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ONE-shot 91 ちっぽけな、しあわせ ♪ [PICK UP ONE-shot]

PICK UP ONE-shot 91 ちっぽけな、しあわせ ♪
 
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「Suica」の残額が・・・7777円! (゚∀゚)
これはひょっとして、いいことがあるかも・・・?


たまたま退勤時に駅構内の売店で
「Suica(定期券)」を使って買い物したら、
ピピッと表示された残額が、なんと「7777円」。
狙ってもなかなかできることではなく、
思わず嬉しくなって
出札時の自動改札表示を撮影しちゃいました。
  
・・・くだらないネタでスミマセン。(^^;)

12.5.29 中央本線 吉祥寺

タグ:鉄道 Suica

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東北本線・・・初夏のヒガハス 「北斗星」撮影記 [鉄道写真撮影記]

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2012.05.19
東北本線
初夏のヒガハス 「北斗星」撮影
  

先々週の土曜日(19日)は、全国的に青空が広がる五月晴れ。このところ週末とお天気の相性がよくなってきましたね~(^▽^)。こんな日はどこかで、気持ちよく「撮り鉄」したいところ。とくに日の出が早くなるこの時期は夜行列車撮影のトップシーズンです。ああ、青森あたりに行って「はまなす」や「あけぼの」などを撮りたいなぁ・・・(´・∀・`*)。しかし、連休での出費が嵩み、超ボンビーな今の私に、青森はとてつもなく遠い。ブルトレ撮影はしばらくお預けか・・・などと思いながら、いつもお世話になっているtwingo583さんのブログ「青空鉄道日記」のお写真を拝見していると、東北本線の有名撮影地・ヒガハス(東大宮~蓮田)では今、田植えが真っ盛りのようで、水田に小さな苗が整然と並ぶ、初夏らしい爽やかな景色が広がっているではありませんか。もちろんヒガハスならばブルトレ「北斗星」だって通過します。そう、なにも遠くへ行けばいいってものではなく、近場でだってじゅうぶん「初夏のブルトレ」は撮れるのです。そこでこの日は「北斗星」を狙いに、ヒガハスへと行ってみることにしました。

ところで、話はちょっとさかのぼり、連休中の天気が悪い日に部屋を整理していると、こんなモノに目が留まりました。

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ファイルに収納されているのは、
JRの切符が買えるプリペイドカード「オレンジカード」。

実はコレ、私が過去に収集した「オレンジカード」(略して「オレカ」)の数々。国鉄末期から記念切符に変わって、新線開業や廃線、新車投入などのたびに発売されていた記念のオレカ。一時は私もその収集にハマり、集まった数はざっとファイル5冊分。ファイルに入らない台紙付きなどもかなりの数があります。しかしオレカは近年、非接触型ICカード、いわゆる「Suica」や「PASUMO」、「ICOCA」などの普及によって都市圏では影が薄くなり、ついに今年4月には首都圏での発売が終了。当然需要がなければ新作が発売されることもなく、オレカ・コレクションは今後ますます衰退が予想されます。買った当時は使用して穴が開くと価値が下がるといって、大半が未使用のまま保管してきましたが、コレクターが減れば、その価値もたかが知れています。だったら、このまま眠らせておくよりも有効活用、つまり使ってしまった方がいいのではないかと考え、ためしに今回、コレクションの中からテキトーに選んだ「いちばん価値の無さそうなヤツ」を使って、ヒガハスの最寄り駅である蓮田までの乗車券を買ってみることにしました。オレカできっぷを買うなんていつ以来だろう。ちゃんと使えるんだろうな・・・。

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いちばん価値の無さそうな・・・で、選ばれた悲しいカード(^^;)。
図柄の「888」とは何を意味するのかというと、
平成8年8月8日の「8並び記念」です。
96年7月発行(オレカは裏面の数字で発行年月がわかります)。
右下に「上野地区」の文字が入っているので、
おそらく上野駅で買ったものかと思われます。

券売機にカードを挿入してみると・・・お、使えた!(゚∀゚) しかも首都圏最新式の「黒い券売機」で。オレカは金券のようなものなので、もちろん使えて当然なのですが、10年以上も前のカードが普通に使えるのを見ると、ちょっと感動すら覚えます。私の定期券内の駅から蓮田までは片道650円。1000円分のオレカ一枚で往復は賄えませんが、それでも今の私にはじゅうぶんに助かります。今後少しずつではありますが、首都圏近郊、もしくは短距離利用では、価値の無さそうなオレカから使ってゆき、随時ご紹介できたらと思っています (価値の無さそうなモノからってところがセコいですね・・・(^_^;) )。

5月19日(土)
新宿0724-(東北1600E)-蓮田0803

蓮田の駅から撮影地となる田園地帯までは、徒歩で20分ほどの距離。ここは学生の頃から何度も何度も訪れている通いなれた道で、私の「徒歩鉄基準」は、この蓮田からヒガハスまでの距離が目安になっていると言っても過言ではありません。例えば、初めて行く撮影地でも地図を見ながら 「この距離はヒガハスより遠いから、20分以上はかかるな・・・」 とか、実際に歩いてみたところで 「ここはヒガハスよりも近かった・・・」 などと、つい思ってしまいます。首都圏近郊では宅地開発などで、ひらけた撮影地が少なくなりつつありますが、ここヒガハスはホントに昔から変わらない聖地的なポイントで、この日も何人かの同業者が見られました。広いヒガハスの中でも午前中の一番人気は、やはり「北斗星」の編成がきれいに撮れる上り方のお立ち台。しかし今回、私は編成写真よりも田んぼに張られた水での水鏡を狙ってみたかったので、お立ち台ではなく線路をほぼ真横から見る位置に立ちました。でも、同じように水鏡狙いの方がまわりに4~5人いらっしゃったので、ここも期間限定の「お立ち台」と呼べるのかもしれません。

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まずやってきたのは、253系の特急「日光」。
日光東照宮の「陽明門」をモチーフにしたこの色ですが、
twingo583さんはコレを「紅鮭くん」と呼んでいまして、
わたしもすっかり「紅鮭」のアダ名で定着してしまいました(^^)
東北本線 東大宮-蓮田

田園地帯が広がるヒガハス。しかし線路際までしっかり水が張られた田んぼは意外と少なく、上の「紅鮭くん」を見ても解るように、左半分は休耕田のようです。「北斗星」ではカマ(機関車)一両分を水鏡に映したいところですが、果たして入りきってくれるかな・・・? E231系の普通列車で何度か感覚をつかんで、いざ本番。

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水が張られた田んぼに姿を映し、
初夏のヒガハスを快走する「北斗星」のEF510。
このカマ、初めて流し撮りをしましたが、
なかなかシャープでカッコいいサイドビューですね!
東北本線 蓮田-東大宮

カマが水鏡に納まった~!\(゚∀゚)/バンザーイ  ・・・けど、水鏡側のパンタがカッツカツ・・・ \(゚A゚)\バンザイ、ナシヨ...。いつもより下を空け気味にして構えた流し撮りは、意外とバランス的に難しく、カメラを振っている最中に 「あ~、水鏡のパンタが切れる・・・」 とは解ったのですが、途中で軌道修正したらタテぶれしてしまうので、仕方なくそのままシャッターを切りました。カマがいい止め位置だっただけに惜しかったなぁ・・・。でも、水鏡クッキリで、初夏らしい写真にはなったかな?
本命の「北斗星」は通過しましたが、これで終わらないところにヒガハスの面白さがあります。貨物や臨時列車などの情報には疎い私ですが、同業者の行動を見ていると、何かが来る気配を感じさせます。「何か来るのですか?」と尋ねるテもあるけれど、何が来るのか解らないまま待つのもまた一興。同業者の皆さんは下り方に集結したので、楽しみに待っていると・・・。

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真っ青な空の下を、長~い貨物列車が駆け抜けて行きました。
1000番台から2000番台への改番が注目されているPFですが、
この国鉄色の1077も改番されてしまうのでしょうか・・・?
東北本線 東大宮-蓮田

やってきたのは貴重な原色(赤プレ)のEF65PF(1077)に牽引された貨物列車でした。なるほど、これは貨物好きには堪らないネタでしょうね~。ところで、このPF貨物を隣で撮っていた方から、「今日は武蔵野線でEF64 37(茶)のロンチキ工臨(レール輸送列車)がありますよ」 との情報をいただきました。今から急げば間に合うとのことでしたが、それはあくまでもクルマの場合。徒歩鉄の私が蓮田駅に戻って、宇都宮線、京浜東北線、武蔵野線を乗り継いで行ってはおそらく間に合わないでしょう。その工臨があるせいか、このPF貨物の後は半数くらいの方がヒガハスから撤収してゆきました。私はもう少し残って撮影を続けます。次に狙うのは、東武直通特急の「スペーシア」と、183系で運転される二本の団体列車。

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東武100系「スペーシア」で運転される、特急「スペーシアきぬがわ」。
この日は空と同じスカイブルーの「粋」編成でした。(^^)
東北本線 東大宮-蓮田(後追い)

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続いて、国鉄色183系で運転された団体列車。
まずは6連の大宮車が上り線を通過してゆきます。

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その20分後、今度は下り線に10連の田町車がやってきました。
シンボルマークのない田町の183系ですが、
やはりこの10連という長さは
往年の特急列車を髣髴とさせる迫力があります。
東北本線 東大宮-蓮田

この183系団体列車の運転情報は鉄道雑誌に掲載されていたので来ることがわかっており、とくに10連の田町車は、この広いヒガハスでぜひ撮りたいと思っていた列車でした。茶ガマの「ロンチキ工臨」に比べたら小ネタですが、短時間に二本の国鉄色183系が撮れたので、ヒガハスに居座った甲斐はあったかな?(^^)  もうこれで満足し、私は撤収しようと考えていたのですが、「ロンチキ」へ移動せずに残っていた方々は、まだ誰も帰ろうとはしません。まだ何かあるのか・・・? もうちょっとだけ待ってみると、下り線に見えてみたのはEF81に牽かれたブルトレ!? ∑(゚∇゚*)ナニコレ!

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私にとってはまったくのノーマークだった、
EF81の星ガマに牽引された24系7連の「ブルトレ編成」。
「北斗星」で撮ったEF510もいいですが、
やはりブルトレには赤いEF81が似合います。(^^)

これは東北本線で頻繁に運転されている乗務員のための訓練運転で、その実態は知っていましたが、撮影したのは今回が初めてでした。訓練運転とは言え、「北斗星」の牽引から引退したEF81がブルトレを牽く姿が見られるのは嬉しいかぎり。思わぬ収穫となった、この日二本目の「ブルトレ」撮影に満足して、今度こそ他の同業者と共にヒガハスを後にしました。

蓮田1131-(584M)-上野1210


この日は三脚を持たず、レンズも標準系ズーム一本を装着という軽装備で訪れたヒガハス。ネタモノが走るときは同業者でごった返す超有名撮影地ですが、逆にネタが少ない(・・・といってもコレだけの収穫)この日は、のんびりと初夏の風に吹かれながら、編成撮りや流し撮りといった鉄道写真の原点を素直に楽しめたように感じました。



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吾妻線・・・特急「草津」撮影記 [鉄道写真撮影記]

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2012.05.05
吾妻線
ダムに沈む撮影地?
185系 特急「草津」撮影
  

今年のGW、私の休みは暦どおりで、前半(4/28~30)の三連休と後半(5/3~6)の四連休でした。長々とお伝えしてきたように、前半の三連休を使って九州へと遠征し、旅費に食費に散財してしまった私。さすがに後半はおとなしくしているべきなのですが、四日間も休みがあるのに何もしないのはもったいない。GW後半は天気が悪かったこともあってしばらくは歯止めが利いていたものの、5日の「こどもの日」は朝から青空が広がるいいお天気・・・。もう堪らず、カメラバックを担いで列車へと飛び乗ってしまいました。
そんな感じで、ちょっと鮮度落ちとなってしまいましたが、今回はGW後半の5日に行った撮影記です。


5月5日(土)
上野0738-(高崎839M)-高崎0921

まずは上野から高崎線の普通列車に乗って、北関東のターミナル駅・高崎へ。ここ高崎での乗り換え時間はわずか3分のはずでしたが、折り返しとなる上り列車の到着が遅れたために、私が乗る下り列車の発車も5分程度の遅れが見込まれるとのこと。でもその待ち時間のおかげで、ちょっとした面白い収穫が得られました。

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遅れている折り返し列車を待っていると、
ちょうど隣のホームではデゴイチが入れ換えを行っていました。
この日は上越線の「SLみなかみ」号で運転されます。
信越本線 高崎

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振り返ると、今度は「リゾートやまどり」(右)の
快速「やまどり藤祭り」号が入ってきました。
手前の115系がこれから私の乗る列車です。
信越本線 高崎

私を乗せ、予定通り(?)5分遅れで高崎を発車したのは、上越線の普通列車529M。上越線と言っても、この列車は途中の渋川から吾妻(あがつま)線へと入る長野原草津口行きの列車で、今回の私の目的はこの吾妻線にあります。
吾妻線は上越線の渋川から嬬恋村にある大前までの55.6キロを結ぶローカル(地方交通)線。沿線には草津温泉や四万温泉・沢渡温泉・川原湯温泉など、多くの温泉があり、上野から直通の特急列車「草津」も運転されています。そんな温泉天国とも言うべき、観光地に恵まれた吾妻線。しかしその一方で、八ッ場(やんば)ダムの建設に伴う線路付け替え・新線へのルート変更という大きな問題にも直面しています。民主党がマニフェストで建設中止を掲げるなど、その是非が問われ、地元住民を巻き込んで大きく揺れ動いた八ッ場ダム建設ですが、結局二年間の中断を経て事業が再開。未だ不透明感は拭えないものの、いちおう完成は2015年度を予定しており、その際には現在の川原湯温泉街と共に吾妻線の岩島~長野原草津口の一部区間(10.4キロ)が水没してしまいます。もちろんそれで吾妻線は廃線となってしまうわけではなく、前述したように高台の新線へと線路が移行されることになっているのですが、山あいの谷間を縫うように走る現路線の姿は、いずれダムの底に沈んで見られなくなってしまいます・・・。まだ新線への移行日などは発表されていないけれど、せっかくなら新緑がきれいな時期に訪れて、今のうちにしっかりと記録に残しておきたいと思ったのです。

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吾妻線の名所と言えば、岩島~川原湯温泉間にある
全長7.2メートルの日本一短いトンネル「樽沢トンネル」。
ここは水没区域外に位置しているものの、
新線付け替えに伴い、このトンネルは用途廃止となる予定・・・。
吾妻線 岩島-川原湯温泉(後方の車窓から)

高崎0924(+5)-(吾妻529M)-川原湯温泉1046

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高崎から一時間半で川原湯温泉着。
列車の向こうには、何やら高い棒のような建造物が見えます。
吾妻線 川原湯温泉

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八ッ場ダムが完成すると
ダムの底に沈んでしまう、川原湯温泉駅。
源頼朝ゆかりの名湯・川原湯温泉は、
この駅から徒歩10分ほどのところにあります。
吾妻線 川原湯温泉

途中、単線区間での交換待ち時間などを短縮して遅れを取り戻し、川原湯温泉へはほぼ定刻に到着。列車を降りるとさっそくホーム上から見えたのは、建設が進む湖面1号橋の高~い橋脚。これは単純に考えると、湖底となる場所から、そのダム湖を跨ぐ橋(の脚)を見上げているカタチになるワケですが、それにしても高いなぁ・・・思わず溜息が出てしまいます。というのも、実は私が目指す撮影地はこの橋脚とほぼ同じ高さにある、先に完成した湖面2号橋こと不動大橋の橋上。つまり撮影地へ行くには、この高さまで登っていかなくてはならないのです・・・ε=(´Д`;)フゥー 。その撮影地となる不動大橋を目指し、駅から気合い入れて歩き出すと、程なくして吾妻川を渡る吾妻線の鉄橋が見えてきました。ちょうど数分後に上りの「草津2号」が通過する時間だったので、少し待ってみることに。

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初夏の風を受けて吾妻川を渡る、185系特急「草津」。
背景には、高い橋脚が写り込みます・・・。
吾妻線 川原湯温泉-長野原草津口(後追い)

新緑萌える吾妻川の渓谷美と、その向こうにそびえ立つ建設中の高い橋脚の対比。その記録が狙いだったとはいえ、なんともシュールな写真となってしまいました。このトラス橋も、用途廃止が決まっているからというわけではないのかもしれませんが、かなり錆が目立ちます。使用には問題ないのでしょうけれど、やはりちょっと寂しい状況だなぁ・・・。走り去る「草津」を見送って先へと進むと、駅から10分ほどのところで右手に急坂が見えてきました。ここから橋脚と同じ高さまで上がります。高いように見えても、たかが86メートル、ビル28階分だ。スカイツリーに比べりゃ低い低い・・・。しかし、この上り坂が思っていたよりもずっと傾斜が急で、爽やかな初夏の風が吹いているのに、私は早くも汗だく。登山家に「なぜ山に登るのか」と問うと、「そこに山があるからだ」と、カッコよく答えます。では、私はなぜ坂を上がるのか?そこに坂があるから? 私はそんなに「坂好き」ではありません・・・(-_-;)  。でも、頑張って登り続けてきた甲斐があり、到達した坂の上からは疲れが吹き飛ぶような気持ちの良い景色が広がっていました。

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上から見た川原湯の眺め。
まっすぐ伸びた橋脚がまるで、
上ってきた高さを表す定規のようです。

一息ついてあたりを見渡すと、ちょっと離れたところに吾妻線の鉄橋が見えるではありませんか(先ほど下で撮った鉄橋とは違うものです)。新緑の木々に囲まれて、これがなかなかいい雰囲気。休憩がてら列車が来るのを待ってみると、現れたのは・・・湘南色185!(゚∀゚)

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山あいに架けられたトラス橋を渡るのは、
湘南色185系の「草津31号」。
サイドまで光が回っていないのが残念。
ここは午後順光かな・・・?
吾妻線 岩島-川原湯温泉

ここは撮影地として知られているのかどうかは解りませんが、よもやこんなところから列車の俯瞰撮影ができるとは思わず、私的にはタナボタで見つけたような嬉しい収穫でした。これに気を良くし、再び歩みを進めます。もうここまできたのならば、目指す撮影地はすぐそこ・・・と、いうわけではなく、さらに国道沿いを歩き続けること30分。ようやく湖面2号橋こと不動大橋の雄大な姿が見えてきました。実は参考にした撮影地ガイドには「川原湯温泉駅から徒歩45分」と書かれていたのですが、私は地図を見て「そんなにはかからないだろう」と、甘く見ていたのです。でも実際には、途中で「草津」などを撮りながらではあるものの、駅から正味一時間近くを要し、最近ではもっともキツいと感じた徒歩鉄となりました・・・。(´0`;)チカレタビー

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国道を歩き続け、やがて見えてきた不動大橋。
あの橋の上が目指す撮影地です。
ちなみに不動大橋を背景に写し込むこの場所も
有名な撮影地なのですが、
この時間帯は晴れると逆光になります。
吾妻線 長野原草津口-川原湯温泉

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不動大橋は水没予定地域に架かる全長590m、高さ86mの道路橋で、
湖底に沈む国道を代替する県道の一部として整備されたもの。
橋の両端には歩道も併設されていて、
歩行者や自転車も安全に渡ることができます。

やっとのことで、たどり着いた不動大橋。さっそく橋の中央付近からカメラを構えて列車を待ちます。時刻表によると次に来るのは、特急「草津1号」。先ほどから見ていると、普通列車よりも特急の方が多く走っている感じですが、この日は連休中で、普段は二往復の「草津」が倍の四往復体制になっているのです。さすが観光路線・吾妻線。やがて山あいに、185系の甲高いモーター音が鳴り響いてきました。

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山間のトンネルを抜け、のどかな里山の風景を
眺めながら走る、特急「草津」。
ホッとするような典型的な日本の田舎風景ですが、
ダムが完成するとこの景色がすべて水の底へと沈むことに・・・。
吾妻線 川原湯温泉-長野原草津口

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やがて列車は不動大橋の下を通り過ぎてゆきます。
手前まで引き付け、編成全体を入れてもう一枚。
吾妻線 川原湯温泉-長野原草津口

ダムのために架けられた不動大橋、皮肉なことにここから見る水没予定地域の景色は絶景です・・・。まず最初のカットは、谷に広がる村の様子を重視して撮ってみました。でも、ちょっと列車が小さくて目立たなかったかな・・・(列車がどこにいるか、解ります? ^^;)。続けて同じ立ち位置から、橋の下までやってきた同じ列車を撮ったのが二枚目。列車重視でオーソドックスな俯瞰写真となると、やはりこっちの方が解りやすい。それにしてもこの二枚、同じ時間の同じ列車とは思えないほどの露出差です。実はこの日、晴れてはいるものの、風が強くて雲が流れ、一枚目を撮ったときはかろうじて日が当たっていたのですが、手前まで引き付けたときには太陽に雲がかかってしまいました。

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お空を見上げると、
わー、流れ雲がいっぱいだ~♪(´▽`)
・・・って、全然嬉しくねぇぇぇ!(゚Д゚#)

日の当たり具合によってコロコロ変わる明るさ。その度に絞りやシャッタースピードなど露出を調整しなくてはならず、ホントにこういう天気がいちばん困ります。そして次に来た普通列車は、こんな結果に・・・。

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白い185系よりも湘南色115系の方が目立つかと思い、
先ほどと同じように狙ってみたのですが・・・。

ちょうど雲の切れ目がかかるマンダーラ(まだら)状態。いくら遠景で列車の位置が解りづらいカットだからって、何も列車側にだけ光を当てることないのになあ・・・(^^;)。上下合わせても一時間に一本程度の吾妻線。うまい具合に日が当たるのは運次第か。

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今度は列車が橋の下まで来ると、日が出てきました・・・。
手前にある三角屋根の建物は
八ッ場ダム広報センターの「やんば館」。

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橋の上から、逆の長野原草津口方向を見るとこんな感じ。
こちらは畑や建物が少なく、より自然豊かな景色が撮れます。
吾妻線 長野原草津口-川原湯温泉(後追い)

さて、連休で増発されている185系の特急「草津」。下りの一本目となる土休日運転の「31号」は湘南色、二本目の定期列車「1号」は白い現行色でした。そして次に来る臨時の「83号」こそが今回の吾妻線で狙う本命とも言うべき列車で、これはクリーム+赤のツートンカラーに塗られた157系風の国鉄特急色、通称・「あまぎ色」の編成で運転されるのです。ちなみに、185系に限ってこの色を「国鉄特急色」とは呼ばずに「あまぎ色」としているのは、185系の国鉄色となると以前に紹介した、緑斜めライン///)を指す事になるため、この色はお披露目運転となった特急「あまぎ」から取って、ファンの間では「あまぎ色」に定着したようです。そんな「あまぎ色」の185系は、やはり列車重視で撮影したい。はじめは「1号」と同じ場所から撮ろうと考えていたのですが、今撮った115系の編成を見ると、手前サイドにはすでに光が回っていません。ならば、日が当たる反対サイドから撮ることにするか・・・。でもこの移動、あまり意味のないものだったのです。

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眼下に大きく弧を描いて現れた「あまぎ色」の185系。
昔、吾妻線にはこの色の157系「白根」が運転されていたので、
その姿から当時を思い浮かべる方もいることでしょう。
吾妻線 川原湯温泉-長野原草津口

わざわざ順光側から狙ったのに、直前で日が隠れてしまいました。あの雲の流れの中でマンダーラにならなかっただけマシって考え方もあるけれど、やっぱりこのような雄大な俯瞰ポイントからの撮影では、きれいに晴れた写真が撮りたかったな・・・(´・ω・`)。

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橋の反対側にまわって、もう一枚。
新緑に包まれた吾妻川沿いを走り去ってゆきます。
吾妻線 長野原草津口-川原湯温泉(後追い)

私がこの「あまぎ色」185系を撮るのはこれが二度目で、一度目は今年の3月に東海道線の石橋鉄橋で撮った「上州踊り子」。そのときには「こんな面白い車両は遠景でなく、線路端からキッチリと詳細が解るように撮りたい・・・」などと言っていたにもかかわらず、またも遠景で撮ってしまいました。まあ今回は「あまぎ色」以前に、どうしてもこの不動大橋からの俯瞰撮影がしたかったという思いの方が強かったので、これで満足なのですが。そこで今度は、今の「あまぎ色」の折り返し列車を線路端から編成写真で狙える場所へと移動することにしました。
でもその前に、先ほどここへ来る途中に撮った湘南色185系が、まもなく「草津32号」として折り返してきます。せっかくならば、それもこの不動大橋俯瞰で撮りたいところ。しかしそうすると、移動するために乗りたい次の列車には間に合わなくなります。そこで・・・。

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お昼をまわり、きれいに日が当たるようになった、
トラス橋のポイントをゆく湘南色。
今度はタテ位置で、吾妻川の渓谷美を多めに入れてみました。
吾妻線 岩島-川原湯温泉(後追い)

不動大橋から駅方向へと戻り、往路の「草津31号」を撮ったのと同じ場所から「32号」も撮影。今度は日が遮られることなく、きれいに湘南色を照らしてくれました。「あまぎ色」に比べて、イマイチ人気のない湘南色ですが、新緑にオレンジが映えていい感じです。でもここからの遠景だと、あまり115系と変わらないか・・・(^^;)。

行きは苦労した上り坂も、帰りは楽な下り坂。余裕を持って、川原湯温泉駅へと戻ってきました。

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川原湯温泉へ入って来た高崎行き普通列車。
吾妻線の普通列車はすべて上越線へ乗り入れて、
高崎発着となっています。
吾妻線 川原湯温泉

関東地方にありながら、東京近郊区間に属さない吾妻線。川原湯温泉から都区内までの乗車券は、嬉しいことに途中下車が可能です。近年どんどん拡大されて、今や上越線の水上や東北線の黒磯などに留まらず、烏山線や伊東線の全線、さらには常磐線のいわき(福島県)まで含まれてしまった、東京近郊区間。この区間の乗車券は基本的に、実際の乗車ルートに限らず最短経路での運賃が適用され、有効期間は当日限りで途中下車も不可。これでは、ちょっと寄り道(途中下車)して撮影を・・・なんてことが気軽にできなくなってしまいました。しかし、近郊区間外の吾妻線を発着駅としている今回は、都区内までの乗車券で吾妻線内はもちろん、高崎や大宮でも降りることができます。そんな途中下車可のきっぷを車掌へ見せて降りたのは、無人駅の祖母島。ここは水没や路線変更には直接関係のないところですが、駅近くにスッキリと撮れる直線があり、今まで遠景でしか撮っていなかった「あまぎ色」185系を、このあたりで狙ってみることにしました。

川原湯温泉1408-(536M)-祖母島1502

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駅名を示す看板もなく、殺風景な祖母島駅・・・。
吾妻線 祖母島

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まずはじめにやって来たのは現行色の「草津3号」。
実はこの列車に、家族で温泉旅行を楽しんでいた
同僚が乗っていたことを、あとで知りました。
もし沿線で撮っているのを気づかれていたら、
ちょっとハズカシかったなぁ・・・(^^;)。
吾妻線 小野上-祖母島

たしかに編成写真を撮るには、もってこいのスッキリとした直線。しかし東西に伸びる吾妻線はこの時間、東へ進む上り列車の顔には光が当たらず、晴れるとコントラストが強くなって前面が潰れてしまいます。そう考えると、ここは曇りがベストか・・・と、空を見上げると、相変わらず流れ雲は多め。さっきの俯瞰とは逆に今度は日が陰ってほしいところです。

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日が陰ったときにやってきたのは、107系の大前行き普通列車。
吾妻線の終点は大前ですが、ほとんどの列車はその手前の
長野原草津口か万座・鹿沢口止まりで、
大前まで行くのは一日にわずか5往復しかなく
吾妻線末端部は、意外と知られざる閑散線区だったりします。
吾妻線 小野上-祖母島(後追い)

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先ほどの俯瞰ポイント同様、一番困るのがマンダーラ。
さらにこのときはクルマも並走してきてしまいました。
めったにクルマが通らない道なんですけどね・・・(^^;)
吾妻線 小野上-祖母島

晴れたり曇ったりを繰り返す空模様。ホント、この日は雲の流れに惑わされっぱなしです。そんななかで迎えた「あまぎ色」185系の通過時刻・・・。果たして、日は当たるのか、陰るのか!?

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西に傾いた陽に照らされ、
吾妻線を東へと進む「あまぎ色」の185系。
イベント塗装の「あまぎ色」ですが、
185系にもこのツートンカラーはよく似合います。

結局、今度は晴れてしまいました・・・orz。晴れて欲しいときに晴れず、曇って欲しいときに曇らない。雲の流れってそんなものなんですよね・・・。でも、確かに晴れたことによって顔は潰れてしまったけれど、このツートンカラーの「あまぎ色」は、日に当たった方が断然美しい。そう考えると決して悪くないように思います。何より、マンダーラにならなくてヨカッタ・・・。実は背景が陰っているので解るように、際どいタイミングでした。
これでこの日の撮影は終了です。

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帰りのお供は高崎で買った「だるま弁当(900円)」。
ホントは高崎駅だと「上州・鶏めし弁当」の方が好みなのですが
最近、折尾の「鶏めし」を食べたばかりだったので
今回は久しぶりにこちらをチョイス。☆☆☆・・

祖母島1659-(吾妻540M)-高崎1733~1815-(高崎2270Y)-新宿2003


先行き不透明ではあるものの、いずれダムの底へと沈んでしまうことになりそうな、吾妻線の川原湯温泉付近。今回は撮影地のみを駆け足で回ってきましたが、今度はぜひ温泉街へも立ち寄って、できれば一泊ぐらいのんびりと温泉宿で過ごしたいところです。そして185系「あまぎ色」、こりゃまたリベンジ決定だな・・・(^^;)



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ONE-shot 90 ヌケガケ俯瞰写真? [PICK UP ONE-shot]

PICK UP ONE-shot 90 ヌケガケ俯瞰写真?
 
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5月22日のグランドオープンまで、あと三日となった「東京スカイツリー」。
鉄道写真を趣味にしている者からしてみても注目度は高く、
すでに多くの方が列車とスカイツリーのコラボを撮影されています。
でも、やはり気になるのは、そのスカイツリーからの俯瞰撮影。
高さ451メートルの第二展望台「天望回廊」はもちろんのこと、
350メートルの第一展望台「天望デッキ」だって、
未知の領域。
スカイツリーのまわりを走る東武線や総武線はどんな風に見えるのか。
そして、新幹線は? 山手線は? 東北本線は?
はたしてどこの何線まで展望台から確認できるのだろう・・・。
鉄ならば、
思わず鉄路を探してしまうのではないでしょうか。
  
実はそんなスカイツリーの第一展望台へ
昨年の11月に仕事の関係で、
わずか数分ながらも立ち入ることができました。
撮影直後はまだ、それほど展望台からの写真は出回っていなかったし、
あくまでもこれは仕事のついでにちょこっと撮影できたものなので
個人的にブログへの掲載は自重していましたが、
最近ではニュースなどでもスカイツリーからの映像は珍しくなくなり、
オープンも三日後と迫ってきたので、思い切って解禁としてみました。
でもきっと、
「どの線がどんな風に見えるのかは、自分の目で見るのが楽しみ!」
という方も多いと思われますので、
ここでは間違いなく見えるのが解っている、
いちばん近くの東武伊勢崎線の俯瞰写真をご紹介
・・・なーんて、もっともらしいことを言っていますが、
本当は曇り空で、それほど視界が開けていなかったんですよね・・・。
やっぱり公私混同の「ヌケガケ」はダメってことだったのでしょうか (^^;)。
     
350メートルの高さから見下ろした東武伊勢崎線。
これはもう、俯瞰写真というよりも航空写真の世界です。
その圧倒的な高さと眺望に唖然としていると、
眼下を小~さな200系「りょうもう」が走り去っていきました。
        
11.11.27 東武伊勢崎線 曳舟-業平橋(当時)


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九州06・・・門司港レトロ観光線 乗車記  [鉄道旅行記]

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2012.04.28~30
九州06
門司港レトロ観光線
トロッコ列車「潮風号」 乗車
  

GWに訪れた九州の鉄道旅、前回からの続きです。
熊本で迎えた三日目、九州遠征も最終日となりました。この日は早朝から普通列車と快速列車を乗り継いで、鹿児島本線を北上します。まずはその様子をご覧ください。

4月30日(月)

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鹿児島線普通列車の旅、
最初のランナーとなる大牟田行きは415系1500番台でした。
この列車で大牟田のひとつ手前の駅、荒尾まで移動します。
12.4.30 鹿児島本線 熊本

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前列車の終点・大牟田ではなく荒尾で乗り換えたのは、
次に乗り継ぐ快速・小倉行きが、この荒尾始発だったため。
待機していたのは・・・お、新車の817系3000番台!(゚∀゚)
12.4.30 鹿児島本線 荒尾

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817系の基本番台では
プライウッド製の転換クロスシートが特徴でしたが、
この3000番台では、なんとそれがロングシートに!
九州の電車は通勤形でも楽しませてくれます。

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さっそく新車の乗り心地を・・・と思ったら、
この列車、後ろの方は813系1100番台の異形式併結編成でした。
どちらの車両に乗るか、悩むところ。。。(´^`)ウーム

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ここは転換クロスシートの813系に軍配。
やはり車窓を楽しむのならば、こちらの方がいいです。
817系3000番台の方は、またの機会に・・・。

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熊本から約二時間で、九州最大の駅・博多に到着。
でも、今回は素通りします・・・。
12.4.30 鹿児島本線 博多(車窓から)

博多でも降りず、ひたすら乗り続ける鹿児島線。ひょっとして、このまま普通や快速を乗り継いで、一路東京を目指すのでは・・・って? いやいや、今は「青春18」シーズンでは無いですし、さすがにそんなキツいことはしません(学生時代は大垣夜行を使って、東京から博多まで乗り継いで行ったことが何度かあるケド)。最後に快速から再び普通列車へ乗り換えて、私がやってきたのは、北九州にある鹿児島本線の起点駅・門司港。

熊本0551-(鹿児島322M)-荒尾0648~0653-(4220M快速)-折尾0852~0924-(2390M)-門司港1006

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811系の普通列車で門司港に到着。
大きな屋根の長いホームも、
歴史ある門司港駅の特徴のひとつです。
12.4.30 鹿児島本線 門司港

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左右対称が特徴のネオ・ルネッサンス様式で
堂々とした佇まいの門司港駅舎。
全国の駅で唯一、国の重要文化財に指定されています。
12.4.30 鹿児島本線 門司港

かつては九州の玄関口として栄えた門司港。この風格ある駅舎をはじめ、周辺には大正時代の歴史的建造物を中心に整備された「門司港レトロ地区」が広がります。さらに門司港駅に隣接するように立てられているのが、赤レンガ造りの初代九州鉄道本社を転用した「九州鉄道記念館」。花より団子、歴史的建造物より鉄の私、目的地は当然ココ・・・と言いたいところですが、この博物館へは過去に二回訪れているので、今回はパス。

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門司港駅に隣接された「九州鉄道記念館」
九州で活躍した鉄道車両中心に展示されていて
楽しい鉄道スポットですが、今回は入館しませんでした。

では、門司港を訪れた私の目的はというと、その九州鉄道記念館の脇から出ている観光鉄道、「門司港レトロ観光線(北九州銀行レトロライン)」に乗ることでした。門司港レトロ観光線は、九州鉄道記念館駅から前述の門司港レトロ地区を横切り、和布刈(めかり)地区にある関門海峡めかり駅までの2.1キロを結ぶ、平成筑豊鉄道が運営する観光鉄道。この路線は元々、門司港駅から伸びていた貨物専用線 (鹿児島本線・田野浦公共臨港鉄道) の一部で、同線の貨物営業廃止により放置されていた線路を観光路線として復活させ、2010年より観光客向けのトロッコ列車が運転されています。実はこの路線に私はまだ一度も乗ったことが無く、ずっとキニナル存在でした。通常の輸送手段ではなく観光を主目的とした、いわゆる「特定目的鉄道事業」の門司港レトロ観光線の場合、鉄道全線完乗のカウントに入れるべきかどうかは意見が別れそうなところですが、観光目的とはいえ遊園地の施設などではなく、これはれっきとした街中を走る鉄道路線ですから、やはり完乗を目指す者としては乗っておくべきでしょう。ちなみに門司港レトロ観光線はネーミングライツにより、「北九州銀行レトロライン」を名乗っていますが、ここでは「レトロ観光線」で話を進めることにします。

それにしても、この日の天気はサイアク。時折、強い横殴りの風雨が打ち付け、傘をさして歩くのもままならないほど。レトロ観光線を走るのは開放感がウリのトロッコ列車ですが、果たして運転されているのでしょうか? ここが特定目的鉄道の不安なところで、必ず乗客を目的地へ送り届けなくてはならない一般の鉄道とは異なり、観光目的のこの路線は悪天候の場合、運転を中止する可能性もあるのです。吹き飛ばされそうになる折りたたみ傘を必至に持ちながら、始発駅となる九州鉄道記念館駅へ行ってみると、他の乗客らしき人は見当たりませんが、レインコートに身を包んだアテンダントさんは出迎えてくれました。どうやら、ちゃんと運転しているようです。C=(^◇^; ホッ!

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門司港駅と九州鉄道記念館の間に設けられた、
レトロ観光線の九州鉄道記念館駅。
ここできっぷを購入します。
12.4.30 門司港レトロ観光線 九州鉄道記念館

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私が購入したのは、500円の往復きっぷ。
この他に乗り降り自由の一日券(700円)などもあります。

きっぷを購入してもすぐにホームへ入ることができるわけではなく、しばらくホーム脇のテントで列を作って待機させられます。それこそまさに遊園地のアトラクション待ちみたいな感じ。はじめは私一人がぽつんとテント内に佇んでいましたが、発車時刻が近づくと徐々に親子連れなど集まってきて、最終的には10人ほどの列となりました。しばらくすると折り返しとなる列車がホームへ入線し、前客が全員降車してからホームへと誘導されます。ようやくレトロ観光線のトロッコ列車「潮風号」とご対面。

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レトロ観光線のトロッコ列車「潮風号」。
列車の前後に連結されているカワイイDB10形機関車は、
ホーム上で見ると私の身長よりもずっと低い。(^^)
12.4.30 門司港レトロ観光線 九州鉄道記念館

何と言ってもまず目に留まるのは、前後を挟むように連結されている小さなディーゼル機関車DB10(DB101・DB102)。この機関車は以前、南阿蘇鉄道で同じようにトロッコ列車の牽引に使用されていましたが、同鉄道が新たにトロッコ用の機関車(DB16)を新製した際にお役御免となり、廃車される運命にあったところ、ウマい具合にこのレトロ観光線の開業で命を拾われることになりました。さらに客車の方も島原鉄道のトロッコ列車で活躍していたもので、こちらも同鉄道の部分廃線によって仕事を失い、このレトロ観光線へとやってきたもの。熊本と長崎のそれぞれで一度は役目を終えた機関車と客車が、この北九州で手を組んで再び活躍の場が与えられるとは、ちょっといい話ですね。

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無蓋貨車トラ70000を改造したトロッコ客車の車内。
客車は二両で、めかり駅寄りの一号車は指定席。
でもこの日は指定席客がいなかったのか、
どちらでも自由に座って良いとのことでした。

九州鉄道記念館駅を10時から16時半までの毎時00分・30分の30分おきに出ている、トロッコ列車「潮風号」。この日二本目となる10時30分発の3列車は「いってらっしゃ~い!」と大きく手を振るアテンダントさんに見送られて、ゆ~っくりと出発。こういう場合オトナひとりだと、手を振り返すべきかどうか思わずためらっちゃいますね・・・(^^;)。

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九州鉄道記念館駅を出ると、
列車は門司港レトロ地区を横目に走ります。
ちょいとクルマやテントが邪魔ですが、
左が旧・門司税関で、右は国際友好記念図書館。
12.4.30 レトロ観光線 九州鉄道記念館-出光美術館(車窓から)

トロッコと言っても屋根や窓もあり、雨風はじゅうぶんにしのげるのですが、なんだかちょっと物足りない・・・。列車が二駅目の出光美術館駅を出る頃には雨が小振りになっていたので、思い切って窓を大きく開けてみました(もちろんアテンダントさんの許可を取って)。すると、まわりの方々もそれに続くように窓を開け始めます。やっぱりトロッコ列車は開放感を楽しみたいですよね。ちょうど車窓の左手には関門海峡の海景色が広がり、天気が悪いのは残念だけれど、海風が心地イイ。(・∀・)

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門司港レトロ地区を抜け、
ハーバー沿いをゆっくり進む「潮風号」。
前方に見えてきたのは本州と九州を結ぶ関門橋です。
12.4.30 レトロ観光線 出光美術館-ノーフォーク広場(車窓から)

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海峡越しに見えるのは本州の山口県下関市で、
中央にひょーっと立っているのは、「海峡ゆめタワー」。
12.4.30 レトロ観光線 出光美術館-ノーフォーク広場(車窓から)

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ノーフォーク広場駅を出ると、列車は唯一のトンネルへと入ります。
コンデジを窓から突き出して、ノーファインダーで撮ってみました。
12.4.30 レトロ観光線 ノーフォーク広場-関門海峡めかり

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そのトンネル内では、
トロッコの天井に関門海峡で見られるお魚たちが出現。
なかなか芸が細かく、子供が喜びそうです。

門司港レトロの景観地区を抜け、関門海峡が眺められるハーバー沿いを走り、唯一のトンネルである和布刈トンネルを通過すると、まもなく終点の関門海峡めかり駅に到着。乗車時間はわずか10分程度でしたが、変化に富んだ車窓風景は面白く、何より鉄的には元・貨物線の乗り心地を味わうことができる、楽しい観光列車でした。

九州鉄道記念館1030-(レトロ観光線3列車)-関門海峡めかり1040

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特定目的鉄道ながら、九州最北端の駅となる
門司港レトロ観光線の関門海峡めかり駅。
近くには関門海峡を一望できるめかり公園などがあります。
12.4.30 門司港レトロ観光線 関門海峡めかり

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駅に隣接しためかり公園の入り口には、
関門トンネルで活躍した「銀ガマ」こと
EF30 1がオハフ33 488と共に保存されています。
実はめかりへ行ったら、ぜひこのカマも見たいと思っていました。
保存状態は決して良くないけれど、
海沿いでも外板がきれいなのは、さすがステンレス機!

せっかくやってきた九州最北端の駅・関門海峡めかり駅。ところが、ここへきてまた雨が激しさを増してきてしまいました。本来、天気が良ければ、もう少しじっくりとEF30の姿を眺めたり、めかり公園から関門海峡の景色を楽しんだりしてから、30分後の列車で鉄道記念館駅へと戻る予定でしたが、さすがにこの天気では散策する気になれず、EF30をサッと見ただけで駅に引き返し、5分後の折り返し列車へと乗ることにしました。たかが数分外へ出ただけなのにずぶ濡れ状態。駅やEF30の写真を撮った際にもカメラのレンズに水滴が付いてしまいました・・・。帰りは窓を開けることもできずに(タイトル写真)、鉄道記念館駅へ帰着。

関門海峡めかり1045-(レトロ観光線4列車)-九州鉄道記念館1055

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鉄道記念館駅横の踏切から、狙った「潮風号」。
ものすごい雨風で、傘をさしながら撮るのが大変です・・・。
:il!:il|Y_(´д`;))!l|il:|; ザアアァァ…
この雨が数日後に東北での記録的な豪雨になった模様。
12.4.30 門司港レトロ観光線 九州鉄道記念館

5022.jpg

いちおう、後追いながら走行写真も。
見た感じ、この列車にほとんど乗客はいなかった・・・。
この天気じゃトロッコ列車へ乗る気にならないか。
12.4.30 レトロ観光線 出光美術館-九州鉄道記念館(後追い)

大雨には祟られてしまいましたが、何にせよこの門司港レトロ観光線の全線乗車により、九州の鉄道路線はすべて完乗(鋼索線を除く)。目の上のたんこぶがごとく、ずっと気になっていたレトロ観光線を乗り潰せたことで、天気は雨でも気分はスッキリ爽快です。これで今旅の目的もほぼ達成。あとは門司港から小倉へ出て、新幹線に乗るだけとなりました。

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九州で乗る最後の普通列車は、荒尾行きの813系でした。
転換クロスシート車で締めくくることができて満足。(^^)
12.4.30 鹿児島本線 門司港

門司港1119-(4239M)-小倉1132

5026.jpg

小倉に着くと、ホームに撮り鉄がいっぱいいたので、何かと思いきや・・・
二日前にも撮った485系「にちりん」が入ってきました。
そうか、ちょうど「にちりん83号」の入線時刻だったのね。
思いがけずラッキーなタイミングに出くわしました。(^▽^)
12.4.30 鹿児島本線 小倉

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485系「にちりん」と415系の、ちょっと嬉しい国鉄形並び。
これで415系の方が赤電リバイバルのFm5編成だったらな・・・
な~んて思うのは、贅沢すぎる願いか。
(ちなみに、先にお届けした「にちりん撮影記」のタイトルに使った
ヘッドマークやJNRマークの写真は、このときに撮っています。)
12.4.30 鹿児島本線 小倉

最後に再び485系「にちりん」に出会えるという、嬉しいサプライズがあった小倉。そこから乗る新幹線は当然、東京行きの「のぞみ」・・・ではなく、私が選んだのは新大阪行きの「さくら」です。別に途中、大阪に用事があるわけではないのですが、同じ一本の新幹線に小倉から東京までの5時間をずっと乗り続けているのは面白くない。しかも東海道へ直通する「のぞみ」の普通席は2+3列配置。それならば途中の新大阪まででも、2+2列配置で乗り心地の良い、九州新幹線直通の「さくら」の方がいいと思い、小倉から新大阪までを「さくら」で、そして新大阪で東京行きの「のぞみ」へと乗り継ぐことにしました。これで二時間半ずつ二つの新幹線が味わえるし、しかも「のぞみ」のみの新幹線指定席特急料金よりも、「さくら」と「のぞみ」を乗り継いだほうが300円ほど特急料金が安いのです。

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小倉~東京の「のぞみ」指定席特急料金は9080円(繁盛期)。
いっぽう、「さくら (ひかり・こだま)」と「のぞみ」を
新大阪などで途中下車せずに乗り継ぐと、8780円になります。
時間に余裕があるのなら、こういう買い方もアリですね。

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雨を突いて小倉へ入って来た、N700系8000番台の「さくら」。
九州新幹線直通タイプの車両に乗るのは、
昨年3月の九州新幹線開業日以来です。
12.4.30 山陽新幹線 小倉

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「さくら」の普通車指定席は2+2列配置で、
シートの大きさはグリーン車並み。
乗るなら「のぞみ」よりも、断然コッチの方がおトクです(^^)

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そんなゆったりシートで食べる、今旅最後の駅弁は、
北九州名物・折尾の「かしわめし」。
びっしり敷き詰められた、かしわ(鶏肉)、錦糸卵、海苔の
三色が食欲をそそります。うーんウマい!☆☆☆☆・
実はコレ、鹿児島線で門司港へと向かう際に
わざわざ折尾で途中下車して購入したものなのですが、
あとで見たら小倉駅の新幹線ホームでも
同じモノが売っていました・・・(^_^;)。


有名観光地へ寄るわけでなく、「撮り鉄」「乗り鉄」と鉄道ばっかりの偏った旅に、長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。これでGWに行った九州の旅行記は終了です。今回一番の目的だった485系「にちりん」は、お天気にも恵まれて満足のいく撮影ができましたし、それ以外にも豊肥本線から眺めた阿蘇の車窓風景や、「A列車で行こう」の車内で味わったハイボール、今もけなげに頑張る熊電「青ガエル」の姿、そして最終日に訪れたレトロ観光線の乗り心地など、多くの鉄道情景が心に刻まれた旅となりました。個人的には時間や経済的な余裕があまり無く、なかなか長距離・長時間の旅がしにくくなっているのが実情ですが、やっぱりのんびりとした鉄道の旅はいいものですね~(^^)。
 

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新大阪からはN700系の「のぞみ」。
この列車が東京へ着くと、楽しかった旅に幕がおろされます。
12.4.30 東海道新幹線 新大阪

小倉1222-(さくら552号)-新大阪1444~1510-(のぞみ234号)-東京1743



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九州05・・・熊本電鉄 「青ガエル」撮影記 [鉄道旅行記]

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2012.04.28~30
九州05
熊本電鉄
上熊本線「青ガエル」 撮影
  

GWに訪れた九州の鉄道旅、前回からの続きです。
旅行二日目となるこの日は朝に大分を出発し、豊肥本線で九州を横断して熊本へ。さらに、観光特急の「A列車で行こう」で、「オトナの乗り鉄」なるものを楽しみながら三角線を往復して、再び熊本へと戻ってきました。この時点での時刻は午後4時過ぎ。街にはそろそろ赤提灯が灯りはじめる頃です。それじゃあ今日はこれで打ち止めにして、名物の馬刺しや辛子蓮根で一杯・・・? いや、東京よりも西にある九州は、この時間でもまだまだ明るい(曇っているけどね・・・)。それならばと、三角線からの列車を降りた熊本で、今度は鹿児島線の上り列車へと乗り継ぎ、やってきたのは熊本の隣駅・上熊本。

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鹿児島線の普通列車342M。
どうせ815系だろうな・・・と思っていたら、入ってきたのは415系でした。
東日本の常磐線や水戸線でも活躍する415系1500番台ですが、
九州車の方が青帯が淡い(東日本車の帯色は紺色)。
12.4.29 鹿児島本線 熊本

熊本1611-(鹿児島342M)-上熊本1615

このブログを読んでくださるような鉄道好きの方ならば、私が上熊本で下車した目的がすぐにお解かりでしょう。そう、上熊本といえばもちろん、熊本電鉄・上熊本線です。熊本電鉄(熊電)は、この上熊本と御代志の間を結ぶ菊池線と、その途中にある北熊本から分岐して藤崎宮前までを結ぶ藤崎線の二路線からなる中小私鉄。しかし実際には路線名と運転形態が異なり、藤崎線の藤崎宮前と菊池線の御代志の間を直通運転させて本線扱いとし、残った菊池線の上熊本~北熊本は支線扱いで、通称・上熊本線と呼ばれるようになっています。本線となる菊池線にも元・都営三田線の6000系や道路との併用軌道区間など見所の多い熊電ですが、なんと言っても今、鉄を惹き付ける熊電最大の魅力は、上熊本線に残る元・東急5000系「青ガエル」の存在。

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東京の渋谷駅前に鎮座している「青ガエル」こと東急5000系。

その独特なスタイルから「青ガエル」のアダ名が付けられた東急5000系(初代)。今では渋谷駅のハチ公前広場に置かれている緑の電車といえばお解かりになる方が多いかもしれません。「青ガエル」は50年代から70年代にかけて東横線を中心に活躍した、東急が誇る高性能電車でした。しかし私の記憶にある「青ガエル」は、すでに東横線から撤退し、大井町線や目蒲線で東急時代の晩年を過ごす地味な姿か、もしくは売却された地方私鉄で細々と活躍する印象が強い車両。とくに地方私鉄では記憶にあるだけでも、長野電鉄、松本電鉄、上田交通、岳南鉄道、そしてこの熊本電鉄で、「青ガエル」の仲間に会うことができました(このほかに福島交通でも使われていたようです)。もっとも、それらは各鉄道オリジナルの塗装に塗り替えられ、既に「青ガエル」ではなかったのですが・・・。しかし、地方に散った「青ガエル」たちも老朽化によって次々に離脱、廃車されてしまいました(以前に紹介しましたが、松本電鉄の新村駅構内には一編成二両の「青ガエル」が静態保存されています)。そんななか、今でも現役で動く「青ガエル」を見られる唯一の路線が、この熊電・上熊本線なのです。

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JR熊本駅のロータリー脇に隣接する、こじんまりとした熊電・上熊本駅。
12.4.29 熊本電鉄菊池線(上熊本線) 上熊本

そんな「青ガエル」に会うべく、さっそく熊電ホームへと急ぎます。実はここでの乗換時間はわずか5分。ふつう、同じ駅構内なら5分もあれば余裕で乗り換えられると思いますが、この上熊本の場合、新幹線工事の名残りなのか未だに改良工事が終わっていないJRのホームから、改札を出てロータリー端にある熊電のホームまではちょっとした距離で、あまり時間に余裕がありません。上熊本線は上熊本を毎時20分・50分で発車する30分ヘッド。一本くらい逃して次の列車でもいいのですが、いくら日が長い時期の九州とはいえ、すでに時は夕刻。明るいうちに走行写真を撮ろうとするのならば、少しの時間でも惜しい・・・ε=ε=ε=┏(;゚Д゚)┛。 なんとか乗り換えには間に合ったものの、JR上熊本駅舎の記録写真を撮り忘れてしまいました。まあ、帰りに撮ればいいか・・・。

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上熊本駅に停車中の熊電5000系。
この下膨れの愛嬌あるお顔は、まさに「青ガエル」。(^^)
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 上熊本

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でも反対側の増設運転台側はというと、切り妻形の平面顔・・・。
これって「平面ガエル」!? Σ(゚ロ゚;)ピョンキチ!?

81年に東急から譲渡されたときには他の私鉄同様、熊電オリジナルカラーの水色にオレンジ帯へと塗り替えられた5000系。しかし今となっては、全国でも最後に残された貴重な「青ガエル」となり、現在では熊電の粋な計らいで東急時代と同じ緑色に復元されています。熊電に在籍する5000系は両運転台構造に改造された単行電車が二両。同じ5000系でもこの二両はそれぞれに向きが異なり、この日運用に就いていたのはオリジナルの非貫通側が下り(北熊本)方を向いている5102Aの方でした。できれば逆向きの5101Aが良かったんだけどなぁ・・・(理由は後述)。料金後払い、ワンマン方式の上熊本線へは切符を買わずにそのまま乗車。程なくして列車は上熊本を発車しました。

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東急時代の記憶はあまりないのですが、
どこか懐かしく感じる5000系の車内。
乗客は4~5人程度か・・・。

線路が悪いのか、車両が悪いのか、その両方とも悪いのか、それほどスピードが出ているわけではないのに、ぐわんぐわん揺れる列車。5000系のような古い電車の特徴でもある長~い吊り手が左右に大きく振られ、思わず車窓風景よりもそっちへと目がいってしまいます。全線3.4キロ、起・終点を含めてわずか6駅の上熊本線で、私が降りたのは上熊本から二駅目の池田。料金は130円でした。

上熊本1620-(上熊本線37)-池田1624
      
4006.jpg

小さな無人駅、池田で下車。
緑豊か・・・というよりも、
うっそうとした雑草の中を去ってゆく「青ガエル」。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田

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閑静な住宅街にある池田駅。
駅舎どころか案内表示などもなく、
パッと見、駅の存在自体がわかりません。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田

今回の「青ガエル」撮影で、私が選んだのは池田駅。この駅の下り・北熊本方には熊電で唯一のトンネル(池田隧道)があり、そこから飛び出してくる列車をホーム上からお手軽に撮影することができるのです。しかし、ここで撮ることになるのは上り方の顔。前述したようにこの日運用に就いていた5102Aの上り方は、増設運転台側の「平面ガエル」・・・。

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ライトを輝かせてトンネルから出てきた5000系。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田

ためしに撮ってはみたものの、やっぱりこの顔はマヌケだなぁ・・・(´・ω・`)。 ならば、トンネルの反対側に回ればいいんじゃなイカ? と単純に考え、ネット上の撮影地ガイドなどには紹介されていなかった(見つからなかった)ので、撮れるのかどうかは解らないけれど、物は試しとばかりにトンネルの反対側へと歩いて行ってみることにしました。よく鉄道写真に興味のない「非鉄」の方からは、「電車なんて線路際に行けばどこでも撮れるじゃん」 などと言われるのですが、実際はそんな単純なモノではなく、この場合もトンネルの反対側が線路際まで住宅が密集していたり、高い柵や塀などがあると撮るのは難しいし、たとえスッキリと抜けていたとしても、そこが人様の家の庭など私有地だった場合には、勝手に立ち入ることなどできません。まあ無理ならば他のところを探そうくらいの軽い気持ちと余裕が、撮影地探しには必要です。

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駅横の坂を上がると、トンネルの上から池田駅を見下ろすことができました。
ここからならば、正調「青ガエル」顔を撮ることができます
(タイトル写真もここから撮ったもの)。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田付近

それにしてもこの池田トンネル、ホームの先端からは逆側の出口が見えていたので、そんなに距離はないだろうと思っていたのですが、平行して人が通れるようなトンネルがあるわけではなく、反対側へまわるにはこのトンネルが掘られた山を超えなくてはなりません。住宅街の舗装された道路を上がるだけとはいえ、これがなかなか急な坂道。上りもキツイけれど、下りは思わずつんのめりそうになるほどで怖いくらい。次の列車が来るまでには反対側へと着きたいところですが、転んでケガでもしたら元も子もないので、慎重に歩きます。スマホに表示された地図を頼りに進むと、迷うことなく15分ほどでトンネルの反対側へと辿り着くことができました。

4011.jpg

池田の隣駅、打越側から見た池田トンネルはこんな感じ。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田-打越

懸念していた撮影地の様子はといえば・・・線路に平行した道路があり、その道路と線路を隔てる柵は低い。これなら望遠レンズを使えば、ウマいこと撮ることができそうです。なかなかの好条件に一安心 ε=(*^o^*) ホッ 。次にすぐ来るのが狙いの下り列車なので、さっそくカメラを構えて、列車がトンネルから飛び出してくるのを迎え撃ちます。ところが、暗いトンネルからハイビームで現れた列車にカメラのAFが惑わされてしまい、結局シャッターが切れないまま列車は真横を通過してしまいました・・・(´Д`||;)。やはり横着せずにちゃんと置きピンして撮るべきだったか orz...。次に来る30分後の下り列車まで、同ポイントで残業です。

4014.jpg

上熊本~北熊本のほぼ中間地点に当たるこの場所、
下りの15分後には上り列車が通過。
なんだかさっきから平面顔ばっかり撮っている気がするなぁ・・・(^^;)。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 打越-池田

曇りの日で薄暗いこの場所、5時をまわって走行写真を撮るには露出的に厳しくなってきました。次で何としても仕留めなきゃ・・・。上写真の上り列車を後追いで撮って置きピン位置を確認し、再び折り返してくる下り列車を狙います。やがてデジャヴを見ているかのように、先ほどと同じくトンネル内に列車のライトが見えてきました。

4012.jpg

トンネルからひょっこりと顔を現した「青ガエル」。
やはりこちらの顔の方が男前です!
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田-打越

今度は無事に「青ガエル」の捕獲に成功~! \(゚▽゚=)/  ちょっとアンダー目だけれど、なかなかいい雰囲気の写真が撮れました。草生した線路を力強く走る「青ガエル」はカッコイイなぁ・・・。ようやく満足して、来た道を池田駅へと戻ります。今考えると山を越えるよりも、打越駅へ歩いた方が楽だったのかな・・・?

4008.jpg

再び池田駅のホームから。
今度はトンネル越しに入ってくるところを狙ってみました。
これが「平面顔」じゃなかったらなぁ・・・。
この列車に乗って池田を後にします。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 池田

多くのファンに愛されている「青ガエル」こと熊電5000系ですが、よく見れば、未だに冷房は搭載されておらず、シートのモケットもヨレヨレ。屋根や外板にも痛みの激しいところが見られ、旅客車両のサービス面からしてみれば、かなり厳しい状態であると言わざるを得ません。しかし実のところ、5000系を走らせているのはファンサービスではなく、置き換えるための適当な中古の代替車両(17~8メートルの単行電車)が見当たらないという台所事情があるようです。現役で「青ガエル」が走り続けてくれるのは、もちろんファンとして嬉しいけれど、もう休ませてあげたいという気持ちも残った、上熊本線訪問でした。

池田1738-(上熊本線44)-上熊本1741

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上熊本駅の入り口から、顔を覗かせて佇む「青ガエル」。
またいつか、ゆっくりと会いに来たいところです・・・。
12.4.29 熊本電鉄上熊本線 上熊本

せっかくここまで来たのならば、ついでに北熊本へ出て菊池線の方も撮ろうかと考えたのですが、この日は冒頭でも触れたように豊肥線、三角線、そしてこの上熊本線と回ってきて、さすがにガス欠状態。はやく今宵の宿がある熊本でガソリン(アルコール)補給をしたくなり、菊池線はまたの機会にして上熊本へと戻ってきました。もう思考能力が低下していたのか、行きに撮り忘れたJR上熊本駅舎をまた撮り忘れてしまった・・・。

4015.jpg

熊本方面へ向かう八代行きの普通列車は、二両編成の案内表示。
どうせ815系だろうと思いきや・・・今度は817系でした。
12.4.29 鹿児島本線 上熊本

上熊本1801-(鹿児島5341M)-熊本1805

4016.jpg

立派な白亜の熊本駅舎(白川口)。
実はこの熊本駅の写真も撮り忘れてしまい、
これは翌日の朝に撮ったものです...(^^;)
12.4.30 鹿児島本線 上熊本

3091.jpg

熊本といえば馬刺し!・・・といきたいところでしたが、
だんだんと懐事情がキビシクなってきたので、
この日は棒餃子と熊本ラーメンでガソリン補給。
それでも名物を堪能できたので、じゅうぶんにご満悦~(^▽^)

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ほろ酔い気分で市電沿いの道を歩いていると、
広告が施されていないオリジナル車がやってきました。
ためしにコンデジをテキトーに振ってみたら・・・お、うまく写った。
これぞ秘義、酔拳流し? ~(~∀~*)~ウィ~
12.4.29 熊本市交通局田崎線 二本木口-熊本駅前

 

・・・続きます。



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九州04・・・三角線・特急「A列車で行こう」乗車記 [鉄道旅行記]

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2012.04.28~30
九州04
三角線
特急「A列車で行こう」乗車
  

GWに訪れた九州の鉄道旅、前回からの続きです。
旅行二日目となるこの日、まずは大分から豊肥本線の特急「九州横断特急」と普通列車を乗り継ぎ、文字通り九州を横断して熊本までやってきました。熊本といえば、やはり熊本城観光?・・・いえ、やはり私の旅はあくまでも鉄旅。熊本ではさらに次の列車へと乗り換えます(やなぼーさん、期待に添えず、ゴメンナサイ・・・^^;)。

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午後二時過ぎの熊本駅には、楽しそうな列車が顔を揃えます。
それにしても水戸岡センセ、最近はこの二種の他にも
指宿枕崎線の「いぶたま」や近郊形817系3000番台など、
白や黒のモノトーンを基調としたデザインが多くないですか・・・?
12.4.29 鹿児島本線 熊本

熊本駅にはメイン路線となる九州新幹線・鹿児島本線のほか、今乗ってきた豊肥本線、さらに鹿児島線の宇土を起点とする三角(みすみ)線の列車が乗り入れます。そんな熊本から次に私が乗る列車は、観光特急の「あそぼーい!」。

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前回は阿蘇を走るシーンを遠景でご紹介した、
キハ183系の特急「あそぼーい!」
子供が常に窓側へ座れるように設計した親子シートをはじめ、
遊戯施設や展望室などを備えた、家族連れに人気の列車です。
12.4.29 鹿児島本線 熊本

・・・で、阿蘇に戻るのではなく、 ヘ(_ _ヘ)☆\(^o^*)ォィ
乗るのは同じ観光特急でも、親子連れを対象とした「あそぼーい!」とはまったく異なり、「大人の旅」をコンセプトに持ったこちらの列車。その名も特急「A列車で行こう」。

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ブラックとゴールドのシックな装いに身を包んだ
キハ185系の特急「A列車で行こう」。
まるでゲームのタイトルのような名前の列車ですが、
果たしてその実態とは・・・?
12.4.29 鹿児島本線 熊本

キハ185系でも、前回紹介した真っ赤な「九州横断特急」とはイメージががらりと変わった「A列車で行こう」通称・「Aトレ」は、この熊本から三角線の三角までを結ぶ、一日二往復の臨時特急列車。たしかに落ち着いた深みのある外観からも「オトナ向け」のシブさがにじみ出ていますが、この列車の最大の特徴はその車内。さっそくジャズのBGMが流れる(曲目はもちろん「A列車で行こう (Take the'A' Train)」 ^^ ) 車内へと足を踏み入れると、私の指定席がある二号車は普通座席が並ぶだけで、一見ただの特急列車となんら変わらないのですが、先頭の一号車に見えるのは・・・何と、バーカウンター! (☆∀☆)キラーン!!

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二号車との連結面側にバーカウンターが備わる一号車の車内。
この一画は「A-TRAIN BAR」と呼ばれ、
カウンター脇のベンチやソファはフリースペースとなっています。

列車内にバーがあるなんて、まるで大陸横断鉄道かオリエント急行のような豪華列車を思い起こさせる雰囲気(乗ったことないけど)。ここでお酒を飲みながら、のんびりと車窓風景を楽しめる・・・これぞまさしく最高の「オトナの乗り鉄」です .+゚*。:゚+(´∇`*)。 でも実際のところはというと、バーカウンターには早くも発車前から飲み物を求める行列ができており、カウンターに片肘を付いて「バーボンを!」などというような私が思い描いていたイメージ (どんなイメージだ・・・) にはほど遠く、慌ただしくもその列に並んでいる間に列車は熊本を出発してしまいました。ま、連休中の観光列車だしね・・・ε-(‐ω‐ ;)。熊本を出て約10分ほどが経ったころ、ようやく私の番がまわって来たので、名物だという「A-ハイボール」なるものを注文。

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「A-ハイボール」は、JR九州の客室乗務員さんが
サーバーを使って一杯づつ丁寧に入れてくれます。
とても列車内とは思えない光景 (^^)。

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ウイスキーと熊本名産のデコポンジュースをミックスした、
「Aトレ」オリジナルカクテルの「A-ハイボール」(500円)。
爽やかで美味しいけれど、これはほとんどジュースですね・・・(゚Д゚)アマー

カウンター脇のベンチシートへ座り、ハイボールを口にしながら車窓に目をやると、列車はちょうど鹿児島線と三角線の分岐駅である宇土を出るところでした。ここから先は「あまくさみすみ線」の愛称がある三角線へと入ります。愛称で解るように、この三角線は天草諸島へのアクセス路線でもあり、終点の三角駅に隣接する三角港からは天草へのフェリーが連絡しています。ちなみに「A列車で行こう」の頭文字である「A」の意味は、大人の旅をイメージした「Adult」の「A」の他に、天草 「Amakusa」 の「A」でもあるのだとか。私にとってこの三角線に乗るのはこれが二度目で、一度目はやはり豊肥本線同様、20年近くも前に乗り潰し目的で宇土~三角の全線を普通列車で往復したのみ。全線でも25.6キロ、片道一時間にも満たない三角線には、その後も何度か熊本まで来た際に乗ろうかと思ったのですが、どうしても熊本で時間に余裕ができると、鹿児島線でのブルトレ撮影(09年に廃止...;_; )や、元・東急の青ガエル(5000系)が走る熊本電鉄のほうへと行ってしまい、三角線はとんとご無沙汰となっていました。今回もこの「Aトレ」のようなオモシロイ列車が走っていなければ、三角線へ来ることなど無かったでしょう。でもそんな距離の短い三角線ですが、車窓風景の見どころは多く、とくに住吉から赤瀬の間では、進行方向右側に有明海(島原湾)を眺めることができます。

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ステンドグラスが付いた「Aトレ」の車窓に広がる有明海。
曇り空なのがちょっと残念。。。
12.4.29 三角線 網田-赤瀬(車窓から)

しかし、ここで私は大失敗。全席指定の「Aトレ」の指定券を買う際に、ただ「窓側席を」と指定しただけの私の席は、確かに窓側なのですが、有明海とは逆側の「A席」。こちら側の車窓は山や田畑など平凡な景色で、以前に紹介した五能線ほどではないけれど、この三角線も海側でなければ楽しみが半減してしまいます。この日の「Aトレ3号」は満席なので席を移動するわけにも行かず、仕方なく上の車窓写真はフリースペースのバールームから撮ったもの。「Aトレ」に乗る際、座席でゆっくりと有明海の景色を楽しみたいならば、「D席」がオススメです(セミコンパートメント席の一部は座席配置が異なるので要注意)。それにしても「Aトレ」なのに「A席」がハズレとは、これいかに? 殴===◯)゜O゜)

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有明海とは逆側のA席からは、
終点間際にかろうじて宇土半島と戸馳島の間にある
「モタレノ瀬戸」が見える程度。
12.4.29 三角線 波多浦-三角(車窓から)

そんなこんなで、熊本からわずか40分弱。途中の停車駅は宇土のみという特急「A列車で行こう」は、終点の三角に到着。やはり観光列車としてはちょっと物足りない気がする、短かい距離ですね・・・。

熊本1408-(A列車で行こう3号)-三角1446

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三角に到着した「Aトレ」。
乗車時間は短かったけれど、
バーカウンターでお酒を提供してくれる
「大人の旅」は楽しむことができました。(^^)
12.4.29 三角線 三角

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昨年の「Aトレ」運転開始に伴いリニューアルした、
天草諸島への玄関口である三角駅。
12.4.29 三角線 三角

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駅と道路を挟んで向かい側にあるのが
天草へのフェリーが発着する三角港。
客船ターミナルは三角なだけに三角形!?

「Aトレ」は、あくまでも熊本から天草への足がかり的な観光特急で、乗客のほとんどはフェリーへ乗船するために三角港へと向かいます。では天草へ渡るわけでなく、「Aトレ」に乗ることだけが目的だった私はというと、その乗ってきた列車が折り返してくるところをどこかで撮影したいと考えます。しかし「Aトレ3号」から「4号」へ、三角での折り返し時間はたったの7分。その間に撮影できるところなど見つかるのか? 最悪、踏切からのかぶりつきでもいいやと思っていたところ、駅の東側に細い歩道橋があるのが見えました。非電化路線の三角線なら架線が無く、上からでもスッキリ撮れそう。ためしに跨線橋へと上がってみると・・・思った通り、いい感じの抜け具合です。

3011.jpg

多くの観光客を乗せて三角駅を後にする
特急「A列車で行こう」4号。
これからまた、熊本へ向けての「大人の旅」が始まります。
12.4.29 三角線 三角

オーソドックスに斜めからの編成写真も撮れるこの場所。でもここは一発、長タマで正面からズドンと狙ってみました。ブラックに金帯のシックなキハ185系、こうやってみるとなかなかカッコイイじゃないですか (^^)。ちなみにこの三角駅前の跨線橋、駅から近くて撮りやすい撮影ポイントですが、おそらく晴れると「4号」の時間帯は逆光になると思われます。

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では晴れると午後順光になるはずの反対側は・・・
背景のパチンコ屋さんがちょっと気になるかな。(^^;)
12.4.29 三角線 波多浦-三角(後追い)

「Aトレ」が出発した直後で、人影まばらな三角駅。ここから今度は上りの普通列車に乗って、熊本へと戻ります。三角線の普通列車と言えば、国鉄末期に導入されたステンレス製のキハ31と言うイメージが強かったのですが、三角のホームに入ってきたのは、またしてもこの赤い車両。

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三角駅で発車を待つ、キハ200の熊本行き普通列車538D。
12.4.29 三角線 三角

豊肥線に続き、この日二度目のキハ200。まあ今回は「Aトレ」を撮った跨線橋からの写真を見ても解るように、奥の留置線にキハ200の姿があったので、次の普通列車はコイツかな・・・という予想はしていましたが。

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乗り心地の良い、転換クロスシートが並ぶキハ200の車内。

三角駅の案内放送によると、先ほど出発した「Aトレ4号」の指定券は完売だったとのこと。しかし、こちらの普通列車は二両でも片手で数えられるほどの乗客でした。ちょっと寂しい状況だけれど、おかげでスキな席が選び放題。もちろん往路には楽しめなかった、有明海側(進行左手)の席に座ります。

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あらためて、普通列車から眺める三角線の車窓風景。
霞んでいますが、有明海の島原湾越しに見えるのは、
島原半島の雲仙岳です。
12.4.29 三角線 赤瀬-網田(車窓から)

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途中駅の網田で交換した537Dは、キハ47+キハ31でした。
キハ31の座席は0系新幹線から転用された転換クロスシートで、
座り心地はキハ200に勝るとも劣りません。
せっかくなら今回ばかりはキハ200でなく、
キハ31の方に乗りたかったな・・・。
12.4.29 三角線 網田(後方の車窓から)

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肥後長浜を出ると再び海沿いへ。
今度、海越しに見えてきたのは熊本市内の金峰山。
12.4.29 三角線 肥後長浜-住吉(車窓から)

観光特急の「Aトレ」でカクテルを飲みながらというのもオシャレでいい旅ですが、やはり三角線のようなローカル線は普通列車のほうが落ち着きます。「Aトレ」はすべて通過してしまう三角線の各駅へ、こまめに停車しながらのんびり走る普通列車。車内には地元の方々の飾らない声が飛び交う・・・これぞ、ローカル線乗車の醍醐味と言っても、過言ではありません。

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列車は宇土の手前で鹿児島線と合流。
もちろんまっすぐ伸びる複線が鹿児島線で、
右へカーブしているのが乗ってきた三角線。
12.4.29 鹿児島本線 宇土付近(後方の車窓から)

宇土から鹿児島線へと入った列車は、間もなく終点の熊本へ到着します。降り支度をしながら、何気なく乗り換えの案内放送を聞いていると、「水前寺・肥後大津方面の豊肥線をご利用の方は、このまま続けてご乗車下さい。この列車が16時08分発の宮地行きとなります・・・」とのこと。どうやら三角から三角線の538Dとして走ってきたこの列車は、熊本で列車番号を変えて、豊肥線の宮地行き439Dに「化ける」ようです。これは単なる直通運転ではなく、同じ車両を終点でいったん行き先や列車番号を区切って別路線の別列車とし、乗客はそのまま乗りつづけていいケースを、鉄道用語で「化ける」といいます。しかし最近は地域や路線ごとでの合理化が進んで、この化ける列車が少なくなったような気がします。国鉄時代には地方のあちらこちらで化ける列車が存在し、その運用を時刻表上で予想して追うのが楽しかったものですが・・・。前述のキハ31やキハ47が主流の三角線でこのキハ200を見かけたときはかなり意外に感じましたが、これは豊肥線の間合いに使われる、いわゆる「アルバイト運用」だったのですね。それにしても、豊肥線に化けることを知らずに居眠りなどしていたら、冗談抜きで阿蘇へと戻されるところでした(笑)。

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熊本へ到着した三角線からの538D。
この列車は6分停車ののち、今度は豊肥線の439Dとして
熊本を発車してゆきます。
12.4.29 鹿児島本線 熊本

三角1508-(三角538D)-熊本1602

せっかく車窓に広がる有明海の海景色が曇り空だったのは残念でしたが、行きは観光特急「A列車で行こう」、帰りはキハ200の普通列車と乗り分けることができ、鉄的には存分に堪能した三角線の旅でした。

 

・・・続きます。



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九州03・・・豊肥本線 乗車記 [鉄道旅行記]

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2012.04.28~30
九州03
豊肥本線 乗車& 阿蘇山バック 撮影記
  

GWに訪れた九州の鉄道旅、前回からの続きです。
初日は一日じゅう日豊本線での「撮り鉄」に専念し、念願だった485系「にちりん」を撮影。ちょっとしたハプニングには見舞われたものの(^^;)、概ね天気は良好で、じゅうぶんに満足する結果を得ることができました。そして迎えた翌二日目。今回の九州遠征、第一の目的はもちろん先述の「にちりん」を撮ることでしたが、せっかく一年ぶりに九州まで来たのにそれだけではもったいない。そこでこの日は少し「乗り鉄」の方を楽しむことにしました。

4月29日(日)

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旅行二日目の大分駅。この日、朝はいいお天気でした。
これで大分を離れることになりますが、
今度来るときはもうこの駅舎は無くなっているのかな・・・。
12.4.29 日豊本線 大分

今私がいる大分は、日豊本線の小倉方面、宮崎方面のほか、由布院・日田を経由して福岡の久留米までを結ぶ久大本線と、阿蘇を通って熊本までを結ぶ豊肥本線の三路線、四方向に鉄路が分かれています。そのなかで今回、私が乗り鉄に選んだのは豊肥本線。今回の旅では南九州の宮崎まで足を伸ばすつもりはなかったし、かといって小倉方面へ北上してもあまり面白みがないことから、日豊線は早々と離脱。選択肢はともに九州を横断する九大、豊肥の二路線に絞られました。どちらも甲乙付けがたい、美しい車窓風景が期待できる路線なのですが、実は九大線は過去に何度か特急「ゆふいんの森」などで全線を乗り通したことがあって、近々だと今から6年前の06年(それでも、もう6年も前か・・・)。しかし豊肥線の方はといえば、南阿蘇鉄道へ乗るために立野を訪れたり、SL「あそBOY」乗車で熊本から宮地へは往復したものの、熊本~大分の全線を通して乗ったのは乗りつぶし目的だった一度だけで、もう20年以上も前のこと。当時は「九州横断特急」など走っておらず、キハ52の普通列車でひたすら乗り続けたものでした・・・。と、いうことで、豊肥線に乗るのはかなり久しぶりになります。できれば当時を思い出しながら、普通列車にのんびりと揺られたいところでしたが、まず乗る列車はコレ。

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大分駅に入ってきたのは、別府始発の特急「九州横断特急」。
主に非電化路線を走る「九州横断特急」には
ディーゼルのキハ185系が使用されています。
12.4.29 日豊本線 大分

キハ185系の特急「九州横断特急」。なんのかんの言いながら、やっぱり速くて、ゆったりとしたリクライニングシートが備わった特急の方がいいんじゃないか・・・と、思われてしまいそうですが、実は豊肥線の上り(熊本方面行き)を時刻表で調べてみると、途中の豊後竹田を境に普通列車の接続がものすごく悪く、途中で一箇所でも下車しようなどと計画を立てると、どうしてもこの「九州横断特急」に乗らざるを得なかったのです。とは言え、この特急に乗れることはやぶさかでなく、仕方ないなぁ・・・といいながらも、内心はちょっとウキウキしながら進行方向左の窓側席を確保 (´∇`*)。列車は定時に大分を発車すると、すぐに右へとカーブを切って日豊線と分かれ、一路熊本を目指して豊肥線をひた走ります。

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大分発車後、豊肥線はすぐに日豊線と分岐。
日豊線上にはちょうど883系「青ソニ」が・・・。
12.4.29 豊肥本線 大分-滝尾(車窓から)

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早くも大分の次駅、滝尾では普通列車との交換待ち。
途中の中判田までは大分への通勤圏となるので、
このあたりは普通列車の本数も多いです。
てっきりキハ125かキハ200あたりのJR形かと思っていたら、
やってきたのは国鉄形のキハ47二連でした。
12.4.29 豊肥本線 滝尾(車窓から)

通常、二両編成で運転される「九州横断特急」には自由席が一両しかなく、連休中ともなればかなり混むかな・・・と思っていたのですが、この日は自由席が一両増結された三両編成での運転で、大分発車時点でも空席が所々に見られる程度の乗車率でした。ちなみに車内放送によると「本日の指定は満席です」とのこと。多客期に指定席ではなく自由席が増結されるというのは意外と珍しい例かもしれません。列車は大分通勤圏の中判田を過ぎると、車窓に緑豊かでのどかな風景が広がります。

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車窓左手に沿って流れているのは、水量豊富な大野川。
12.4.29 豊肥本線 竹中-犬飼(車窓から)

大分から一時間、瀧廉太郎の「荒城の月」で知られる岡城で有名な豊後竹田で三分の一くらいの乗客が下車し、さらに空席が目立つようになった「九州横断特急」。ここ豊後竹田を出るとエンジンを唸らせながら急勾配を上がり、県境の峠越えに挑みます。豊後荻を出て大分県から熊本県へ入ると、豊肥線で・・・いや、九州でもっとも高いところにある駅、標高754メートルの波野を通過。実はこのあたりは私の座っていた左側の車窓よりも右側の方が景色はよく、はるか下に阿蘇谷を一望することができるのはずなのですが、気がついて席を移動したときには、すでに眺望の良い区間は終わっていました・・・(´・ε・`) チェッ。

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キハ185は運転台の背後がオープンデッキとなっているので、
前方や後方の風景も眺めやすい。
力強く峠道を駆け上がります。
12.4.29 豊肥本線 豊後竹田-玉来(車窓から)

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県境の峠を越える列車の車窓から。
本当は阿蘇谷を見渡せる反対側の車窓を
お届けしたかったところですが・・・(^^;)。
12.4.29 豊肥本線 豊後荻-波野(車窓から)

サミットを越え、今度は逆に下りとなった勾配を軽やかに走った列車は、やがて阿蘇カルデラ内の平地にある駅、宮地へ。ここからしばらく車窓左手には豊肥本線最大のハイライトともいえる、阿蘇山・阿蘇五岳の雄大な姿を眺めることができます。これが見たかったので、私は進行方向左手の座席を選んだのでした。

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車窓に広がる阿蘇五岳。
上からノコギリのような山頂の根子岳(1,433m)、
阿蘇の最高峰、高岳(1,592m)と中岳(1,506m)
そして形の良い烏帽子岳(1,337m)と杵島岳(1,321m)
12.4.29 豊肥本線 宮地-いこいの村(車窓から)

この車窓風景、車販で缶ビールでも買ってのんびりと楽しみたいところ・・・ですが、残念ながらそんな余裕はありません。久しぶりに訪れた豊肥線、できれば一枚くらいこの阿蘇の山々を背景にした豊肥線らしい鉄道写真が撮りたいと思い、実は事前に撮影地をリサーチしてきたのです。大分からずっと乗ってきた「九州横断特急」を降りたのは、赤水。

大分0808-(九州横断特急1号)-赤水1008

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阿蘇の山々に囲まれた赤水駅に到着した「九州横断特急」。
12.4.29 豊肥本線 赤水

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味のある木造駅舎の赤水駅。
無人駅(簡易委託駅)ですが、近くに阿蘇山の西登山口や
牧場などの観光地があるため、特急も停車します。
駅名の由来は、
この辺の地下から湧き出た水が酸化鉄を含んだ赤褐色で、
川を赤く染めたことから「赤水」の地名となったのだそうです。
12.4.29 豊肥本線 赤水

豊肥線と阿蘇山を組み合わせられる撮影地は、宮地から阿蘇の間にもいくつか点在していますが、私がこの赤水を選んだのは、なんといってもその手軽さ。ここは駅前に広大な田畑が広がっていて、そこから引きで阿蘇山の麓をゆく豊肥線の列車を撮ることができるのです。駅から徒歩10分圏内のお手軽撮影地、これは徒歩鉄にはとても助かります。ただ、こんなところを列車利用でやってきて、畑の周囲をウロウロしている人は珍しいらしく、農作業をしている地元の方には挨拶を交わすと同時に、不思議そうな目で何をしに来たのかと尋ねられます (不審者・・・ (¬、¬)?) 。そこで、「このあたりは阿蘇山がきれいに撮れるので、写真を撮りにきたんです。」 と答えると、納得してもらえた様子。農作業の邪魔にならぬように農道の端っこの方でカメラを構え、列車が来るのを待ちます。しばらくしてやってきたのは、キハ47+40の普通列車。前日の「にちりん」を撮ったときのようなスカッとした青空でないのは残念ですが、そもそもこの時間帯は晴れると逆光だし(ここは午後順光)、形の良い阿蘇山の烏帽子岳と杵島岳がしっかり見えているので、まあヨシとしますか。

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阿蘇の裾野に抱かれて、のんびりと走る豊肥線の普通列車。
12.4.29 豊肥本線 赤水-立野

決して本数の多くない豊肥線の列車。しかしこの時間帯はウマい具合に二時間ほどの滞在中で普通列車が上下一本ずつと、下り特急列車が一本の計三本を撮影することができます。今撮ったのは上りの普通列車(430D)で、次は下りの普通列車(429D)。同じ普通列車を同じアングルで撮ってもツマラナイ・・・。そこで目に留まったのは、赤水の駅前で見事なピンクの花を咲かせていた八重桜。今度はこれを列車と絡めてみることにします。

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満開の八重桜が咲く赤水駅に下りの普通列車が到着。
お天気が良ければもっとキレイだったのにね...。
12.4.29 豊肥本線 赤水

本当は八重桜と列車、さらに阿蘇山まで入れようと、あれこれ構図を試してみたのですが、どうもウマくいかない。こういう場合はあまり多くの要素を入れすぎ無いほうがいいみたいです。最終的には阿蘇山をスパっと切り捨てて、花と列車だけを入れて撮影。あんまり豊肥線らしくはないけれど、なかなかいい画が撮れました。

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発車してゆくところを今度はタテ位置で。
寒々しい曇り空を八重桜のトンネル風にして隠してみました (^^)。
12.4.29 豊肥本線 赤水(後追い)

さて、ここ赤水の撮影地でラストを飾る三本目は特急列車。特急と言っても、先ほど私が乗ってきたキハ185系の「九州横断特急」ではなく、次に来る列車は昨年から運転を開始した観光特急のキハ183系「あそぼーい!」。八重桜との絡みも捨てがたいところですが、やはり列車名に「あそ(阿蘇)」が入っているこの列車は阿蘇山をバックに撮りたいと思い、再び最初の撮影ポイントへと戻ることにしました。やがて阿蘇山の裾野に現れたのは、白黒ツートンのパノラマ列車。

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阿蘇山を眺めながら走りゆく、特急「あそぼーい!」。
自慢のパノラマウィンドウからは
阿蘇の雄大な景色が広がっていることでしょう。
12.4.29 豊肥本線 赤水-立野

この場所での本命と位置付けていた「あそぼーい!」。しかしこうやってみると、この白黒ツートンの列車はなかなか画になりづらいですね。下部の黒い部分がほとんど目立たず、なんだかいびつな形の列車に見えます。四両という編成もこの場所では妙に長く感じるし・・・。むしろ、同じ場所で最初に撮った普通列車のほうが、豊肥線らしく飾らないのんびり感が出ていて、スキかも。とはいえ、予定通り特急を含めた三本の列車を撮ることができたので満足。赤水駅へと戻り、さらに豊肥線の旅を続けることにします。

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赤水に入ってきた普通列車は真っ赤なキハ200。
12.4.29 豊肥本線 赤水

赤水で次に乗る肥後大津行きの普通列車432Dを待っていると、やってきたのはキハ200。てっきり先ほど八重桜と一緒に撮ったキハ47の429Dが宮地から折り返してくる運用だとばかり思っていたので、意表をつかれた感じ。でも、このキハ200は転換クロスシート装備の乗り心地がいい車両なので、これはちょっと嬉しいサプライズ。ヽ(・∀・)ノ ワーイ  車内もガラガラで、のんびりと過ごせそうです。

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そんなキハ200の車内で食べるのは、
大分で買ってきた「かあちゃんのまくべんとう」。
朝の大分駅では、まだ寿司系か幕の内しか
置いていなかったのでこのお弁当を選んだのですが、
シンプルながらもこれがなかなか美味しい。
なによりもこの内容で480円というコスパの良さには大満足!
☆☆☆・・

赤水を出た列車はしばらくすると、豊肥線で乗り鉄的に最大の見どころとなるスイッチバックへとさしかかります。ここは阿蘇のカルデラ内にある標高465mの赤水から、熊本平野にある標高170mの瀬田まで、二回のスイッチバック(三段式)を経て下りてゆく鉄道の名所。そのスイッチバックの途中にある中間駅が標高277mの立野で、ここは通称「立野のスイッチバック」として知られています。そのスイッチバックをすすむ様子を、またいつものように運転室かぶりつきで楽しむことにしましょう。キハ47よりも前面窓が大きくて見やすいキハ200。そういう意味でもこの車両に当たったのはラッキーでした。

2022.jpg

まずはポイント左の赤水(大分)方面から来た列車は
スイッチバック内で停止。
12.4.29 豊肥本線 赤水-立野

2023.jpg

次に運転士が車内を通って後ろ側へと移動し、
進行方向を変えて右の立野方面へ進みます。
ここから見てもかなりの急勾配であることが解ります。

2024.jpg

赤水方面と別れて下り坂を進むと、
やがて右の方から瀬田(熊本)方面への線路が見えてきます。
ちょうどキハ185系の下り特急が立野へ向けて上がってくるところで、
タイミングが合えば同時進入も楽しめそうです。

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キハ185系の後を追うように立野駅へと進入。
立野を出発する際には右の線路へ転線して、瀬田方面に向かいます。

2026.jpg

立野に到着したキハ200の普通列車と、
ここで交換して大分方面へ向かうキハ185系の「九州横断特急4号」。
12.4.29 豊肥本線 立野

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立野駅にはスイッチバックを説明する看板がありました。
私の拙い文章では解りづらいと思いますので、
スイッチバックの構造はこの図を参考にしてください・・・(^^;)

スイッチバックで二度ほど向きを変え、結局もとの進行方向に戻って立野を発車した普通列車は、さらに下り勾配を進んで熊本平野へと入り、この列車の終点である肥後大津へと到着。豊肥線は肥後大津から熊本までの区間は電化されているので、ここからはディーゼルカーではなく電車が主力となります。私もディーゼルカーのキハ200から電車の815系へお乗り換え~ ε=ε=┏( ・ω・)┛。

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肥後大津で反対ホームに待機していたのは、
前日の日豊線で何度も乗った、ロングシートの815系(右)。
乗り心地の良かったキハ200とはここでお別れです・・・。
12.4.29 豊肥本線 肥後大津

電車が頻繁に走り、熊本への通勤圏となるこのあたりは、車内も今までのローカルな雰囲気とはがらりと変わって、都市圏近郊列車の様相。熊本が近づくに連れて乗客も増え、二両編成の815系は立ち客が出るほどの混雑ぶりで終点の熊本着。これで大分~熊本、豊肥線の旅は終了です。

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「0B」番線という変わったホームに到着した豊肥線。
改良工事で後から増設された熊本駅の豊肥本線ホームには、
「0A・0B」という番線が与えられています。
さらに臨時用の「0C」番線もあり、
三つの0番線があるのはこの熊本駅くらい。
12.4.29 鹿児島本線 熊本

赤水1205-(豊肥432D)-肥後大津1239~1248-(1456M)-熊本1321

久しぶりに全線を乗り通した豊肥本線。やはりこの線から眺める阿蘇の山々は雄大で素晴らしく、思う存分に車窓風景を堪能しました。今回は途中の赤水で降りただけでしたが、機会があれば今度はゆっくりと豊後竹田の街散策や阿蘇観光、さらには立野から分岐する南阿蘇鉄道などにもまた乗りに来たいものです。


・・・続きます



共通テーマ:趣味・カルチャー

九州02・・・日豊本線 485系「にちりん」撮影記(後編) [鉄道旅行記]

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2012.04.28~30
九州02
日豊本線
485系「にちりん」 撮影記 (後編)
  

ゴールデンウィーク前半の三連休。臨時で運転される485系の特急「にちりん」を追い求めて、やってきた九州鉄道旅。前編からの続きです。

日豊本線・大分~小倉の間を二往復する485系「にちりん」。まずは一本目となる小倉行きの「にちりん82号」を、日出駅付近のカーブから正面気味に撮影。ウマい具合に顔へ光が当たってくれて、まずまずの出足となりました。でも、この九州で復刻された国鉄色485系・Do32編成最大の特徴は、なんと言ってもサイドの運転席下に掲げられた「JNR」エンブレム。国鉄色の485系や583系、183系などは東日本や西日本にも何本か残されていますが、国鉄を表すJNRマークがあるのはこのDo32だけ (九州にはもう一編成、同じく国鉄色に復刻されたDo2編成にもJNRマークがあったのですが、こちらは残念ながら廃車に)。しかし、正面から撮った一本目の写真ではそれがまったく見えない・・・。それならば、次の二本目となる大分行きの「にちりん83号」は、サイドのJNRマークが解るように少しひらけた撮影地で編成写真を撮ることにしました。日出から日豊線の上り普通列車に乗って、やってきたのは中山香 (これは「なかやまが」と読みます。まったく関係の無い話ですが、高校の同級生に同じ字で「なかやま かおり」さんって方がいたっけ。元気かなぁ・・・ (´_`* ) )。

日出1111-(日豊4632M)-中山香1132

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周囲に撮影ポイントが点在するため、
撮り鉄にはちょっと知られた存在の中山香駅ですが
日出に続き、こちらも私は初下車でした。
12.4.28 日豊本線 中山香

目的の撮影地は、中山香駅から下りの杵築方向へ歩いて30分強の道のり。ちょっと遠いけれど「83号」の通過まではまだ時間に余裕があるし、国道をひたすら進めばいいだけなので、迷うこともありません。天気が良く、適度に風も吹いていて、清々しいハイキング日和。周りの景色を見ながらのんびりと歩き、撮影地には通過の40分前といういい頃合に到着です。

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大きくひらけた中山香の撮影地。
新緑の山々をバックに、815系の普通列車が走ってゆきます。
12.4.28 日豊本線 中山香-杵築(後追い)

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この中山香~杵築の間は複線なのですが、
上下線が大きく離れるセパレート区間で、まるで単線のような感じ。
これは少し離れた場所の上り線を走る、883系「青いソニック」。
12.4.28 日豊本線 杵築-中山香

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ここでお昼ゴハンを・・・
あらかじめ大分駅で調達してきた、大分名物「吉野鶏めし」のオニギリ。
鶏とゴボウをダシ汁で炊き込んだシンプルな味ですが、
これがまた、とてもウマイ (゚∀゚)!! ☆☆☆☆☆

時刻はちょうどお昼時。少し余裕もあったので、この間に昼食を採ることにします。大分駅で買ってきた鶏めしオニギリが美味しくて、思わず一気に平らげてしまいました。ところが、これに胃が刺激されてしまったのか、急にオナカの具合がぐるるるる・・・(´・д・` ;) 。そんなにオナカが強い方じゃないのに、朝からクロワッサンと共に「飲むヨーグルト」なんかも飲んじゃったしなぁ・・・(前回) なんて、冷静に振り返っている余裕も、だんだんと無くなるほど辛くなってきてしまいました (´Д`i||)。ここは畑のど真ん中、当然トイレなどあろうはずもありません。たしかここへ来る途中の国道沿いに、コンビニが一軒あったよな・・・。でもそのコンビニまでは歩いて15分くらい。本命の「83号」の通過までは、あと20分ほどしか時間がありません。コンビニまで往復している余裕は無い・・・でも、もうオナカにも余裕は無い。どんなにガンバっても、この生理現象だけには勝てず、仕方なく「83号」を諦めて、コンビニへダッシュ!!!ε=ε=ε=┏(((;゙◇゙)))┛ ・・・なんとか無事に間に合って事なきを得ましたが、トイレを借りたお礼にガムなどを買おうとすると、お昼時の国道沿いのコンビ二はトラックの運ちゃんたちで混雑していてなかなか会計が進まず、ようやくお店を出て歩き出したとき、はるか遠くに見慣れたクリーム色の特急列車が走り去ってゆくのが見えました・・・il||li _| ̄|〇 il||l ああ、いったいここまで何しに来たんでしょ・・・(´;ω;`) 。ちなみに、名誉のために言っておきますが、決して鶏めしにあたったりしたわけではありません。すべては己の体調管理を侮った自分が悪いのです。とは言え、このショックはデカすぎる・・・ガックリと肩を落とし、重い足取りで来た道を駅へと戻ります。せっかくここまで来たのなら、もう485系はムリでも「ソニック」の一本くらい撮っていけばよさそうなものですが、実は再び折り返してくる485系「にちりん90号」を撮影したい場所へ移動するためには、すぐに駅へ戻って次の下り列車に乗らなくてはならないのです。「83号」を撮り逃してしまった以上、何が何でも「90号」はビシッと決めたい。それにしても、なんだか最近の撮影ではいろいろとハプニングが多い気がします。決して撮影記を面白くしようとか、盛り上げようなどとは思っておらず、できれば何も起こらない方が望ましいのだけどなぁ。。。(^^;)

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中山香から今度は下りの大分行きに乗車。
このあたりは列車の本数が少ない区間で、
13時25分の633Mを逃すと、次は15時49分の4655Mまで
二時間以上も下り普通列車はありません・・・。
12.4.28 日豊本線 中山香

気を取り直し、続いて向かうのは中山香から一駅だけ大分方向へ戻った杵築。わずか一駅ならば歩けるのでは・・・などと一瞬思ったのですが、この両駅間は8.8キロもあり、列車でも7分ほどかかります。とてもカメラ機材や三脚を担いで歩ける距離ではありません。

中山香1325-(633M)-杵築1332

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立派な瓦屋根の杵築駅。
かつてはここから国東半島の東部へ、大分交通の国東線という
ローカル私鉄が接続していたそうですが、1961年に廃線となりました。
12.4.28 日豊本線 杵築

今度の撮影地は先ほどの中山香とは打って変わって、駅から10分弱の至近距離。ここは線路脇の築堤上から、鉄橋を渡ってカーブを進んでくる上り列車の編成を入れて、きれいに撮ることができるお立ち台的撮影地で、おそらく今回の485系「にちりん」が走る小倉~大分の間ではもっともメジャーといえる場所。それでも、先客の同業者は10人未満でした。やはり関東の撮影地とは違って、まったりしているなぁ・・・。まずは定番のお立ち台から815系を試し撮りしてみます。

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杵築の大カーブをゆく815系。
ここは上下セパレート区間ではなく、完全な単線。
実はこの列車は私が乗ってきた633Mで、
杵築で特急退避のために7分ほど停車していました。
その間にたどり着けちゃうなんて、
いかにこの場所が駅から近いかということが解ります。
12.4.28 日豊本線 大神-杵築(後追い)

ここを訪れるのは約10年ぶり。前回は線路脇のアウトカーブ側にある保線用階段から正面気味に寝台特急「富士」などを撮ったものでしたが、今ではその保線用階段は立入禁止となり(あたりまえか)、今回初めてこのインカーブ側のお立ち台で撮影してみました。でもこの定番位置、思ったよりもスッキリしない印象。なんていうか、あくまでも個人的な見方ですが、ここは鉄橋、築堤、鉄橋と、いろんな要素がありすぎる気がするんですよね。手前を切って築堤と奥の鉄橋だけ入れるって手もあるけれど、どうも架線柱のスパンが短くて抜きづらい・・・。個人的にはここへ来る途中にあったシンプルなカーブの方が気に入ったので、そちらで構えることとしました。コッチの方が定番位置よりも空いていたし。すぐにカメラをセッティングすると、最初にやってきたのはこの列車。

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振り子機能を生かし、
速度を落とさず豪快にカーブを横切る、885系「白いソニック」。
12.4.28 日豊本線 大神-杵築(後追い)

885系の「白ソニ」ですが・・・なんと、残り一本となった原形の黄色い「SM3編成」ではありませんか (゚∀゚)!!。やはり885系にはカモメのくちばしをイメージした黄色い方がしっくりきます。主に日豊本線の特急「ソニック」と長崎本線の特急「かもめ」に使用されている南福岡所属の885系。今回の九州遠征では長崎線へ行く予定は無いので、もう黄色は撮れないかな・・・と諦めかけていましたが、この日のSM3は運よく「ソニック」運用に就いていました。しかもこの杵築のカーブで撮れるなんて、これは思いがけず嬉しい収穫。悪いことばかりじゃないんだなぁ・・・(´∇`*)。

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順序が逆になりますが、
ちょっと前には逆方向からED76の貨物がやってきました。
逆光で面潰れですが、
さすがに貨物を後追いで撮るわけにはいきません(^^;)
12.4.28 日豊本線 杵築-大神

SM3の登場ですっかり気分を良くし、テンションが上がったまま、続いて本命の「にちりん90号」を迎えます。穏やかに晴れ渡った空は雲ひとつ無く、陰られる心配はまったくありません。まさに舞台は整いました。あとはシャッタータイミングを逃さないことだけに集中 (私のデジカメはRAWで撮ると秒間3コマしか撮れないので、連写は期待できません)。慎重に引き付けて、一発必中!

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青空のもと、カーブ上に躍り出た485系の特急「にちりん」。
振り子機能など備わっていませんが、
やはり485系には特急車両としての貫禄がじゅうぶんにあります!
12.4.28 日豊本線 大神-杵築

正面、側面共に光がきれいにまわる完全順光状態、いわゆる「バリ順」で485系「にちりん」が撮れました~!
ワーイ♪ ヘ(゚∇゚ヘ)(ノ゚∇゚)ノ ヘ(゚∇゚ヘ)(ノ゚∇゚)ノ ワーイ♪
中山香で撮り逃したこともあって、喜びもひとしおです。しかもこの角度なら前述のJNRマークや、中間電動車から先頭車化改造された変形車・クモハ485-5の独特な運転台後部の機器室もよく解るカットとなり、変形車好きの私としてはもう堪りません o(≧∇≦)o 。ああ、はるばる九州まで来た甲斐があったなぁ・・・。
この一枚が撮れたことにより、やっと心にも少し余裕が生まれました。二往復運転される四本目、つまり次に撮る最後の一本、「にちりん91号」は編成重視ではなく、ちょっと高いところから狙ってみようと思います。目指すのは同じ杵築で、先ほど初めに訪れたお立ち台の奥に見えていた赤いガーダー橋を、山の上から見下ろす俯瞰のポイント。山の上といっても登山道を登るのではなく、舗装された道路が上の方まで続いているので、歩くのはさほど苦になりません(かなりの急坂が続きますが・・・)。初めて訪れる俯瞰ポイントといえば、先月の小湊鐵道・上総大久保俯瞰での失敗が頭をよぎりますが、まだ「91号」の通過までは二時間以上もあることだし、一時間ほど探してダメならば、お立ち台付近まで戻って撮ればイイ。そんなことを考えながらマイペースで坂を上がってゆくと、迷うことは無く、ふもとから20分くらいで眼下に赤い鉄橋が見える場所へと到達できました。

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緑豊かな景色の中、カーブした赤い鉄橋を渡るのは883系「青ソニ」。
12.4.28 日豊本線 大神-杵築

ここはいかにも日豊本線らしい大きく曲線を描く線路を、スッキリと見下ろすことができる雄大な撮影ポイント。今の時期は背景の緑もきれいでなかなかいい感じ。まるで鉄道模型のレイアウトでも見ているかのような情景がそこに広がっていました。流行の「ジオラマ風モード(被写界深度を極端に浅くして、実際の景色をあたかも模型を撮っているように見せるテクニックやデジカメのモード)」などで撮ってみたら面白そうですね。それにしてもこの場所、撮った写真だけを見ると山の上からのんびりと・・・なんて思われるかもしれませんが、実際は手前を高速道路の大分空港連絡道が横切っていて、運が悪いとこんな感じに・・・。

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ファインダーを覗いていると、突然高速バスが!? Σ(゚Д゚;)
実はこの場所、高速道路越しに狙っているのです
(立ち位置は高速道路の敷地内等ではなく、いたって安全な場所)。

高さ的に普通乗用車ならば問題ないのですが、バスやトラックなどの大型車が通ると線路がカブられてしまいます(^^;)。まあ、それほど交通量が激しいわけではなく、クルマが横切るのはほんの一瞬なので、ほぼ大丈夫だとは思われますが、もしここで本命列車と大型車がモロにカブったとしたら、相当に運が悪かったのだと思って諦めましょう (結果から言うと、私がいた二時間では一度も列車と大型車がカブることはありませんでした)。

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遠景の俯瞰撮影だと、「青ソニ」よりもこの885系「白ソニ」の方が目立ちます。
ちょっと解りづらいのですが、これは先ほど撮った黄色のSM3編成。

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交流機・ED76に牽引された貨物列車がやってきました。
最近では全国的に見ても交流専用機は貴重になりつつあります。
連休中のせいか荷が少なかったのがちょっと残念。

山の上ではとくに何もすることは無く、ただ走り行く列車たちを眺めながら長い待ち時間を過ごし、やがて日が傾きかけた午後五時前。この日のトリを務める、国鉄色485系がゆっくりと眼下に姿を現しました。今回はカメラを三脚に固定していたので、その様子を連続でお届けしましょう。

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雄大な景色のなか、大分へ向けて走り行く485系「にちりん」。
シャッターを切り終えた後も、ずっと目で追い続けてしまいました。
その勇姿をまた撮れる日が来ることを願って・・・。
12.4.28 日豊本線 大神-杵築(後追い)

いつものような 「わーい、485系撮れた~\(^▽^)/」・・・という感情よりも、何となくしみじみとしてしまった、ラストカットの撮影。夕方になって薄い雲が流れきて、ちょっと光線が弱くなってしまったものの、舞台となる鉄橋上でしっかりと存在感をアピールしてくれた老兵には、いじらしさすら感じてしまいました・・・。これで念願だった485系「にちりん」撮影はすべて終了です。腹痛で一本撮り逃すというハプニングはありましたが、正面アップ、編成撮り、俯瞰と、いろんな撮り方ができた485系「にちりん」。この日は一日を通して天気も良く、大満足の結果を納めることができました。

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次に乗る普通列車まで少し時間があったので、お立ち台で数枚撮影。
西日に照らされて快走する「青ソニ」。
やっぱりココは架線柱や信号機の処理が難しいです。。。
12.4.28 日豊本線 大神-杵築

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振り返って逆側を。
こちらは顔に光が当たらない半逆光ですが、
シャープなスタイルの883系はこのような撮り方の方がカッコイイかも。
12.4.28 日豊本線 杵築-大神

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杵築の駅へ戻ると、上り普通列車(4650M)に415系が!
う~ん、運用を把握していれば、これもカーブで撮りたかったところ・・・。
後ろの高架は空港道です。こうやって見るとやっぱり高いなぁ。
12.4.28 日豊本線 杵築

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んで、私の乗る下り列車はというと・・・またも二連の815系。
結局この日乗った列車はすべて815系でした(^^;) 。
12.4.28 日豊本線 杵築

俯瞰ポイントの山を下り、少し駅周辺で「ソニック」などを撮ってから、大分行きの下り普通列車へ乗車。連休中ですが、車内は部活帰りかと思われる学生たちで適度に混んでいたので、側扉脇へ立つことに。オールロングシートの815系の場合、むしろ立っていたほうが景色は見やすいのかもしれません。途中の亀川、別府で空きましたが、そのまま立ち続けて別府湾の車窓風景を楽しみます。前日に続き、この日も大分泊。

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夕暮れ迫る別府湾。海越しに見えるのが国東半島です。
12.4.28 日豊本線 東別府-西大分(車窓から)

杵築1756-(649M)-大分1847

 

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今宵はイカの活き造りをつまみながら、反省会でゲソ。
透き通っているのは鮮度がいい証で、惚れ惚れするほど美しいじゃなイカ・・・。
店員さんに言われて、添えられていたレモンを絞ってみると
(「イカ」にはやっぱり「れもん」だゲソ ^^ )、
触手・・・いや、足がうにょうにょと動くほど新鮮!
コリコリした食感が、もう堪らないじゃなイカ・・・(´∇`)
お造りには焼酎が合うでゲソ。
(語尾に関してはツッコまないでください。解る人だけ解ってくれればいいんです・・・^^;)

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イカ刺しの後、頭と足は天ぷらに。
これまたやわらかくて、すごく美味しいじゃなイカ!
天ぷらにはやっぱりビールの方がいイカ。
お造り、天ぷら加工込みで1500円とは・・・驚きの安さでゲソ。

いか創作料理 「いかや」
大分市中央町4丁目2番27号
tel:097-540-5402

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千鳥足で宿へと戻る道すがら、公園にSLを発見!
これは繁華街中心部の若草公園に保存されているC55 53。
九州らしい門デフが装備されている、凛々しいお姿です。

 


・・・二日目に続きます。



共通テーマ:趣味・カルチャー

九州01・・・日豊本線 485系「にちりん」撮影記(前編) [鉄道旅行記]

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2012.04.28~30
九州01
日豊本線
485系「にちりん」 撮影記 (前編)
  

毎年ゴールデンウィーク(GW)ともなれば、各地で多種多様な臨時列車が運転され、「撮り鉄」「乗り鉄」ともにファンを楽しませてくれます。そのなかで今年、私がもっとも気になったのが、九州の日豊本線で運転される、485系の特急「にちりん」。JR九州の485系と言えば、昨年の九州新幹線全線開業と同時に行われた大規模なダイヤ改正で、定期運用からすべて撤退。かろうじて国鉄特急色に復刻された一編成(Do32)のみが残されましたが、これはもう完全なイベント用なのだろうと思っていました。ところが、2月に発売された鉄道誌(DJ誌)に掲載されていた春の臨時列車一覧表を何気なく見ていると、なんとGWに運転される日豊本線の特急「にちりん」の欄に、『使用車種・485系5両』の文字があるではありませんか! もちろん使用されるのは唯一の生き残りである国鉄色のDo32。しかし、これはリバイバル列車のようなイベントではなく、臨時とはいえ、れっきとした特急列車としての運転です。これには正直、驚きを隠せませんでした。素人考えですが、九州の特急車両なんて古い485系など使わずとも、新幹線の開業で783系や787系に余裕があるはず。それなのになぜ今さら485・・・!?  でも、これは私にとってリベンジを果す絶好のチャンスでもあります。

実は昨年の3月、九州新幹線開業に合わせて九州を訪れていた私は、そのついでに485系の最終運転を日豊本線で撮影しようと計画していたのです。ところがその前日、3月11日に起きたあの大地震の影響で九州の鉄道も終日大乱れ。結局、485系の撮影は幻と消えてしまったのでした。もう撮ることは叶わないと諦めていた九州の485系。それが今になって撮れるなんて・・・これは放ってはおけません。

いつもの私なら天気予報を見てから行き先や日程を決めるところ、今回はどんな状況でも485系の「にちりん」が撮れればいいと思い、早々と3月の時点でGWに九州へ飛ぶ計画を立てました。少しでも時間を有効に使うならば、連休初日となる4月28日朝イチの大分行きの便を予約か・・・しかしGW初日の朝は早割や得割でも、ちと高い。ためしに連休前日の27日を検索してみると、なんとその差は約一万円! これならば前日入りしてホテルで一泊したほうがずっと安くて、翌日も効率がいい。そこで、会社には当日午後からの半休届けを出し、27日の夕方に羽田を発つ便を予約してしまいました。このときはまだ小湊鐵道の桜撮影で有休を取るなんて思ってもいませんでしたが、今考えるとひと月の間に有給と半休を一日ずつ取っちゃうなんて、我ながらずいぶんな暴挙に出たものです(^^;)。そんなワケで今年のGWは九州新幹線開業以来一年ぶりとなる九州鉄道旅へ。もちろん「にちりん」の撮影以外にも撮り鉄、乗り鉄を思う存分に楽しんで来ようと考えています。

  

4月27日(金)

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今回、大分までの空の旅はANAを利用。
ゲートのフライトインフォメーションによると、
この飛行機はB767-300だそうです。
12.4.27 羽田空港

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大分空港から大分市内までは連絡バス。運賃は1500円。
以前は別府湾を縦断するホバークラフトが運航していましたが、
残念ながら09年に廃止となってしまいました・・・。
12.4.27 大分空港

東京・羽田から大分までの所要時間はわずか一時間半。やはり飛行機は速いですね~。鉄道だと東海道新幹線「のぞみ」と日豊本線の特急「ソニック」を乗り継いでも約6時間半ですから、これは比べ物にならず、いくら鉄道好きでも飛行機を使わざるを得ません。ただし、国東半島の東端にある大分空港から大分市内までは別府湾を大きく迂回するためにかなりの遠回りを強いられ、市内へはノンストップの連絡バスでも一時間ほどかかります。地方空港はどこもあまりアクセスが良くないものなのですが、九州の場合、なまじ福岡がとても便利なだけに(空港~博多駅まで地下鉄で10分)、より不便に感じてしまいます。日が暮れた午後7時過ぎに大分駅到着。

東京・羽田1630-(NH197)-大分1805
大分空港1815-(空港連絡バス)-大分駅前1913

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大分は日豊本線・久大本線・豊肥本線が乗り入れるターミナル駅。
こちらは繁華街側に面している府内中央口(北口)です。
12.4.27 日豊本線 大分

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着いたら何はともあれ、まずは大分名物の「とり天」で一杯!
明日への英気を養います。(^▽^)

久しぶりに訪れた大分駅。玄関口となる府内中央口の外観は以前と変わらずでしたが、中に入ってビックリ!なんと列車が発着するホームがいつの間にか高架になっているではありませんか w(゚ロ゚)w (今年3月17日に高架化完成)。この日は一杯引っ掛けた帰りに、ちょこっと寄っただけだったのですが、その変貌ぶりには思わず酔いが醒めてしまうほどでした(笑)。夜は撮影に向かないので、その駅の様子は翌日に撮ることとし、駅前のビジネスホテルにチェックイン。

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大分駅改札前に新たにできた「豊後にわさき市場」。
土産店や飲食店がいろいろと並びます。

 

4月28日(土)

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前日の駅構内散策で「豊後にわさき市場」に
博多で人気のクロワッサンの名店「ミニョン」を発見!
朝食用に「めんたいクロワッサン」を購入しておきました。
コレ、マジウマです・・・☆☆☆☆☆

朝早い初発電車などで出ることも多い私の場合、あまりホテルでの朝食付きプランは選びません。この日はそれほど早い出発時間ではありませんでしたが、いつものように前もって買っておいたパン( ↑ )と飲むヨーグルトで軽く朝食を済ませて出発。まずは列車に乗る前に、前日は暗くて撮れなかった旧・大分駅構内などを少し撮影します。

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前出の府内中央口を入ると、
地平の旧ホームがまだそのまま残されています。
乗り潰し旅をしていた頃は
幾度となくこのホームに降り立ったものでした・・・。
左上に見えるのが新しい高架ホーム。
12.4.28 日豊本線 大分

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大きくリニューアルされた上野の森口(南口)。
ガラス張りの立派な高架駅はまるで新幹線駅のようです。
12.4.28 日豊本線 大分

高架化で大きく変わってしまった大分駅。もちろんきれいで新しい駅は地元の利用者からしてみたら便利で嬉しいでしょうし、駅ビルやショッピングモールが併設された駅は街の活性化にも繋がることでしょう。でも、久しぶりに訪れた旅人からしてみたら、知っているはずの駅風景が消えてしまい、ちょっぴり寂しさも感じます。地平ホームだった頃の大分駅を行き来していた、485系「にちりん」やキハ58「火の山」、寝台特急「富士」「彗星」などが懐かしい (´∀`* )・・・。な~んて、いつまでも遠い思い出にふけていても仕方がないので、さっそくリニューアルとなった大分駅の新・ホームから、旅を始めることにしましょう。

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真新しい高架ホームに停車中の列車たち。
左の真っ赤な列車は豊肥線のキハ200で、
手前が私の乗る日豊線の815系普通列車。
12.4.28 日豊本線 大分

さて、今回の撮影ターゲットとなる臨時の485系「にちりん」は、大分と小倉の間を二往復する運用。まずは上りの「にちりん82号」を狙います。しかしこの「82号」は午前中に大分から小倉へ向けて北上する列車で、杵築や立石と言った有名撮影どころでもあまり光線状態が良くない。編成全部とは言わないまでも、せめて「にちりん」のマークを掲げた顔だけでもきれいに光が当たるところは無いのだろうか・・・と、地図を広げて見てみると、湾曲した別府湾沿いに走る日豊本線のうち、豊後豊岡から日出(ひじ)の先までのわずかな区間だけ上り線が東を向いて敷かれています。とくに南東方向を向く日出駅周辺が良さそう。日出で降りたことは一度もなく、抜けの良い撮影地などあるのかどうか解りませんでしたが、最悪駅撮りでもいいやくらいの軽い気持ちで下車してみることにしました。

大分0748-(日豊628M)-日出0815

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初めて降り立った日出(ひじ)駅
線路下の地下道から階段をのぼったところに駅舎がある
ちょっと変わった構造の駅でした。
12.4.28 日豊本線 日出

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駅北側の高台に出たところで、
883系の特急「ソニック」がやってきました。
この883系、JR九州初の振り子特急と言うことで、
本来は881系と名乗る予定でしたが、
形式ロゴを貼付ける際にデザイナーさんから
「直線的な「1」よりも曲線の「3」の方が美しい」
と言う理由から、883系になったのだそうな。
12.4.28 日豊本線 日出付近(後追い)

順光の撮影地を求めて線路沿いの道を歩いていると、傍らを特急「ソニック」が高速で通過。この写真は下り列車の後追いですが、思惑どおりに上り方の顔には日が当たっています。あとはもう少しスッキリと撮れるところを探したい。さらに歩みを進めて途中で何カ所か撮影地の目星をつけ、最後に駅から20分ほどのところにあるカーブ脇の踏切へとやってきました。上り列車はこのカーブで大きく進行方向を変えて北側を向いてしまうので、言わばここがこのあたりで最後の順光ポイントとなります。ちょうど踏切が鳴ったので、ためしに一枚撮ってみると・・・

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まず現れたのは、415系の普通列車。
ここを通過する普通列車の大半は先ほど乗ってきた815系で、
415系は意外と貴重だったりします。
でも正面気味に撮ると、幕板部の青ラインが見にくくて
まるでちょっと前の常磐線を撮っている気分・・・(^^;)。
12.4.28 日豊本線 日出-大神

お、いい感じ。カーブをゆく列車を正面気味に捕らえる、なかなか迫力のあるカットになりました。背景も緑一色に埋まるので悪くない。斜めに横切るケーブルの影がややウザイけど、この辺はずっと順光側に架線柱があるのだから致し方ありません。まあコレくらいは目をつぶりましょう。最初の「にちりん82号」はここで撮ることに決定です。まだ通過までは一時間ほどありますが、日豊本線は特急列車の本数が多く、魅力的な車両が次々にやってくるので退屈はしません。

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振り子列車らしく、車体を傾かせて走り抜ける
883系の「ソニック」、通称「青ソニ」。
強い光に照らされて、メタリックブルーが輝きます。
サンバイザーの「SONIC」ロゴもカッコイイ (・∀・)!!

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こちらは885系「ソニック」、通称「白ソニ」。
個人的に885系は「ソニック」よりも
長崎本線の「かもめ」という印象が強いです。
窓の縁取りも青より黄色の方が好きだったな・・・。
あ、よく見るとサンバイザーは「KAMOME」のままだ (^^;)

415系、883系、885系と、どれも同じアングルに見えますが、架線ビームの影落ちを嫌って、微妙に立ち位置をずらしています。この他にも783系「ハイパーサルーン」などもやってきたものの、見事に影落ち撃沈でした。485系では影落ちなんていう失態は絶対にしたくないところ。慎重に位置を決めて、いざ本番。

0019.jpg

カーブの奥から姿を見せたのは、懐かしい国鉄色485系の特急「にちりん」。
奇抜なスタイルの後輩たちに混じって、最南端の国鉄特急型がここに健在!
日豊本線の特急には、「にちりん」マークを掲げた485がいちばん似合います。

念願の国鉄色485系「にちりん」を撮れた~ヽ(´▽`)ノ 。まさに一年越しの願いが叶った感じです。国鉄色の485系、最近では信越線の「北越」などでも撮影していますが、やはり九州の485系と言うと、ひと味違った魅力があります。網目のタフォンカバーなんて、いかにも九州らしくていいじゃないですか。それにしても気になるのはその痛み具合。しばらく野ざらしにされていたせいか、雨による水垢汚れや屋根の退色など、かなり激しくて痛々しい (´;ω;`)。アップで撮るのはコレ一枚にしておいた方が良さそうですね・・・。でも何にせよ、とりあえず485系「にちりん」の一本目は大満足の結果となりました。

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実は本番を撮ったカーブとは別にもう一カ所、
この直線ポイントのどちらで撮ろうか悩みました。
でも485系の通過時間には、
まだ左側面まで光が回らなさそうだったので、
カーブからの正面を選択。
帰り際に883系を撮ってみましたが、
やはりサイドに光は回っていませんでした。
12.4.28 日豊本線 日出-大神(後追い)

0021.jpg

ちなみにこの撮影地付近は道路の拡張工事(?)が行われていて、
近い将来にはスッキリ撮れなくなってしまうかも・・・?
12.4.28 日豊本線 日出-大神

さてお次は、今の折り返しとなる下りの「にちりん83号」を撮るために撮影地を移動。日出駅から再び日豊本線の上り列車へと乗り込みます。

0022.jpg

日出駅に入ってきた815系。
一編成二連のローカルタイプで、車内はロングシートのみ

乗り心地は悪くないけれど、ちょっと味気ない電車なんだよなぁ。。

12.4.28 日豊本線 日出

 


・・・後編へ続きます。



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