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千代田線・・・北綾瀬支線 5000系 撮影記 [鉄道写真撮影記]

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2013.06.29
千代田
置き換え間近!?
北綾瀬支線 5000系 撮影
  

 

引退する列車や車両を直前になって記録する、いわゆる「葬式鉄」。葬式って言葉にはあまりいい印象を受けず、当ブログでは代わりに「おくり鉄」と称することにしていますが、いずれにしろ今回のネタは、当ブログのおくり鉄史上において、もっとも地味な路線の車両だといっても過言ではないでしょう。それは東京メトロ千代田線・北綾瀬支線の5000系と6000系 。
(今回の記事はいつも以上にマニアックな内容だと思われますので、読んでいてつまらないと思われた方は、文章をすっ飛ばして、写真だけでも見ていただけたら嬉しいです ^^; )

地下鉄千代田線といえば、大手町、霞ヶ関、国会議事堂前、赤坂、表参道など、東京のほぼ中心を貫く重要路線のひとつ。さらに路線の東側ではJR常磐(緩行)線と、西側では小田急線との相互直通運転が行われており、当路線を走る車両は自社の車両のみならず実に様々で、なんと地下鉄なのにロマンスカーだって乗り入れてきちゃいます(小田急60000形「MSE」使用の「メトロはこね」など」)。そんな賑やかな千代田線の末端部に、ひっそりと(?)存在しているのが、今回のおくり鉄の舞台となる、通称「北綾瀬支線」です。

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まさに網の目のように張り巡らされた東京の地下鉄路線図。
北千住や大手町、表参道などを通る緑色のラインが千代田線ですが、
北綾瀬支線はその末端部、この地図の右上端に位置します(赤枠内)。

北綾瀬支線は、綾瀬と北綾瀬のわずか一駅間2.1キロを結ぶ、千代田線の枝線。もともとは綾瀬から千代田線の車庫(綾瀬車両基地)へ伸びる回送線を地域住民の要望を受けて旅客化したもので、その需要に合わせた短い3両編成の電車で運転されているのが特徴です(同様の経緯を持つ路線としては、山陽新幹線の回送線を旅客化した博多南線に近いものがあります)。現在の北綾瀬支線で使用されている車両は、67年製の5000系が二本(5951F・5952F)と、68年製の6000系が一本(6000-1F)で、5000系の方は数ある東京メトロの車両のなかでも現役最古参の形式。そして6000系の方は千代田線の本線でも使われているメジャーな形式ですが、北綾瀬支線で使用されているのはその第一次試作車にあたる6000-1編成で、東京メトロの車両としては珍しく車両番号に "-(ハイフン)" が付くことから、通称「ハイフン車」と呼ばれている、ちょっと貴重な車両です。しかし、どちらもすでに製造から40年を越える大ベテランで、ファンの間では常に引退の噂が絶えなかったところ、ついに今月(7月)、東西線で余剰となった05系(3両編成×2)が綾瀬へと輸送される計画が鉄道誌に掲載され、北綾瀬支線用車両の置き換えが現実味を帯びてきました。常磐緩行線の沿線で育ち、直通してくる千代田線の車両には人一倍の愛着がある私。支線といえども引退となるとやはり放ってはおけません。置き換えられる前にしっかりと現状を記録しておきたいところです ε-(・ω・´)フンス! 。


6月29日(土)

上の路線図を見ていただくと解るように、盲腸線である北綾瀬支線へアクセスするには、本線との接続駅である綾瀬から入るのが手っ取り早い。綾瀬は千代田線と常磐緩行線との乗り入れ境界駅で、本線用のホームは二面三線の広さがあります。しかし件の北綾瀬支線はというと、その構内の端っこに設けられた「切欠きホーム(本線用のホームを切り取った形でできた、半人前のホームをこう呼びます)」から発着し、いかにも支線という雰囲気が漂っています。そんな専用ホームで待つことしばし、やがて北綾瀬方向からゆっくりと姿を現したのは、箱形スタイルの5000系。日中の北綾瀬支線は、基本的に一本の編成が綾瀬と北綾瀬の間をピストン運行する単純なダイヤが組まれているので、この日の北綾瀬支線撮影はすべて、この5000系5951Fとお付き合いすることとなります。本音を言えば6000系試作車の「ハイフン車」が撮りたかったのですが、確率的には三分の二で5000系に当たる方が高いんですよね・・・ (´・∀・`)マ、イイカ…。

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ホームドアが設置されている、
北綾瀬支線専用ホームへ入線して来たのは5000系。
かつてこの車両は、千代田線よりも東西線で主に使われており、
東西線利用者の方が懐かしく感じるかもしれません。
東京メトロ千代田線 綾瀬

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綾瀬の北綾瀬支線用ホームは「0番線」。
都内ではこの綾瀬と京成の日暮里(上りホーム)でしか見られない、
ちょっと珍しい番線です。

東京メトロ・・・というより、その前身の営団地下鉄に馴染みのある方にとって、5000系は東西線の車両で、千代田線は6000系というイメージが強いのではないかと思われます。でも実は千代田線の初開業(北千住~大手町)となった69年の時点では、まだ6000系が試験段階にあり、営業運転は先に投入された5000系で行われたという歴史があるのです。その後、6000系の増備によって本線の5000系は東西線へと転属しましたが、北綾瀬支線の5000系は据え置かれ、以来、細かい改造や同形式間での移籍を行いつつも、形式的には千代田線の開業からずっと絶えること無く活躍を続けてきました。まさに5000系は千代田線の生き字引と言えるでしょう(ちなみに東西線の5000系は07年までに全車が引退し、現役の5000系はこの北綾瀬支線に残る二本のみ)。

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5000系5151号の車端部にある、
メーカーズプレート(製造銘板)には、ちょっと見にくいのですが、
「日本車輌 昭和42年 東京」の文字が読み取れます。
日車の東京というと、おそらく東京支店・蕨工場のことで、
72年頃まで現在の京浜東北線・蕨駅付近にありました。

そんな古くて貴重な車両が走る北綾瀬支線なのですが、実はファンの注目度はイマイチ。というのも、この路線は全線が高架で沿線の撮影地が乏しく、車両がキッチリと撮れるのは駅のホームくらい。しかもそのホームにはホームドアが設置されていて、撮影アングルも限られています。これではいくら貴重な車両でも、撮り鉄的にはあまり面白味がありません (-"-;)ウーン… 。今までは私も、北綾瀬支線は片手間に綾瀬の発着を撮ったことがあるのみでした。でも今回はせっかく撮影主体で北綾瀬支線を訪れていることだし、少しは画に変化を持たせたいところ。そこで、とりあえず北綾瀬まで列車に乗り、ためしに沿線を眺めてみることにします。ひょっとしたらどこかに穴場の撮影スポットなどがあるのかもしれない。期待は薄いけれど・・・。

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もちろん5000系の運転台は昔ながらのツーハンドル。
ブレーキを緩めて、出発進行!

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複雑な分岐器を渡る北綾瀬支線の列車。
こういうところを前方から眺めていると、
ちょっと萌えますよね~(^▽^)
ちなみに線路を左から見ると、
一段高い、高架になっているのが、本線(常磐緩行線)の下り。
二番目は綾瀬止まりなどが折り返す、留置線。
三・四番目(真ん中二本)が北綾瀬・綾瀬車両基地へ続く支線で、
今乗っている電車はそこ(三番目)を進みます。
五番目(写真右側)は本線の上り。
さらにその右奥には常磐快速線の複線が見えます。
東京メトロ千代田線 綾瀬付近(前方の車窓から)

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ひたすら高架区間を突き進む北綾瀬支線。
ピストン輸送の単純なダイヤだけに単線だと思われがちですが、
この区間は前述したように車庫への回送線も兼ねているために
ラッシュ時などはけっこう運転本数が多く、
しっかりと複線が敷かれています。
東京メトロ千代田線 綾瀬-北綾瀬(前方の車窓から)

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ただし駅間は複線でも、北綾瀬支線が使用する駅のホームは、
綾瀬・北綾瀬ともに単式ホーム一面一線という面白い配線。
北綾瀬駅の先にあるのが綾瀬車両基地で、
ホームの無い右の線路は、ダイレクトに基地へと続いています。
東京メトロ千代田線 北綾瀬付近(前方の車窓から)

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北綾瀬に到着した5000系。
綾瀬と同様に、この北綾瀬もホームドアが設置されています。
現在は北綾瀬支線の列車のみが発着しているため、
ホームも3両分の長さしかありませんが、
近い将来には10両編成へ対応した延長工事が施され、
本線からの列車が直通する計画もあるそうです
東京メトロプラン2015 *PDF注意)。
東京メトロ千代田線 北綾瀬

綾瀬から一駅、4分ほどで北綾瀬着。ずっと前方を眺めていると、複雑な分岐器(ポイント)を渡ったり、留置線を眺めることができたりして、鉄的にはなかなか面白いものがありましたが・・・やはり車窓から見るかぎりは、高架上を走る列車が撮れそうな場所は沿線に見当たりませんでした ε-(‐ω‐;)ハァ…。北綾瀬まで乗ってきて得られた収穫といえそうなものは、思っていたよりも北綾瀬のホーム先端がスッキリとしていて、入線が撮りやすかったということくらいか。

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北綾瀬へ入線してくる5000系をホーム先端から狙ってみました。
「マッコウクジラ」の愛称で有名な3000系(日比谷線用)と、
ローレル賞を獲得した独特なデザインの6000系、
その狭間に誕生したのが、この5000系でした。
でも、派手さはないものの、飾り気のないシンプルなスタイルは
もっとも地下鉄らしい車両だと思っています。
東京メトロ千代田線 北綾瀬

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折り返してくる北綾瀬支線の5000系を待つ間には、
車両基地へ入庫する本線用の6000系が回送線を通過。
やはり千代田線と言うとこの6000系を思い浮かべる方が
多いのではないでしょうか。

綾瀬、北綾瀬の違いはあるにせよ、いずれにしてもホームへの入線を正面気味にしか撮れないということで、画的にはあまり代わり映えがしません。このままでは今回のブログもまた、入線シーン一枚のみの「ONE-shot」になりかねないなぁ・・・との思いがアタマを過ります (^^;)ゞポリポリ 。
とりあえず、他路線へ接続していない終端駅へ来てしまった以上は、折り返すにしてもいったん改札を出なくてはならず、せっかく運賃を払って下車するのならば、少しこの北綾瀬の周辺を散策してみることにしました(・・・といっても、鉄的な散策ですが)。

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北綾瀬支線の終点、北綾瀬。
他の鉄道路線との接続が無い単独終端駅は
東京メトロとしては珍しく、
ココ以外には丸ノ内線・方南町支線の方南町があるのみ。
東京メトロ千代田線 北綾瀬

千代田線ファンにとって北綾瀬散策といえば、まずはここを覗かずにはいられません。そう、千代田線の車庫である綾瀬車両基地。もちろん、一般公開時のように中へ入ることはできませんが、構内には跨線橋が架けられており、そこから中の様子を眺めることができるのです。

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車庫機能の綾瀬検車区と、車両工場の綾瀬工場で構成される
綾瀬車両基地は、東京メトロ最大の車両基地(141.810㎡)。
所属するのは千代田線の車両のみですが、
検査・修繕等は千代田線の他、有楽町線、南北線、副都心線、
さらには埼玉高速鉄道の車両に対しても行われています。
東京メトロ 綾瀬車両基地

そのなかで今回の主旨に沿った気になる車両といえば、やはり北綾瀬支線用の6000系試作車である「ハイフン車」。この日運用に就いていない同車は、広い構内のどこかで昼寝しているはずなので、跨線橋上から目を凝らして見渡してみると・・・お!いたっ!(゚∀゚)オッ!

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車両基地に留置されている「ハイフン車」(左)。
でも、この角度からだと試作車ならではの特徴が解りづらく、
他の6000系と大差がありませんね・・・(^^;)。
奇遇にも隣には、一編成しか存在しない虎の子の
06系が肩を並べていました。
東京メトロ 綾瀬車両基地

世界初のサイリスタチョッパ制御搭載の実績、そして何といっても誕生時には前例がなく、強烈なインパクトを与えた、左右非対称で大型窓を採用した前面デザイン。まさに営団地下鉄の顔として一時代を築いた名車6000系の歴史は、すべてこの試作車から始まっているのです。本来なら地下鉄博物館などに収蔵されていてもおかしくないほどの貴重な車両なのですが、今年で「キョーシセーカツ25年」をはるかに上回る、現役生活45年! 試作車という生い立ちを考えると、まさに驚異的な活躍とも言えるでしょう。しかし前述したように、その現役生活にも暗雲が立ちこめてきました。さらに二本の5000系と比べると、最近は稼働率が低いといわれている「ハイフン車」。はたして同車に、あとどのくらいの時間が残されているのかは解りませんが、できることなら引退までにもう一度くらい、営業中の撮影と乗車を楽しみたいところです。

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以前に綾瀬で撮影した営業運転中の「ハイフン車」(左)。
まだ正式に引退が発表されたわけではないけれど、
一日も長い活躍を願うばかりです。
11.11.27 東京メトロ千代田線 綾瀬 (再掲)

さて、「ハイフン車」の姿を確認したところで綾瀬車両基地を後にして、今度は北綾瀬支線の沿線を歩いてみることにします。狙いはもちろん、駅間を走る北綾瀬支線の姿なのですが・・・

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延々と続く高架橋は、
まるで万里の長城か、はたまたベルリンの壁か。
これではまったく車両の姿が見えません。
東京メトロ千代田線 綾瀬-北綾瀬

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かろうじて高さを稼げる
道路の歩道橋から撮ったカットはこんな感じ。
う~ん、キビシいなぁ・・・(´・ω・`)
東京メトロ千代田線 綾瀬-北綾瀬

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ならば、壁がスリット状になっている
幹線道路との交差部分ではどうかというと・・・
う~ん、う~ん、やっぱりキビシいなぁ・・・(´д`;)トホホ…。
東京メトロ千代田線 綾瀬-北綾瀬

やはり全線高架というところがネックとなり、列車主体の編成写真などがスッキリと撮れるところは見当たりません。まわりに建つ高層マンションの踊り場などからはきれいに撮れそうなのですが、当然ながら私有地へ勝手に入るわけにはいかず、できれば合法的に俯瞰撮影ができるような商業施設の屋上や公共施設などを探してみたものの、北綾瀬支線沿いにそのような出入り自由の建物は存在しない様子。こうなれば、もう列車主体のアングルは諦めて、広く沿線風景を入れて撮影を試みることにしました。幸い、この北綾瀬支線のまわりには公園などが多く、意外と自然の花などを絡めることができそうです。

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青空の下、花畑の向こうを行く北綾瀬支線の5000系。
とても都区内とは思えない、のどかな情景が広がります (´▽`*) 。
東京メトロ千代田線 綾瀬-北綾瀬

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公園の花壇に咲いていたラベンダーは、今がちょうど花盛り。
無機質な都会の路線に彩を添えてくれました。
でも、ラベンダーを眺めていると、北海道へ行きたくなっちゃうね。
東京メトロ千代田線 綾瀬-北綾瀬

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紫陽花はもう見頃を過ぎて、ちょっとお疲れ気味?
寄りにはちょっと耐えられないので、引き画でごまかしてみました(^^;)。
もっと花が元気なころに訪れたかったところ。
東京メトロ千代田線 綾瀬-北綾瀬

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いっぽう、日の光を浴びて
元気な姿を見せてくれたのが、夏の花・ヒマワリ。
もう梅雨明けも間近なのでしょうか (^^)。
東京メトロ千代田線 綾瀬-北綾瀬

たしかに細かいことを言えば、車両の足回りが隠れちゃったり、列車よりも高架橋の方が目立ったりしているけれど、苦し紛れの沿線撮りにしては案外悪くないカットが撮れたのではないかと思っています。とくに、歩いていて見つけたヒマワリ畑のなかに、一輪だけ線路へ背を向けている花があったときには、思わず小躍りしたくなるほどの嬉しさがありました。冒頭にも述べたように、正直言うとまったく期待していなかった北綾瀬支線の沿線撮り。でも、このラベンダーやヒマワリのカットは予想以上の収穫で、あらためて「沿線には撮影地が無い」などの固定観念にとらわれず、歩いてみるものだなぁ・・・と実感した、北綾瀬支線散策でした。

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所々で撮影しながら歩いているうちに、
一駅間を進んでしまい、本線との分岐駅である綾瀬に到達。
いい運動になりました(^^)
東京メトロ千代田線 綾瀬


北綾瀬支線の車両置き換えは、鉄道誌に掲載されていた05系の輸送情報をもとに私が想定したもので、正式な発表があったわけではありません。しかし、車齢が高くてサービス面で劣る5000系や「ハイフン車」の活躍がそう長く続くものではないと思われ、この機会に車両交代が行われると考えるのが妥当なところでしょう。わずか2.1キロ、全線高架の地下鉄路線 (矛盾した言い方だね ^^; )。撮影地は乏しいけれど皆無ではなく、探せばもっと面白い絵が得られるかもしれません。車両が置き変わってしまう前にもう一度、千代田線を支え続けてきた名車たちに会いに行ってみたいと思っています。



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