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千代田線・・・メトロ ファミリーパーク in AYASE 2011 見学記 [鉄道写真撮影記]

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2011.11.27
千代田線
16000系「ローレル賞」受賞!
東京メトロ ファミリーパーク2011見学
  

昨年私も訪れた、東京メトロ・綾瀬車両基地の公開イベント「東京メトロファミリーパーク」。今年は昨年の入場無制限・自由参加方式とは異なり、15000人限定の事前申し込み制となりました。つまり抽選で選ばれる15000人の枠内に入らなければ、入場することができません。決してクジ運が強い方ではない私。ダメ元で申し込んでみると、後日、嬉しいことに当選通知が送られてきました! \(^▽^)/

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封書で送られてきた、当選通知と入場券となるリストバンド。
乗車体験や部品販売などには参加できない、
入場のみの「一般入場」枠ですが、私にはこれでじゅうぶん。

今年の目玉は、今年度の「ローレル賞」を受賞した16000系。それ以外の展示車両などは事前に知らされていませんでしたが、やはり綾瀬は千代田線の車庫ですから、昨年同様に6000系や06系と16000系の並びがメインでしょうか。それともサプライズ・ゲストなどがあるのか・・・? どんな車両が見られるのか楽しみです。

イベント当日。さっそく綾瀬車両基地のある北綾瀬へと向かいたいところですが、でもその前にちょこっと寄り道。実は今、16000系には「ローレル賞」受賞を記念したヘッドマークが各編成に取り付けられています。もちろんこれから行くイベント会場でも、マーク付きの16000系は展示される予定ですが、やはり一枚くらいは営業運転中の走行写真を撮っておきたい。そこで少し早めに行って、常磐緩行線のメジャーポイント、金町で狙ってみることにします。

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「2011 LAUREL PREIZE」のマークを誇らしげに掲げる16000系。
この16103Fは、中央に貫通扉のある一次車。
常磐線 金町

6000系に変わり、だいぶ勢力を増してきた16000系。待つことなく、すぐに捕らえることができました。う~ん、やっぱり16000系はカッコイイ。あくまでも個人的な好みですが、私はこの電車のスタイル、好きだなぁ・・・。午前の早い時間にきれいな順光となる金町先端。ついでに6000系やE233系なども何本か撮ってから、綾瀬へ。ここで支線の北綾瀬線に乗り換えます。

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乗換駅の綾瀬で見ることができた
北綾瀬支線の6000系試作車(ハイフン車)と16000系(右)の並び。
16108Fは貫通扉の位置が向かって左にズレた二次車。
私はこちらの方が好みかな・・・。
東京メトロ千代田線 綾瀬

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イベント当日は、北綾瀬支線も増発。
普段の日中は一編成のピストン運転ですが、
この日は6000系と5000系の二本体制でした。

昨年訪れた時は、北綾瀬の駅前から会場へと続く長い行列ができていましたが、今年はまったく混雑することなくスムーズな道のり。やはり人数制限があると、こうも違うものなのか・・・。おかげで開場の20分前にはゲート前へ到着。

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無事、今年も来ることができた「メトロファミリーパーク」。

予定通り10時ちょうどに開場。何はともあれ、まずはメインとなる車両撮影会場を目指します。今年の来場者を待ち受けていたラインナップは・・・何と、この並び!

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現在の千代田線を走る、直通三社。
左からJRE233系2000番台、小田急4000形、メトロ16000系。
まさに「千代田線・新時代」を担う、顔ぶれです
東京メトロ 綾瀬車両基地

メトロのイベントにJR車と小田急車がそろって展示されるのは、今までありそうでなかった嬉しい組み合わせです。千代田線の乗り入れ方式は、JR車は小田急へは乗り入れず、逆に小田急車はJRには乗り入れないので(三社をまたいで直通運転するのはメトロ車のみ)、この顔合わせは綾瀬ならではといったところ。その昔、千代田線が代々木上原まで延伸して小田急と乗り入れをはじめた頃だったか、とある鉄道雑誌で営団6000系、国鉄103系1000番台、小田急9000形が横一列に並んだ記念写真を見たことがありました。あれから30年・・・車両は違えど、あのシーンが今ここに再現された気分です。これは私のような「千代田線好き」には、ホントにたまりません。

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車両撮影会場のタイムテーブル。
時間によって、撮影位置や行き先表示を変更する心配りがみられます。

並べられた三形式は時間帯によって行き先表示が変更され、通常は見られない「大手町」や「準急・柏」、「多摩急行・成城学園前」など面白いモノも表示されます。でも最近の私は、イレギュラーではない、普段通りの姿がいちばんカッコいいと感じるようになってきました。例えばJR車なら「我孫子」、小田急車は「多摩急行・唐木田」、メトロ車だと「代々木上原」あたりの表示がしっくりとくるのではないでしょうか。写りが難しいLED式の行き先表示、文字欠けしないようシャッタースピードを1/60secに設定して、慎重に撮影。

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今回の主役(?)、「ローレル賞」マークを掲げた16000系。
展示されたのは二次車の16111F。

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E233系(マト15)と4000形(4062F)のツーショット。
4000形はE233系の設計をベースとした車両なので、
この二者は会社こそ違えど、親戚形式といったところか。
さらに、このマト15と4062Fは共に東急車輌製。

ところで、今回の撮影会ラインナップからは漏れてしまいましたが、千代田線の顔といえばやはり6000系。かつてはこの6000系も「ローレル賞」を受賞した経緯を持つ名車です(72年度)。16000系の増備によって徐々に数を減らしつつある6000系も、この機会にしっかりと記録しておきたい。正式な展示車両ではありませんが、幸い撮影会場から構内に留置中の6000系を眺めることができます。

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二本の6000系に挟まれた16000系。
よく見ると、トップナンバーの16101Fでした。
6000系は6次量産車の6134F(左)と4次車の6125F(右)

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約40年の世代差がある、新旧「ローレル賞」受賞車の先頭部。
車体下部の傾斜など、どことなく似た雰囲気を感じます。

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きれいに編成撮りできた6134Fは、行き先が幕式で残る貴重な編成。
「回送」表示が残念ですが、LED式の真っ黒(消灯状態)よりはマシかな。

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こちらの6123Fは側扉が原形小窓の、いわゆる「爆弾ドア」編成。
「爆弾ドア」とは、開く際に爆弾が破裂したような「ドーン」という
轟音が鳴ることから名付けられたらしい。
(音を聞きたい方は「youtube」などで検索するとヒットします)

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検修庫内で整備中なのは6128Fの上原方先頭車6028。
この編成も上の6123Fと同じ4次車ですが、
リニューアル工事とともに側扉が窓の大きいものに交換されています。

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綾瀬公開ではお決まり(?)、6000系の中間運転台。
入換え用、緊急用の設備ですが、
コレが先頭に出て走っているところ、見てみたいなぁ・・・。

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6000系の台車。
こんなものまで、間近で見られるのも車両基地公開ならでは。

昨年展示された二次試作車でトップナンバーの6101Fの姿が見られなかったのは、少々残念ですが、今年もいろんな形態の6000系を見ることができて満足。最後にこの日見られた、千代田線以外の車両も少しご紹介しましょう。

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例年通り、単独で展示された日比谷線3000系。
今年は乗車体験として、短区間の運転も行われました。
コイツの仲間へ会いに、長野へ行きたいなぁ・・・。

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私の大好きなイベント、車体吊り上げ実演。
今年は有楽町・副都心線用の10000系・10121が使われました。
いつ見ても車体吊りは迫力満点!!

今年も充実した内容で大満足の「メトロファミリーパーク」。やはり何と言っても今年は、直通三社の並びが撮れたことがいちばんの収穫。天気も終始薄曇り状態で、撮影会には最も適していたと言えるのではないでしょうか。もちろん抽選に当選したからこそ味わえた今回のイベント。来年以降もこの人数限定の抽選方式が取られるのか、それともフリーに戻るのかはわかりませんが、また来年も開催されることを楽しみにしています。

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今年のランチも会場限定の記念弁当。
ファミリーイベントなので子供の喜びそうなチキンライス。
オマケで銀座線1000系トレカが付いています。
この1000系も、デビューが待ち遠しいですね。



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ONE-shot 76 また会おう [PICK UP ONE-shot]

PICK UP ONE-shot 76 また会おう
  
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今月を持って営業運転を終了し、
引退した京王・井の頭線の3000系。
運転最終日になんとか滑り込みで、
惜別マークを掲げた勇姿を撮ることができました。

ステンレスとプラスチックの電車*ということで
「ステンプラカー」の愛称が与えられ、
そのプラスチック部分が七色あったことから
「レインボーカラー」を印象づけた3000系。
やはり最後はその特徴ある顔を正面から
ドカンと狙い撃ち!
・・・って、ホントは
編成撮りできるような撮影ポイントは
別れを惜しむ同業者が鈴なりで、
この撮り方が精一杯だったんですけどね・・・(^^;)。
   
長年、井の頭線の顔として慣れ親しんだこの電車とは、
もうこれでお別れ。
でも、先日お伝えした東急の中古車と同様に、
この京王3000系も譲渡された地方私鉄で
見かける機会が多い電車です。
北鉄(石川)、上毛(群馬)、松電(長野)、岳南(静岡)、
そして伊予鉄(愛媛)と、
活躍の場を地方へ移した仲間たちはまだまだ元気。
渋谷と吉祥寺という都会のオシャレタウンを結んでいた3000系。
今度は地方の長閑な風景のなかで、
再び出会えることを楽しみにしています。

11.11.13 京王井の頭線 富士見ヶ丘-高井戸
  
 
(* 登場時プラスチック(FRP)だったカラー部分は、
後の更新工事で普通鋼に変更)


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十和田観光電鉄・三沢駅・・・MONOCHROME-SNAP [MONOCHROME-SNAP]

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十和田観光電鉄・三沢駅
MONOCHROME-SNAP

「あれ、おかしいな・・・?」
久しぶりに訪れた十和田観光電鉄・三沢駅。一日で乗車と撮影がうまく両立できるような計画を入念に練ったはずなのに、乗る予定の列車がホームにいない。戸惑いながら駅貼りの時刻表を見直すと、その理由はすぐに解った。今日は土曜日で休日ダイヤだったのだ。平日と休日のダイヤを見間違えるなんて、「乗り鉄」としてはあるまじきイージーミス。恥ずかしさを通り越して、情けなくなってきた・・・。列車はたったいま出たばかりで、次は一時間半後。
しかし木製の長いベンチに腰掛け、落ち着いてあたりを
見渡すと、この十鉄・三沢駅、なかなか趣のある佇まいをしている。この勘違いから生まれた一時間半という時間は、間もなく消え行く運命にあるこの駅が私にくれた、最後のひとときなのかもしれない。この時間を無駄にせず、少しでも写真に納めよう・・・カメラのレンズキャップを外して、もう一度私は駅舎の外に出た。

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この角度だと、二階建てのこじんまりしたビルに見える。
十鉄・三沢駅の正面口。

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実はこの駅、鰻の寝床のような造りで奥は意外と大きい。
十鉄・三沢は大正11年に古間木の名で開業したが、
現駅舎は昭和34年に建てられたもの。

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昔は二階部分に喫茶店や案内所があったようだが、
今では閉鎖され、営業している店舗は一階の蕎麦屋のみ。
この蕎麦屋は知る人ぞ知る、名店なのだとか。

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入り口から蕎麦屋の前を経て、奥の方にあるのが出札窓口。
木製の枠に縁取られた窓口やカウンターは、どこか懐かしい昭和の香りが漂う。

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当分列車は来ないはずなのに、突然駅前の踏切が鳴り出した。
咄嗟にカメラを構えると、ファインダーに飛び込んできたのは
「レトロ電車」ことモハ3603+3401の姿!
イベント運転を控え、足慣らしの試運転だろうか。

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十鉄生え抜き、モハ3401の顔を
開いた踏切から「みさわ」の駅名を背後に入れて、一枚。

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閉じられたラッチの向こう。
客のいないホームで静かに佇む、元東急の旧型車。
まるで30年前の目蒲線にタイムスリップしたような光景だ。

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回送の札を掲げた旧型車は、扉の開閉などを入念にチェックしたのち
再び懐かしい吊り掛け音を響かせて三沢を出て行く。
停車時間15分間の嬉しいサプライズ。


上の旧型車を見送った直後、青い森鉄道から本来の接続列車が到着したらしく、途端に三沢駅はファンでごった返すことになってしまった。がらんとしていた窓口には一日乗車券を求める長蛇の列・・・もうこうなると、落ち着いた雰囲気の写真を撮ることはできず、私はレンズにそっとキャップをはめた。しかし時刻を勘違いしなければ、自分もこの接続列車で三沢を訪れていたはず。そう考えると駅で滞在した一時間半は、偶然ながらも本当に有意義な時間を与えられたものだと思う。できればもう少し、人物や周囲の状況を絡めたカットを撮りたかったところではあるが、まもなく過去帳入りしてしまうこの駅の姿を旧型車と絡めて記録できたのだから、これ以上の贅沢は言うまい。


写真はすべて、11.11.5 十和田観光鉄道 三沢にて撮影。
(RAW現像時モノクロ設定)



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秋の北東北04・・・十和田観光電鉄「レトロ電車」撮影記 [鉄道旅行記]

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2011.11.03~05
秋の北東北04
十和田観光電鉄「レトロ電車」撮影
  

北東北を訪れている、秋の鉄道旅。前回からの続きです。
二泊三日の今旅。初日は田沢湖線で紅葉の「こまち」を撮影、二日目は陣場でのブルトレ撮影に五能線の全線乗車と、ここまで北東北の鉄道旅を存分に満喫しています。そして三日目は青森駅からスタート。実は今旅いちばんの目的は、この三日目にありました。

11月5日(土)
青森0754-(青い森566M)-三沢0910

青森から東北本・・・もとい、青い森鉄道の普通列車に乗って向かったのは、三沢。青森県三沢市と言えば、日本で唯一、民間、航空自衛隊、アメリカ空軍の三者が使用する飛行場、「三沢飛行場(三沢基地)」が有名な飛行機の町。市の玄関となる青い森鉄道の駅前にも、飛行機のオブジェがあります。

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昨年、東北本線から移管された青い森鉄道。
ゆるキャラ「モーリー」が描かれた701系に乗って、三沢へ。
11.11.5 青い森鉄道 三沢

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飛行機のオブジェが立つ、青い森鉄道の三沢駅。
11.11.5 青い森鉄道 三沢

飛行機好きならば知らない人はいないであろう三沢ですが、今は鉄道好きの間でもちょっと注目を集めることになっています。その理由は、この三沢を起点とする「十和田観光電鉄」の存在。十和田観光電鉄線、通称「十鉄・とうてつ」は三沢と十和田市を結ぶ、路線総延長わずか14.7キロのローカル私鉄。名前に「観光」とはつけられているものの、十和田湖や八甲田山などの観光地へ直接向かうわけではなく、メインルートの東北線(現・青い森)沿線から十和田市へのアクセスや、沿線に多く存在する学校の通学路線という役割が強い、地域密着型の路線です。しかし近年は沿線住民の高齢化や道路整備による鉄道離れ、さらに昨年の東北新幹線全線開業で十和田市の玄関口が三沢駅から新幹線の七戸十和田駅になったことなどを受けて、十鉄の利用者は著しく減少。また、東日本大震災の影響で鉄道事業の赤字を補填してきた観光・レジャー部門の利益が悪化したことなどを理由に、十鉄の鉄道線は残念ながら来年三月末を持って廃線となることが決定してしまいました。

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立派な青い森鉄道・三沢駅のロータリー脇にあるのが
十和田観光電鉄の三沢駅。
矢印に沿って駅舎奥の細い通路を入ってゆきます。
11.11.5 十和田観光電鉄 三沢

そんな十鉄、私が乗ったのは今から16年前のたった一度だけ。もちろん全線完乗の乗りつぶしが目的で、まだ健在だった「南部縦貫鉄道」を野辺地から七戸まで乗り通した後に、七戸から十和田市へバスで出て十鉄に乗るというルートでした。しかし、そのとき初めて見た南部縦貫のレールバスに感激した私は、カメラに入っていた36枚撮りフィルムすべてを南部縦貫で使い切ってしまい、十鉄の写真は一枚も残せませんでした。その頃は東急のお古(3600形)を使っている十鉄を撮るよりも、一枚でも多くレールバスを・・・などと思ったのでしょうね。まさに銀塩カメラ時代ならではの思い出です。さらに、記憶に新しいところでは昨年の12月。東北新幹線の全線開業に合わせて青森を訪れた際に、せっかくなら久しぶりに十鉄へ寄って、今度こそ写真を・・・という計画を立てました。ところが、前日に見学予定だった青森県立美術館が展示換えで見ることができず、急遽、翌日の十鉄を蹴って、美術館の方を選択してしまったのです。その後に発表された十鉄廃線決定の報・・・このままサヨナラでは悔いが残ります。廃線が決まったから訪れるなんて、まさに典型的な「葬式鉄」ですが、もう一度全線に乗って、今度こそしっかりと写真に収めたい。そこで今旅のラストは十鉄へ訪問することを決めたのです。しかもこの日は、旧型電車(レトロ電車)が特別運行されるなどのイベントが予定されているので、そちらも合わせて楽しみたいところ。さっそく三沢駅窓口で一日乗車券を購入して、十鉄の電車と久々のご対面。

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ホームに停まっていたのは元・東急7700系で、
十鉄でもそのまま7700系を名乗っています。
助手席側窓部には「がんばろう!東北」の張り紙が。
11.11.5 十和田観光電鉄 三沢

16年前は元・東急3000系列の3800形が赤白の十鉄カラーに塗られて活躍していましたが、今の主力は同じ東急の中古車でもステンレス製、VVVFインバータ制御の7700系。ステンレス無地に細い赤帯の外観は、東急時代とまったく変わっていません。面白いような、つまんないような・・・。そういや最近、夏の伊賀鉄道や先日の秩父鉄道など、地方私鉄で東急の中古車に乗る機会が多いなぁ・・・。今回は訪問を見送りましたが、同じ青森の弘南鉄道でも元・東急の7000系や6000系(予備)が活躍していますね。やはり中古車でもステンレス製の東急車は人気が高いのかな・・・。

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東急時代に7000系を車体更新・VVVF化して誕生した7700系。
運転台はワンハンドルタイプ。

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東急の中古車ではお約束の吊り手広告。
この7700系は渋谷の文化施設「Bunkamura」の文字が残されていました。

三沢で発車を待つ十和田市行きの電車。二両編成の車内は座席がほぼ埋まる程で、廃線が決定した地方私鉄とは思えない盛況ぶり・・・ですが、そのうちの八割、いや九割は私と同好の士。つまり鉄です。前述したようにイベントでレトロ電車が走るこの日、きっと惜別乗車をかねて訪れるファンは多いだろうと思っていたので、これは想定内。むしろ、一見して「それ以外」の一般客が見当たらないのが気になります・・・。ほぼ鉄の貸切状態となった十和田市行きは定刻に三沢を発車。「鉄の貸切」なんて書くと、最近はマナーの悪い人達が騒いだり、車内を走り回るようなイメージがありますが、この電車ではいたって静か。皆さん流れる車窓を眺めながら、十鉄の乗り心地を噛み締めるように、味わっている様子。十鉄沿線の車窓は特に素晴らしいというような見所はなく、列車は農村地帯が広がる長閑な風景のなかをひた走ります。晴れていれば車窓から八甲田山が見えるようですが、この日は曇り空。16年前は雪が降っていた覚えがあるので、私にとって十鉄の車窓から見る八甲田の眺めは、幻のままとなりそうです。

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素朴な景色の中に伸びる、十鉄の線路。
11.11.5 十和田観光電鉄 七百-古里(車窓から)

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名物駅名の「ふるさと(古里)」駅。
日本のふるさと風景を走る鉄道が今、消えようとしています・・・。
11.11.5 十和田観光電鉄 古里(車窓から)

古里付近から線路は県道に沿うようになり、駅名にも「三農高前」や「北里大学前」、「工業高校前」と学校が目立つようになって来ました。今の十鉄にとっていちばんのお得意様は学生。廃線後、ここの学生たちはどうやって通学するのだろうかと思いますが、並行する県道を路線バスが走ることになるのでしょうね。沿線風景は農村地帯から十和田市内の住宅地になり、三沢から30分弱で終点の十和田市着。

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前方に見えてきた十和田市駅。
改札は左手の大きなショッピングセンター内にあり、
ホームとは道路をまたぐ連絡通路で結ばれている
ちょっと変わった構造の駅。
ホームは一面一線ですが、奥に一編成分の留置スペースがあり、
7700系の姿が見えます。
11.11.5 十和田観光電鉄 十和田市(車窓から)

三沢1020-(十鉄109)-十和田市1047

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ショッピングセンターの二階部分にある十和田市の改札口。
しかし現在はそのショッピングセンター自体がほぼ閉店状態。
立派な駅ビルはひっそりとしています・・・。
11.11.5 十和田観光電鉄 十和田市

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十和田観光電鉄の終端部。
留置されている7700系を間近に見ることができました。
11.11.5 十和田観光電鉄 十和田市

十和田市での持ち時間は、今乗ってきた電車が折り返すまでのわずか13分。おそらくこれが最後の十和田市駅訪問になる可能性が高いので、もっとゆっくりといろんなところを見ておきたかったのですが、列車を一本逃すと次は一時間半後。それではレトロ電車の撮影が間に合いません。慌しいけれど、改札口や終端部の写真をサッと撮ってから、再び同じ電車に乗って十和田市をあとにします。折り返し三沢行きとなった電車に揺られ、途中の七百(しちひゃく)まで戻ってきました。

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こじんまりとした待合室だけの七百駅ですが、
ここには十鉄の車両基地が併設されています。
左の閉じられたシャッター内が検修庫。
11.11.5 十和田観光電鉄 七百

七百駅から線路沿いに歩いて、レトロ電車が撮れそうな場所を探します。もちろん七百などで降りたのは初めてで、撮影地に心当たりがあったわけではありません。しかしこの日のレトロ電車のイベントスケジュールは、まず三沢~七百で運転された後、いったん七百の車両基地に入庫して車両撮影会が行われ、さらにそのあとで残りの七百~十和田市が運転されるという、途中で撮影会を挟んだ変則的な三沢~十和田市の片道営業運転(回送も含めれば往復になるのだけれど)。そこで、七百の駅周辺で走行写真を撮って、そのまま撮影会にも駆けつけようという目論見です。

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まずは7700系。
このアングルで見ると、十鉄の7700系には
スノープラウが装着されていないのがわかりますね。
同じ雪国を走る弘南や北鉄の7000系には大きなプロウが
付けられているのに・・・案外、十和田は雪が少ないのかな?
11.11.5 十和田観光電鉄 柳沢-七百

七百駅の柳沢寄りには田園地帯が広がっていたので、撮影地探しには苦労しませんでした。先客の脇へ低めに入れさせていただき、ローアングルで狙います。広角レンズで空を多めに入れたいところですが、曇り空が寒々しくて残念。やがてカーブの先から、ステンレスではない、懐かしい色の電車が現れました。

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先頭に立つのは、自社発注・十鉄オリジナルの3400形・モハ3401。
片側二つ扉にバス窓が並ぶ、今では貴重なスタイルの電車です。

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後ろの二両目は、
こちらも懐かしい元・東急3000系列の3600形・モハ3603。
そういえば、最近ではこんな風に乗務員扉を開けて
乗り出す車掌さんの姿も見かけなくなった気がします・・・
これもレトロ電車ならではのパフォーマンス!?
(・・・まさかね ^^;)
11.11.5 十和田観光電鉄 七百-柳沢(後追い)

そうこれこれ、この色。16年前に撮りそこなったのは、この赤白の塗装を纏った電車でした。懐かしいなぁ・・・。廃線前に十鉄オリジナル塗装の電車を一枚でも残せてよかった。さらに、後ろを務めていたのは元・東急3000系列の3600形。以前はこの電車も赤白の十鉄色でしたが、定期運用を離脱してイベント車となった際に、東急時代のグリーンへと戻されました。グリーンの3000系というと目蒲線や池上線で活躍していた頃を思い出します。名車と名高い「青ガエル」5000系に比べて、地味な印象がある3000系。よくぞ今まで生き残ったものだと思いますが、廃線後はどうなるのでしょう? できれば東急に里帰りさせて、保存してもらいたいものですが・・・難しいのでしょうね。

うまく両側の顔を撮影できたことに満足。撮影地から七百駅に戻り、今度は撮影会の方へ参加します。参加といっても、条件は当日有効の乗車券を持っていれば誰でも撮影会場へ入ることができ、一日乗車券を持っている私は、もちろんそれでOK。

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先ほど走行写真を撮った3401+3603のレトロ電車が展示。
3603はきれいな形式写真が撮れましたが、残念ながら3401は撮れず・・・。
できれば、もっと3401のお顔が見たかったところ。
11.11.5 十和田観光電鉄 七百車両区

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3600形が十鉄へ譲渡される際に増設された運転台側。
単行での運転も可能になっています。

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時間を区切って入換え。
今度は十和田観光電鉄の車両が横並びで勢ぞろい。
趣向を凝らした撮影会でファンを楽しませてくれます。
左から7700系、7200系、3600形。

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ここでちょっとした「お遊び」が。
なんと7700系が表示したのは、東急時代の「自由が丘」行き。
自由が丘の幕が入っていることに驚き!∑('◇'*)

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上の三形式並び、中央の間の抜けた顔はいったい何者・・・?
と思われた方、実はコレ7200系の増設運転台側なんです。
反対側は「ダイヤモンドカット」と呼ばれたオリジナル顔が健在。
並びでは逆向きなのが惜しい・・・。

いちばん撮りたかったモハ3401の顔が撮れなかったのはちょっと残念でしたが、それでも充実した内容に大満足。それにしても三形式の並びは十鉄というより、ほとんど東急の撮影会ですね。まさに一昔前の奥沢か雪が谷のような光景です・・・(^^;)。でもそんな楽しみ方も今の十鉄ならでは。庫内で整備中の7200系も状態が良さそうで、こちらの走行シーンも見てみたかったところです。

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電車の他に、電気機関車ED30 1とED40 2も重連で展示されました。
貨物は既に廃止となっていますが、この機関車は車籍を有しており、
今でもイベントなどで本線を走行することがあります。

車両撮影会は一時間ほどで終了。多くのファンが集まって大盛況でしたが、首都圏開催のような混雑はなく終始まったりとした雰囲気で、撮りたいアングルも自由に選ぶことができました。撮影会を終えたレトロ電車は再び入換えをして本線へと戻り、残りの七百~十和田市の運転へ備えます。

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運転に備えて七百のホームに入線したレトロ電車。
先ほどと同じくモハ3401が先頭です。
11.11.5 十和田観光電鉄 七百

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発車まで時間があったので、ちょっと車内を覗いてみました。
モハ3401の車内は、二つの扉間に長いロングシート。
冷房も扇風機も無い天井はスッキリしていて高く感じます。

このあとはレトロ電車の「乗り鉄」、もしくは先回りしてもう一度走行シーンを「撮り鉄」・・・と、まだまだレトロ電車イベントを楽しむことができるのですが、私はここでお別れ。三沢経由で東京へと戻ることにします。もう撮影はじゅうぶんにできたし、これからさらに十和田市を往復していたら、東京へ着く時間が遅くなってしまいます。十和田市から七戸十和田へバスで出て、新幹線に乗るってルートもあるけれど、調べてみたら七戸十和田に止まる新幹線は少なく、三沢から八戸へ出た方が効率が良くて早い。

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レトロ電車と交換するように入ってきた、三沢行き。
この電車に乗って、十鉄の旅を締めくくります。
11.11.5 十和田観光電鉄 七百

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今回使用した一日乗車券と、イベントで販売されていた記念きっぷ。
また、普段は無人駅の七百では切符売り場がないため、
この日は特別に係員が車内補充券で対応していました。
一日乗車券を持っていれば必要ないのですが、
記念に一枚欲しくて、古里までの区間を購入してしまいました。

久しぶりに訪れた十和田観光電鉄。16年前の記憶で覚えているのは、不思議な駅ビルの十和田市駅と、雪の積もった「古里」駅の駅名板、そして赤い電車に乗ったことくらいで、車窓風景の記憶はかなり乏しい。その頃は、またいつでも乗りに来られるという思いから、サッと流すように見ていたのでしょう。今回あらためて乗り直して、もうこの風景を見ることは無いと思うと、車窓を見る目にも自然と力が入ってしまいました。でも、本当は何も考えずに、ぼーっと車窓を流すくらいに乗れていた頃の方が、十鉄の印象として心に深く刻まれているような気がします。16年前と違い、今回はいろんな写真をキッチリと残せたけれど、私の記憶に残る十鉄の情景は、雪の日に十和田市駅で待機していた赤い3600形のままかもしれません。おそらく、もう私が乗る機会は無いと思いますが、十鉄には最後の一日まで事故無く走り通してほしいと願っています。

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素朴な東北のローカル私鉄「十和田観光電鉄」
その鉄路に終止符が打たれる時まで、あと残り四ヶ月・・・。
11.11.5 十和田観光電鉄 七百-柳沢

七百1355-(十鉄116)-三沢1406

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三沢から乗った青い森鉄道の普通列車には
アテンダントさんが乗務していました。
記念に一枚、写真をお願いしたら
「ひとりじゃ恥ずかしいから、モーリーと・・・」
という、ちょっとおちゃめな方でした(^^)
11.11.5 青い森鉄道 八戸

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旅のシメは駅弁で乾杯!
八戸で買った「南部いなか御膳」弁当。
御当地モノを使用した幕の内弁当風ですが
おかずの種類が多くて、酒飲みには嬉しい。
半分は酒のツマミに、半分をごはんのおかずにしてもじゅうぶん。
☆☆☆・・

三沢1439-(青い森572M)-八戸1459~1606-(はやて32号)-東京1908

長々と続けてきた秋の北東北・鉄道旅はこれで終了です。紅葉の方は見頃を過ぎて、思うような写真が残せませんでしたが、温泉に五能線、ブルトレ撮影や十和田観光電鉄訪問と、充実した鉄道旅を楽しむことができました。本業の方が慌ただしくて更新が遅くなってしまい、既に旅を終えてから二週間以上が経ってしまいましたが、写真を見返しながら旅行記を書くという作業は、旅に出ている感覚が蘇ってきて楽しいものですね。しかし、そんなさなか「来春のダイヤ改正で寝台特急「日本海」の廃止を検討」との一報が入ってきました。寝台特急はいつ無くなっても不思議は無い、撮れるときに撮っておく・・・とは言っていたものの、やはり現実味を帯びてくるとショックが大きいです。今旅では二日目の朝に撮った「日本海」。「また「トワガマ」か・・・」などと嘆いていましたが、もはやそんな贅沢を言っている場合では無く、「日本海」最後(になるかもしれない)の秋を陣場で記録できただけでも大きな収穫でした。



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秋の北東北03・・・五能線 「リゾートしらかみ」乗車記 [鉄道旅行記]

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2011.11.03~05
秋の北東北03
五能線 HB-E300系「リゾートしらかみ」 乗車
  

北東北を訪れている、秋の鉄道旅。前回からの続きです。
大館で迎えた二日目は早朝から陣場のお立ち台でブルトレ撮影。まずまずの成果に満足して大館駅へと戻ってきました。「撮り鉄」のために借りたレンタカーを返却し、ここからはいつもの鉄道移動に戻ります。とはいうものの、前々回の冒頭にも書いたように、突如舞い込んだ連休に食いついて、飛び出したような今回の旅。ブルトレ撮影のあとの予定は何も考えていませんでした。引き続き、奥羽本線で特急「つがる」や貨物列車の「撮り鉄」をするって手もあるけれど、それならばレンタカーを返さずに延長した方が効率が良かったはず。それに、今回はせっかく北東北のJRがフリーで乗れる「北東北・函館フリー乗車券」を使っているので、少しは「乗り鉄」しなきゃもったいない。やはりこのあとは、のんびりと北東北のローカル線で「乗り鉄」を楽しむことにしました。

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今回の旅で使用した「北東北・函館フリー乗車券」。
北東北・函館エリアの普通・快速が乗り降り自由のフリーきっぷで、
別に特急券を購入すれば新幹線・特急も利用できます。

では、今いる大館を起点として考えられる乗り鉄候補のローカル線を挙げると、ここ大館から八幡平を通って岩手の好摩へ至る花輪線か、奥羽線の東能代から日本海沿いに北上して青森の川部までを結ぶ五能線あたりが妥当なところ。前回でも触れた二年前に大館を訪れたときには、ブルトレ撮影後に花輪線で盛岡へ出て(好摩~盛岡はIGRいわて銀河鉄道線)、東京へ戻っています。ならば、今回乗る線は五能線に決定。そこでまずは大館駅のみどりの窓口へ。五能線は普通列車の本数が極端に少なく、全線を乗り通すには観光列車の快速「リゾートしらかみ」をうまく活用したいところ。「リゾートしらかみ」は全席指定なので、まずは指定券を手に入れなくてはなりません。やはりここは海に面した窓側の「A席」を選びたい・・・いや、「A席」以外は考えられない。五能線の魅力は車窓に広がる雄大な日本海の景色。海側に座らなければ意味が無いと言っても過言ではないのです。ところが・・・「本日のA席は満席ですね」という窓口氏のお言葉。飛び石連休の狭間の平日なので空いていると思ったのですが、考えが甘かった。うーん、どうするかな・・・と悩んでいるうちに、奥羽線上り列車の発車時刻が近づいてきました。

大館1003-(奥羽1646M)-東能代1050

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大館から東能代まで乗った701系の普通列車。
前日に「こまち」を降りて以来、久々の列車移動で、
ようやく東北の鉄道旅を実感しています。
11.11.4 奥羽本線 東能代

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この東能代のホームにはちょっと面白いモノがあります。
それはこの「リゾートしらかみ(くまげら)」を模した待合室。
ただ壁面に列車の絵が描かれているだけかと思いきや、実は・・・↓

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なんと待合室内の窓部には本物の運転台が設置されているのです!
もちろん前面の景色は動きませんが、マスコンやブレーキを握れば、
気分は五能線の運転士!? これは楽しい待合室です(^▽^)
11.11.4 奥羽本線 東能代

とりあえず五能線の起点駅・東能代へ。実は乗ろうと考えていた「リゾートしらかみ3号」の一本前には、途中の深浦まで行く普通列車「321D」があります。普通列車ならば、もちろん全車自由席。この列車で全線を乗り通すことはできないけれど、深浦までは海側の景色が堪能できます。それに五能線のようなローカル線は、できれば観光列車ではなく地元の方々が使う普通列車で楽しみたいもの。まずはこの321Dに乗って、途中駅まででも五能線普通列車の魅力を存分に味わおうと思います。

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非電化ローカル線の普通列車といえば、おなじみのキハ40。
ホワイト&ブルーが五能線カラーです。
11.11.4 奥羽本線 東能代

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キハ40の室内は、直角のボックスシートが並びます。
海側の席が空いているか心配でしたが・・・見事に誰もいません(^^;)

東能代で発車を待っていた321Dは、二両編成のキハ40。乗客は片手で数えられるほどで、私が乗った後方の車両には他に誰も乗っていませんでした。嬉しいのか悲しいのか「リゾートしらかみ」では取れなかった海側の席も選びたい放題です(笑)。次駅の能代から地元のおばちゃんが三人ほど乗ってきて大声で話し始めますが、こんな光景も普通列車ならでは。それにしても、このあたりの方言はいったい何を話しているのかサッパリ解らないほど難しい・・・。東能代から6駅目の東八ツ森を過ぎたあたりから車窓に海が見え始め、やがて列車は海岸線にぴったりと沿うように走ります。

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途中の岩館では「リゾートしらかみ2号」と交換。
白神山地をイメージした緑色の車両は、
キハ48からの改造車で「橅(ブナ)編成」。
11.11.4 五能線 岩館(車窓から)

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短いトンネルを抜けると・・・そこには青い海が広がります!
うーん、気持ちイイ (゚∀゚)!!
11.11.4 五能線 岩館-大間越(車窓から)

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ここで大館で買っておいた、名物駅弁「鶏めし」をいただきます。
シンプルですが、鶏のダシ汁で炊き込んだご飯がとてもウマイ!
五能線の景色を見ながらこのお弁当が食べられるとは、
最高に贅沢な汽車旅です・・・。☆☆☆☆☆

岩館でおばちゃん連中が降りると、再び一人に。乗客がいなかったので、ちょっと窓を開けて外の空気に触れてみると、海風の匂いが心地いい。カーブが続く海岸線をゆっくりゆっくりと進むキハ40。本当にのんびりとした汽車旅だなぁ・・・。ところが、列車が十二湖駅に入ると、なんとそこにはホームいっぱいの乗客が待っているではありませんか。慌てて窓を閉めると同時に客が車内へとなだれ込み、一気に座席は埋まりました。相席になった老夫婦が見ていたパンフレットを横目で覗くと、どうやらこれは某大手旅行会社が企画した北東北の観光地をバスで巡るツアーで、そのなかに「人気の絶景ローカル線・五能線に乗車」というプランが組み込まれています。つまり、白神山地や十二湖を観光バスで巡り、十二湖の駅から深浦まで五能線に乗車。深浦に先回りしているバスに再び乗って次の目的地へ・・・という行程らしい。やがて添乗員らしき若い男性が人数をチェックしながら現れて、「みなさーん、海が見えるのは向かって左側の席でーす。譲り合って見てくださーい。降りるのは終点ですので慌てる必要はありませーん」などと声を上げて案内しています。譲り合って・・・と言われても、はじめから海側に座り、ツアー参加者ではない私は関係ないのですが、何となく居心地が悪い。こういう場合、定期列車でも後ろ一両を団体の貸切扱いにするとかで対応できないものなのだろうか・・・(-"-;)。のんびりしていたローカル線は途端に観光バスと化し、なんだかテンションを落とされたまま、列車は深浦に到着。ツアー客は小さな深浦駅に横付けされた大型バスに乗り込み、慌しく去ってゆきました。

東能代1057-(321D)-深浦1242

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五能線のほぼ中間に位置する主要駅・深浦。
駅舎は以前に訪れたときよりもだいぶきれいな外装になっていました。
これも観光地パワーなのでしょうか・・・。
11.11.4 五能線 深浦

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深浦の駅前には、日本海の美しい景色が広がります。
水が透き通っていて、きれいな海ですねぇ・・・。

待ち時間の50分ほどを深浦の町散策でつぶし、さらに五能線の旅を続けます。しかし五能線を乗り通すのにいちばんネックとなるのが、この先の深浦から鯵ヶ沢までの区間。定期の普通列車は一日わずか5本で、次の列車は四時間半後の17時08分。いくら普通列車好きとはいえ、さすがにそこまで待つのはツライし、そもそも今の時期17時発の列車ではせっかくの景色が何も見えません。そこで、ここから乗るのが前述した「リゾートしらかみ」。海側の指定席は取れなかったけれど、深浦までの普通列車で海景色は堪能できたので、もうじゅうぶん。あとは山側の席(D席)でもいいやと思ったのです。深浦のホームで指定券片手に待っていると、やがて五能線らしからぬ軽やかなジョイント音を響かせて現れたのはこの車両。

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「リゾートしらかみ3号」は新型のHB-E300系。
この車両に乗るのは初めてなので、ちょっと楽しみです。
11.11.4 五能線 深浦

従来の「リゾートしらかみ」は、先ほど岩館で交換した「橅編成」のようにキハ40などの一般形気動車から改造されたものでしたが、この「リゾートしらかみ3号」に使われる「青池」編成は、新型の次世代型ハイブリッド気動車・HB-E300系。ディーゼルエンジンと蓄電池を組み合わせたハイブリッドシステムは燃費が良く、窒素酸化物の排出量を約60%も低減できる利点があるのだとか。難しい仕組みは置いておいて、要は地球に優しいエコな車両って事。そんなHB-E300系は、この五能線以外にも大湊・津軽線の「リゾートビューあすなろ」や篠ノ井・大糸線の「リゾートビューふるさと」でも同様の観光列車として運転されていますが、私は今回初めて乗ることになります。HB-E300系の「リゾートしらかみ3号」は定刻に深浦を発車。気動車とは思えない静かな走り出しに、さっそく驚きです。

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リクライニングシートが並ぶ「リゾートしらかみ」の車内。
手前の背もたれを倒したところが私の指定席で、3号車1番D席。
海側は満席でも、山側の席はガラガラ・・・(^^;)

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私の席は山側ですが、
ラッキーなことに、すぐ目の前にはフリースペースがあり、
海側に面したベンチシートが空いていました。
ずっと占領しているのはよくないけれど、
しばらくはここで海景色を楽しめます。

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深浦を出た「リゾートしらかみ」は
まもなく五能線随一の絶景ポイントに差し掛かります。
日本海の荒波に削られた奇岩の数々は、いつ見ても迫力満点!
でもUVカットガラスのせいで、ちょっと色が変・・・。
11.11.4 五能線 深浦-広戸(車窓から)

「リゾートしらかみ」は景色のいいところでは速度を落として、車窓風景を楽しませてくれます。ご覧のようにこの日は抜けるような青空が広がる快晴。車窓から眺める景色も気持ちいいのですが、ここまでいい天気だと、乗っているよりも外からこの景色のなかを走る列車を撮りたくなってしまいます。絶景路線として名高い五能線。乗り鉄はもちろん、撮り鉄にとっても、ひじょうに魅力的な路線です。いつかはじっくりと沿線で撮影したいと考えていますが、そういうときに限って天気に恵まれないものなんだよなぁ・・・。

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岩畳が広がる千畳敷海岸。これは車窓風景ではありません。
「リゾートしらかみ」は、千畳敷駅で20分ほどの停車時間が
設けられているので、駅前の海岸へ出て楽しむことができるのです。
発車三分前に汽笛が鳴らされ、それを合図に列車へ戻ります。
11.11.4 五能線 千畳敷付近

列車は長い時間に渡って海沿いを走り続けてきましたが、行程の三分の二ほどを過ぎた鯵ヶ沢を出ると線路から海は離れてしまい、車窓は単調な景色となってしまいます。しかしここで乗客を飽きさせないのが、この観光列車「リゾートしらかみ」。鯵ヶ沢から五所川原までは、車内のフリースペースで津軽三味線の生演奏が催されるのです。これは観光客には嬉しいサービスでしょう。しかし、正直言ってのんびりと静かに列車旅を味わいたい私のような偏屈者にとっては、失礼ながらあまり関心がなく、今までも何度か「リゾートしらかみ」に乗りましたが、わざわざイベントスペースまで行って生演奏を見ることはしませんでした(イベントスペースへ行かなくても、スピーカーで車内には演奏が流れます)。ところが今回は・・・そう、前述したように、私の席のまん前がそのイベントスペース。さすがに一番前にいて見ないわけにはいかないし、拍手だってしなければ失礼。こりゃ、ちょっと厄介な席だな・・・なんて、つい思ってしまいました。しかしいざ演奏が始まると、津軽三味線の力強くも透き通るような音色は、車窓を流れる津軽の素朴な風景によく合い、決して悪くはありません。三味線に耳を傾けながら、ビールをゴクリ。ここは日本酒を買っておくべきだったなぁ・・・などと思うほど、いつしか車内で楽しむ三味線というものを受け入れていました。「観光列車」として割り切ってしまえば、こういう楽しみ方もいいかもしれませんね。それでも、やはり私は普通列車の方が好きですが・・・。

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流れる車窓を横目に行われた津軽三味線の生演奏。
津軽三味線には楽譜はなく、即興で演奏するのだそうです。
なのに、お二方の息はピッタリで、感心させられました。

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三味線の音色が車内に響く頃、車窓には津軽の名峰・岩木山の姿が。
いつもは海側に座るので、ここから岩木山を見るのは初めてかも。
奥羽線側とは逆から見る岩木山は、ちょっと新鮮だったりします。
11.11.4 五能線 陸奥森田付近(車窓から)

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津軽鉄道との接続駅・五所川原に到着した「リゾートしらかみ」。
三味線の演奏は、ここ五所川原まで。
11.11.4 五能線 五所川原

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西日を浴びて待機する、津軽鉄道・津軽中里行き。
そろそろ名物の「ストーブ列車」が運転される時期ですね・・・。
11.11.4 津軽鉄道 五所川原

三味線の生演奏が終わり、五所川原を出ると五能線の旅も終盤。今度は車窓に一面のりんご畑が広がります。このりんご畑の中を行く列車の姿も五能線を代表する風景のひとつで、たわわな赤い実をつけた今がちょうど見頃でした。そのりんご畑を抜けると、五能線の終点・川部着。

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車窓から見たりんご畑。写真は夕暮れ時で流れてしまいましたが、
赤い実をつけたりんごの木が、何となく伝わるかと思います。
11.11.4 五能線 板柳-林崎(車窓から)

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深浦から二時間。川部に到着した「リゾートしらかみ」。
11.11.4 奥羽本線 川部

深浦1333-(リゾートしらかみ3号)-川部1540

これで147.2キロにもおよぶ、五能線の旅は終了です。はじめは海側席が取れずに、乗ろうか悩んだ五能線ですが、途中の深浦で乗り継いだことで「リゾートしらかみ」を乗り通すよりも、かえって変化のついた旅になったのではないかと思っています。久々に乗った五能線ですが、やっぱり「絶景ローカル線」の名に相応しく、素晴らしい車窓からの眺めでした。
「リゾートしらかみ3号」は、川部からこのまま奥羽線の上りに乗り入れて弘前まで行きますが、私は川部で下車して奥羽線の下り列車を待ちます。向かうのは今宵の宿泊地、青森。

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青森行きの奥羽線から見た、岩木山の裾野に沈む夕陽。
朝のブルトレ撮影から始まり、五能線の全線乗車。
まさに鉄道三昧の一日でした。
11.11.4 奥羽本線 北常盤-浪岡(車窓から)

川部1612-(奥羽663M)-青森1655


・・・続きます



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ONE-shot 75 挑戦。 [PICK UP ONE-shot]

PICK UP ONE-shot 75 挑戦。
  
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天皇陛下が甲府市で行われる式典に出席されるため、
13・14日に中央線の東京~甲府で運転される予定だった「お召し列車」。
陛下が体調を崩されて、その運転は危ぶまれましたが、
ご名代で皇太子さまが式典に出席されることになり、
13日の「お召し列車」は皇太子さまの「御乗用列車」として運転されました。

私にとって久しぶりのお召し撮影。
(ここではあえて「お召し列車」として表現させていただきます)
もちろんキッチリと確実に撮りたいとも思ったのですが、
私には一度、お召しで撮ってみたいと思っていた技法がありました。
それは「流し撮り」。
お召しが走ると必ずと言っていいほど
鉄道雑誌の表紙などを飾るのが、国旗を掲げた先頭部の流し撮り。
EF58 61時代はH巨匠、近年のE655系ではI氏やN氏、
プロカメラマンの素晴らしい「お召し流し」を拝見してきました。
失敗するリスクの大きい流し撮り、それをお召しでトライすることは
「究極の鉄道写真」とも言えるのではないでしょうか。
流し撮りは決して得意ではないけれど、
このお召しで成功させれば大きな自信になって、
この先どんな列車でも流し撮りが出来そうな気がする・・・。

しかし今回の運転は山間を走る中央線。
素人でも流し撮りがきれいに出来そうな、
抜けが良く引きのある場所がパッと思い浮かびません。
そこで安直ですが、広い多摩川の河川敷でトライしてみることにしてみました。
ところが、この鉄橋はサイドに太っといケーブルがかかっているのですね。
思ったよりもゴチャゴチャとしたアングル。
無理矢理に流し撮りを敢行しましたが、ちょっとイマイチな結果に。
流し撮り自体も緊張で手が震え、微妙にタテぶれしてしまいました。
やっぱり一発で「ビシッ」と決める、プロ鉄道カメラマンはスゴいなぁ・・・。

それでも、この緊張感を味わえたのは
自分にとって大きなプラスになったような気がする、
「お召し列車」撮影でした。

11.11.13 中央本線 立川-日野
 
 
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秋の北東北02・・・奥羽本線 ブルトレ撮影記 [鉄道旅行記]

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2011.11.03~05
秋の北東北02
奥羽本線 晩秋のお立ち台 ブルトレ撮影
  

北東北を訪れている、秋の鉄道旅。前回からの続きです。
紅葉真っ盛りを期待していた田沢湖線(秋田新幹線)の仙岩峠は、もうほとんどが落葉してしまい、思うような画が撮れませんでした。ちょっと残念な出だしとなってしまいましたが、旅はまだ始まったばかり。気を取り直して、次なる目的地・大館へと向かうことにします。
はじめは大館へ行くのに、角館から鷹巣まで秋田内陸縦貫鉄道を「乗り鉄」しようかと考えたのですが、この内陸線を全線乗り通すとすると、鷹巣行きの最終列車がなんと角館発17時23分。黒湯温泉にのんびり浸かり、田沢湖で夕陽を眺めていた私には到底間に合わない。できれば内陸線のような経営の苦しい路線には乗ってあげたいところなのですが、今回はやむを得ません。内陸線には二年前にも全線乗っているし・・・と割り切って、今回の移動手段は田沢湖で借りたレンタカーをそのまま使うことにしました。

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二年前の09年に乗った秋田内陸縦貫鉄道。
阿仁合など、マタギの里を走る素朴なローカル線ですが、
沿線人口が少なく、存廃問題が取りざたされています。
09.6.7 秋田内陸縦貫鉄道 鷹巣(上)/合川(車窓から・下)

地図上でパッと見ると、田沢湖からまっすぐ北上すれば大館市なので、だいたい一時間くらいかな・・・と思っていたのですが、実際は森吉山を迂回するように引かれた国道を通る約110キロの道のりで、二時間半ほどかかりました。ほぼ並行して走る内陸線の急行列車が角館~鷹巣を約二時間で結んでいるので、同じくらいの所要時間だったことになります。ようやく大館に着いた頃にはもう真っ暗。

田沢湖-(クルマ移動)-大館

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大館で夜のお楽しみと言えば、ブルトレ・バルブ。
上りの「あけぼの」を停車中に長時間露光撮影です。
昨年12月の改正以降、手前のホームには大館止まりの3681Mが
入るようになってしまいましたが、決して悪い構図ではありません。
11.11.3 奥羽本線 大館

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上り本線の信号が青に変わり、「あけぼの」出発進行!
オレンジ色のナトリウム光が夜行列車の雰囲気を醸し出してくれます。
11.11.3 奥羽本線 大館

大館駅で「あけぼの」を撮影してから、ホテルへチェックイン。ここで一泊します。大館ではもう一本のブルトレ、「日本海」も撮影できるのですが、一度部屋へ入ってしまうと再び出撃する気力が薄れてしまい、この日は「あけぼの」で打ち止め。翌日の撮影に備えて早めに就寝しました。

11月4日(金)
このブログを訪問してくださる方々なら、宿泊地に大館を選んだ時点で私の目的はすぐにお解りだと思います。早朝5時半にチェックアウトしてクルマで向かったのは、大館の隣駅・白沢と陣場の間にある奥羽本線の有名撮影地。山のトンネルを抜け、カーブした橋梁を行く列車をアウトカーブから狙う、お立ち台的な定番ポイントです。定番で人と同じような写真を撮ってもつまらないかも知れませんが、鉄道写真は自然が相手。訪れた時期、天候、環境の変化、さらに個々のこだわりポイントなどによって大きく見方が変わり、定番場所でも全く同じにはならないと私は思っています(ちょっと理屈っぽい? ^^;)。それに「お立ち台」と称されるだけあって、その景色はいつ来てもすばらしいものがあります。今回の狙いはもちろん、紅葉の陣場を行くブルトレ「日本海」と「あけぼの」。そこで気になる紅葉具合ですが、見頃は過ぎてしまったものの、田沢湖よりはずっとマシで、何とか秋景色を保っていてくれました。しかし最近、その手軽に撮れるお立ち台に大きな問題が・・・。

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有名撮影地、白沢~陣場の「お立ち台」。
まずは701系二連の普通列車で試し撮りです。
11.11.4 奥羽本線 白沢-陣場

ヨコ位置で奥にコンクリート橋を配し、手前の築堤部分まで列車を引き付けるのが定番スタイル。ところが、築堤付近の木々がかなり成長していて、先頭から二~三両目まで足回りをスッキリと抜くことができなくなっています。実は前述の内陸線に乗った二年前の初夏にも、このお立ち台で「あけぼの」を撮影しているのですが、その時はこんな感じで撮れていました。

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二年前の同ポイントで撮った「あけぼの」。
夏場でうっそうと木が生い茂っているにも関わらず、
定番位置では今よりもスッキリと撮影することができました。
09.6.8 奥羽本線 白沢-陣場(再掲)

定番アングルにこだわる必要は無いけれど、ちょっと撮りにくくなっちゃったなぁ・・・。限られたアングルで試行錯誤したあげく、けっきょく築堤部分をカットしたタテ位置で落ち着きました。同業者は飛び石連休の狭間の平日にも関わらず5~6人ほどが集まり、まずは「日本海」を迎えます。

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早朝、朝靄がたなびく晩秋の陣場。
墨絵のような幽玄な景色のなかを「日本海」が駆け抜けます。
11.11.4 奥羽本線 白沢-陣場

ぬはっ、またも「トワガマ」 (´・ω・`)・・・って、実は隣にいらっしゃった同業者さんの情報で事前にトワガマだと言うことは知っていました。どうやらローズピンクの一機が入場している関係で、最近の「日本海」はトワガマ率が高いらしい。これで私は先々月の湖西線に続き、連続の「トワガマ日本海」。やっぱり「日本海」はローピンで撮りたいな・・・。でも、朝靄と紅葉はとてもいい雰囲気で満足。列車を画の中心に置かずに左をちょっと開けたことで、定番でも少しは変化が付いたかな?

続いてのターゲット「あけぼの」の通過にはまだ一時間以上もあるので、場所を少し変えてみることにしました。お立ち台近くにある展示施設「風穴館」の裏山を登ると、先ほどよりもさらに高いところからコンクリート橋を見下ろすことができるのです。しかし、その風穴館の入り口にはこんな注意書きが張ってありました。

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第二の撮影地となる裏山。
その行く手には「クマに注意!!」の立て看板が・・・。

冬眠前で秋のクマは特に凶暴らしく、もし出くわしたらと考えると身が縮む思いです。おそるおそる撮影ポイントまで登って行くと、そこにいたのは・・・先客の同業者。ここにも5人くらいの方が待機されていました。ひとりで待っているのは心細いけど、お仲間がいれば大丈夫。安心して「あけぼの」を撮ることができそうです。
今度の撮影地点は先ほどの場所よりも線路からかなり離れているので、靄が濃いと列車がクリアに見えず、着いたときには画面に白いレースのカーテンがかかったような状態でしたが、「あけぼの」の通過時刻が近づくにつれて靄は晴れ、やがて日も差すようになりました。いい光線状態のまま、トンネルから赤いEF81が飛び出します。

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山あいに差し込んだ朝日が、
PC橋梁に躍り出た「あけぼの」を照らしてくれました。
11.11.4 奥羽本線 白沢-陣場

きれいに日が当たってくれました~\(^^)/  ただし明るくなった分、落葉してしまった枯れ木も目立つようになってしまいましたが・・・。個人的には「日本海」の写真の方が、寝台列車らしい雰囲気が出ていて好きかも。
「あけぼの」にはカマによる当たり外れなどはなく、しいてこだわりを上げるなら客車の帯がきれいに揃っているかどうか。その点で「あけぼの」に関しては引きがいいらしく、二年前もそして今回も、見える範囲の客車はすべて金帯車で統一されていました。この運を「日本海」のカマにも欲しいところですね・・・(^^;)
これで朝のブルトレ撮影は終了です。

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お立ち台近くにあり、第二の撮影地となった、
国指定天然記念物の「長走風穴」。
長走風穴は国見山から崩落した岩石が堆積してできた累石型風穴で、
石の間から吹き出した冷気は、この風穴倉庫へと生かされます。

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隣接する「風穴館」では、そんな風穴のしくみや高山植物などを
わかりやすく展示しています。開館時間は9時半からなので、
「あけぼの」撮影の後にちょっと寄られてみてはいかがでしょうか。

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今回はレンタカーを使いましたが、
風穴館の前には秋北バスの「風穴前」停留所があります。
二年前に訪れた時はこのバスで大館駅へと戻りました。

前日の10時に田沢湖で借りたレンタカーを、翌日10時前に大館で返却。これで時間制の一日分ピッタリ。同じ秋田県内なので乗り捨て料金もかかりませんでした。事故無く無事にクルマを返すことができると、普段運転しない者にとっては肩の荷がおりたような気分になります。徒歩で市内をちょっと散策し、2009年に廃線となった小坂精錬の線路などを眺めてから、大館駅へ。

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大館駅近くに残る小坂精錬・小坂線の廃線跡。
小坂精錬(小坂鉄道)は小坂鉱山の鉱石輸送や濃硫酸輸送のために
敷かれた貨物主体のローカル私鉄。
94年までは日に数本程度の旅客列車も走っていましたが、
私は一度も乗ることができませんでした・・・。

2013.jpg

奥羽本線大館駅。当駅からは奥羽本線の他に
十和田南、鹿角花輪を経て好摩(盛岡)へと至る、
花輪線も発着しています。
11.11.4 奥羽本線 大館


さて、次の行程は・・・?


・・・続きます



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秋の北東北01・・・秋田新幹線「こまち」 撮影記 [鉄道旅行記]

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2011.11.03~05
秋の北東北01
紅葉の・・・
秋田新幹線「こまち」 撮影
  

唐突ですが、6日の日曜日は仕事でした。先週、仕事の都合で急遽打診された休日出勤。決して強制的ではないので、日曜日は井の頭線3000系の「さよなら運転」なども撮りたいしなぁ・・・などと渋っていたところ、そのぶんの代休を前倒しで4日の金曜日に取ってもいいとの事。ご存知、3日は「文化の日」で祝日ですから、4日が休みになれば木・金・土の三連休になります。今年の11月は日のめぐりあわせが悪く、23日の「勤労感謝の日」も水曜日で連休にはなりません。ここで連休がもらえるのならば決して悪くないハナシか・・・と、素直に(?)交渉成立。 休みでも飛び石だと一日ぼーっとして終わっちゃいがちですが、連休とあらば途端に旅心が疼きます。この降って湧いたような連休を生かして、秋の鉄道旅行へと出かけることにしました。

11月3日(木)
今旅は久しぶりに秋田新幹線「こまち」で北東北へ向かいます。この時期に「撮り鉄」するのなら、やはり紅葉は外せません。前週に訪れた秩父ではまだ色づき始め程度でしたが、きっと東北地方は今がちょうど見頃のはず。三日間の天気は快晴とはいかないまでも、概ね晴れるようなので、きれいな紅葉風景を期待してしまいます。

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東京駅で並んだN700系「のぞみ」とE3系「こまち」。
今回乗るのは、右の秋田新幹線「こまち」です。
11.11.3 東北新幹線 東京

東北のローカル線には、北上線や陸羽東線、米坂線など紅葉の名所が多々ありますが、今回私が撮影路線として選んだのは、なんと今乗っている秋田新幹線。紅葉風景を撮りに行くのにローカル線ではなく新幹線? と思われるかもしれませんが、秋田新幹線は盛岡で東北新幹線と分岐すると、田沢湖線という単線のローカル線へと入ってゆきます。この田沢湖線は岩手・秋田県境の山深いところを走る、ちょっとした紅葉の名所路線。山あいのローカル線を走る新幹線と紅葉とは、なかなか面白い画になりそうです。

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「こまち」は盛岡で東北新幹線から分岐し、田沢湖線へ。
ここからは高架を降りて地平の単線区間となります。
11.11.3 田沢湖線 盛岡付近(車窓から)

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車窓に広がるのは、美しい錦秋の風景!
11.11.3 田沢湖線 小岩井-雫石(車窓から)

盛岡から田沢湖線に入った「こまち」。車窓には、きれいに紅葉した木々が流れてゆきます。今年の紅葉は色づきが例年よりも悪いと言われていたので心配したのですが、これはまさに期待通りの光景です。ところが、目的地である田沢湖へ近づくにつれて思わぬ展開に・・・。

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列車は県境の仙岩峠を越えてゆきます。
あ、あれ? なんだか寂しい画になってきたぞ・・・(´・ω・`;)
11.11.3 田沢湖線 赤渕-田沢湖(車窓から)

ええ~!?まさかの落葉? 今年は秋になっても暖かい日が続いていたので、まだ大丈夫だと思っていたのに・・・。それでもここまで来たからには、引き返すわけに行きません。車窓から見たかぎりでは、落葉してしまったところもあるけれど、まだまだきれいな紅葉も見られました。きっと撮影地は大丈夫さ・・・などと、根拠の無い自信と大きな不安を抱えて、予定通り田沢湖で「こまち」を下車。

東京0656-(こまち13号)-田沢湖0956

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東京からちょうど三時間。初めて降りた田沢湖線・田沢湖駅。
田沢湖や乳頭温泉郷など、観光地への下車駅です。
11.11.3 田沢湖線 田沢湖

さて、ここ田沢湖駅から赤渕方向にある仙岩峠の撮影地を目指すわけですが、事前に調べた「撮影地ガイド」によると、撮影ポイントの入り口となる峠の林道まで駅から徒歩で一時間以上(!)。さらにその林道を奥へと入っていかねばなりません。徒歩で到達するのはちょっとムリがあります。ならばと、いつものようにレンタサイクルを探してみたところ、駅近くには見当たらず。観光地である田沢湖の湖畔にはあるものの、わざわざ駅からバスで15分の田沢湖畔で自転車を借り、再び駅を通って撮影地へと向かうのは、さすがに効率が悪すぎて阿呆らしい。ここはムリをせず、今回はレンタカーを借りることにしました。徒歩で一時間と書かれていた林道の入り口まで、クルマはわずか15分で到着。う~ん、当たり前だけどクルマは便利で早いなぁ・・・。まずはその林道の入り口から少し入った場所で、最初の一カット目。

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仙岩峠の山深い渓谷沿いを走る「こまち」を俯瞰撮影。
日の当たらないポイントですが、白い車体のE3系は目立ちます。
11.11.3 田沢湖線 田沢湖-赤渕

本命の撮影地ではありませんが、時間的にちょうど「こまち」が来る時間だったので狙ってみました。ここは山影で日は当たらないものの、田沢湖線らしい山深い雰囲気を俯瞰から撮れるなかなかいいポイントです。林道の入り口というと登山口をイメージしがちですが、ここでは逆に国道で一気に山の中腹まで上がり、そこから林道を下って渓谷へ降りてゆく形になります。林道は普通乗用車では通れないほど急斜面の砂利道なので、クルマは国道沿いの駐車帯に止め、ここからはカメラバックを背負って歩くことに。結局レンタカーを借りても、傍らにクルマを止めて撮るようなスタイルではなく、いつもの徒歩鉄と変わりません・・・(^^;)。
運転本数はだいたい一時間に一本程度の「こまち」ですが、この日は祝日なので臨時も多く、次の列車は40分後。それまでに目指す撮影地に到達したいところです。しかし、ひたすら渓谷沿いの林道を突き進むも、なかなかお目当ての鉄橋が見えてきません。やがて、歩く先に白い車体が見えてきてしまいました。

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大自然に包まれた細い林道の先を、「こまち」が横切ってゆきます。
11.11.3 田沢湖線 赤渕-田沢湖

普段から徒歩鉄なだけに足には自信があったのですが、間に合いませんでした。でも、二~三時間に一本程度のローカル線ではなく、本数の多い「こまち」なら一本くらい撮り逃してもそれほど落胆しません。とっさに撮った上の写真も、案外悪くなかったし。それよりも気になるのは紅葉。やはり思ったよりもかなり落葉が進んでいます。そしてショックだったのがこの光景・・・。

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鉄橋の背景は、ものの見事に落葉して枯れ木に・・・。
もはや秋というより冬の景色です。。。orz
11.11.3 田沢湖線 田沢湖-赤渕

実はこのガーダー橋を下から見上げるアングルこそ、私がいちばん目指していた撮影地でした。本来なら鉄橋を行く「こまち」の背景には色とりどりに紅葉した山々が入る、美しい画になるはずだったのに・・・。作例に見た写真はほとんど11月上旬に撮られたもので、本来なら今がちょうど紅葉の見頃となるはず。しかし近年は猛暑や大寒波などの異常気象で、四季の光景も例年通りとは行かなくなってきているようですね。。。それにしても、東京から列車で三時間。クルマを借りて山へ入り、さらに林道を歩くこと50分。その結果がコレとはあまりにも切なすぎる・・・ ウワァァ-----。゚(゚´Д`゚)゚。-----ン!!!!

落胆と歩き疲れで、深いため息。それでも、まもなく次の列車は着てしまいます。本命ポイントだったとはいえ、さすがにここで撮る気にはなれず、林道をさらに進んで撮影地を探すことに。この先にいいポイントがあるとは思えないのですが、ひょっとしたら・・・との淡い期待が捨てられず、こうなると気が済むまで進まずにはいられないのです。

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落葉してしまった初冬の仙岩峠を「こまち」が駆け抜けます。
11.11.3 田沢湖線 赤渕-田沢湖

結局、足の長い立派な橋脚が印象的だったポイントで撮影。ここももう少し紅葉が持ってくれたら、素晴らしい画になったことでしょう。さすがに列車を一本撮ったことで落ち着き・・・というか、諦めがつき、これ以上先へ進むことはしませんでした。重い足取りで来た道を引き返します。

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帰り道で、もう一本「こまち」が撮れました。
寂しい状態の山を切り、川のせせらぎを大きく入れたアングルで。
うーん、前回の秩父でも似たようなアングルで撮ったよなぁ・・・(^^;)。
11.11.3 田沢湖線 田沢湖-赤渕

戻る途中、枝分かれしていたもう一方の林道へも行ってみることにしました。今までとは逆方向へ進むこの道は、先ほどの場所ほど山が深く無く、適度に日も当たるので、若干紅葉が保たれているようです。ただし、このあたりは川の護岸が整備されているので、渓谷美があまり感じられないのが難点。でも、もうそんな贅沢は言っていられません。色づいたカエデを手前に配し、紅葉した山を背景に「こまち」を狙います。

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秋色に染まったカエデを横目に、鉄橋を渡る「こまち」。
11.11.3 田沢湖線 赤渕-田沢湖

ようやく秋の田沢湖線らしい一枚が撮れたかな。かろうじてカエデ一本でも紅葉が残っていて助かりました。当初の予定とは大きく異なってしまったけれど、何とか紅葉と「こまち」のコラボを撮ることができたので、まあ良しとしますか・・・。林道を抜けてクルマへと戻ります。

これでいちおう目的は達成したのですが、駅から撮影地までの往復だけにレンタカーを借りたのではもったいない。この後はさらに紅葉を求めて、角館から出ている秋田内陸縦貫鉄道に転戦しようかとも考えたのですが、今から行っても本数の少ない内陸線はちょうどいい頃合の列車がありませんでした。そこで、もうここからは非鉄を決め込み、かねてから一度行ってみたいと思っていた「乳頭温泉郷」へと行ってみることに。乳頭温泉郷は十和田八幡平国立公園内・乳頭山の山麓に点在する温泉郷。最寄駅の田沢湖からバスで一時間も走らなくてはならないところにある「秘湯」です。今回はクルマという足があるので、その乳頭温泉郷の中でも最奥の「黒湯温泉」を目指してみます。

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乳頭温泉郷の黒湯温泉。
発見は1674年(延宝2年)頃とされる歴史ある温泉です。
敷地内に源泉が湧き出る河原があり、湯量の豊富さは乳頭温泉郷随一。
湯畑から湧き上がる硫黄臭がたまりません。

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お風呂は混浴と男女別があります・・・。
こういう場合、皆さんはどちらを選びますか?
私は・・・("▽"*)テヘ

黒湯温泉、いいお湯です。その名とは裏腹に乳白色のお湯にじっくり浸かっていると、心身ともに疲れが癒されます。この日は思い描いていたような写真を撮ることはできなかったけど、まあこんなこともあるさ・・・と、すっかり気を取り直すことができました。これも温泉の効能かな?

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温泉で長居してしまい、気付けばもう夕方。
秋の夕日が田沢湖を美しく照らしていました。

  

 

・・・続きます。



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