの軽い気持ちと余裕が、撮影地探しには必要です。

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駅横の坂を上がると、トンネルの上から池田駅を見下ろすことができました。
ここからならば、正調「青ガエル」顔を撮ることができます
(タイトル写真もここから撮ったもの)。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田付近

それにしてもこの池田トンネル、ホームの先端からは逆側の出口が見えていたので、そんなに距離はないだろうと思っていたのですが、平行して人が通れるようなトンネルがあるわけではなく、反対側へまわるにはこのトンネルが掘られた山を超えなくてはなりません。住宅街の舗装された道路を上がるだけとはいえ、これがなかなか急な坂道。上りもキツイけれど、下りは思わずつんのめりそうになるほどで怖いくらい。次の列車が来るまでには反対側へと着きたいところですが、転んでケガでもしたら元も子もないので、慎重に歩きます。スマホに表示された地図を頼りに進むと、迷うことなく15分ほどでトンネルの反対側へと辿り着くことができました。

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池田の隣駅、打越側から見た池田トンネルはこんな感じ。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田-打越

懸念していた撮影地の様子はといえば・・・線路に平行した道路があり、その道路と線路を隔てる柵は低い。これなら望遠レンズを使えば、ウマいこと撮ることができそうです。なかなかの好条件に一安心 ε=(*^o^*) ホッ 。次にすぐ来るのが狙いの下り列車なので、さっそくカメラを構えて、列車がトンネルから飛び出してくるのを迎え撃ちます。ところが、暗いトンネルからハイビームで現れた列車にカメラのAFが惑わされてしまい、結局シャッターが切れないまま列車は真横を通過してしまいました・・・(´Д`||;)。やはり横着せずにちゃんと置きピンして撮るべきだったか orz...。次に来る30分後の下り列車まで、同ポイントで残業です。

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上熊本~北熊本のほぼ中間地点に当たるこの場所、
下りの15分後には上り列車が通過。
なんだかさっきから平面顔ばっかり撮っている気がするなぁ・・・(^^;)。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 打越-池田

曇りの日で薄暗いこの場所、5時をまわって走行写真を撮るには露出的に厳しくなってきました。次で何としても仕留めなきゃ・・・。上写真の上り列車を後追いで撮って置きピン位置を確認し、再び折り返してくる下り列車を狙います。やがてデジャヴを見ているかのように、先ほどと同じくトンネル内に列車のライトが見えてきました。

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トンネルからひょっこりと顔を現した「青ガエル」。
やはりこちらの顔の方が男前です!
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田-打越

今度は無事に「青ガエル」の捕獲に成功~! \(゚▽゚=)/  ちょっとアンダー目だけれど、なかなかいい雰囲気の写真が撮れました。草生した線路を力強く走る「青ガエル」はカッコイイなぁ・・・。ようやく満足して、来た道を池田駅へと戻ります。今考えると山を越えるよりも、打越駅へ歩いた方が楽だったのかな・・・?

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再び池田駅のホームから。
今度はトンネル越しに入ってくるところを狙ってみました。
これが「平面顔」じゃなかったらなぁ・・・。
この列車に乗って池田を後にします。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田

多くのファンに愛されている「青ガエル」こと熊電5000系ですが、よく見れば、未だに冷房は搭載されておらず、シートのモケットもヨレヨレ。屋根や外板にも痛みの激しいところが見られ、旅客車両のサービス面からしてみれば、かなり厳しい状態であると言わざるを得ません。しかし実のところ、5000系を走らせているのはファンサービスではなく、置き換えるための適当な中古の代替車両(17~8メートルの単行電車)が見当たらないという台所事情があるようです。現役で「青ガエル」が走り続けてくれるのは、もちろんファンとして嬉しいけれど、もう休ませてあげたいという気持ちも残った、上熊本線訪問でした。

池田1738-(上熊本線44)-上熊本1741

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上熊本駅の入り口から、顔を覗かせて佇む「青ガエル」。
またいつか、ゆっくりと会いに来たいところです・・・。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 上熊本

せっかくここまで来たのならば、ついでに北熊本へ出て菊池線の方も撮ろうかと考えたのですが、この日は冒頭でも触れたように豊肥線、三角線、そしてこの上熊本線と回ってきて、さすがにガス欠状態。はやく今宵の宿がある熊本でガソリン(アルコール)補給をしたくなり、菊池線はまたの機会にして上熊本へと戻ってきました。もう思考能力が低下していたのか、行きに撮り忘れたJR上熊本駅舎をまた撮り忘れてしまった・・・。

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熊本方面へ向かう八代行きの普通列車は、二両編成の案内表示。
どうせ815系だろうと思いきや・・・今度は817系でした。
12.4.29 鹿児島本線 上熊本

上熊本1801-(鹿児島5341M)-熊本1805

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立派な白亜の熊本駅舎(白川口)。
実はこの熊本駅の写真も撮り忘れてしまい、
これは翌日の朝に撮ったものです...(^^;)
12.4.30 鹿児島本線 上熊本

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熊本といえば馬刺し!・・・といきたいところでしたが、
だんだんと懐事情がキビシクなってきたので、
この日は棒餃子と熊本ラーメンでガソリン補給。
それでも名物を堪能できたので、じゅうぶんにご満悦~(^▽^)

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ほろ酔い気分で市電沿いの道を歩いていると、
広告が施されていないオリジナル車がやってきました。
ためしにコンデジをテキトーに振ってみたら・・・お、うまく写った。
これぞ秘義、酔拳流し? ~(~∀~*)~ウィ~
12.4.29 熊本市交通局田崎線 二本木口-熊本駅前

 

・・・続きます。