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信越本線・・・「SL・DL碓氷」撮影記 [鉄道写真撮影記]

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2012.01.28
上越線
183系 快速「シーハイル上越」撮影記
・・・のはずが!?
  

今シーズンはまだ雪と鉄道を絡めた撮影をしていない。私は、引退する列車や国鉄形車両を追う傍ら、できれば四季折々の情景を一枚でも記録したいと考えています。先週月曜日には首都圏でも久しぶりにまとまった雪となりましたが、平日では思うような撮影はできず、かといって週末まで積雪が残っているわけありません。やはり前回の「ONE-shot」でも書いたように、ここは雪の多い地方へと足を運んで撮影したいところ。しかし今は時間的にも経済的にも東北や北陸へ泊まりがけの遠征に出かけられるほどの余裕は無い・・・。そこで今回は雪国としては比較的近場の上越線で、毎年恒例のスキー客を対象とした臨時列車「シーハイル上越号(大宮~石打)」を狙ってみたいと思います。雪深い上越国境で国鉄特急形183系を撮ることができる貴重なこの列車、私が撮影に向かうのは昨シーズンに続き二度目となります。

1月28日(土)

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東京から「たにがわ401号」に乗って出発。
東北新幹線からは撤退してしまった200系ですが、
上越新幹線ではまだ元気に活躍しています。
東北新幹線 東京

シーズンまっただ中とだけあって、多くのスキー客を乗せたガーラ湯沢行きの「たにがわ401号」は定刻に東京を発車。昨シーズンの時も書いたように、ウチからだと朝7時に大宮を発車する「シーハイル」を上越線沿線で撮影するには、新幹線を使わないと間に合いません。今回私が目指すのは、新潟県側の越後湯沢ではなく群馬県側の上毛高原。そこから水上行きのバスに乗り継いで、渓谷の諏訪峡あたりで「シーハイル」を狙おうという考えです。水上では上越国境を越えた新潟県側ほど雪深くはないと思いますが、それでもここ数日の水上の天気は雪だったので、きっときれいに雪化粧した渓谷美が見られることでしょう。ところでこの日、北陸や東北の日本海側では大雪警報が出されており、夜行列車の「あけぼの」や「日本海」、「能登」などはすべてウヤ(運休)。テレビの映像などを見ても青森や秋田の積雪量はハンパ無く、これではウヤも止む無しか・・・などと思っていました。それでも、首都圏から越後湯沢(石打)へ向かう「シーハイル」は関係ないだろう。むしろ「スキー臨」が雪でウヤなんてことがあったら、お笑いぐさだ・・・なーんて、軽く考えていたのですが、停車中の大宮駅で電光掲示板に流れたテロップには・・・「本日(28日)発の快速「シーハイル上越号」は、上越線内での除雪作業の影響で、上下列車が全区間で運休となります」・・・と。

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JR東日本の公式HPでも情報が・・・。

Σ(゚Д゚;)ハゥ!!
・・・ま、まさかの「シーハイル」ウヤ・・・orz...
どうやら上越国境も私なんかが思っていた以上の大雪で、上越線・水上以北の除雪作業が追っ付かないらしい。せっかくいい雪に恵まれたのに列車がウヤとは、「シーハイル」を使う予定でいたスキーヤーはガッカリですね・・・って、スキーヤーの心配をしている場合ではありません。ど、ど、ど、どうしよう・・・アワワ ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿 アワワ これが出発前に解っていれば日を改めて出直すことができたものの、もう新幹線に乗ってしまって大宮を出た以上、後戻りできない。かといって、本命の「シーハイル」がウヤとなっては上毛高原まで行く理由がありません。いっそのこと長岡まで行って特急「北越」でも狙うか・・・? いや、信越・北陸線を通る「北越」だって正常に動いているとは思えない・・・。となると、あとは手前の高崎で降りてしまうか。高崎なら上越線の他に信越線、両毛線、八高線、そして上信電鉄などの選択肢がある・・・。もう雪景色の撮影は望めないけれど、致し方ありません。

東京0632-(たにがわ401号)-高崎0734

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高崎で下車して在来線ホームへ。
停車しているのは信越線107系と両毛線115系。
信越本線 高崎

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駅構内に鎮座していたのは真っ黒な「しろくいちダルマ」・・・。

行き先も定まらず、ふらふらと高崎駅の構内を彷徨っていると、目に留まったのはひとつの真っ黒い「ダルマ」。高崎のダルマは全国シェア80%を誇る特産品で、色が真っ黒なのは同じく高崎に所属している蒸気機関車「C61 20」をモチーフにしているからです(なので「しろくいち=C61 ダルマ」)。蒸気機関車・・・そういえば、たしかこの日は信越線でSLの運転があったハズ。すぐに高崎駅の時刻表を調べてみると、確かにデゴイチ(D51 498)が牽引する「SL碓氷(高崎~横川)」の運転日でした。よし!この日のターゲットはこれに決まり!・・・ということで、ここからはタイトル変更。「シーハイル」を期待していた方、ゴメンナサイ m(_ _)m。タイトル写真は昨年の写真を使ったフェイクです・・・(^^;)。では、改めまして・・・

 

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2012.01.28
信越本線
「SL・DL 碓氷」 撮影
  

さっそく「SL碓氷」の撮影地へ向かうため、乗り込んだのは信越線の横川行き。先月の長野遠征で10年ぶりに乗った信越線の盲腸区間(高崎~横川)へ、まさかひと月も経たないうちに、また乗ることになろうとは思ってもみませんでした。その先月の乗車時にも書いていますが、ここは長野新幹線開業で分断された信越線の南側に残された短区間で、SLの機関区がある高崎に近いことから「SL碓氷」のようなイベント列車が頻繁に運転されているのです。ところでSLと言えば、このブログは鉄道ブログと謳っておきながらSLの登場回数がとても少ない。過去のブログを振り返ってみても、乗り換えの合間に見かけた真岡のC12や、別列車狙いでたまたま撮れた秩父のC58をコラム的に紹介した程度。ブログを始めてから本命でSLを撮りに行くってことがなかったのですね。もちろん鉄ですから、SLがキライってワケではありません。でも、私が鉄道にハマったきっかけはSL全盛期よりも後の電車特急やブルトレ・ブームの頃。SLよりも485系や583系の国鉄特急形や「あけぼの」「北斗星」などのブルトレの方に憧れを感じてしまい、いつの間にか撮影に行くならSLよりも電車特急やブルトレ・・・となっていました。これでも昔は山口線や上越線へSL狙いで出撃したこともあったのですが、最近はめっきりご無沙汰で、昨年復活したC61はまだしも、磐越西線のC57ですら見たことがありません。今回は突発的な予定変更とはいえ、本当に久しぶりのSL撮影。いつもと違うグラウンドに立つような気分で、ちょっとドキドキ・ワクワクしてきました。撮影地の目星をつけ、下車したのは安中。

高崎0759-(信越125M)-安中0812

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高崎から乗った四両編成の107系は学生さんで一杯でした。
ちょうど通学時間帯の電車だったのですね。
信越本線 安中

あまり信越線の撮影地など知らない私ですが、安中にはお立ち台ともいうべき有名な鉄橋を俯瞰する撮影地があります。はじめはそこを目指すつもりだったのですが・・・まてよ、あそこは安中駅の手前にあるポイント。安中に停車する「SL碓氷」は減速して、あまり煙をはかないんじゃなかろうか・・・との不安が頭をよぎりました。ここがフツーの電車とSL撮影の大きな違いで、SLの場合は煙のはき具合が重要なのです。やっぱり煙をもうもうとはいて走る力強い写真が撮りたい。そこで、安中よりも先にあるポイントを探すことにしました。そうすれば安中を出発する際に力行するSLは煙を多くはくはず・・・(ちなみに最近では、ファンが集まるお立ち台などはサービスで煙をはいてくれるらしいので、鉄橋ポイントでも煙が期待できるのだとか)。線路沿いを下り方向へ20分ほど進むと広い田園地帯に出ることができ、そこにはすでに何人かの先客がスタンバイしていました。挨拶をして私もそこへ加わります。

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まずは107系の普通列車で試し撮り。
107系は165系の廃車から発生した主電動機や台車などを
再利用したちょっと変わり種車両。
信越本線 安中-磯部

本当は線路際ギリギリまで寄って、広角で仰ぎ見るような迫力あるアングルで狙ってみたかったのですが、同業者が大勢いるのにひとりだけそんなイレギュラーなアングルで構えることなどできません。ここはこのフレームのすぐ左に信号ボックスが設置されていて、意外と自由度が効かない撮影地なので、オーソドックスですがキッチリとした編成写真アングルに決めます。それにしても上州の空っ風が容赦なく吹き付けて、とても寒い。そしてこの風もSL撮影には大敵。強い風が吹くと煙がきれいに上がらず、変な方向へ舞ってしまいます。さらに不安要素がもうひとつ・・・それはいつものことながら、上空を流れる雲。強い風で晴れたり曇ったりを繰り返していて露出が安定しません。そんな状況のなか、やがて遠~くに見えてきたSLの煙。ちょうどその時は雲が取れて日が差しています・・・ああ、この状態で来て欲しい。しかしSLって煙が見えてもなかなか姿を現さないもの。安中を発車する大きな汽笛が聞こえた頃には再び雲がかかってしまいました・・・うう、この状態では来て欲しくない。取れそうで取れない意地悪な雲にやきもきしているところへ、ついにデゴイチの姿が見えてきてしまいました。雲は流れて取れかかっていますがまだ完全ではなく、このままではマンダーラ(まだら)になる・・・。

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デゴイチの姿が見えたとき、線路上はまさにマンダーラ状態。
しかし・・・

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雲が取れて影が抜けた!
きれいな日差しを浴びたデゴイチが豪快な煙をはいて
駆け抜けてゆきます。

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しんがりを務めるのはDD51 842。
SLとDLの豪華な競演です。
信越本線 磯部-安中(後追い)

ギリギリ雲が抜けてくれました~\(^O^)/ ゆっくり走ってきたSLだったからこそ事なきを得ましたが、おそらくフツーの列車だったらアウトだったのではないかと思われます。強い風に流されて、やや煙が右になびいてしまいましたが、自分的にはこのくらいでもじゅうぶんに満足。久しぶりに見た生きているデゴイチ。やはりその勇姿は電車には無い重厚感があり、素直にカッコイイと思いました。今度はもっと正面気味などから迫力ある画を狙ってみたいですね。

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SLの撮影を終えて、安中駅へと戻ってきました。
群馬県南西部に位置する安中市の中心駅ですが、
駅から市街地へは2キロほど離れています。
信越本線 安中

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鉄にとって安中といえば、
思い浮かぶのはやはり「安中貨物」。
安中駅の南側には東邦亜鉛の製錬所があり、
福島県いわき市からほぼ毎日、常磐線・高崎線を経由して
亜鉛焼鉱・亜鉛精鉱の貨物輸送が行われています。
安中の構内にはその安中貨物で使用される
亜鉛焼鉱用のタキ15600(左)と亜鉛精鉱用のトキ25000が
留置されていました。
信越本線 安中

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東邦亜鉛専用線のDB301が倉の外で整備中。
この小さなスイッチャーがタキやトキを牽く姿を見てみたいものです。
後ろにそびえるのが亜鉛の製錬所。
子供の頃、信越線の車窓から眺めたこの製錬所の物々しさは、
まるで「悪の要塞」に見えたものです(笑)
今では「工場萌え」として人気が出ているとか・・・。
信越本線 安中

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そんな「悪の要塞」のイメージがある安中駅(私だけ?)ですが、
実際は近くに学校があるらしく、
多くの女子高生が利用する華やかな駅だったりします。
信越本線 安中

安中から再び下り列車へ乗り、現在の信越線・盲腸区間の終端である横川へ向かいます。次に狙うのは今の「SL碓氷」の折り返しとなる「DL碓氷」。基本的にSL列車の場合、終点ではSLの向きを反転させる転車台が必要なのですが、この信越線の終点・横川には転車台設備がありません。そこで折り返しの上り列車は、先ほどお尻に付いていた赤いDD51ディーゼル機関車が先頭となります。なので「SL=Steam Locomotive」ではなく「DL=Diesel Locomotive」の「DL碓氷」というわけ。もちろん今の安中でも「DL碓氷」の撮影はできるのですが、通過まで三時間以上もあるので、列車が停留されている横川まで行ってみることに。

安中1234-(135M)-横川1255

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115系の普通列車で横川へ着いてみると、
反対のホームには折り返しを待つデゴイチが停留中。
下り列車での任務を終え、しばしのお休みです。
信越本線 横川

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上り列車の先頭に立つのは「デゴイチ」ならぬ「デデゴイチ」。
デゴイチの方に注目が集まりがちですが、
こちらも「ただのディーゼル機」ではありません。
実はこの842号機は数あるDD51の中でも、
ひときわ美しく整備された「お召し専用機」なのです。
ステンレス製の手すりや煙突カバー、ランボードの淵まわりなど、
各所が銀色に輝いているのが特徴。
信越本線 横川

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横川でちょっと遅めの昼食。
さすがに名物の釜めしは先月に食べているので、
ここでは「きのこそば」で、体を温めます。
SLを横目にすする蕎麦は一段とウマい・・・?

先月も訪れた横川ですが、今回は「碓氷峠鉄道文化むら」には目もくれず、すぐに上り列車の撮影地探しです。今度は煙のはき具合などを気にする必要はないので、ふつうに抜けの良さそうなところを探しながら、線路沿いを歩いてゆきます。しかし、列車内から沿線を眺めていたところ、このあたりは柵が低くて線路かぶり付きアングルならどこでも撮れそうに見えたのですが、思ったよりも抜けが悪くて撮影地探しは難儀。駅近くにアウトカーブから正面気味に撮れる有名な撮影地はあるのですが、DD51はあんまり正面で撮りたくないしなぁ・・・。

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撮影地探しの途中にはこんな第四種踏切も発見。

あれこれ吟味しながら一時間近く歩き続け、ようやく抜けのいいS字カーブへと辿り着きました。着いたときは私が一番手でしたが、後からお二方がいらっしゃったので、おそらくここも有名な撮影地なんでしょうね。まずはいつものように普通列車で試し撮り。

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やってきた普通列車は115系。
午前中は107系が多かったのですが、午後は115系ばかりに。
信越線はそういう運用体系なのかな・・・?
信越本線 横川-西松井田

一時間に一本程度の信越線。この115系は貴重な練習電だったのですが・・・うはっ、ピン甘っ。鉄道写真、とくにこのような編成写真ではマニュアルフォーカス(MF)の置きピンが鉄則とされているのですが、私はこのようなS字やアウトカーブでの置きピンにイマイチ自信がないのです。そこでこの115系ではカメラの動態予測オートフォーカス(AF)を使ってみたのですが、見事にハズしてくれました・・・。今さら恥ずかしくてなかなか聞けない事なのですが、鉄道写真を撮られる皆さんはAF派ですか? 置きピン派ですか?? 最近のカメラはAFの精度が上がってきているとはいえ、本番でハズす恐れが全くないわけではありませんよね。今回の場合は本番でもハズされてしまうと目もあてられないので、MFの置きピンでDD51を迎え撃つ事にしました。しかしもう練習電は無いし、ちゃんと止めたい位置にピントが合っているのか、かなり不安・・・。そんななか、西日を浴びた真っ赤な機関車がS字カーブの線路上に見えてきました。速度はそれほど速いわけではないので、慎重に置きピン位置まで引き付けます・・・。

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車体をくねらせる、栄光のお召し専用機DD51 842。
実用本意の無骨な凸形スタイルには
デゴイチにも負けない力強さを感じます。

く~っ、置きピン位置が手前で、カツカツになってしまった。やっぱりアウトカーブでの置きピンは苦手だなぁ・・・(´・ω・`)。まあ、フレームアウトしなかっただけヨシとしますか・・・。それにしても、ファインダー越しに見たS字を走りぬけるDD51の姿は実に美しかった。これが撮れただけでも横川まで来た甲斐があったというものです。乗客には当然「SL」の方が人気で「DL」の方は空席だらけでしたが、撮る方にしてみればSLとDLの一粒で二度美味しい(古っ ^^;)、PP(プッシュ・プル=両端に機関車が付く形態)の「碓氷」号なのでした。

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ちなみにこのポイント、後追いには不向きのようです(^^;)
信越本線 西松井田-横川(後追い)

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地図を見たらこの撮影地は
横川よりも西松井田の方が近かったので、帰りは西松井田へ。
結局、横川から西松井田まで5.8キロも歩いてしまった・・・。
でも下り坂が多かったのでそれほど苦にはなりませんでした。
信越本線 西松井田

西松井田1556-(150M)-高崎1622~1630-(快速アーバン)-上野1802

 

当初の目的とはだいぶ異なってしまった今回の撮影でしたが、久しぶりのSL撮影は存分に楽しめました。でも、やっぱり雪国で183系を撮りたかった・・・というのがホンネ。今年に入ってからというもの、富士山と「あさぎり」の時といい、今回といい、どうも狙っているものがうまく撮れていない気がします。あまり深くは考えないけれど、このイヤな流れは早く払拭したいものです・・・(^^;)。