SSブログ

スイスⅤ03・・・ヌシャテル・湖畔からの鉄道撮影記 [あおたけ的 SWISS紀行]

2000.jpg

2012.09.16~09.23 スイス 03
ヌシャテ
湖畔からの鉄道撮影記

仕事で訪れているスイス。前回からの続きです。
今回の出張で滞在したスイス北部の街、ヌシャテル(Neuchatel)。前回は街の様子と共に、スイス国鉄(SBB)や私鉄(BLS・TRN)の列車が集うヌシャテルのメインステーションを紹介しましたが、実はヌシャテルにはこのほかにもうひとつ、ヌシャテル湖の湖畔にも小さな駅があります。

2001.jpg

湖畔の公園内に佇むのは、黄色い電車。
ここはヌシャテルの街にあるもうひとつの駅です。

ヌシャテル・プレイス・プリー (Neuchatel Place Pury) という名のこの駅は、旧市街の繁華街に程近く、SBBのメインステーションよりも地域に密着した印象を受けます。ここを発着するのが、前回紹介したトロリーバスと同様にヌシャテルの自治体が管理する交通機関「ヌーシャテル公共交通(Transports en commun de Neuchatel et environs=TN)」の軌道路線、「リットラル・ヌーシャテル線(Transports publics du Littoral Neuchatelois)」 (ヌシャテルの街は市ではなくコミューン(基礎自治体)なので、市バス・市電ではなく公共交通と訳します)。この通称・リットラル線は、ヌシャテルの中心部から郊外のボンドリィ(Boudry)へ伸びる全長わずか8.8キロの電化単線。軌間は1000ミリという狭軌のミニ路線で、トラムに毛が生えた・・・というか、スイスの鉄道一覧ではトラムや路面電車に分類されているような路線ですが、併用軌道区間(道路を走る路面電車区間)は一箇所もなく、全線に渡って専用の軌道を走ります。高規格のトラム、いわゆる「トラムトレイン」ってヤツでしょうか。また、前回にも触れたように坂道が多く、アップダウンの激しいヌシャテルの街なかには乗り入れず、平地にある湖畔のプレイス・プリー駅を発着点とし、そこでトロリーバス等への接続が図られています。

3002.jpg

道路沿いに線路は引かれているものの、
併用軌道ではなく専用軌道を走るリットラル線の電車。
12.9.19 TN Neuchatel Evole-Neuchatel Place Pury

線名に冠されている「リットラル(Littoral)」とは仏語で「海岸・海沿い」という意味で、ここではもちろん海ではなく湖のことを指し、その名の通りヌシャテル湖の湖岸に沿って引かれているリットラル線。前回紹介したヌシャテル城からのSBBは思っていたほどいい絵にはならなかったので、今度はこの湖沿いを走るリットラル線で、少しでもスイスらしい鉄道写真を狙ってみたいと思います。
まずは湖畔の遊歩道を歩き、オーソドックスに順光側から撮影。

2002.jpg

ちょっと雲が多めですが、気持ちのよい秋晴れのもと、
黄色い電車が湖沿いを走り抜けてゆきます。
いい場所ですが、ここで電車と湖の両方を入れようとすると
真ん中にある遊歩道が目立ちますね・・・。
12.9.20 TN Neuchatel Place Pury-Neuchatel Evole

2004.jpg

遊歩道が目立たないようにと、今度は湖の波打ち際まで下りてみます。
ヌシャテル湖は透明度が高く、とても水がキレイ。
背景の街並みの中には、前回紹介したヌシャテル城の牢獄塔と
城壁の上にあったコレジアル教会の三角屋根が見えます。
あ、電車の顔に架線柱の影を落としちまった・・・(-_-;)

2003.jpg

湾曲した遊歩道の突端から、今度は湖面を多めに入れて。
引き画でも黄色い電車は存在感ありますが、
これはちょっと電車が小さすぎたかな・・・?

きれいな湖とカワイイ黄色い電車、天気にも恵まれた好条件のはずなのに、どうもピリッとした写真にならない。むしろ光線状態がバリバリの順光すぎて、全体的にベタッとした感じになっちゃうのかな・・・。列車の編成写真などを撮る場合には前面とサイドに光が当たるバリ順がベストですが、風景などを入れて撮る情景写真の場合は、多少の陰影があってもいいものなのかもしれません。ならば、いっそのこと逆光側へと回ってみるか・・・。アッチイッテミヨ...(((((*。・ω・)。

2005.jpg

線路の反対側へ回るには、こんな踏切を渡ります。
いちおう警報機は鳴りますが、遮断器はありません。

2006.jpg

実はその踏切脇にあるのが、TNの検修車庫。
バスと電車がランダムに(?)留置されています。
12.9.20 TN Neuchatel Evole

踏切と道路を渡ってやってきた逆側。先ほどの場所がバリ順ならば当然コッチはバリ逆で、ふつうに電車を撮ってしまえば真っ黒く潰れてしまいます。でもその条件を逆手に取って生かすと、案外面白い絵が撮れるものだったりして・・・。

2007.jpg

真っ青なヌシャテル湖をバックに、
パンタを高々と上げて走り抜ける、リットラル線の電車。
12.9.20 TN Neuchatel Place Pury-Neuchatel Evole

お!なかなかいいじゃん (゚∀゚)!! これこそまさに湖沿いを行く「リットラル」線らしいカットと言えるのではないでしょうか。どことなく江ノ電の鎌倉高校前駅近くにある海バックの踏切に似たような情景。そういえば今夏、一度は江ノ電へ撮影に行きたいと思いながら、結局行けずじまいだったんだよな・・・。
こんなふうに撮れるのならば、はじめからコッチ側から狙えばよかったのですが、実はここで列車を撮るには、とある「リスク」が伴うのです。

2008.jpg

線路の手前にあるのは、交通量の多い道路・・・。

そう、それは前を横切るクルマ。順光側の遊歩道に対して、こちら側には線路に沿って車道があり、今撮った列車は運良くキレイに抜けてくれたものの、クルマとのカブりは紙一重。こんなところも鎌倉高校前の踏切に似ています・・・(あっちは電車と海岸の間に車道があるのだけれど)。そんなリスクもあって、順光の遊歩道側から撮りはじめたのですが、この絵を見ちゃうと、逆光側の方が断然面白い。リットラル線は上下30分ヘッドで、終点のプレイス・プリー駅に近いここは、上りの後すぐに折り返しの下りが来て、その後20分以上の待ち時間というスパン。20~30分に一本の電車が上手くクルマにカブられずに撮れるかどうかは、もう運次第と行ったところか・・・。では、5分後に来る今の折り返し電車はと言うと・・・

2009.jpg

トレーラー側の先頭車はカブられずキレイに抜けました~。
沖の方に見えるヨットもいい感じ ヾ(´∀`*)ノ゙♪

2010.jpg

でも、続く連結面はクルマが・・・ Σ(゚Д゚;)ナヌッ!?

2011.jpg

そして、パンタ側の先頭車も
クルマの後部が抜けきれず・・・(´・ω・`) ショボーン

縁石の上に乗って、先ほどのアングルよりもちょっと高い位置から湖面を多めに入れて狙ったのですが、残念ながらクルマが並走してきてしまいました・・・(>_<;;)。トレーラー側の先頭車はウマく抜けてくれたのですが、やはり電車のシルエットとなると、パンタがあるモーター車側の先頭車を撮りたかったところ。次の列車は20分後・・・しかしこの時間、明るいように見えてもすでに午後5時を回っており、ちょうど帰宅ラッシュで道路が混みはじめる頃。渋滞とまではいかなくても目の前でクルマが止まることもしばしば起こり、迎えた次の列車はこんな切ない結果に。

2012.jpg

ハイ、クルマ二台とモロカブり~・・・(。A 。)アヒャヒャヒャヒャ...

さらに5分後の折り返しも待ってみましたが、今度は大型トラックに阻まれてシャッターも切れず、大撃沈。この時点でフリータイムのタイムリミットを迎えてしまいました(6時から仕事先の方との会食が予定されていたもので・・・)。結局、逆光側に回っていちばん最初に撮ったものが、モーター車側で唯一カブりのない、ベストカットになりました。一枚撮れただけでもヨシとすべきか・・・。

2013.jpg

ホテルへ帰る道すがら、
もう一度、湖側の遊歩道から撮影。
これが美しい街並みを誇る湖畔の街・ヌシャテルで撮る
最後の風景写真です。

プロの鉄道カメラマンや絵作りの上手い方ならば、条件を見て瞬時にどの方向がベストなのかを見極めるものなのかもしれませんが、私の場合、やはりオーソドックスに順光側から狙う傾向が強く、ツマラナイ絵を量産しているように思います。今回もはじめは順光側から電車と、湖と、街の風景を・・・とあれこれ欲張ったものの、結果は単なる記念写真に過ぎず、条件の悪いと思っていた逆光側にまわり、青い湖に浮き出た電車のシルエットを目にした時は、まさに目からウロコでした。ここではたまたまスイスでの撮影体験でしたが、日本で撮影する時も余裕を持って、ちょっと視点を返ると、もっと鉄道写真の幅が広がるのかもしれませんね(そんな事を勉強しにスイスへ行ったわけぢゃないんだけどね・・・^^;;;)。
 
2016.jpg

この日の会食、メインディッシュは馬肉のステーキ。
アメリカやイギリスなどは馬肉を食す事に否定的な文化ですが、
スイス(特に仏語圏)は好んで馬肉を食べます。
(日本でも馬刺しや桜鍋として食べますよね)。
ちょっと興味本位から馬肉のステーキをチョイスしましたが、
味は牛と大差なく、言われなければ牛のステーキだと思うかも
(ちょっと色は赤みが強いですが・・・)。
赤ワインに合って、ふつーに美味しかったです。☆☆☆・・

2017.jpg

デザートはチョコレートジェラート、
ビター、ホワイト、ミルクの三種盛り。
これぞチョコレート王国・スイスのデザートって感じで、
かな~
り濃厚でした。☆☆☆・・


これでスイス紀行Ⅴは終了です。今年二度目、しかも三ヶ月前に行ったばかりのスイスで、なかなか新鮮な鉄道の話題は見つけにくいのが正直なところなのですが、今回はヌシャテルという初滞在の街を散策することで、古城や湖と絡めた新たな鉄道風景をお届けする事ができました。個人的にはヌシャテル城を取り損ねた事と、リットラル線の湖バックをもう少し煮詰めたかった・・・というのが、ちょっと心残り。次にこの街を訪れる機会があれば、また坂道をヒイコラいいながら城壁を目指し、湖で眩しい日差しに当たりながら、列車を眺めたいと思います。今回もお付き合いいただきましてありがとうございました。m(_ _)m

9月22日(土)
Neuchatel0827-(ICN1517)-Zurich Flughafen1020

9月22日(土)~23日(日)
ZHR1300-(LX160)-NRT0750

2019.jpg

 



共通テーマ:趣味・カルチャー