スイスⅡ 06・・・チューリッヒ中央駅 撮影記 国際列車編 [あおたけ的 SWISS紀行]
ヨーロッパのほぼ中央に位置し、各都市から国境を越えて列車が集まる大ジャンクション・チューリッヒ中央駅。様々な列車が発着するなかで、やはり華となるのは各国自慢の車両で運転される国際列車達。「TGV」や「ICE」などエース級の特急列車から渋い夜行列車まで、これらを一同に見られるのがチューリッヒHBの醍醐味であり、私が「聖地」として崇めている理由はここにあります。
颯爽とメインホールへ入ってきたのはご存知、フランス国鉄(SNCF)の「TGV」。
パリとチューリッヒの間を東ヨーロッパ線経由で結ぶこの列車(Lyria)には
「TGV-POS」という編成が主に使われており、
以前に紹介した、ジュネーヴで見られる車両とはちょっと異なります。
(余談ですが、私がブログのアイコンに使っている写真は
三年前にチューリッヒHBで撮影した「TGV-POS」です。)
スイス国鉄 チューリッヒ中央駅 (Zurich HB)
前々回にも登場したドイツ国鉄(DB)の「ICE」。
「ICE」にも色々な種類があり、シュツットガルト(Stuttgart)から
やってきたこちらの列車は、動力分散型・振り子式電車の「ICE-T」。
デザインが、ちょっとJR-Qの「白いかもめ」っぽいかも・・・。
赤茶色の客車列車はオーストリア国鉄(OBB)の「RJ (RailJet)」。
09年12月からチューリッヒに乗り入れを開始したそうで、
私は今回が初見。専用塗装の1116型機関車はなかなかカッコイイ!
このカマの機器はドイツ・シーメンス社製で、VVVFの起動音が
京急2100形などでおなじみ「ドレミ」の音階~♪
さすが、音楽の都・ウィーン行き ・・・? (^▽^*)
ETR470形電車で運転される、イタリア・ミラノ行きの「EC (EuroCity)」。
もともとは「チザルピーノ(Cisalpino)」の愛称で親しまれてきた列車ですが、
チザルピーノ社の運営撤退・解散で、列車名も「EC」になってしまいました。
それにしてもこの落書きはヒドイ・・・(´;ω;`)。
一昔前に比べると、イタリアの列車への落書きは
減ったと聞いていたのですが、まだあるんだなぁ・・・。
国際列車が並ぶ場で自国の車両だけが落書きだらけだったら、
ちょっと恥ずかしいよね・・・。
日が暮れると、今度はお待ち兼ねの夜行列車タ~イム♪ チューリッヒHBを発着する国際列車には夜行もあり、その代表がドイツ鉄道グループのDB Autozugで運行されている「シティ・ナイト・ライン(City Night Line=CNL)」。ここチューリッヒではドイツ・ベルリン行き「シリウス(Sirius)」、ハンブルク行き「コメット(Komet)」、オランダ・アムステルダム行き「ペガサス(Pegasus)」、そしてドレスデン経由チェコ・プラハ行き「カノープス(Canopus)」の四種類が見られます。また、この「CNL」シリーズのほかにもフランス国鉄(SNCF)の車両でスペインまで運転されている「エリプソス(Elipsos)」や、イタリア方面への「ユーロナイト(EuroNight)」など、多くの夜行列車が見られるチューリッヒHBは、夜の撮影も楽しみ。夜行列車が風前の灯となっている日本からしてみれば羨ましいところなのですが、実は欧州でも夜行列車は衰退傾向にあり、かなりの数が減ってしまったのだとか・・・。
SBBのRe420に牽かれて入線してきた「CNL」は、
プラハ行きの「カノープス号」
「Canopus」とは星の名前で、夜行列車らしいネーミングですね。
「北斗星」のようなものかな・・・。
「CNL」の客車は、ホワイトとオレンジとのツートンカラー。
外から眺めたかぎりなのですが、なかなかにぎやかな編成で、
豪華個室(日本でいうロイヤル?)、二段・三段寝台(A・B寝台?)、
座席車(レガートシート??)、もちろん食堂車もついています。
さらに自転車用荷物車があるのも欧州らしいですね。
実は少し前までの「CNL」はブルーの塗装でしたが、
07年に夜行列車体系の見直し・再編が図られ、
イメージチェンジで上写真の明るい色に変更されてしまいました。
私個人的には、まさに「欧州版・ブルートレイン」ともいうべき、
ブルーに月のマークが描かれていた、この塗装の方が好きだったな・・・。
06.03.28 スイス国鉄 チューリッヒ中央駅 (Zurich HB)
スペイン・バルセロナ行きの「パブロ・カザルス(Pau Casals)号」。
あまりカッコよくない変な形の車両は、「エリプソス」というSNCFの車両で、
スペイン乗り入れに対応した連接構造の「タルゴ(Talgo)」形客車。
フランス・スイスとスペインでは軌間が異なるのですが、
この客車の台車には軌間の可変機能があり、
そのまま直通できるという優れものなのです
(日本でいうフリーゲージトレイン)。
そんな「パブロ・カザルス号」、スイス内の牽引はSBBの汎用機・Re420。
車体の大きさの違いがよくわかりますね~。
夜行列車撮影は夜だけではありません。
翌朝には「CNL」の到着列車を狙ってみます。
すると、アムステルダム発の「ペガサス」には一両だけ
旧塗装の青い客車が混じっていました。
ちょっとくすんだブルーの車体。
朝に見るとブルトレっていうよりも、オハ44などの旧客にも見えます・・・。
イメージ的には、新塗装のオレンジの方が爽やかでいいのかな・・・?
昼夜を問わずに各方面から列車が集まってくるチューリッヒ中央駅。本当に一日中いても飽きないこの駅は、私が子供の頃に大好きだった東北新幹線開業以前の上野駅に近いと感じることがあります。東北・上越・信越・常磐・・・各方面からひっきりなしに特急が集まり、頭端式のホームにずらっと並ぶ。そんな姿に魅了された私は、よく父にせがんで連れて行ってもらったものでした。時刻表を眺め、「もうすぐ13番線に「ひばり」が来る」「今度は上の8番線から「とき」が出る」「次は20番線の「みちのく」だ・・・」と、一日中ホームからホームへ駆け回る。これはまさに、チューリッヒHBで見せた行動そのもので、恥ずかしながらチューリッヒHBでは今でも我を忘れて列車を追ってみたくなるのです。でもそんな魅力的な駅が、果たして今の日本にあるだろうか・・・。私にとっての聖地、チューリッヒ中央駅には、単に鉄道写真を撮ることだけが楽しいのではなく、どこか懐かしい空気が流れているのでした。
・・・続きます。