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スイスⅣ 01・・・イヴェルドン 徒歩鉄散策記 [あおたけ的 SWISS紀行]

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2012.06.18~06.24 スイス 01
イヴェルドン 徒歩鉄散策

先週書いた「ONE-shot」の冒頭でもちょこっと触れたように、今月は週末休みが何日か潰れてしまうほどの大きな仕事を抱えてしまいました。こう書くと、ずっと会社に缶詰状態で、ひたすらデスクワークをしているように思われるかもしれません。でも実は一週間ほどの海外出張を命じられていたのです。その行き先はと言えば・・・またもやスイス。このブログに長くお付き合いいただいている方ならご存知でしょうが、私の海外出張はスイスに特化しており、過去にも三度、出張ついでのスイス旅行記を綴ってきました(仕事の出張なので「旅行」じゃないんですけどね・・・^^;)。海外とはいえ、同じ国の同じ都市ばかりではさすがにネタが尽きてきたものの、日本と同様・・・いや、それ以上とも言える鉄道王国・スイス。行けば何かしらの鉄ネタに巡り会えるもの。TGVでパリへ行った前回のスイス編Ⅲのような派手さはありませんが、今回も少しだけ「あおたけ的・スイス紀行」にお付き合いいただけたらと思います。ちなみにいつものことながら、私のスイス紀行ではアルプスの山々や美しい湖などの、いわゆるハイジ的な観光地とはほぼ無縁の鉄道や都市部がメイン。なので、スイスのキーワードでこのページに辿り着いた方には申し訳ないのですが、観光の参考などにはなりづらいと思われますので、この先を読まれる方はあらかじめご承知置きを・・・m(_ _)m。

6月18日(月)
NRT1025-(LX161)-ZRH1550
ZRH1735-(LX2810)-GVA1825

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チューリッヒからジュネーブへ向かう機上から、
晴れていれば進行左手にはアルプス山脈が(
スイス編Ⅰ参照)、
今回のように右手窓側席だとレマン湖を眺めることができます。

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そのレマン湖畔をよ~く目を凝らしてみると、
走ってゆく列車の姿がありました。
二階建てのSバーンタイプなので、RABe511形かな?

今回もスイスインターナショナル・エアの「LX-161便」と「LX-2810便」をチューリッヒで乗り継ぎ、東京から約14時間かけてジュネーヴへとやってきました。いつもならこのジュネーヴが最終目的地なのですが、今回はここからさらに列車で移動を続けます。スーツケースをガラガラ引きずって、ジュネーブ空港の地下にあるスイス国鉄(SBB)の駅へ。私にとっては飛行機を降りた瞬間やイミグレを通る時よりも、駅でSBBの列車を見ることが、いちばんスイスへ来たのだと実感します。そう言う意味で、着いてすぐに列車へ乗れる今回はちょっと嬉しい。

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地下のジュネーヴ空港駅に待機していたのは、
バーゼル(Basel)行きICN643。
このICN(特急)に使用されているRABDe500形は、
振り子機能を搭載した動力分散式の特急形車両です。
個人的にはあまり好きなデザインじゃないけれど・・・。
スイス国鉄 ジュネーヴ空港 (Geneve-Aeroport)

時間に正確なスイスの鉄道らしくキッチリと定刻に空港駅を発車したICNは、ジュネーヴ市内を抜けて、先ほど上空から見たレマン湖沿いの線路を東へと進みます。本当ならいつものようにジュネーヴ市内に宿を取って、そこを拠点とする予定だったのですが、なぜか今回は手頃なジュネーヴの宿がどこも満室(時計かクルマの展示会か、もしくは国連で会議でもあるのか・・・?)。五つ星のスイートなら空き室アリでも、一泊3000スイスフラン(約25万円)では、会社の経理部に殺されてしまいます。そこで今回は、より訪問先に近い「イヴェルドン(Yverdon)」という怪獣のような名前の街に滞在することにしました。訪問先に近いならコッチの方がいいじゃないかと思われそうですが、レジャーでなく仕事で滞在するのならば、ジュネーブやチューリッヒのような慣れた都市の方がいろいろと勝手が解って都合がいいのです。はたして初めて訪れるイヴェルドンとは、いったいどんな街なのだろう・・・。

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車窓にはアルプスの山々とレマン湖がチラリ・・・。
上空から見ていたほど湖の眺めは良くないですね。。。
スイス国鉄 ニヨン(Nyon)付近(車窓から)

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今回の目的地はジュネーヴ市内ではないので
スイス編Ⅱで紹介したフリーチケットは使えず、
きっぷはあらかじめオンラインで購入しておきました。
プリントアウトした用紙とパスポートでチェックされます。
それにしても、こんな紙っぺら
(Eチケ)で国際線の飛行機や
異国の鉄道に乗れる時代になったんだなぁ・・・(^^;)

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ジュネーブからICNで約一時間、
イヴェルドンの玄関口であるイヴェルドン・レ・バン駅に到着

まだ明るいですが、すでに午後8時過ぎです

スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン(Yverdon-les-Bains)

Geneve-Aeroport 1905-(ICN643)-Yverdon-les-Bains 2002

ジュネーヴから東へ約70キロに位置する、仏語圏の小都市イヴェルドン。ローマ軍の北進ルート上にあり、ケルトやローマ時代の遺跡が発掘されている歴史的な町ですが、何と言ってもここで有名なのは温泉。紀元前からの伝統を誇る名湯の地で、街に数多く存在するスパセンターへ保養や療養目的でスイス国内はもとより欧州各地から多くの人が訪れます。駅名や街名にも仏語で風呂や温泉を意味する「バン(Bain)」が付いていて、正式な駅名はさしずめ「イヴェルドン温泉駅」と言ったところ。たしか10年くらい前にこの駅を列車で通った時には、まだ単なる「イヴェルドン」という駅名だったと思うので、最近になって観光客誘致のために改称されたのではないでしょうか。日本の城崎→ 城崎温泉のようなものかな・・・。ちなみに温泉と言っても日本のようなオフロではなく、温水プールみたいなもので、もちろん水着着用が原則です。実は私が滞在したホテルにもバンが併設されていましたが、水着を持ってきていないし、仕事以外に少しでも余裕があるのなら、私は温泉よりも駅へ行って列車が見たい。そこで、ここからは再び鉄の方へと話題を戻します。

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スイス国鉄を表す「SBB CFF FFS」マークが掲げられた
「イヴェルドン・レ・バン」駅の駅舎。
駅構内にはキオスク(売店)の他、
小さなスーパー(COOP)とファーマシーが併設されていました。
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン(Yverdon-les-Bains)

イヴェルドン・レ・バン駅はジュネーヴとチューリッヒやバーゼルを結ぶSBBのメイン路線上にあり、特急も停車する主要駅の一つ。また、この駅からはヌ・シャテル湖の南岸沿いにフリブール(Fribourg)方面へ向かうSBBのローカル線と、以前にも紹介したサン・クロワ(SAINT-CROIX)への中小私鉄「ヴァレ・ド・ジュー=イヴェルドン・レ・バン=サン・クロワ交通 (TRAVYS)」が分岐しています。さらにこの駅が鉄的に興味深いのは、貨物のヤードが併設されていて、頻繁に貨物列車の姿が見られること。ジュネーブやチューリッヒのような大きな駅ではないけれど、特急やローカル線、さらに貨物列車と、なかなか楽しい鉄道ウォッチングができそうです。ただし残念なのは、滞在中に唯一と言っていいほど与えられたフリータイムの日が一日じゅう雨模様でした・・・。:il!:il|Y_(´д`;))!l|il:|; ザアアァァ…

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まずは黄色いコンテナ車を従えて、颯爽と現れたのは
以前にも紹介した「スイスのEF65」こと汎用機のRe420形。
ただし車軸配置はBo-Boの日本で言うD級機。
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン(Yverdon-les-Bains)

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次に入ってきたのは、このブログ初登場のAe610形。
Re420よりも一回り大きい、Co-Co車軸配置のF級機です。
最大392kNの牽引力と125km/hの最高速度を特徴とする強力機で
かつてはゴッダルトルートの旅客列車牽引なども担っていましたが、
現在では貨物専用機として活躍しています。
貨物機なのでチューリッヒ中央駅やジュネーブでは
あまり見かけることがないんですよね・・・。
嬉しいことにこのカモレには次位にDLがムドで付いていました。

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同じくAe610形の「SBBcargo」塗装機が入換え中。
貨物機のAe610はこの「cargo」色化が進んでいるのかな・・・・?
まるでJRFの更新色塗装が進むロクヨンみたい。

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奥の留置線にいたのは、旧塗装で緑色のRe420!(゚∀゚)
国鉄色・・・って言い方とはちょっとニュアンスが違うけど、
強いて言うならば、昔の茶色いEF60みたいな感じ。
現在Re420の標準塗装は上に紹介した赤色で、
緑色の旧塗装は三機程度しか存在しない、まさに「ネタガマ」。
できれば運用に入っている姿が撮りたかったな・・・。

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こちらはイヴェルドン駅の一角から出ている、中小私鉄の
「ヴァレ・ド・ジュー=イヴェルドン・レ・バン=サン・クロワ交通
(TRAVYS)」 。
一見路面電車のようなカワイイ車体ですが、
実は峠越えの急勾配を軽々と進む、力強い電車です。
スイス TRAVYS イヴェルドン・レ・バン(Yverdon-les-Bains)

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電車の横に鎮座していたTRAVYSのEL。
車体側面にワニの絵が描かれているユニークな機関車です。(^^)
いつもイヴェルドンを列車で通るたび、コイツが気になっていたんですよね・・・。

私が駅に行った時間帯、SBBの旅客列車は先ほどジュネーヴから乗ってきたのと同じICNのRABDe500形しか来なかったので、ここでは貨物列車と私鉄のTRAVYSを中心にご紹介しました。旧塗装の「ネタガマ」や中小私鉄が各地に多く存在するなど、スイスの鉄道は時間に正確というところだけでなく、趣味的に見ても日本の鉄道に似たところが多くて、とても興味深いものがあります。

さて、今度は駅を離れてイヴェルドンの街中散策へと出かけてみましょう。いくら鉄でも、さすがにフリータイムをずっと駅で過ごしてしまうのはもったいない。とくに今回は初めて訪れた街ですし・・・。とは言うものの、いっこうに雨はやむ気配がなく、時間的にもそれほど余裕があるわけではないので、駅周辺の市街地をちょこっとまわる程度。しかも事前に地図や観光ガイドなども用意していない、まさに行き当たりばったりの散策です。ヽ(´o`;) ダイジョブカ ?

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細い路地に商店と教会がひしめき合い、
いかにもヨーロッパの古都っぽい雰囲気が漂う
イヴェルドン旧市街のラック通り。

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ラック通りを抜けると、イヴェルドン一の見どころである
ペスタロッツィ広場へと出ました。
正面に見えるのはランドマーク的存在のノートルダム教会。

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ノートルダム教会の対面にあるのはイヴェルドン城。
現在では博物館になっているのだそうです。
教会とお城、さらに撮り忘れてしまいましたが、
市庁舎が立ち並ぶペスタロッツィ広場。
イヴェルドン観光はここにすべてが凝縮されていると言っても
いいのかもしれません。

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残念ながらイヴェルドンにはトラムのような路面電車はなく、
市内の公共交通はバスがメイン。
先ほど紹介した私鉄のTRAVISがバスを運行しています。
ちなみにこのバス、よ~く行き先表示器を見てみると・・・

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運転手さんはコーヒーブレイクでした。(^▽^)
単なる「回送」表示よりもユーモアがありますよね。

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バス以外の移動手段としては、こんなのもオススメ。
街中の各所で見られたレンタサイクルの自販機です。
でも仏語表示だけだったので、借り方が解らなかった・・・。

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お城の外濠から駅方向を眺めると、
ちょうどレール輸送のDL(工臨?)が
ゆっくりと通過してゆくのが見えました。
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン(Yverdon-les-Bains)

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街中散策のブレイクにちょっと一杯。
犬のマークのスイスビール「BOXER OLD」。
クセはなく、意外とアッサリしていて飲みやすかったです。

イヴェルドンの中心は駅周辺の半径数百メートル程度。ジュネーブやチューリッヒのような大都市ではないので、ザックリとした散策なら、ものの20~30分もあればじゅうぶんにまわり切ることができます。これに前述の温泉入浴や博物館鑑賞などを含めて、およそ半日言うのが一般的な観光コースのようです。私はといえば、コーヒー・・・いや、ビールブレイクを挟んでひたすら歩き続け、市街地の端の方までやってきました。もうこの先に見どころは無さそうなので、来た道を戻ろうとしたのですが、さらに先の方に見える陸橋のようなものがちょっと気になります。あの陸橋が越えている下にあるのは道なのか、川なのか、ひょっとして鉄道の線路なんじゃないか・・・? 確証はないけれど、直感的に「鉄センサー」がビンビンに反応しています。ためしに近づいてみると・・・ビンゴ!(゚∀゚)

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イヴェルドンの市街地を抜けたところに見えてきた陸橋。

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その陸橋の下をRABDe500形が高速で通過してゆきました。
方向的には奥のカーブの先がイヴェルドン駅です。
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン~エペンデス(Ependes)

直感が当たり、陸橋の下にあったのはSBBメイン路線の線路でした。鉄ならば駅から出ている線路の方向でだいたい予測がつきそうなものですが、このイヴェルドン周辺は市街地を迂回するように線路が引かれていて、まさか駅を背にして歩いてきたのに、再び線路に当たるとは思っていなかったのです。しかもここは緩いカーブを俯瞰気味に撮影できるなかなかの好ポイント。適当に歩いて来たにしては、いい場所に巡り会えました。残り少なくなったフリータイムで果たしてどれだけの列車が撮れるのかは解らないけれど、しばらくここで撮影してみることにします(あまり行く人はいないと思いますが、一応撮影地の場所を添付しておきます。この地図を見てもイヴェルドン駅を出た線路が大きく迂回しているのが解りますね。^^)。

 

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再び現れたRABDe500形のICN。
なんてことない郊外の撮影地ですが、奥に見えるアーチ橋が
なかなかいいワンポイントになってくれます。

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陸橋の反対側から撮った普通列車(Sバーン)のRABe523形。
最近、スイス各地で増殖中の一般形車両です。
スイス国鉄 エペンデス~イヴェルドン・レ・バン

交流電化のSBBは地上設備が簡素なので、橋のどちら側からでもスッキリと撮ることができます。しかしこの陸橋は案外クルマの交通量が多くて、列車の姿が見えてから道路を渡るのはちょっとキビシい。ここは欲張らずにどちらか片方に張り付いていた方が良さそうです。それならば、やはりアーチ橋が見えるイヴェルドン側の方がいい。ところがこれが裏目に出てしまいました。せっかくならここで一本くらい貨物列車が撮りたいと思っていたのですが・・・貨物がやってきたのは逆側。(´・д・`)

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赤いRe420に牽引された貨物列車が去ってゆきます。
苦し紛れに後追いで見送り・・・。
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン~エペンデス(後追い)

貴重な貨物を「見る鉄」だなんて、うーん残念。私が狙っているイヴェルドン側からも貨物が来てくれないかなぁ・・・と、祈るような気持ちで待ち続けるも、来るのは電車のSバーンやICNばかり。一時間近くが経ち、諦めかけたその時、アーチ橋の向こうに赤い電気機関車の姿が見えてきました! か、貨物か!?

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やってきたのは客車列車のIR(急行)。
今やスイスでも減りつつある、貴重な客車列車です。
先頭のカマは客貨両用のおなじみRe420。
統一感のない珍ドコ編成の客車列車は、やはり味があります!
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン~エペンデス

貨物ではありませんでしたが、機関車が牽引する客車列車が来てくれました~ヽ(*´Д`*)ノ。 でもその姿に舞い上がってしまい、ものの見事にパンタが串刺し。落ち着いてもう少し手前まで引き付けるべきでした・・・orz。それでも、最後に大きな収穫を得ることができたので満足。限られた少ない時間の中で、駅撮り、街散策、そして思いがけず沿線撮りと、天気が悪いながらも充実したイヴェルドンでのフリータイムとなりました。

 

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この日のディナー。
メインはイヴェルドンの東側に広がる
ヌ・シャテル湖で獲れたスズキ系の白身魚。
(名前忘れた・・・(´Д`;)
淡白な身とバターソースの相性が抜群でした。
☆☆☆☆・

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翌日のメインは肉料理で、ラムチョップをチョイス。
日本ではジンギスカンくらいでしか食べないラムですが、
スイスへ行くと食べたくなります。
でも、今回のコレはちょっと臭みが強かったかな・・・。
☆☆・・・

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ヨーロッパと言えばやっぱりデザートは欠かせません。
今回もほぼ毎日のようにいろいろと食べてきましたが、
そのなかでいちばん好みだったのはコレ。
シュー生地にバニラアイスが入り、チョコをかけたもの。
いわゆる「シューアイス」なのですが、
さすがスイスだけあって、チョコの濃厚さが違います。
.:*・(´▽`)゚・*:.。.☆☆☆☆・

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そして今回楽しみのひとつだったのは、
サッカーの欧州選手権(EURO2012)をリアルタイムで見られること。
試合が行われているポーランドやウクライナまでは観戦に行けませんが、
同じヨーロッパにいるだけでも熱気を肌で感じることができます。
残念ながら今大会、スイスは出場しなかった(予選敗退)ものの、
まわりを囲む独・仏・伊の試合では異様な盛り上がりを見せていました

そんなEUROもベスト4が出そろいましたね。


・・・続きます。



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