スイスⅣ 02・・・ベルンでちょい鉄 撮影記 [あおたけ的 SWISS紀行]
仕事で訪れているスイス。前回の続きです。
今回の出張は前回紹介したイヴェルドンを基点に、何軒かの訪問先をクルマで巡るもので(もちろん私ではなく、コーディネーターの運転)、その途中に線路と並行して走ったり、駅をチラッと見かけはするものの、ネタになりそうな鉄分はほとんど得られませんでした。そんな中で迎えた終盤の五日目。この日はちょっと遠出をして、首都ベルン(Bern)へと向かう日程。しかし移動はやはりクルマなので、あまり鉄分の期待はしていなかったのですが、思わぬところで「鉄の神様」が降臨してくれました。
6月22日(金)
早朝にイヴェルドンのホテルを出発。本来イヴェルドンからベルンまではアウトバーン(高速道路)で一時間ほどの距離なのですが、今回は途中でヌーシャテル(Neuchatel)に住む現地スタッフを拾っていくことになっているので、少し遠回りして向かいます。でもそのおかげで、高速を降りて一般道を走っていると、ウマい具合にクルマがローカル線の踏切に引っかかりました。まずは一つ目の「鉄神降臨」(^^)。以前にも書きましたが、コッチの踏切は鳴ってから列車が来るまで余裕があるので、クルマを降りてカメラを構えます。単線のローカル線、一体どんな列車が来るのでしょうか。
踏切で足止め。
鉄にとっては嬉しいタイミングです。(^^)
朝の麦畑を走り抜けてゆくのは、
ちょっと変わった紅白の塗り分けをしたこんな電車。
ジキルとハイド・・・?
いや、最近では「いぶたま」っぽいと言うべきか。(^^;)
スイス TRN Sugiez-Ins
麦畑の向こうから現れたのは、SBB(スイス国鉄)ではなく、ヌーシャテル地域交通(TRN)という私鉄の電車でした。ただし塗り分けは違うものの、車両自体は前回イヴェルドンの跨線橋で撮ったSBBのRABe523形とほぼ同形。最近はこの流線型をした低床タイプの電車を、スイス各地で多く見かけるようになりました。まあ同じ新世代車両でも、ステンレスが主流の日本よりはちょっとオシャレに見えるかな・・・。撮影後は踏切が開き切る前に急いでクルマへと戻ります。
ヌーシャテル湖とムルテン湖を結ぶカナル川。
大きな湖が多いこのあたりは朝靄が発生しやすいとのこと。
ムルテン(Murten)付近で再び高速へ乗ったあたりから、私は睡魔に襲われてウトウト・・・(´-ω-)。o◯ 滞在五日目で時差ボケは解消されつつあるも、異国での仕事疲れと朝7時出発ではムリもありません。しばらくして気がつけば、クルマは先ほどののどかな雰囲気と打って変わって、賑やかな市街地を走っていました。どうやらいつのまにかベルンの街に入ったようです。
中世ヨーロッパの面影が色濃く残る、美しいベルンの街並み。
スイスの首都・ベルン。チューリッヒ、バーゼル、ジュネーヴに次ぐ第四規模の都市で、湾曲するアーレ川に囲まれた土地をいかして古くから発展し、大聖堂や時計塔、彫像が美しい泉などが現在も多く残る旧市街は、世界文化遺産に登録されています。またアインシュタインが特殊相対性理論などの論文を執筆した場所(アインシュタイン・ハウス)であることでも有名な街。
そんな歴史や文化に富み、美しい街並みを誇るベルンですが、スイスの都市の中でも私はあまり縁がない方で、過去に一度、夜遅く着いて翌朝早くに出発する、腰掛け程度でしか訪れたことがありません。今回も仕事で郊外には行くものの市内は素通りかと、ちょっと残念に思っていました。ところが、訪問先の方がとても親切で、なんと仕事の合間のランチにベルン市内のレストランを予約していてくれたのです。しかもその予約時間まで少し時間があるからと、ついでにこんな名所にも連れて行ってくれました。
赤いトロリーバスが走るベルンの街。
一見何の変哲も無い街角風景に見えますが・・・
おや?何やら左上の方に不思議なモノが・・・?
( ゚д゚)・・・(つд⊂)ゴシゴシ・・・(;゚д゚)
クマ━━━━ヽ( ・(ェ)・ )ノ━━━━!?
街中に突如現れた、電線をアルクマ・・・いや、歩くクマ。もちろん本物ではないユニークなオブジェですが、なぜゆえにクマなのか? それはベルンという街の語源が熊(独語のBar)からきていて、市の紋章にもなっているシンボルなのです(1191年にこの街を つくったツェーリンゲン家のベルヒトルト5世が狩りで最初にしとめた 動物が熊だったらしい・・・^_^;) 。そしてこの電線グマのすぐ横にあるのが、その名も「熊公園 (BARENGRABEN)」。
本物のクマを見ることができる、ベルン市内の熊公園。
ここはガラス越しに間近でクマの姿を見物することができる人気スポットの一つで、この日も観光客や親子連れが多く見られました。でも、実は私がここでクマ以上に感激したのは、なんといってもその公園内の高台から見た眺め。アーレ川越しにベルンの旧市街が一望できるのです!
湾曲したアーレ川とその向こうに広がる旧市街地。
これぞ世界遺産・ベルンを象徴するような景色です。
うーん、まさに絶景!!これはクマよりも眺望の良さをウリにした方がいいのではないかと思うほど。クマのことなど忘れて、しばし景色に見入ってしまいます。これでどこかに列車の姿でもあれば最高なんだけどな・・・と目を凝らすも、ご覧のとおり旧市街は建物が密集していてよく解らず、大聖堂の左へと伸びている高いアーチ橋はバスやトラックが遠目にも確認できる道路橋。残念ながら鉄道橋ではない・・・と思いかけた瞬間、なんとそのアーチ橋上を赤い電車が走ってゆくではありませんか!
街や川を見下ろすように架けられた高いアーチ橋、
「キルヒェンフェルト橋」を渡る赤い電車。
・・・って、いちおうクリックで拡大するケド、
ちょっと小さくて解りづらいですよね。(^^;)
スイス ベルン市内
そこで、橋の部分をズームアップ。
たしかにアーチ橋の上を電車が走ってゆくのが解ります。
道路を走る電車、どうやらこれはトラム(路面電車)のようです。でも一両や二両編成ではなく、広島電鉄の「グリーンムーバー」のように長い編成のトラムなので、それなりに電車としての存在感があります。何よりも、たとえ路面電車であれ、この美しい景色のなかで「鉄道写真」が撮れたのですから、鉄としては嬉しい収穫です。これでこの日二つ目の「鉄神降臨」。それにしても、まさか「熊公園」で撮り鉄ができるとは思わなかったなぁ・・・。
もう一枚、今度はスイスで一番の高さを誇る、
ベルンのランドマーク、大聖堂を大きく入れてみました。
修復工事中だったのが残念・・・(>_<)
正午の鐘が街に響く頃、トップライトに照らされた
トラムの屋根がキラリと光りました。
クマ見物に連れてきたのにクマの檻には近づかず、高台から遠くのトラムばかりを撮っていた客人をちょっと複雑そうな目で見つつ、先方の方は続いて旧市街中心部のレストランへと案内してくれます。その道すがら旧市街へ入ると、先ほど遠目に見ていたトラムを間近で見ることができました。
旧市街中心部を走る、真っ赤なベルン市電。
広電「グリーンムーバー」などと同じ低床の関節式連節車ですが、
7車体(7連)とは、これまた長いトラムですね~。(^^)
スイス ベルン市電 Bern Zytglogge付近
先方がランチに連れて行ってくれたのは、
「コルンハウス・ケラー(Kornhaus keller)」という
穀物庫を改造した有名なレストラン。
高い天井と両側に突き出たバルコニーが
まるで劇場のような内装です。w(゚ロ゚)wオォォー!!
私はためしに「シェフのオススメランチ」をチョイス。
メインは牛のテールシチューっぽい感じでした。
日本人としてはパンよりもゴハンが欲しくなるお味で、
付け合わせがリゾットだったのも納得??
☆☆☆・・
デザートは杏のパンナコッタ。
パンナコッタを食べた後に下の杏を食べると、
かなり酸っぱく感じますが、
一緒に食べるとほどよい酸味となって美味でした。
☆☆☆・・
Restaurant Kornhauskeller(コルンハウスケラー)
ランチタイムを終えてレストランを出ると、今度は先方の方がちょっと先で手招きして呼んでいます。どうやらレストランのすぐ脇にある、橋の上からの景色を私に見せたいらしい。きれいな景色なら、もうさっきの熊公園でじゅうぶんと思いつつも、後に付いていってみると・・・なんとそこで、またしても「鉄神降臨」!!
新緑の木々に囲まれて、美しいアーレ川を渡るのは、
SBBのRe460形に牽引された客車列車。
スイス スイス国鉄 ベルン付近 (Bern-Bern Wankdorf)
レストランと同じ「コルンハウス」という名前の橋(Kornhaus brucke)から見た景色。先ほどの熊公園と同じくアーレ川を渡る列車の姿が見えますが、今度はトラムではなく、もっと嬉しいSBBの列車です! まさか食事をしたレストランから徒歩3分もかからないところで、こんな素晴らしい鉄道撮影スポットに巡り会えるなんて・・・鉄神に、いや、これはもう食事に連れて行ってくれた先方の方に感謝感激雨あられです!d(≧▽≦)b グッジョブ!
続いてやってきたのは、オール二階建て客車のIC2000形。
一見電車のように見えますが、先頭車で制御ができる客車列車で、
後方には一枚目の列車同様にRe460が連結されています。
今度はタテ位置でカメラを構えていると、
SBBとは異なる黄緑ラインの列車が現れました。
これはベルンを中心に運転されている、BLSという私鉄の列車。
美しい景色のなかを次々やってくるSBBやBLSの列車たち。ここならば一日中いたって飽きそうにありません。しかし無情にも仕事で来ている我が身に与えられた時間はわずか5分のみ。名残惜しいところではありますが、後ろ髪を引かれるような思いで橋を後にします。それでもここで三本もの列車を撮ることができたのですから、満足しなくてはいけません。いつかまた仕事でなくプライベートでベルンを訪れることができたなら、そのときにゆっくりと撮影を楽しむことにしましょう。
ベルンのアンティークショップでつい衝動買いしてしまった
SBBの名機「クロコダイル」ことCe6/8II形の置物(ペーパーウェイト?)。
手前の小さなSLとセットで60スイスフラン(約5000円)でしたが、
はたして高いのか安いのかよくわかりません (^^;)
まあ、ベルンに来た想い出だと思えばいいか・・・
(これでもCHF84から値切ってCHF60にしたのです)。
撮り鉄だけでなく、もちろん仕事の方も滞りなく順調に進み、最後はそのベルンからの帰り道。また朝のように踏切にでも引っかからないかな~なんて思いながらクルマに揺られていると、途中で駅に停車中の列車を追い越しました。そこで、ちょっとドライバーさんにお願いして止めてもらおうとしたら、なんと「この先にいい撮影ポイントがあるぞ」と教えてくれます。この方は鉄ではありませんが、この辺を走り慣れているプロのドライバーさん。小さな川を跨ぐ橋の横にクルマを止めてくれました。そこで撮影できたのが今回のスイス鉄、ラストとなるこのカットです。
古そうな味のあるトラス橋を渡る、BLSの列車。
スイス BLS Marin-Epagnier-Zihlbrucke
鉄にとってトラス橋は車体が鉄骨に覆われてしまい、意外と敬遠されがち。なので、ここはいかにも非鉄のドライバーさんが選んだポイントだな~って感じがしたのですが、いざ撮影してみると案外悪くない絵になりました。この路線は一時間に一本程度のローカル線ですから、これも鉄神が降臨したといっていいかもしれません(^^)。朝の踏切から始まって、ベルンでの熊公園とコルンハウス橋、そして帰りのトラス橋と、撮り鉄で訪れたわけでないのに、実に四度の「鉄神降臨」に恵まれ、鉄としては最高にラッキーな一日となりました。
前回のフリータイムと打って変わって、
この5日目は一日中いいお天気でした。
真っ青に染まったヌーシャテル湖を目に焼きつけながら、
宿のあるイヴェルドンへと戻ります。
そして翌日は帰国日・・・。
今回のスイス出張はいつもに比べて移動距離が少なく、またイヴェルドンという比較的小さな街にずっと滞在していたこともあって、ジュネーヴやチューリッヒのような鉄ネタにはあまり恵まれないかなと思っていたのですが、イヴェルドンでのフリータイムでは駅撮りに加えて沿線撮りも楽しみ、そしてベルン往復では「鉄の神様」・・・というより、実際は先方の方やドライバーさんの親切のおかげで、思いがけずいろいろな鉄道シーンに遭遇することができました。今回の「スイス紀行Ⅳ」はこの二回で終了ですが、鉄的な内容は濃かったのではないかと思っています。約一年ぶりに訪れたスイス。景気の問題と私の仕事内容から年々減っているスイス出張ですが、また訪れる機会があることを願って帰国の途へとつきました。
6月23日(土)~24日(日)
GVA1000-(LX2807)-ZHR1100
ZHR1300-(LX160)-NRT0750
今回、成田からの帰りには初めて
スカイアクセスの「スカイライナー」を利用しました
(往路はNEX)。
座席はNEXよりも若干ピッチが広いものの、ちょっと薄っぺらい印象。
でもシックな装いのNEXに比べて、白とブルーを基調とした
明るいスカイライナーの車内は、とくに朝便で着く者にとっては
気分的に爽やかで、好感が持てました。(^^)
京成スカイアクセス線 成田空港
成田空港0919-(スカイライナー4号)-京成上野1005
スイスⅣ 01・・・イヴェルドン 徒歩鉄散策記 [あおたけ的 SWISS紀行]
先週書いた「ONE-shot」の冒頭でもちょこっと触れたように、今月は週末休みが何日か潰れてしまうほどの大きな仕事を抱えてしまいました。こう書くと、ずっと会社に缶詰状態で、ひたすらデスクワークをしているように思われるかもしれません。でも実は一週間ほどの海外出張を命じられていたのです。その行き先はと言えば・・・またもやスイス。このブログに長くお付き合いいただいている方ならご存知でしょうが、私の海外出張はスイスに特化しており、過去にも三度、出張ついでのスイス旅行記を綴ってきました(仕事の出張なので「旅行」じゃないんですけどね・・・^^;)。海外とはいえ、同じ国の同じ都市ばかりではさすがにネタが尽きてきたものの、日本と同様・・・いや、それ以上とも言える鉄道王国・スイス。行けば何かしらの鉄ネタに巡り会えるもの。TGVでパリへ行った前回のスイス編Ⅲのような派手さはありませんが、今回も少しだけ「あおたけ的・スイス紀行」にお付き合いいただけたらと思います。ちなみにいつものことながら、私のスイス紀行ではアルプスの山々や美しい湖などの、いわゆるハイジ的な観光地とはほぼ無縁の鉄道や都市部がメイン。なので、スイスのキーワードでこのページに辿り着いた方には申し訳ないのですが、観光の参考などにはなりづらいと思われますので、この先を読まれる方はあらかじめご承知置きを・・・m(_ _)m。
6月18日(月)
NRT1025-(LX161)-ZRH1550
ZRH1735-(LX2810)-GVA1825
チューリッヒからジュネーブへ向かう機上から、
晴れていれば進行左手にはアルプス山脈が(スイス編Ⅰ参照)、
今回のように右手窓側席だとレマン湖を眺めることができます。
そのレマン湖畔をよ~く目を凝らしてみると、
走ってゆく列車の姿がありました。
二階建てのSバーンタイプなので、RABe511形かな?
今回もスイスインターナショナル・エアの「LX-161便」と「LX-2810便」をチューリッヒで乗り継ぎ、東京から約14時間かけてジュネーヴへとやってきました。いつもならこのジュネーヴが最終目的地なのですが、今回はここからさらに列車で移動を続けます。スーツケースをガラガラ引きずって、ジュネーブ空港の地下にあるスイス国鉄(SBB)の駅へ。私にとっては飛行機を降りた瞬間やイミグレを通る時よりも、駅でSBBの列車を見ることが、いちばんスイスへ来たのだと実感します。そう言う意味で、着いてすぐに列車へ乗れる今回はちょっと嬉しい。
地下のジュネーヴ空港駅に待機していたのは、
バーゼル(Basel)行きICN643。
このICN(特急)に使用されているRABDe500形は、
振り子機能を搭載した動力分散式の特急形車両です。
個人的にはあまり好きなデザインじゃないけれど・・・。
スイス国鉄 ジュネーヴ空港 (Geneve-Aeroport)
時間に正確なスイスの鉄道らしくキッチリと定刻に空港駅を発車したICNは、ジュネーヴ市内を抜けて、先ほど上空から見たレマン湖沿いの線路を東へと進みます。本当ならいつものようにジュネーヴ市内に宿を取って、そこを拠点とする予定だったのですが、なぜか今回は手頃なジュネーヴの宿がどこも満室(時計かクルマの展示会か、もしくは国連で会議でもあるのか・・・?)。五つ星のスイートなら空き室アリでも、一泊3000スイスフラン(約25万円)では、会社の経理部に殺されてしまいます。そこで今回は、より訪問先に近い「イヴェルドン(Yverdon)」という怪獣のような名前の街に滞在することにしました。訪問先に近いならコッチの方がいいじゃないかと思われそうですが、レジャーでなく仕事で滞在するのならば、ジュネーブやチューリッヒのような慣れた都市の方がいろいろと勝手が解って都合がいいのです。はたして初めて訪れるイヴェルドンとは、いったいどんな街なのだろう・・・。
車窓にはアルプスの山々とレマン湖がチラリ・・・。
上空から見ていたほど湖の眺めは良くないですね。。。
スイス国鉄 ニヨン(Nyon)付近(車窓から)
今回の目的地はジュネーヴ市内ではないので
スイス編Ⅱで紹介したフリーチケットは使えず、
きっぷはあらかじめオンラインで購入しておきました。
プリントアウトした用紙とパスポートでチェックされます。
それにしても、こんな紙っぺら(Eチケ)で国際線の飛行機や
異国の鉄道に乗れる時代になったんだなぁ・・・(^^;)
ジュネーブからICNで約一時間、
イヴェルドンの玄関口であるイヴェルドン・レ・バン駅に到着。
まだ明るいですが、すでに午後8時過ぎです。
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン(Yverdon-les-Bains)
Geneve-Aeroport 1905-(ICN643)-Yverdon-les-Bains 2002
ジュネーヴから東へ約70キロに位置する、仏語圏の小都市イヴェルドン。ローマ軍の北進ルート上にあり、ケルトやローマ時代の遺跡が発掘されている歴史的な町ですが、何と言ってもここで有名なのは温泉。紀元前からの伝統を誇る名湯の地で、街に数多く存在するスパセンターへ保養や療養目的でスイス国内はもとより欧州各地から多くの人が訪れます。駅名や街名にも仏語で風呂や温泉を意味する「バン(Bain)」が付いていて、正式な駅名はさしずめ「イヴェルドン温泉駅」と言ったところ。たしか10年くらい前にこの駅を列車で通った時には、まだ単なる「イヴェルドン」という駅名だったと思うので、最近になって観光客誘致のために改称されたのではないでしょうか。日本の城崎→ 城崎温泉のようなものかな・・・。ちなみに温泉と言っても日本のようなオフロではなく、温水プールみたいなもので、もちろん水着着用が原則です。実は私が滞在したホテルにもバンが併設されていましたが、水着を持ってきていないし、仕事以外に少しでも余裕があるのなら、私は温泉よりも駅へ行って列車が見たい。そこで、ここからは再び鉄の方へと話題を戻します。
スイス国鉄を表す「SBB CFF FFS」マークが掲げられた
「イヴェルドン・レ・バン」駅の駅舎。
駅構内にはキオスク(売店)の他、
小さなスーパー(COOP)とファーマシーが併設されていました。
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン(Yverdon-les-Bains)
イヴェルドン・レ・バン駅はジュネーヴとチューリッヒやバーゼルを結ぶSBBのメイン路線上にあり、特急も停車する主要駅の一つ。また、この駅からはヌ・シャテル湖の南岸沿いにフリブール(Fribourg)方面へ向かうSBBのローカル線と、以前にも紹介したサン・クロワ(SAINT-CROIX)への中小私鉄「ヴァレ・ド・ジュー=イヴェルドン・レ・バン=サン・クロワ交通 (TRAVYS)」が分岐しています。さらにこの駅が鉄的に興味深いのは、貨物のヤードが併設されていて、頻繁に貨物列車の姿が見られること。ジュネーブやチューリッヒのような大きな駅ではないけれど、特急やローカル線、さらに貨物列車と、なかなか楽しい鉄道ウォッチングができそうです。ただし残念なのは、滞在中に唯一と言っていいほど与えられたフリータイムの日が一日じゅう雨模様でした・・・。:il!:il|Y_(´д`;))!l|il:|; ザアアァァ…
まずは黄色いコンテナ車を従えて、颯爽と現れたのは
以前にも紹介した「スイスのEF65」こと汎用機のRe420形。
ただし車軸配置はBo-Boの日本で言うD級機。
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン(Yverdon-les-Bains)
次に入ってきたのは、このブログ初登場のAe610形。
Re420よりも一回り大きい、Co-Co車軸配置のF級機です。
最大392kNの牽引力と125km/hの最高速度を特徴とする強力機で
かつてはゴッダルトルートの旅客列車牽引なども担っていましたが、
現在では貨物専用機として活躍しています。
貨物機なのでチューリッヒ中央駅やジュネーブでは
あまり見かけることがないんですよね・・・。
嬉しいことにこのカモレには次位にDLがムドで付いていました。
同じくAe610形の「SBBcargo」塗装機が入換え中。
貨物機のAe610はこの「cargo」色化が進んでいるのかな・・・・?
まるでJRFの更新色塗装が進むロクヨンみたい。
奥の留置線にいたのは、旧塗装で緑色のRe420!(゚∀゚)
国鉄色・・・って言い方とはちょっとニュアンスが違うけど、
強いて言うならば、昔の茶色いEF60みたいな感じ。
現在Re420の標準塗装は上に紹介した赤色で、
緑色の旧塗装は三機程度しか存在しない、まさに「ネタガマ」。
できれば運用に入っている姿が撮りたかったな・・・。
こちらはイヴェルドン駅の一角から出ている、中小私鉄の
「ヴァレ・ド・ジュー=イヴェルドン・レ・バン=サン・クロワ交通
(TRAVYS)」 。
一見路面電車のようなカワイイ車体ですが、
実は峠越えの急勾配を軽々と進む、力強い電車です。
スイス TRAVYS イヴェルドン・レ・バン(Yverdon-les-Bains)
電車の横に鎮座していたTRAVYSのEL。
車体側面にワニの絵が描かれているユニークな機関車です。(^^)
いつもイヴェルドンを列車で通るたび、コイツが気になっていたんですよね・・・。
私が駅に行った時間帯、SBBの旅客列車は先ほどジュネーヴから乗ってきたのと同じICNのRABDe500形しか来なかったので、ここでは貨物列車と私鉄のTRAVYSを中心にご紹介しました。旧塗装の「ネタガマ」や中小私鉄が各地に多く存在するなど、スイスの鉄道は時間に正確というところだけでなく、趣味的に見ても日本の鉄道に似たところが多くて、とても興味深いものがあります。
さて、今度は駅を離れてイヴェルドンの街中散策へと出かけてみましょう。いくら鉄でも、さすがにフリータイムをずっと駅で過ごしてしまうのはもったいない。とくに今回は初めて訪れた街ですし・・・。とは言うものの、いっこうに雨はやむ気配がなく、時間的にもそれほど余裕があるわけではないので、駅周辺の市街地をちょこっとまわる程度。しかも事前に地図や観光ガイドなども用意していない、まさに行き当たりばったりの散策です。ヽ(´o`;) ダイジョブカ ?
細い路地に商店と教会がひしめき合い、
いかにもヨーロッパの古都っぽい雰囲気が漂う
イヴェルドン旧市街のラック通り。
ラック通りを抜けると、イヴェルドン一の見どころである
ペスタロッツィ広場へと出ました。
正面に見えるのはランドマーク的存在のノートルダム教会。
ノートルダム教会の対面にあるのはイヴェルドン城。
現在では博物館になっているのだそうです。
教会とお城、さらに撮り忘れてしまいましたが、
市庁舎が立ち並ぶペスタロッツィ広場。
イヴェルドン観光はここにすべてが凝縮されていると言っても
いいのかもしれません。
残念ながらイヴェルドンにはトラムのような路面電車はなく、
市内の公共交通はバスがメイン。
先ほど紹介した私鉄のTRAVISがバスを運行しています。
ちなみにこのバス、よ~く行き先表示器を見てみると・・・
運転手さんはコーヒーブレイクでした。(^▽^)
単なる「回送」表示よりもユーモアがありますよね。
バス以外の移動手段としては、こんなのもオススメ。
街中の各所で見られたレンタサイクルの自販機です。
でも仏語表示だけだったので、借り方が解らなかった・・・。
お城の外濠から駅方向を眺めると、
ちょうどレール輸送のDL(工臨?)が
ゆっくりと通過してゆくのが見えました。
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン(Yverdon-les-Bains)
街中散策のブレイクにちょっと一杯。
犬のマークのスイスビール「BOXER OLD」。
クセはなく、意外とアッサリしていて飲みやすかったです。
イヴェルドンの中心は駅周辺の半径数百メートル程度。ジュネーブやチューリッヒのような大都市ではないので、ザックリとした散策なら、ものの20~30分もあればじゅうぶんにまわり切ることができます。これに前述の温泉入浴や博物館鑑賞などを含めて、およそ半日言うのが一般的な観光コースのようです。私はといえば、コーヒー・・・いや、ビールブレイクを挟んでひたすら歩き続け、市街地の端の方までやってきました。もうこの先に見どころは無さそうなので、来た道を戻ろうとしたのですが、さらに先の方に見える陸橋のようなものがちょっと気になります。あの陸橋が越えている下にあるのは道なのか、川なのか、ひょっとして鉄道の線路なんじゃないか・・・? 確証はないけれど、直感的に「鉄センサー」がビンビンに反応しています。ためしに近づいてみると・・・ビンゴ!(゚∀゚)
イヴェルドンの市街地を抜けたところに見えてきた陸橋。
その陸橋の下をRABDe500形が高速で通過してゆきました。
方向的には奥のカーブの先がイヴェルドン駅です。
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン~エペンデス(Ependes)
直感が当たり、陸橋の下にあったのはSBBメイン路線の線路でした。鉄ならば駅から出ている線路の方向でだいたい予測がつきそうなものですが、このイヴェルドン周辺は市街地を迂回するように線路が引かれていて、まさか駅を背にして歩いてきたのに、再び線路に当たるとは思っていなかったのです。しかもここは緩いカーブを俯瞰気味に撮影できるなかなかの好ポイント。適当に歩いて来たにしては、いい場所に巡り会えました。残り少なくなったフリータイムで果たしてどれだけの列車が撮れるのかは解らないけれど、しばらくここで撮影してみることにします(あまり行く人はいないと思いますが、一応撮影地の場所を添付しておきます。この地図を見てもイヴェルドン駅を出た線路が大きく迂回しているのが解りますね。^^)。
再び現れたRABDe500形のICN。
なんてことない郊外の撮影地ですが、奥に見えるアーチ橋が
なかなかいいワンポイントになってくれます。
陸橋の反対側から撮った普通列車(Sバーン)のRABe523形。
最近、スイス各地で増殖中の一般形車両です。
スイス国鉄 エペンデス~イヴェルドン・レ・バン
交流電化のSBBは地上設備が簡素なので、橋のどちら側からでもスッキリと撮ることができます。しかしこの陸橋は案外クルマの交通量が多くて、列車の姿が見えてから道路を渡るのはちょっとキビシい。ここは欲張らずにどちらか片方に張り付いていた方が良さそうです。それならば、やはりアーチ橋が見えるイヴェルドン側の方がいい。ところがこれが裏目に出てしまいました。せっかくならここで一本くらい貨物列車が撮りたいと思っていたのですが・・・貨物がやってきたのは逆側。(´・д・`)
赤いRe420に牽引された貨物列車が去ってゆきます。
苦し紛れに後追いで見送り・・・。
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン~エペンデス(後追い)
貴重な貨物を「見る鉄」だなんて、うーん残念。私が狙っているイヴェルドン側からも貨物が来てくれないかなぁ・・・と、祈るような気持ちで待ち続けるも、来るのは電車のSバーンやICNばかり。一時間近くが経ち、諦めかけたその時、アーチ橋の向こうに赤い電気機関車の姿が見えてきました! か、貨物か!?
やってきたのは客車列車のIR(急行)。
今やスイスでも減りつつある、貴重な客車列車です。
先頭のカマは客貨両用のおなじみRe420。
統一感のない珍ドコ編成の客車列車は、やはり味があります!
スイス国鉄 イヴェルドン・レ・バン~エペンデス
貨物ではありませんでしたが、機関車が牽引する客車列車が来てくれました~ヽ(*´Д`*)ノ。 でもその姿に舞い上がってしまい、ものの見事にパンタが串刺し。落ち着いてもう少し手前まで引き付けるべきでした・・・orz。それでも、最後に大きな収穫を得ることができたので満足。限られた少ない時間の中で、駅撮り、街散策、そして思いがけず沿線撮りと、天気が悪いながらも充実したイヴェルドンでのフリータイムとなりました。
この日のディナー。
メインはイヴェルドンの東側に広がる
ヌ・シャテル湖で獲れたスズキ系の白身魚。
(名前忘れた・・・(´Д`;)
淡白な身とバターソースの相性が抜群でした。
☆☆☆☆・
翌日のメインは肉料理で、ラムチョップをチョイス。
日本ではジンギスカンくらいでしか食べないラムですが、
スイスへ行くと食べたくなります。
でも、今回のコレはちょっと臭みが強かったかな・・・。
☆☆・・・
ヨーロッパと言えばやっぱりデザートは欠かせません。
今回もほぼ毎日のようにいろいろと食べてきましたが、
そのなかでいちばん好みだったのはコレ。
シュー生地にバニラアイスが入り、チョコをかけたもの。
いわゆる「シューアイス」なのですが、
さすがスイスだけあって、チョコの濃厚さが違います。
.:*・(´▽`)゚・*:.。.☆☆☆☆・
そして今回楽しみのひとつだったのは、
サッカーの欧州選手権(EURO2012)をリアルタイムで見られること。
試合が行われているポーランドやウクライナまでは観戦に行けませんが、
同じヨーロッパにいるだけでも熱気を肌で感じることができます。
残念ながら今大会、スイスは出場しなかった(予選敗退)ものの、
まわりを囲む独・仏・伊の試合では異様な盛り上がりを見せていました。
そんなEUROもベスト4が出そろいましたね。
・・・続きます。
ONE-shot 93 内浦湾のキセキ [PICK UP ONE-shot]
夏至近くで、もっとも日の長いこの時期にしか撮れないとされる、
長和の丘から夕日を浴びた寝台特急「カシオペア」を撮ることが
狙いだったのですが、当日は雨模様で夕日は見られず撃沈。
今年こそリベンジを果したいと思っていたのですが・・・
残念ながら、ちょっと大きな仕事を抱えてしまい、
有給はおろか、しばらくは週末も休みが取れそうになく、
今年の北海道行きは幻と消えてしまいました・・・(´・ω・`)。
そんなわけで、週末はどこにも撮影へ出られなかったので、
こちらも「カシオペア・ギラリ」のポイントとして有名な
函館本線・落部~野田生の内浦湾俯瞰で撮影した「カシオペア」です。
しかし、最寄り駅の落部に停車する初発の普通列車は7時過ぎで、
6時頃に通過する「カシオペア」をここで撮るには、
徒歩鉄だとかなりキビシいものがあります。
そこで、このときは函館でレンタカーを借りて午前3時に出発。
函館から70キロの落部まで
三時間もあれば余裕で到達できると考えていました。
普段運転しない私にとっては、ちょっとドキドキワクワクの深夜ドライブ。
深夜ラジオでも聞きながらのんびりと・・・なんて思っていたのですが、
真夜中の国道5号線はまさにトラック街道。
カーブが多く、対面通行の国道で、私のクルマは容赦なく煽られまくり。
もはやドライブを楽しむ余裕は無く、涙目になりながら走り続け、
気がつけば目的地には予定時間よりも、
そんな頑張って運転してきたことが報われたのか、
時折小雨が降るようなドン曇りのなかで、
奇跡的に「カシオペア」通過時だけはウマく雲が抜けてくれ、
少し光線は弱いものの、なんとか朝日に照らされた
08.4.28 函館本線 落部-野田生
ONE-shot 92 ブルーリボン・オーラ [PICK UP ONE-shot]
今年は大方の予想通り・・・というか
対抗となりそうな車両もとくに見当たらず、
JR東日本・東北新幹線のE5系が選ばれました。
鮮やかなメタリックグリーンでロングノーズのE5系。
沿線やホームなどで見かける存在感は抜群で、
運転開始から一年以上経った今でも
先頭車付近で写真を撮る人の姿は絶えません。
やっぱりブルーリボン賞を受賞する車両には
高度な技術面や豪華な内装もさることながら、
なによりもエクステリアデザインがカッコよくて、
子供たちが憧れるような車両であって欲しいと思います。
このE5系の受賞は妥当なところではないでしょうか。
そこで、E5系の先頭部を自分なりにカッチョよく撮ろうと
王子駅前の「北とぴあ」展望台に上がってきました。
E5系自体は「はやて」などの運用にも就くようになり、
だいぶ出会える確率は高まったのですが、
実は大半が秋田新幹線のE3系「こまち」との併結運転で、
この「北とぴあ」からの流し撮りに適している
下り方の先頭車が撮れるのは、
E5系単独で運転される「はやぶさ」のみ。
現在、定期の下り「はやぶさ」は一日三本で、
しかもそのうち一本は夜ですから、
意外と下り方の先頭車って撮りづらいんですよね・・・。
そんな希少性と「ブルーリボン・プライズ」の醸し出すオーラで、
久々に手に汗握るような、緊張感の高まった撮影となりました。
秋の授賞式後には、特別な装飾などが施されるのでしょうか?
昨年の京成「スカイライナー」のような
派手なものだと楽しいのですけれどね~(^^)
12.6.10 東北新幹線 上野-大宮(王子付近)
東急池上線・・・7700系「CLASSIC STYLE」撮影記 [鉄道写真撮影記]
先月にご紹介した熊本電鉄の「青ガエル」こと5000系に代表されるように、全国各地の地方私鉄で活躍を続ける元・東急の譲渡車。このブログの「東急」というタグをクリックしていただくと解ると思いますが、最近もいろいろなところで東急OBの面々と会ってきました。第一線の東急から退いてもなお活躍の場があるということは、いかに東急の車両が優れていて、使い勝手がいいと言う表れなのでしょう。ところが私、本家・東急となると、ここ数年まったくといっていいほど撮影した覚えがありません。私にとっての東急は、決してキライじゃないけれど、それほど馴染み深くもなく、せいぜい外勤で東横線や田園都市線などの本線系統に乗る程度。その際に8500系と遭遇して「この電車も息が長いなぁ・・・」などとは思うも、あまり撮影意欲は沸きませんでした。しかし、そんな東急に最近ちょっと面白い電車が現れたのです。それは池上線の開業90周年キャンペーンの一環として運行されている「7700系 クラシックスタイル」。東急のリリースによると、『7700系の前身である旧7000系は、日本初のオールステンレスカーとして1961年に製造され、東横線の主力車両として活躍しました。この7000系の車体を利用して、冷房化や走行装置の一新などの改造を施し、誕生したのが7700系です。池上線では1995年から運行を開始し、現在に至っています。今回、池上線90周年を記念して、車体正面の赤いラインを撤去するなど、デビュー時の姿をほうふつとさせる外装に復元し「7700系 クラシックスタイル」として運行します』とのこと。7700系一本を、昔懐かしい銀一色(・・・というか、無塗装)の7000系スタイルに戻すという、なかなかニクい企画。これは東急ファンじゃなくても、7000系の現役時代を知る者として一度はお目にかかりたいもの。この「クラシックスタイル(CS)」と名づけられた7700系・7910Fは、すでに4月の下旬から運転を開始していて、復刻直後はきっと大勢のファンで沿線は賑わったことでしょうが、そろそろファンの熱気も落ち着いた頃ではないかと思われます。そこで先週末の土曜日、ちょっくら池上線へと行ってみることにしました。
6月2日(土)
「池上線開業90周年記念」と銘打った「CS」が走るのは当然、五反田と蒲田の間を結ぶ池上線のはず。しかし実際は、池上線と車両を共有している東急多摩川線(多摩川~蒲田)の方も「CS」の運用範囲で、池上線か多摩川線のどちらに「CS」が走っているのかは行ってみないと解りません。たまにネット掲示板などで目撃情報が上がることもあるようですが、この日の情報はまったくナシ。
参考までに池上線と多摩川線の路線図を。
ピンク色が池上線(五反田~蒲田)で、
紫色が東急多摩川線(多摩川~蒲田)。
ちなみに多摩川線は旧・目蒲線(目黒~蒲田)の一部でしたが、
地下鉄直通化などの路線再編によって
路線図青色の目黒線(目黒~日吉)と分離し、
現在の短路線となりました。
ならば、両線が乗り入れる蒲田で待ち伏せすれば手っ取り早いのですが、私がまず向かったのは池上線の始発駅・五反田でした。というのも実はこの日、山手貨物線にとある団体臨時列車が走る予定があったので、ついでにそれも五反田で撮ろうと考えたのです。
山手貨物線を走るのは183系「あずさ色」(マリ31)の団体列車
「横浜セントラルタウン・フェスティバルY153記念号」。
しっかりとオリジナルのヘッドマークが掲出されていました。
12.6.2 山手線 五反田
「Y-153」と書かれたマークを掲げて走る183系。「Y-153」というのがどんなイベントなのか私には解りませんが、この列車は『新宿~大崎~新鶴見~横浜羽沢~鶴見~東高島~桜木町~石川町~大船~西湘貨物~国府津...(DJ誌参照)』 といった貨物線を主体としたルートを走る、なんとも魅力的な列車で、これは撮るよりも乗る方が楽しそうですね(事前募集の団体専用列車なので一般客は乗れないけれど・・・(´ρ`*)ウラヤマシス...)。まあそれはさておき、カブられる可能性が低くない山手線ホームでしっかり撮れたことに気を良くし、団臨を撮った目黒寄りのホーム先端とは真逆の大崎寄りに先端にある、池上線の五反田駅へ向かいます。
山手線を跨ぐようにあるのが、池上線の五反田駅。
上のホームには東急1000系が停車中で、下を山手線E231系が通過。
12.6.4 山手線 五反田
JRと東急の連絡改札を抜けると、待機していたのは緑色の新7000系。東急で7000系を名乗るのは、前述の7700系の前身である日本初のオールステンレスカーに次いで二代目。本来は古いほうを「旧7000系」と呼ぶべきなのかもしれませんが、今回はその「旧」の方が主役ですし、やはり名車に敬意を表して、ここでは新しい方を「新7000系」と呼ぶことにします。それにしても最近、同じ形式の二代目が出てくるスパンが短くなっているような気がして、ちょっとややこしいですね(京急1000形や小田急4000形とか)。まあ、新車の度にどんどん形式の桁数が増えて、とんでもないインフレ形式になるよりはいいのかもしれないけれど・・・。
五反田に停車中の新7000系。
初めて乗ったこの電車、木目調のインテリアは明るくて快適でした。
12.6.2 東急池上線 五反田
そんな新7000系に乗って、まずは車内からすれ違う列車をチェックしてゆきたいと思います。はたして「CS」は池上線運用に就いているのか? すると五反田から走ること5分、三駅目の荏原中延で早くも「それらしき」列車と離合・・・!? ちょっと自信無さげなのは、荏原中延付近は地下区間で、何となくでしか確認できなかったのです。でもあの目の細かいコルゲートは間違いなく7700系のもの。ためしにコイツを沿線で狙ってみようと、洗足池で降りることにしました。
五反田0935-(池上線)-洗足池0944
近くにある同名の池から取った、池上線・洗足池駅。
初めてではないけれど、かなり久しぶりに降りました。
12.6.2 東急池上線 洗足池
駅から徒歩5分のカーブポイントで捕らえた1000系。
東横線の日比谷線直通運用にも就く1000系ですが、
三連の編成は池上・多摩川線で使われています。
昨年、この1000系の譲渡車と三重の伊賀鉄道で会いました。
12.6.2 東急池上線 石川台-洗足池
この洗足池付近はあらかじめネットで調べてきた撮影地のひとつで、蒲田寄りにあるカーブから上り列車(五反田方面行き)を正面気味にスッキリと撮ることができます。しかし、すれ違った7700系が折り返してくるのは下り列車。この撮影地の逆方向は、とくにコレといった特徴のない直線区間なのですが、とりあえず運用確認のつもりで待ってみたいと思います。本当に先ほどすれ違ったのが「CS」ならば、さらに折り返してくる上りを本命として、カーブで捕らえたい。ところが、現れたのは・・・。
7000系の車体を使用し、
室内、走行機器などを大幅に更新した7700系。
先頃廃線となった十和田観光電鉄でも活躍していました。
12.6.2 東急池上線 洗足池-石川台
う~ん、たしかに7700系ではあったものの「CS」ではなく、ノーマルな赤帯入りの7905Fでした。それでもこれは一本しかない「池上線開業90周年」の記念マーク付き編成だったので、ヨシとしますか・・・。一本目は肩透かしを食らいましたが、まだまだ編成が確認できていない列車は多いので、しばらくここで撮影を続けることにします。全線でも片道30分弱の池上線。一時間もあればすべての運用を確認できるハズ。
わずか二編成のみの7600系もやってきました。
こちらは7200系を種車に7700系同様大幅リニューアルしたもの。
形式は変われども、「ダイヤモンドカット」と呼ばれた
特徴的な顔立ちは健在です。
上り線を行くのは、先ほど乗ったのと同じ新7000系。
東急のコーポレートカラーである赤を一切使わず、
またその丸みを帯びた先頭形状から、
二代目「青ガエル」との呼び声も聞かれます。
12.6.2 東急池上線 石川台-洗足池
7700系、7600系、1000系、新7000系・・・次々にやってくる池上線の各形式。しかし、お目当ての「CS」は一向に姿を見せません。そういえば、土曜日の有名撮影ポイントなのに、ひとりも同業者がいないのも気にかかります。この日の運用は池上線ではなく、多摩川線なのかなぁ・・・と、思いかけたそのとき、カーブの奥から見えてきたのは・・・7700系!
再び姿を現したマーク付きの7905F。
今度はカーブから正面気味に捕らえます。
・・・ですが、先ほどの7905Fでした (ノ_ _)ノ ズルッ 。 ということは、これで一巡し、今池上線を走っているすべての編成を確認したことになります。残念ながらこの日の「CS」は、やはり池上線運用ではないみたいですね・・・。撤収して池上線を下り、蒲田経由で多摩川線へと向かうことにします。
洗足池に入ってきた蒲田行きの1000系。
電車待ちしているお姉さんの格好を見ると、
もうすっかり夏ですねぇ・・・。゚(´o`;A)アチィ・・・。
12.6.2 東急池上線 洗足池
池上線の運用には入っていなかった「CS」。これで多摩川線で捕らえることができればいいのですが、ひとつ気がかりなことがあります。それはあまり考えたくないけれど、この日はまったく運用に就いていないということ。土曜日なのだからイベント車である「CS」は走っているだろう・・・というのは、こちら側の勝手な解釈。そもそも「CS」は他の編成と共通運用で、とくに決まった運転日などはなく、車庫で一日中休んでいる日だってあるのです。そこで、蒲田へ向かう途中にある雪が谷大塚の車庫(雪が谷検車区)を確認しようと側扉の窓に張り付いていると、停車した雪が谷大塚で反対ホームに停まっていたのは、帯の無い7700系・・・(‥ )ン? 「CS」だぁー!! Σ(゚Д゚;)
島式一面二線の雪が谷大塚駅。
上りホームに「回送」表示で停まっていたのは、
追い求めていた「7700系クラシックスタイル」こと7910F!
12.6.2 東急池上線 雪が谷大塚
洗足池には現れなかったということは、どうやら午前中に多摩川線運用へ入っていて、ラッシュ時が終わったので車庫のある雪が谷大塚に回送されてきた・・・ってところでしょうか(あくまでも憶測です)。もしそうならば、五反田で183系を撮らずに蒲田へ直行していたら撮れたかもしれないなぁ・・・と言ったところで、今さらどうあがいても後の祭り。そんな私をあざ笑うかのように、「CS」はさっさと車庫へ引き上げてしまいました・・・。
私の前から去ってゆく「CS」...ε~ε~┌(|||´Д`)ノ マ、マッテェェェ
これで少なくとも当分は・・・いや、下手をするとこの日はもう「CS」が運用に就くことは無いかもしれません。しかし、このままだとネタ的にあまりにも寂しい・・・。幸い、この雪が谷検車区は近くの一般道からその中の様子を覗くことができるので、改札を出て車庫脇まで行ってみることにしました。ひょっとしたら「CS」の姿が見えるかもしれない・・・。かすかな期待だったのですが、ここでは思わぬ展開に。
洗足池1032-(池上線)-雪が谷大塚1035
雪が谷検車区に顔をそろえた、池上線・多摩川線の車両たち。
そのほぼ中央に停まっているのが、赤帯が無い「CS」。
12.6.2 東急池上線 雪が谷大塚(開いた踏切から撮影)
ズラリと並んだ車両たちの真ん中に「CS」の姿が見えます。しかもよく見ると「CS」だけライトを輝かせているではありませんか。これは未練がましく踏切から望遠レンズで撮っている私へのサービスか・・・? などと、くだらないことを考えていると、やがて短い電子ホーンが鳴り・・・
「CS」が・・・
ゆっくりと・・・
出て・・・キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
入庫したばかりの「CS」が、なんと出庫してこちらへ向かってくるではありませんか! ひょっとして運用に入るのか!?・・・と思いきや、雪が谷大塚の駅構内で一旦停止し、再び車庫の方へと戻ります。どうやら単なる入換え作業だったみたい。
入換え信号の前で一時停止。
「回送」表示とは言え、真正面から捕らえることができた
「7700系クラシックスタイル」。
赤帯が無いだけじゃん・・・
と、言われてしまえば確かにそうなのですが、
この顔にはやはり懐かしさを感じてしまいます。
これぞ昭和の電車って感じですよね~(*´∇`*)
再び車庫の奥の方へと入ってゆく「CS」・・・。
最終的には検修庫脇で停車。
パンタを下げ、今度こそ完全なお休み体勢です。。。(_ _)zzz
そんな「CS」と入れ替わるように出てきた、7903Fと一瞬の並び。
今回「CS」に選ばれた7910Fは
元々7000系で最初に落成した第1編成・7001Fで、
他の編成とは貫通扉上部の形やヘッドライトなどに差異がみられます。
こうやって並ぶと、貫通扉上くらいは判断できますね
(7910の方は直角)。
ツイているのか、いないのか・・・思いがけず目の前で繰り広げられた「CS」の入換え作業。7000系をほうふつとさせる懐かしい姿をじっくりと拝むことはできましたが、やはり本音を言えば本線走行をしっかりと撮りたかったところ。車内に掲げられてあるという記念プレートも見てみたかったし、これはもう一度リベンジに来なくてはならないようです。
パンタを下ろした「CS」はもう動かないみたいだし、他の池上線車両は洗足池でじゅうぶんに撮影ができたので、この日はこれで撤収。行きと同じように五反田へ出る方がウチには近いけれど、せっかくここまで来たので、池上線を乗り通して蒲田経由で帰ることとしました。
雪が谷大塚1105-(池上線)-蒲田1116
7600系に乗車し、頭端式ターミナル駅の蒲田に到着。
12.6.2 東急池上線 蒲田
・・・実はこれで終わりではありません。
自分的にはマイブームというか、気分的に盛り上がっているときに撮ってしまわなければ済まない性分で、なんと二日後の月曜日(4日)にも池上線へと行ってしまいました。月曜日はもちろん平日で仕事があります。しかしこの日は、年に一度の健康診断の日。半日ほど(クリニックへの)外出が許可されます。健康診断なんて、たかが一、二時間程度。しかも今回は事前にネット掲示板の情報で「CS」が池上線「03運用」に就いていることをキャッチできました(誰かは知りませんが、通勤途中に見かけた方に感謝です m(_ _)m )。レントゲン検査で飲んだバリウムが胃にもたれて気持ち悪いけれど、一カットでも走っている「CS」撮りたいと思い、健康診断の帰りに再び五反田へ・・・(;  ̄3 ̄)ゲプッ。
6月4日(月)
適当に五反田へとやってきたものの、「CS」が入っている03運用というのが、何時の列車なのか私にはサッパリ解りません。まあ、前述したように、一時間もあれば一巡する池上線。運用に入っているのが解っているのならば、待っているのも気が楽です。とりあえず土曜日にも行った洗足池あたりで撮るかと列車を待っていると、やってきたのは・・・ビンゴ!(゚∀゚)
五反田駅に入ってきたのは「CS」こと7910F!
12.6.4 東急池上線 五反田
なんと、一昨日とは打って変わって、今回は一発で「CS」がやってきてしまいました。さっそく出会えたのは嬉しいけれど、当然乗ったら沿線で撮ることはできません。仕方なくこの入ってきた「CS」自体に乗って洗足池まで行き、その折り返しを待つことにします。でも乗れたおかげで、車内に貼ってある記念プレート(ステッカー)は見ることができました。
先頭車、運転室の背面に貼られている記念プレート(右三つ)。
上から「CLASSIC STYLE」の銘板、7001の車番、そして車両説明。
立体的なプレートに見えますが、ステッカーです。
ちなみに左二つは本物の製造銘板で、
上が7001として誕生した昭和36年のもので、
下は7700系に改造された昭和63年のもの。
そういえば、「東急車輌」も過去のものになってしまいましたね・・・。
(今年4月より、東急車輌はJR-E傘下の総合車両製作所へ社名変更)。
五反田1417-(池上線)-洗足池1426
わずか二日前に来た時と同じ道のりをたどり、洗足池のカーブポイントへ。今回も同業者の姿はありませんでした。ま、平日だしね・・・。7600系や1000系、新7000系などを撮って時間潰し。もうこの二日間で、10年分くらいの池上線を撮り貯めた気がします。そして今さらながら気づいた池上線の運用表示。この運番って、運転順になっているのね・・・。やがて「02」の運番を表示した1000系が通過して行きました。ということは、次が「03」に入っている「CS」の番。手持ちなので、しっかりと架線柱で水平を掴みながら待ち構えます。
緑に包まれたカーブを切って姿を現した「CS」。
やはり本線を走る姿は、ひと味もふた味も違います。
12.6.4 東急池上線 石川台-洗足池
やっと念願の洗足池カーブで「CS」が撮れた~ \(*^▽^*)/ 。健康診断帰りに会社をサボってきた甲斐があったなぁ・・・(^^;)。あくまでも勤務中に抜け出しているので、一本撮ったらすぐに撤収するつもりだったのですが、あと20分ほどで今のが下り列車で折り返してくる・・・と考えると、やはり待たずにはいられませんでした。でも、土曜に撮った反対の下りポイントは背景がイマイチだったので、石川台寄りにある斜面の緑が多めに入るところへと移動し、少し動きのあるカットを狙ってみます。
思わず前面窓下に赤い急行サボを掲げたくなるような、
7000系・・・もとい、7700系「CS」の力強い走り!
12.6.4 東急池上線 洗足池-石川台
流し撮りで捕らえた「CS」。うーん、この電車はカッコイイというより、やっぱり「シブい!」って表現が似合います (^^)。偶然の産物とはいえ、サイドの赤い東急マークもいいアクセントになってくれて、もう大満足です。
小走りで追いかけたら、石川台に停車中の姿も撮れました。
できればこういう編成写真もキッチリと押さえておきたい。
12.6.4 東急池上線 石川台
二日間に渡って追いかけた、「7700系 クラシックスタイル」。半ば無理矢理ではあるものの、なんとかその姿をカメラに収めることができました。本当ならもう一往復・・・いや、あと二・三往復くらい撮影したいところですが、さすがに会社へと戻らねばなりません。東急という首都圏きっての大私鉄にありながら、どこかのんびりしたムードの池上線。今回は「7700系 クラシックスタイル」というネタを撮りに訪れ、列車写真ばかりに集中してしまいましたが、今度は列車を絡めたスナップ写真などを撮りながら、ゆっくりと散策してみたくなりました。夕方に来て、撮影帰りに戸越銀座辺りで一杯なんていうのもいいかもしれませんね~(笑)
上下でホームと駅舎が別れた石川台駅と「CS」のコラボは
どこか懐かしい雰囲気を醸し出してくれます。(^^)
また撮りに来たくなる東急池上線でした。
12.6.4 東急池上線 石川台(後追い)
石川台1535-(池上線)-五反田1546
関東鉄道・・・常総線キハ100 撮影記 [鉄道写真撮影記]
先週、とある鉄道趣味系HPを眺めていると、「関東鉄道・常総線の騰波ノ江(とばのえ)駅で、"鉄コレ" 発売イベントを開催」という告知がありました。鉄コレとは鉄道コレクションの略で、大手玩具メーカーが出している鉄道車両のディスプレイモデル (展示模型) 。「鉄道は模型よりも実車派!」の私(・・・というと聞こえはいいですが、元来手先が不器用なのと、模型に費やす資金が乏しいのが実情・・・^^;)、鉄コレにもとくに食指は沸かないのですが、そのイベントのひとつである「当日11時54分、騰波ノ江駅でキハ101・102号が同時停車」の方に目が留まりました。
関東鉄道(関鉄)キハ100は元・国鉄のキハ30の払い下げ車で、国鉄首都圏色・通称「タラコ色」のキハ101と、関鉄の前身である「常総筑波鉄道」時代のクリーム&紺のツートンカラーに塗られたキハ102の二両が、常総線北部の水海道~下館で活躍しています。ただし車齢の高いキハ100が運転されるのは現在、どちらか片方を使った一日一往復のみ。とくにツートンのキハ102の方は通常だと、平日の月・火曜日にしか運転されていないのです(運行情報は関鉄のHPを参照)。私は常総線へ昨年の9月に訪れて、タラコのキハ101は撮影済み。しかしキハ102の方はまだ撮影したことがありませんでした。
そこで、この「鉄コレ発売イベント」。騰波ノ江で同時停車ということは、当然キハ101と102の両方が運転されるということになります。これはキハ102を撮る絶好のチャンス。お天気もまずまずのようなので、イベントが開催される26日の土曜日に常総線へと行ってみることにしました。
5月26日(土)
茨城県の南部、取手から守谷、水海道、下妻を経て下館までを結ぶ、関東鉄道・常総線。東京のウチから鉄道を使ってこの路線へアクセスするには、大きく分けて三通り。一つめは上野から常磐線で取手へ。二つめは秋葉原からつくばエクスプレス(TX)で守谷へ。三つめは少し遠回りで、東北線で小山か、常磐線で友部へ出て、小山と友部を結ぶ水戸線で下館へ。前回訪れた時は福島の磐越西線撮影から流れてきたので、小山から水戸線を経由して下館へ入りましたが、普通に考えれば前者二通りのどちらかになります。同じ秋葉原発で考えた場合の運賃は、JRの取手までが690円で、TXの守谷までは800円( Σ( ̄ロ ̄;)高っ!)。常総線内は乗り降り自由な一日乗車券を使う予定なので、単純にJR経由の方が110円ほど安い。しかし、柏の実家へ帰るときにしょっちゅう乗っている常磐線に対し、TXの方はかなりご無沙汰。ここは110円高くても、久しぶりにTXへ乗ってみたくなりました。
今回は秋葉原から「つくばエクスプレス」で出発。
つくば行きの快速列車に使われるのは、交直両用のTX-2000系です。
首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス) 秋葉原
時速130キロの高速運転が醍醐味のTX。ここは前面展望でその迫力ある走りを楽しもうかと思い、先頭車へ行ってみると、運転室のかぶりつきはすでに子供たちでいっぱい。さすがに人気があるのね・・・。一本あとの列車でも常総線の接続は間に合うけれど、そこまでして前面展望を見る気はなかったので、ここはふつうに席へ座って過ごすことに。
秋葉原0830-(TX快速3009)-守谷0902
乗換駅の守谷では少し時間があったので、ホームでTXウォッチング。
秋葉原は地下駅かつホームドアでウマく撮れませんでしたが、
守谷ではスッキリと列車を撮ることができました。
これは私が乗った快速の続行で来た、普通列車のつくば行き。
つくばエクスプレス 守谷
同じTX-2000系でも前面窓下に赤帯が入った二次車。
個人的にはこちらの方が締まりがあって、カッコイイように感じます。
つくばエクスプレス 守谷
秋葉原から快速で30分の守谷でTXを下車。ここで目的路線の常総線へ乗り換えます。守谷は高架駅のTX、地上駅の関鉄、どちらも二面二線の立派な造りの駅構造。TXはもちろんのこと、常総線もこのあたりは複線区間で、東京近郊の大手私鉄と変わらない様相を呈しています。しかし常総線は全線に渡って非電化路線。ホームにはカラカラとアイドル音を立ててディーゼルカーが待機し、油の匂いが漂っていました。
TX守谷駅とアンダークロスしている、常総線の守谷駅。
私が乗る今度の下館行き下り列車は、単行のキハ2200でした。
関東鉄道常総線 守谷
下館行きの単行列車は、立ち客が出るほどの乗車率で守谷を発車。普段の常総線、とくに北部はそれほど混雑する印象が無かったので、これはひょっとして例の「鉄コレ・イベント」の影響か・・・? と、一瞬は思うも、よく見ると一番人数の多い集団は年齢層が高めで、どう見ても鉄では無さそう。大声で話す話の内容からすると、この集団は常総線で下館に出て真岡鉄道へ乗り継ぎ、焼き物で有名な益子に向かうらしい。私はというと、イベントのある騰波ノ江ではなく、そのずっと手前にある三妻で下車。
ちょっぴり車内が賑やかだった列車を三妻で見送り。
そういえば、「みつまJAPAN」って名前の芸人がいたな・・・
(この三妻とは関係はないらしいケド)。
関東鉄道常総線 三妻
守谷0920-(常総線5047)-三妻0941
三妻は、昨年のキハ350「さよなら運転」を撮ったときにも訪れた駅。この駅の北側、隣駅の南石下までの間には広大な田園地帯が広がっていて、天気のいい日には筑波山の姿を拝むことができる、常総線屈指の有名撮影地です。本来なら今回はイベントの行われる騰波ノ江でキハ101とキハ102の貴重な交換シーンを狙うべきなのかもしれませんが、私のような列車利用で徒歩鉄の場合、駅での交換を撮ってしまうと他の場所で走行写真を撮るのが難しくなってしまいます。私的にはやはり沿線で走っているキハ102の姿が撮りたい・・・。それに、イベントの行われる騰波ノ江は同業者で混雑することが予想されるので、ここはあえて交換シーンではなく、キハ101とキハ102、それぞれの走行写真をこの三妻周辺で撮ることにしました。
本命撮影ポイントへ行く道すがら、線路端から撮ったキハ5000。
以前にも書きましたが、私の乗ってきたキハ2200とこのキハ5000、
外観上はほとんど見分けがつきません・・・(^^;)
関東鉄道常総線 南石下-三妻
まずはすぐにやってくる、上りの水海道行きを撮影。この日、騰波ノ江で11時54分に並ぶ二両のキハ100は、『水海道1032-(5057)-下館1128~1143-(3080)-騰波ノ江1154~57-水海道1236』と『水海道1120-(5065)-騰波ノ江1154~56-下館1220~1234-(1086)-水海道1322』の二運用に入るのは確実。でもひょっとしたら、その前にもキハ100が運用に入っているかも・・・などと、関鉄素人の私は単純に考えて、前運用となりそうな列車を撮るために少し早めに現地入りしてみました。しかし、現れたのはキハ5000。そんなに甘くないのが関鉄です・・・(^^;)
続いてやってきたのはキハ2400。
関東鉄道のキハ2000系列は、仕様ごとに
2000・2100・2200・2300・2400と
細かく形式分けされていますが、素人目にはよく解らず、
ウィッキー(Wiki)さんによると、このキハ2400は、
「基本仕様はキハ2200に準ずるが、キハ2300で導入した
電気指令式ブレーキや変速機自動切換えなどを引き続き採用し、
キハ2300の両運転台仕様となった」・・・とのこと。
関東鉄道常総線 南石下-三妻
駅から歩くこと15分ほどで、前回訪れたときにタラコ色のキハ101を撮った、筑波山バックの定番ポイントへとやってきました。しかし、本来なら上写真のキハ2400の右後ろに見えるはずの筑波山が、モヤっていてハッキリしません。筑波山が見えないのなら、あまりここで撮る意味は無く、やっぱり騰波ノ江で交換を狙うべきだったかなぁ・・・(-ω-;)ウゥム…。 少し後悔の念が頭を過るも、もう一本目のキハ100が通過するまであまり時間はありません。周囲をウロウロしつつ、たどり着いたのは線路を大きく跨ぐ道路橋。筑波山が見えない苦し紛れの選択ともいえるところだったのですが、ためしに橋へ上ってみると、そこに広がっていたのは思わず息を呑むような景色・・・。
どこまでも続く広大な田園地帯の中央をまっすぐと延びる線路。
やがてそこをツートンカラーのキハ102がトコトコと走ってきました。
関東鉄道常総線 三妻-南石下
あたり一面に広がる田植えが終わったばかりの水田は、まさに毛足の短い緑の絨毯。感覚的にこの跨線橋上から撮れることは何となく解っていたのですが、実際に上がってみて目にした光景は「絶景」とはいかないまでも、想像以上に雄大でした。そんななかまず最初に現れたのは、本命だったツートンのキハ102。筑波山バックではないけれど、これは結果オーライで大満足です v(*'-^*)b。 実は直前まで、半逆光になる正面側と順光になる後追い側のどちらで撮ろうか悩んでいました。というのも、この跨線橋の車道は意外と交通量が多く、クルマが来るタイミングによっては前か後ろのどちらかしか撮れない可能性があったのです。でもこの景色を見比べたら、やはり田んぼの広がりがある正面に重点を置いて良かったと思っています。結果的にはクルマが来なくて後追いも撮れたし。
車道を慎重に確認して橋の反対側へと渡り、後追い。
光線状態はこちらの方が順光になります。
小さな踏切を横切るキハ102、なんとも模型チックな情景です。(^^)
関東鉄道常総線 南石下-三妻(後追い)
これはなかなかいいぞと、続いて50分後にやってくるタラコ色のキハ101も同様に撮るつもりだったのですが、もう正午近くのこの頃になると太陽の位置は真正面へと回り、田園の広がる正面側は半逆光ではなく完全なド逆光。試し撮りしたキハ2400が黒く潰れてしまっていたので、今度のタラコは順光となる後追いのみを狙うことにしました。
国鉄首都圏色、通称・タラコ色を纏ったキハ101。
街並みを遠くに望む、郊外の田園を走る姿は、
八高線や相模線で活躍したキハ30を彷彿とさせます。
関東鉄道常総線 南石下-三妻(後追い)
う~ん、確かに顔は順光ですが、左右どちらのサイドにも日が当たらない、いわゆる「面順」状態。ま、正面がド逆光ならば、当然反対側はそうなるわな・・・(´∀`;)。この二本目となる下り5065列車は、普段の日もキハ100で運転されているスジなので、夏場は晴れると光線状態がキツいということを頭に入れておこう・・・。
ところで、上写真のタラコを撮りながらふと気づいたのですが、背景の街並みのなかに、小~さくお城のような建物が写っています(キハのちょうど真上あたり)。
ズームしてみると、確かにお城のようです。
歴史にはそれほど詳しくないけれど、こんなところにお城があるなんて話は聞いたことが無いなぁ・・・しかも真っ白で、なんだか胡散臭い。ラブホか? それにしては立派すぎるよね。いったいあれはなんJARO?ってことで、スマホを取り出してJAROに電話・・・ではなく、マップ機能で検索をしてみると、石下駅付近に「豊田城」なるものがあります。やっぱりお城なのかと思いきや、これは戦国時代にこの地にあった豊田城を模した、常総市の「地域交流センター」で、中はホールや図書館になっているのだとか。ずいぶんと立派な公共施設ですね~。ちなみに実際の豊田城はこんな立派な天守閣ではなく、カヤ葺きの城だったらしい・・・(^^;)
さて、そんなことをスマホで調べたりしながら時間を潰していると、一本目に行ったツートンの折り返してくる時刻が迫ってきました。相変わらず上空は晴れたり曇ったりでスッキリしないお天気ですが、先ほど見た時よりは筑波山の姿がうっすらとながら見えてきていたので、筑波山バックの定番位置へと移動します。あのツートンカラーは「常総筑波鉄道」時代のリバイバルですから、やはり一枚くらいは筑波山と絡めた絵が欲しいところ。
筑波山を背景に走る、常総筑波鉄道カラーのキハ102。
国鉄風にいうと、スカ色を纏ったキハ30って感じですが、
意外とこの色は似合っている気がします。
関東鉄道常総線 南石下-三妻
霞んではいるものの、なんとか筑波山のシルエットが出てくれました~(^▽^)。空はどんより雲だったので、水田を多めに入れたアングルで撮影。週末にはなかなか撮ることができないキハ102ですから、こんな状態でも贅沢はいえません。
ところでこのキハ102、水海道に終着するともうこの日の運転は終わりなのかな? ひょっとしてさらに折り返し運用なんかに就いたりしないかな・・・なんて、朝と同じように淡い期待を持って折り返し運用となりそうな時刻の列車を待ってみるも、現れたのはキハ2400でした。やはり、そんなに甘くないのが関鉄です・・・(^^;;)
水海道12時50分発の1082列車は、キハ2400。
今度は先ほどの跨線橋のアプローチ部分から、
俯瞰気味に筑波山と絡めてみました。
関東鉄道常総線 南石下-三妻
ラストはタラコの折り返し。タラコの方は前回来たときに晴天順光で筑波山バックが撮れているので、今回は再び先ほどの跨線橋へと上り、往路はド逆光で撮れなかった水田が広がる上り方のアングルでカメラを構えます。この頃になると日はだいぶ西側へと移動し、ド逆光は免れるようになりました。今度は車道を渡るリスクを冒さず、後追い一発で狙います。
広大な田園地帯をゆく単行のタラコ。
とても都心から一時間ほどの風景とは思えないのどかさです。
関東鉄道常総線 三妻-南石下(後追い)
日の向きに合わせて、往路のツートンとは逆サイド(西側)から撮ったタラコ。薄雲で日差しは弱くなってしまいましたが、そのぶん顔が潰れずに済んだので良かったのかな。
前週に行ったヒガハスなどでもそうですが、最近は減反なのか各地で休耕田が目立つような気がしていました。でもここは見渡すかぎりの田んぼに水が張られ、しっかりと苗が植えられています。これから稲が生育して緑一色となる夏場や、金色の稲穂が輝く秋口などに訪れても、壮観な眺めが楽しめそうですね。またそのころにでもキハ100を撮りに訪れたいと思います。
地図を見ると、行きに降りた三妻よりも
隣の南石下の方が近そうだったので、帰りはそちらの駅へ。
無人で簡素な造りの南石下ですが、
いちおう簡易PASMO改札機が設置されています。
関東鉄道常総線 南石下
南石下に入ってきた、キハ2400形の守谷接続・取手行き。
常総線の大半は水海道か守谷で南北の運転形態が分けられますが、
短時間の接続で乗り継げるようにダイヤが組まれています。
関東鉄道常総線 南石下
ツートンとタラコ、二両のキハ100がいる常総線。今回いちばんの狙いはツートンのキハ102の方だと書いてきましたが、正直言うと、元・国鉄キハ30のキハ100はタラコの方が馴染みがあるので、今までツートンの方は何が何でもというよりは、撮れる機会があればいいな・・・程度にしか思っていませんでした。しかし実際に見てみると、案外このツートンもいい味を出していて、今さらながらすっかり気に入ってしまいました。JRからはついに久留里線キハ30の引退が決まり、この常総線に残った二両のキハ100は、ますますその価値を高めるものと思われます。そう考えると、たとえ一日わずか一往復の運転であっても、末長い活躍を願うばかりです。
常総線で使用した「常総線一日フリーきっぷ」1500円。
でも今回は、普通乗車券だと守谷~三妻が600円、
南石下~取手が960円の合計1560円で、
わずか60円しかオトクにならなかった・・・(^_^;)
南石下1340-(2090)-守谷1405~1409-(1092)-取手1427
取手からのJRは、今回も「オレカ」を使います。
「スーパービュー踊り子」用の251系が図柄のこのカード、
何の記念かと言うと・・・なんと「宇都宮線開業110周年記念」。
宇都宮線の記念でなぜ251系? と、思わず突っ込みたくなりますが、
これは当時、臨時列車で運転されていた「ビュー日光号」です。
それでも、宇都宮線の記念カードには相応しくないですよね・・・。
95年7月発行 宇都宮駅で購入。
ちなみに取手から210円区間は実家のある南柏までのきっぷ。
せっかくなので帰りはちょっと実家へ顔を出してきました。
取手1440-(常磐2394M)-我孫子1447~1453-(1426K)-南柏1502