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いすみ鉄道・・・キハ52 撮影記 [鉄道写真撮影記]

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2012.09.08
いすみ
鉄道
青空に映えるツートンカラー・・・
初秋のキハ52 撮影
  

9月10日で使用期限が切れる夏の「青春18きっぷ」が一回分余っていました。当初の予定では、以前にも撮ったリバイバル「そよかぜ」の第二弾か、懐かしい特急「つばさ」のマークが掲げられる東北・仙山線の団臨「食べっしゃ485系つばさ号」にでも行こうかと考えていたのですが、どうも最近の私の撮影はJR、私鉄共に「リバイバル」づくめ。もちろん懐かしい名列車が撮れるのは嬉しいけれど、個人的にリバイバル列車となるとキッチリと列車の顔や編成主体に撮りたくなってしまい、画的な面白さが欠けてしまうように思います。さらにリバイバル列車は当然ながら人気の被写体で、撮影地では早めの場所取りが必須。これもリバイバル・イベントの一環のようなものとはいえ、先々週の「さざなみ」、先週の東武8111Fと同業者に囲まれての撮影が続いていて、ちょっとお疲れモード。たまには人の少ないところでゆっくりと鉄道撮影を味わいたい・・・。そこで「青春18」最後の一回分は、のんびりと撮れる関東近郊のローカル線を訪ねることにしました。候補に上げたのは、茨城のひたちなか海浜鉄道と千葉のいすみ鉄道。どちらも元・国鉄キハ20系列の古い気動車が活躍する路線です。しかしHPで運用を確認すると、ひたちなかの旧型キハは週末の運転予定ナシ。一方のいすみは週末ならば確実にキハ52の観光急行が運転されています。しかもいすみ鉄道といえば最近、国鉄形キハの第二弾としてJR西日本の高山線で使われていたキハ58系列のキハ28を導入すると発表があったばかり。これはその嬉しいニュースのご祝儀という意味もこめて、一日乗車券でも買って訪ねてみるのもいいかもしれません。そこで今回のターゲットはいすみ鉄道のキハ52に決定。 あれ?でもこのいすみのキハ52も一種の「リバイバル・トレイン」みたいなものなのかな・・・? (^^;)ゞポリポリ

 

9月8日(土)

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二週間前にも来た千葉から今回は外房線へ乗車します。
車両はおなじみの209系2100番台。
総武本線 千葉

まずは千葉から外房線に乗っていすみ鉄道の起点である大原を目指します。前述したように千葉へは「リバイバルさざなみ」撮影で先々週に内房線へ来たばかり。しかし外房線となるとちょっと久しぶりで、まさにこれから訪れるいすみ鉄道のキハ52が運転を開始した直後以来、約一年半ぶり。一年半ならば大して間が空いていないのですが、小湊鉄道や久留里線に接続する内房線の方へはこの一年で4~5回乗っていることを考えると、外房の方は利用機会が少なく感じます。そのせい・・・というワケではないけれど、時刻表も調べずにテキトーな時間に出てきたら、途中の上総一ノ宮で30分以上も待つハメになってしまいました。やっぱり鉄ならば、ちゃんと計画を立ててこなくてはいけませんよね・・・。

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上総一ノ宮での待ち時間中に入ってきた、
255系の特急「新宿わかしお」。
コレに乗れば大原へ早く着けますが、
もちろん「青春18」では乗れません・・・。
指をくわえてお見送り~(´・ω・`)ノ~~~
外房線 上総一ノ宮

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上総一ノ宮で待つこと30分・・・。
ようやく私が乗る普通列車が入ってきました。

新宿0638-(中央544T)-御茶ノ水0647~0651-(総武658B)-錦糸町0659~0700-(総武快速553F)-千葉0734~0751-(外房235M)-上総一ノ宮0840~0914-(237M)-大原0934

いすみ鉄道は以前に訪れたときにも撮影記乗車記を書いているし、いまさら説明など必要ないほど鉄にとっては有名な路線なのですが、いちおう軽い概要をば・・・。いすみ鉄道・いすみ線は外房線の大原から小湊鐵道との接続駅・上総中野まで、房総半島の真ん中を走る非電化単線のローカル線。赤字で廃線予定(特定地方交通線)だったJRの木原線を沿線自治体などが出資する第三セクター方式で存続した鉄道なのですが、乗客の減少などで常に存廃が取り沙汰される厳しい状況でした。そこで集客へのテコ入れ*に社長が着目したのは、当時JR大糸線での使用後に廃車予定となっていた国鉄形気動車のキハ52。この車両は鉄道ファンに絶大な人気を誇っており、この車両を運行することでファンの注目を集め、それが呼び水になって集客アップを目指すというのが社長の考え。当然これをファンが支持しないはずがなく、今では貴重なキハ52が走る路線として全国からファンが訪れる人気の路線へと変貌を遂げたのです。そしてその成果が国鉄形第二弾であるキハ28の導入に繋がったということですから、本当に嬉しい話ではありませんか(* 集客アップへの取り組みは国鉄形キハの導入だけでなく、「ムーミン」とのタイアップなど他に様々な試みがあるのですが、ここではキハのハナシだけに留めておきます・・・)。

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外房線といすみ鉄道の乗換駅、大原。
右がJRの駅舎で左がいすみ鉄道。
いすみ鉄道の駅舎内にはオリジナルグッズの売店が併設されていて、
列車の待ち時間に眺めていると楽しい。
外房線 大原

そんないすみ鉄道のキハ52。大糸線まで行かなくては撮れなかったキハ52が関東近郊・千葉の房総半島で撮れるようになったのだから、これは毎月のように通ってやる・・・な~んて、意気込んでいたものの、私がキハ52を撮りにいったのは運転開始直後の一回だけ。すでに一年半もご無沙汰で、何とも薄情なハナシです。その間にいすみ鉄道では新型のいすみ300形を導入するなどのホットな話題もありました。大原駅のいすみ鉄道ホームに待機していたのは、そのいすみ300形。もちろん今回が初乗車です。

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今年の3月から運用を開始した新型のいすみ300形。
行先表示器がLEDではなく白地の幕式を採用したのは、
「アノ」有名社長さんのこだわりなのだとか。(^▽^)
いすみ鉄道 大原

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いすみ300形の車内は
中央部にクロスシート、車端部にロングシートが
設置されているセミクロス仕様。
側窓が大きいので、車内は明るく感じます。

既存のレールバスタイプだったいすみ200形に比べて、大型化で安定した走りを見せるいすみ300形。乗り心地は上々です。でも乗客の数は少なく、片手で数えられる程度。キハ52が走る路線なのに、同業者の姿も見られませんでした。まあ久しぶりに来た私が言える立場ではないけれど・・・。このいすみ300形で、まずは大原行きとして上ってくるキハ52の「急行1号」が撮れるポイントを目指します。とはいえ、今回はあらかじめ撮影地を決めてきたわけではなく、天候や田んぼの稲の具合などを車窓から見てから考えようと思っていました。ところが上総東あたりの田園を見ていると、この辺はすでに稲刈りが済んでしまったところばかりで、ちょっと目論見が外れた感じ・・・。稲穂がダメならば、他にまったく別の「気になっていた場所」があったので、そこへと向かう事にします。下車したのは大原から15分ほどの国吉。

大原0942-(いすみ13D)-国吉0958

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ホームでムーミンが出迎えてくれる国吉駅。
現在はネーミングライツにより
正式な駅名は「風そよぐ谷 国吉」。
いすみ鉄道 風そよぐ谷 国吉

さっそくその「気になる場所」へ・・・と行きたいところですが、次の「急行1号」が通過するまではあまり時間がありません。そこで「1号」は駅近くの田園で無難に撮影し、折り返しの「2号」でその気になる場所へ行ってみたいと思います。天気は概ね晴れているものの、雲がモクモクで、いつ曇る・・・いや、雨が降り出してもおかしくない空模様。最近の私はこんなとき、得てして曇られるか、マンダーラになりがち。でも今回は曇る前に、眩しい日差しを浴びておなじみのツートンカラーが姿を現してくれました。

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去り行く夏を惜しむかのような崩れかけの入道雲を背景に
国鉄形のキハ52が走り抜けてゆきます。
♪ 夏が過ぎ 風あざみ
誰のあこがれに さまよう
青空に 残された
私の心は 夏模様・・・ ♪
いすみ鉄道 国吉-新田野

すっかり稲刈りが済んでしまった田んぼよりも、雲の表情が豊かだった空を多めに入れたアングルでパチリ。思わず井上陽水の「少年時代」を口ずさみたくなるような情景を見る事ができました(風に揺れるアザミの花は無かったけれど・・・)。駅近くのとりあえずでも、こんな絵が撮れるのがいすみ鉄道の魅力です。

さて、今の折り返しとなる「急行2号」の通過までに目指すポイントへと向かう事にしましょう。いすみ鉄道には夷隅川という中規模な川(二級河川)が沿っていて、何カ所かの鉄橋が架けられています。この国吉の近くにもトラスの無いガーダー橋があり、車窓から見る限りではなかなか雰囲気がよさそう。でもこの鉄橋付近で撮られた写真と言うのをあまり見かけた事がありません。ここは撮りづらいのかな・・・? そこで今回は試しに河原へと降りて、この鉄橋を撮ってみたかったのです。それが私の「気になっていた場所」。たしかに地図上には河原へと続く整備された道などは見当たりませんが、先ほどの「1号」を撮った場所からさらに先へ進むと森があり、その奥から川のせせらぎが聞こえています。なんとか通れそうな獣道を見つけ、薮を漕いで進んでみると、どうにか河原へと出る事ができました。

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獣道で森を抜けて出た、夷隅川。

しかし、思っていたよりもきれいな景色ではありません。よく見れば水は濁っているし、河原は岩盤に泥が蓄積されたような感じで、背景の森もちょっと雑多。絵にするの難しいかなぁ・・・。でも他に撮影地は思い浮かばないし、あまり時間もない。とりあえず先行する普通列車で試し撮りしてみる事にしました。

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夷隅川を渡るいすみ200形。
いすみ鉄道の開業時から活躍する(当時はいすみ100形)、
車長15メートルのレールバスタイプです。
いすみ鉄道 国吉-新田野

河原などをあまり入れずに水面と鉄橋を主体に撮れば、悪くないか。川の流れは穏やかで、風が治まると時折水鏡になる事もあります。雲と同様、風も自然現象なので通過直前までどうなるかまったく読めませんが、いちおう風が止むのを期待してカメラを構えます。程なくして、この鉄橋を渡るために鳴らした警笛とともに、キハ52が橋上に躍り出ました。

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抜けるような青空のもと、水面にその姿を映し、
同じベンガラ色をしたガーダー橋を渡るキハ52。

水鏡キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!! 遠くでキハ52の接近を知らせる踏切が鳴りはじめたころからピタッと風が止んで、水面にはクッキリとしたガーダー橋が映し出されました。ちょっと残念だったのは手前の岩がかわせなかった事・・・というか、直前まで水面が揺れていて、まったく気づかなかったよ・・・(´Д`;)。流れ雲の多い空も、この日はこれで二勝目。きれいな青空にツートンが映えました。

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ついでにお遊びでこんなカットも・・・
水面に写った方のみを撮影して、天地を逆にしています。
ちょっとアートっぽくなったかな?(^^)

あまりきれいな河原ではなかったけれど、結果的には大満足の一枚が撮れました。何よりも撮影地ガイドなどを参考にせず、久々に自分の足で探したポイントで撮れたってことが嬉しかったかも。河原から再び薮を漕いで森を脱出し、国吉駅へと戻ります。

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いすみ市の商工会館が併設された国吉駅。
構内にはムーミングッズを扱う売店があります。
いすみ鉄道 国吉

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タイトル写真にも使ったように、
国吉にはいたるところでムーミン・ファミリーの
姿を見かける事ができますが、なんとこんなところにまで・・・
実はコレ、列車の停止位置を指示する「停車目標」。
上りはスナフキン(左)で、下りはミー。

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次に私が乗る、いすみ300形の下り列車が入ってきました。
もちろんミーの待つ停目にピタリと停止 (^▽^)
いすみ鉄道 国吉

国吉から下り列車に乗り、今度は上りの「急行3号」が撮れる場所を探します。猛暑の屋外から、冷房の効いた車内に入ってホッとしたのも束の間、国吉と次駅の上総中川との間に、黄金色の稲穂を揺らす田んぼを見かけました。まだ刈り取られずに残っていた場所があったんだ・・・。「急行3号」の撮影場所はいとも簡単に決まりました。乗車はわずか4分・・・涼しい車内が名残惜しいけれど、一駅で下車します。

国吉1203-(17D)-上総中川1207

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ホーム上に小さな木造の待合室があるだけの
素朴な上総中川駅。
いすみ鉄道 上総中川

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わずか4分の車中では食べる事ができなかったので、
上総中川駅の待合室でお昼の弁当をいただきます。
今回千葉駅で買ってきたのは「トンカツ弁当」。
ゴハンの上にカツがのっかっただけのシンプルなお弁当ですが、
これで450円なら文句ナシのコスパです!
トンカツで豚のコックとは、なかなかシュールな掛紙・・・(^^;)
☆☆☆・・

車窓から見えたポイントは一年半前の前回も訪れた場所で、いすみ鉄道沿いの中ではおそらくいちばん広大な田園が広がるところ。その一画に稲穂が残る田んぼはありました。しかし近づいてみると、どうも様子がおかしい。たしかに刈り取り前の稲穂が立ち並ぶ田んぼではあるけれど、所々に雑草が生えていて、あまりきれいではありません。むしろ刈り取られずに放置されているって感じ・・・。

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黄金色の稲穂と黄色いいすみ300形のコラボ
・・・のはずだったのですが、ちょっと雑草が多い?
いすみ鉄道 国吉-上総中川

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ズームしてみると雑草はより顕著に。
これはヒドい・・・(´;ω;`)。

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引き画なら目立たないか?
と、離れていすみ200形を撮ってみたけれど、
やっぱりキビシい・・・。

私は農業に詳しいわけではないのでこの状況はよく解りませんが、いずれにせよちょっと期待ハズレ。結局ここでの撮影はやめて、少しだけ移動します。このすぐ近くにあるのが、遮断機や警報機の無い第四種踏切の「第二五之町踏切」。のどかないすみ鉄道沿線を象徴するような踏切で、ここは「ゆる鉄の聖地」とも呼ばれる超有名スポットです。マイナーな夷隅川の鉄橋から一転してメジャーなポイントになってしまいましたが、稲穂のアテが外れてしまった事だし、メジャーなだけにとてもいい撮影地なので、ここに落ち着く事としました。午後になって雲はさらに多くなり、陰る時間も多くなってきたので、今度こそマンダーラを覚悟したのですが・・・

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天気が急変する季節の変わり目。
広がりはじめた雲から逃れるかのように、
キハ52は進みます。
いすみ鉄道 上総中川-国吉

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振り返ると、こちらはまだ青空。
でも秋らしい薄雲がたなびいています。
農道の小さな踏切を通過したキハ52。
いすみ鉄道 国吉-上総中川(後追い)

またも見事に晴れ、これで三勝目! 最近の私からしてみたら驚くべき勝率です。思ったよりも足回りの雑草がウルサかったけれど、青空を広く入れたかったので、ローアングルで撮ってみました。やっぱり晴れてきれいな光が当たってくれると気持ちイイですね~(^^)。ド定番の構図ですが、これはこれでいすみ鉄道らしくていいかな・・・。

キハ52の急行はさらに大原で折り返し、最後の「急行4号」の運転に備えますが、私の撮影はここまで。せっかく「青春18」を使って千葉へ来たので、帰りは同じ県内の柏にある実家へ顔を出すつもりです。

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上総中川に戻り、帰りの上り列車を待ちます。
すると待合室には先客が二名・・・
アマガエルさんとカマキリさんです (^^)
(両生類や昆虫が苦手な方のためにサムネイルを小さくしています。
クリックするといつもくらいの大きさで見る事ができます)。

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でも列車に乗るのは私一人。
帰りはいすみ200形の方に乗る事ができました。
いすみ鉄道 上総中川

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途中の上総東では「急行4号」と交換。
ホームに出ているお客さんを見ると、
けっこう多くの方が乗っているみたいですね。
いすみ鉄道 上総東(前方の車窓から)

上総中川1429-(20D)-大原1452

いすみ鉄道は海が見えたり、峠を越えたりというような景色の良いところを走るわけではありませんが、キャッチフレーズにもなっているように「何も無い(素朴さ)がここにはあります」。そしてそこを走るのは魅力的な国鉄形気動車のキハ52。鉄ならば、もうそれだけでじゅうぶんな満足が得られます。そんなのどかな路線には三脚や望遠レンズと言うような重装備は似合わず、久しぶりにズームレンズ一本(28~105ミリ)を装着したカメラのみという軽装備で撮影を楽しんできました。順調に行けば年末あたりにキハ28の運転が開始される予定のいすみ鉄道。ますます目のはなせない路線となりそうです。

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今回は「青春18」の旅でしたが、当然いすみ鉄道には乗れません。
いすみ鉄道で購入した乗車券は、たまたま売っていた
「キハ28形 国鉄急行形車両導入記念・一日乗車券(1000円)」。
実は今回の普通運賃は合計で1000円に満たないのですが、
この切符はいい記念になりますよね。(^^)
キハ52と手を組んで走るキハ28、今から待ち遠しいです。

   

大原1541-(外房274M)-蘇我1640~1642-(京葉1602A)-海浜幕張1656~1711-(武蔵野1714E)-新松戸1742~1745-(常磐1645S)-南柏1749



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